俺は料理人志望なんだけど…   作:イタクァ

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本日二回目の投稿

2015/7/14 改稿


転生と遭遇

 あのわけわからん爺さんに放り出されてから早6年、俺は本当に転生しちまったようだ。しかも赤ん坊のころからやり直しって…、とりあえず次にあの爺さん見たら絶対にぶん殴る。

 

 

 

とりあえず今の俺は石川龍二なんていう名前の6歳児、前世と比べて15年くらい若返ってしまった。世の女性たちには羨ましがられそうな話だな。

 

 今世の両親は小さな定食屋をやっているので俺は毎日たくさんの料理と触れ合って生活していた。流石に包丁を握らせてはもらえないが、食材の目利きや定食屋ならではの知恵など、前世ではあまり学べなかった部分を教えてもらい、また常連さんたちと仲良くなって面白い話を聞かせてもらうなど、なかなか面白い生活をしている。

 

 でも小学校に入学したが精神年齢が20代後半の男が小1のクラスになじめるわけがない。必然的にクラスでは浮いてしまい学校では一日中本を読んで過ごす羽目になっている。

 

 まさかこの歳でボッチになるとは思わなかった。いや、別にそれが辛いわけじゃないんだが…

 

 一人でいる時間が必然的に多くなる俺は暇なので爺さんが植えつけてきた知識、『食義』とかいうものの習得法を実践している。

 

 食義とは精神的な修行をすることで肉体的な動きの無駄をなくし、最小のエネルギーで最高のパフォーマンスをするというもので、これは単純に武術などにも使えるが、調理にも応用ができるものらしく極めれば一人で何人分もの働きが可能だとか。これは俺の前世からの夢である料理人になるために絶対に必要だと確信した。前世ではかなえられなかったこの夢、今世で叶えてやる!

 

 しかし気になるのは俺の中に他にも(・・・)知識があることだ。と言っても食義のように汎用性があるものじゃない。まぁ大きく分けて二つほどあるけど、どちらも戦闘に使うような物騒なもんだ。この世界は前世よりも武道が盛んなようだけど料理人志望の俺には関係ない話だな、わざわざ習得する必要もないだろ。

 

 さて、今日も日課のめちゃくちゃ長い箸での豆つまみをやろうか。おっと、食材に感謝感謝。

 

 

 

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 そういえば俺は神奈川県川神市に住んでいる。前世での川崎市の位置だな。ちなみに横浜市の場所は七浜市になっている。

 

 俺は時々多摩川のほとりで体を動かしている。別に武道に目覚めたとかじゃないぞ?単純に体の動きを慣らしてるんだ。この体いくらなんでもハイスペックすぎるんだよ…。

 

 別に本の内容を一回で覚えるくらいならまだ子供だからとかで説明がつくぞ?でも6歳児がスチール缶を握りつぶしたり垂直跳びで200㎝オーバー、50mを5秒台なんていくらなんでもおかしいだろ!?

 

前世の同じころのイメージで体を動かしてると動きが良すぎて齟齬が大きいんだよ。自分の身体なのに自在に動かせないと日常生活にも支障が出ちまうからな、こうやって体を動かしてるんだが…

 

 

 

バッ ズバババババババババババ!!!

 

「…石が跳ねずに水面を割っていくとか…」

 

 

 

 そう、身体の動きに慣れ食義も毎日の成果が出てくると今まで以上に人間離れした動きができるようになってきたのだ。

 

 

 

「…やべえ、なんかだんだん楽しくなってくな」

「ほう、何がだ?」

 

 

 

!?

 全く気付かなかった。いつの間にか俺の後ろに金髪で目つきの悪い執事服の男が立っていた。

 

 

 

「…誰だ?」

「正体がわからない奴へ警戒心を持つのは悪くない、だがそれ以外は赤子だな」

 

 

 

 いきなり出てきてすさまじく上から目線だな、ムカつく。

 

 

 

「で、なんか用か?」

「何、見回りをしていたら面白いものが見れたからな。先ほどから貴様の動きを見ていたがその年にしては、いや、大人の中で見てもあまりに動きに無駄がなかった。貴様、一体何者だ?」

「…唯の定食屋の息子」

「ふん、嘘をつくならもっとましな嘘をつくんだな。唯の子供にあんな動きができるわけがない。しかもご丁寧に気を纏っていながら誤魔化せると思っているのか?」

「…気?気ってなんだ?」

「…何?貴様、気を知らずに使っていたのか?」

 

 

 

 一体なんのこっちゃ?漫画じゃあるまいし。いや、転生なんて非現実的なことを体験してるけどさ

 

 

 

「…なるほど、気の量もなかなかだ。こいつは掘り出し物かもしれんな。赤子、名は何という?」

「誰が赤子だよ、俺は石川龍二だ。」

「ふむ、では赤子よ、貴様を俺が鍛えてやろう」

「は?いやなんで?つか赤子じゃねーっての」

 

 

 

なんでいきなりこんな話に?あまりの急展開についていけねえぞ。

 

 

 

「お前のうちに眠る力は強大だ。それを制御できなければ周りに被害を及ぼす、それは貴様も気づいているだろう?」

「うっ…」

 

 

 

 確かに身体能力が高すぎるから俺はこうして動きに来ているわけだが…

 

 

 

「故に俺が貴様を鍛えてやろう。喜べ、この俺に鍛えてもらえるなど最高に幸運なことだ」

「いや別にいいから。ていうかアンタこそ誰だよ?」

「ああ、そういえば名乗っていなかったか。俺は九鬼家従者部隊第零位ヒューム・ヘルシングだ。覚悟しろよ赤子、俺が貴様を超一流の武道家にしてやろう。」

 

 

 

そういってヒュームとかいうおっさんは俺を猫のようにつかみどこかへ歩き出した。

 

 

 

いや、あの俺は料理人志望なんだけど…

 




本小説は行き当たりばったりで参ります

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