俺は料理人志望なんだけど…   作:イタクァ

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今回は清楚なあの子が登場


走法と少女

 青い空、白い雲、空高く舞う渡り鳥たち…

 見渡す限り人の手が入った形跡はなく、ただ大自然があるがままの姿でそこにあった。

 そう、俺は今…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バババババババババババババババッ!!

 

「目印になる物何もないじゃねーかよ、ちくしょーーーーー!!!」

 

 

 海の上を疾走していた。

 どうしてこうなったかというと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************************************

 

 

一週間前 多摩川のほとり

 

 

 

 ヒュームが帰国した。どうやら海外にいた九鬼の長男を迎えに行っていたらしく、近くの小学校に近々転入するそうだ。

 九鬼が俺の捜索を行っていたことに対しての礼をヒュームにしたが、

 

 

 

「揚羽様が行ったことだ。俺には関係ない」

 

 

 

と言っていたが、実は数日前に揚羽さんから手紙が届いた。その中にヒュームが従者部隊を動かす許可を求めてきたことが書いてあった。なんだかんだ言って心配してくれてたんだな

 

 

 

 

 

 まあ正直それとこれとは別問題。ヒュームに対し勝機を見出した俺は勇ましく勝負を挑んだのだが、

 

 

 

 

             

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     瞬☆殺  された。

 

 

 

 俺は長期戦に持ち込もうとしたが、所詮は素人の浅知恵。百戦錬磨のヒュームには全く通じず、第一に地力の違いが大きすぎた。

 

 スピード…全く敵わず

 パワー…全力を片手で押し返されますが何か?

 唯一勝っていた体力も他が足りない分全く活かせず。

 

 せっかく覚えた新技もヒュームには全く通じなかった。まあヒュームも電撃を使うし、しかも俺よりも出力がはるかに上。

 …どないせいっちゅうんねん

 しかも俺の攻撃が一通り終わった後に、

 

 

 

「ふむ、なかなか成長したようだな。顔つきも前よりはるかに良くなっている。褒美だ、水の上の走り方を教えてやろう」

 

 

 

 …反応できない速度の蹴りで吹き飛ばされた。強化された視力で見ることはできたのにその速さに体がついて行かねえって…。川に吹き飛ばされた俺はそのまま水面をバウンドし、反対岸までたどり着いた。

 たったの一撃で食没を習得した俺をノックダウンするヒュームって…

 

 

 

 ははは。もう疲れたよパト○ッシュ…

 

 

 

 今回もまた倒れている俺に対しての連絡があった。どうやら来週は港に集合らしい。何するんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今日はお前にここに向かってもらう」

 

 

 

 そうして一週間がたち、朝から港に来た俺はヒュームから一枚の地図を受け取った。その地図には一か所目印がしてあるんだけど…

 

 

 

「…なあ、ヒューム。俺の見間違いじゃなければ印がついているのって島なんだけど」

「間違いではない」

「どうやっていけばいいのさ?」

「自力で行け。ああ、その島行きの船は三日に一本だ。昨日がちょうどその日だったようだな」

「泳いで行けと!?めちゃくちゃ遠いじゃねーか!」

「お前の身体能力なら問題ない。泳ぐのが嫌なら海の上を走っていけ」

「できるかっ!」

「全く、先週教えただろう。水面を跳ねるように行け。右足が沈む前に左足を、左足が沈む前に右足を高速で出していけば問題ない」

「無茶すぎんだろ!ヒュームはできんのかよ!?」

「俺は敵が水に入る前に消す。もし入られても電撃を流すから必要がない」

「…あーそうですかー」

 

 

 

 ああ、うん。こういう奴だったね…

 

 

 

「問題ないな。ではいけ。お前の親には今日は帰らないと連絡してある」

「えっ!?ちょ、まっ!」

 

 

 

  ザパーーン!!

 

 

 俺はヒュームに海に蹴り落された。いきなりかよ!

 

 

 

「ああ、言い忘れていたがその島の存在は九鬼の中でも超極秘事項だ。もし誰かに漏らすようなことがあれば…どうなるかわかっているな?」

 

 

 

 …本気で行きたくねぇ

 

 

 

「詳しいことは向こうにいるクラウディオというやつに話を聞け。帰りもそいつに面倒を見てもらうんだな」

 

 

 

 そう言ってヒュームは去って行った。

 これ今帰ったら絶対殺される…。行くしかねえか

 俺は海面に浮かびながら現在地と目的地までの方角を確認して泳ぎ始めた。ある程度泳いだところでやけになった俺は足を全力で動かし始めた。常人よりもはるかに強靭な俺の脚はモーターボートのような速度を実現。次第に俺の胴体は浮かび、最終的には、

 

 

 

 バババババババババババババババ!!!!

 

「ヒャッホウ!!」

 

 

 

 水面を走り始めていた。しかし、問題が一つ。

 

 

 

「ここどこだよおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

 道?に迷った…

 

 

 

 

SIDE 三人称

 

 

 

 ザザァーン ザザァーン…

 

 絶海の孤島。木々が生い茂る自然の中、波の音だけが響く砂浜に一人の幼い少女がいた。

 少女は幼いながらも整った顔立ちをしており、長い髪を後ろでまとめて、ひなげしの花の髪飾りをしていた。

 

 

 

SIDE ????

 

 

「はぁ…」

 

 

 

 自然とため息が出てくる。今の生活が嫌なわけじゃない。むしろとても楽しい。

 義経ちゃんや弁慶ちゃん、与一君。それにほかのみんなとも仲良くしている。でも…

 

 

 

「私は一体誰なの…」

 

 

 

 つぶやいたその言葉に回答してくれる人は誰もいない。

 自分が誰のクローンなのか、そもそもここにいる私は何なのか。その答えがわからず、私の中で重しとなっている。

 

 

 

「誰か、教えてよ…」

 

 

 

 どんな本にも載っていない、手がかりは何もない。そんな状態が私はとても不安だった。

 クラウディオさんに聞いても知らないっていう。

 

 怖いよ、誰か助けて…!

 

 そんな私の心の叫びに反応はなく、あったのは

 

 

 

 

 ザバアアアアアアン!

 

「獲ったどーーーーーー!!!!」

 

 

 

 いきなり海からタコをもって飛び出してきた男の子の雄たけびだった。

 

 って誰!?

 

 

 

 

 

 




ヒュームさんマジ鬼畜(笑)

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