ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

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ポケライフ第二弾は、オリキャラの少年「クータ」です。髪型はある漫画のキャラに似ています。
今回のポケライフテーマは「宇宙研究員」です。お勉強に励んでいる身です。

短めでしょうがご了承ください(汗)

9/28:サブタイトル変更


ポケライフ「けんきゅういん・クータの場合」

 ヒワマキシティ生まれミシロタウン育ちのポケモントレーナー・クータ。

 

 好奇心旺盛でありながらしっかり者で、どういう訳か金髪をクロワッサンみたいな髪型にする事に拘っている。

 彼は幼少の頃から背が低く、同い年であるユウキより頭1つ分低い為に大抵は子ども扱いされているのが悩み。

 だからか、彼は高い所を好んでいる。自分より高い他人を見下すのではなく、高い所から見る光景が好きだからだ。

 

 そんな彼の夢は、誰よりも高い場所に上ること。

 ユウキ・ハルカと同時期にオダマキ博士の頼み事を引き受けたのも、ホウエンを見渡せるような高所を周る旅のついででしかなかった。

 最も、二つの悪の組織に挑むユウキ・ハルカのサポートに回っていたとはいえ、図鑑の完成度が一番高かったのはクータだったが。

 

 

 

 そんな彼は、憧れの場所がある。それは――――。

 

 

 

―――

 

 トクサネシティ。南国のこの島では宇宙センターがあり、何週間かに一度はロケットを打ち上げている。

 

 そのトクサネ宇宙センターの資料室に、1人の少年が本を読んでいた。クータである。

 大勢の利用客が宇宙関連の資料を探したり読んだりしている中、椅子に腰掛けているクータは難しい顔をして読み続けている。

 しかし地方唯一の宇宙センターということだけあって読んでいる資料は難解極まりなく、クータの頭からは知恵熱で生じた煙が漏れていた。

 隣ではパートナーのジュカインが心配そうにクータを見ている。ちなみにこの資料室では迷惑さえ掛けなければポケモンの同伴は可能だ。

 

 時間が立つに連れて煙の量と濃度が増えていき……やがて暴発。

 脳の処理能力が追いつかなくなったクータは一瞬にして気が抜けてしまった。ジュカインの支えがなかったら倒れていた所だ。

 

「く~あ~……」

 

「大丈夫かいクータ君?」

 

 魂でも抜けているんじゃないかと心配になったのか、白衣の研究員がクータに声を掛ける。

 

「あ、お邪魔しています。正直、大丈夫じゃないですね……」

 

 倒れかけから一気に復活。礼儀よく挨拶するも、頭を使いすぎた疲れは隠し切れないようだ。

 

「丁度よかった。フウとランがバトルの練習に付き合って欲しいって」

 

「フウとランが?」

 

 思い描くのはトクサネジムリーダーを務める双子の元気な姿。

 クータがここトクサネシティで一人暮らしを始めてから双子とはよく会っており、ジム戦で互いを認め合った過去もあってバトルの練習に付き合わされることも多い。

 クータは2人を弟分として、フウとランはクータを兄貴分として慕っていることもあってかなりの仲良しだ。

 

「そうッスねぇ……気分転換にバトルでもすっか」

 

 頭が疲れている時は体を動かすに限る。そう決めたクータは背伸びをして立ち上がった。

 パァっと明るくなるジュカイン。勉学よりバトルの方が、主人が活き活きすることを知っているからだ。

 さっそくとばかりにクータは資料を元の位置に戻し、研究員に挨拶してから資料室を出る。一連の動作に無駄は一切ない。

 

「やれやれ、不慣れなのに頑張るねぇ」

 

 研究員の男はそんなクータの背中を見て小さく笑う。

 バトルや木登りなど体を動かす方が好きなのに、宇宙センターの研究員として働けるよう、苦手な勉学に励む。

 そんな彼だからこそ、彼の目指している夢が本物であると伝わってくるのだから、応援してやりたくなる。

 

 

 

 それは彼の背を見送る研究員の大半がそう思っていた。決して小さい子を応援するようなものではない。

 

 

 

―――

 

 有人ロケットの研究と開発。それがクータの目指す夢への第一ステップ。

 有人ロケットを開発し成功した後は、そのパイロットとして搭乗すること。これが第二ステップ。

 

 クータが目指している夢。それはこの星で一番高い場所―――宇宙へ登ることだ。

 

 かつて図鑑所有者として旅をしていた頃に偶然見つけた、グラードン・カイオーガに並ぶ伝説のポケモン・レックウザ。

 図鑑にすら載っていないポケモンの事を独自のルートで調べてみれば、レックウザはオゾン層という宇宙と空の境目を飛んでいるのだと知った。

 

 そんな高い所まで飛べるとは、伝説とはいえポケモンは凄い存在なのだと知った。

 しかしクータは同時に、人間も宇宙へ飛び立つことは出来ないだろうか、とも思えるようになった。

 頻繁にロケットを打ち上げるトクサネ宇宙センターを筆頭に、クータは宇宙に関連する様々な事を調べてみた。

 ギンガ団という悪の組織に手を出しかけた時は冷や汗すらかいたが、結局はトクサネ宇宙センターへ落ち着き、現在は研究員見習いとして勉学に励んでいる。

 

「けどさ、遠いよなー宇宙って」

 

 晴れ渡った青空を見上げながらクータが言うと、ジュカイン・ペリッパー・オオスバメ・フライゴン・クロバット・ソルロックは同意するように頷く。

 これからフウとランに挑むというということもあり、しばらくボールの中で大人しくしていた彼らを解放し、共にトクサネジムに向けて歩いていた。

 

 遠いというのは、場所だけではない。その道のりもだ。

 見習いとして働き始めたのはいいが、やっていることは雑用ばかり。それは構わないが、何よりも大変なのは勉学だ。

 研究員として本格的に働くのに必要な資格や知識を求めて毎日資料室へ足を運んでいるものの、身についているという実感はほとんどない。

 ロケットの開発はもちろんのこと、宇宙に関する基礎知識も膨大な量を占めており、2~3年経った今でも半分どころか百分の一ですら入っているかどうか怪しいほどだ。

 

 しかしクータは努力を怠らない。苦手な勉学を毎日欠かさず行い、着実に知恵を身につけている。

 それを知っているのは彼を支えるポケモン達であり、彼と共に働く仕事仲間の皆だ。

 

「……なぁお前ら、宇宙から見た景色ってどんなんだろうな?」

 

 そんな事を聞いてみた。

 

 ジュカインは「きっとこんなに広いんだよ!」と言っているように両手を広げ。

 

 ペリッパーは空を見上げたままボーっとしており。

 

 オオスバメはテンションがあがったのか其の場でビュンビュン飛んで見せて。

 

 フライゴンは想像もつかないのか首をかしげ。

 

 クロバットは「それより太陽の光キライ」と言っているように翼で目を隠し。

 

 ソルロックはしきりに体を横に回転させている。

 

 各々の反応を見たクータはクスクスと笑い、「ま、いっか」と呟く。

 

「そんなことより今日はバトルだ!フウとランにゃ悪いが思いっきり暴れようぜ!」

 

 クータの宣言を聞いたポケモン達は「オー!」と言っているようにはしゃぎだす。

 やっぱり難しいことより、バトルといった体を動かした方がポケモン達にとっても嬉しいんだろう。

 すぐそこのトクサネジムの前で待っている双子に向け、クータを背に乗せたジュカインを筆頭にスピードアップ。

 

 

 

―俺達の宇宙への旅はこれからだ!

 

 

 

 

 

 その後、壁に激突して気絶したポケモン達の横でクータに説教するフウとランが居た。

 

 

―完―




●クータ
ホウエン地方出身の見習い研究員♂。やんちゃな性格。おっちょこちょい。
高い所が好きな、子供の面倒見の良いガキ大将。クロワッサンみたいな髪型にするのがこだわり。
世界で最も高い場所である宇宙を目指し、トクサネシティの宇宙センターの研修員として勤めている。
スピードのあるポケモンでガンガン攻めるのが好き。速攻型。

ちなみに年は当作品のユウキとハルカと同じです。旅立った日も一緒。二人と違って悪の組織に直接関わってはいませんが。

レックウザに関わったのはほんの少しですが、それでも大空を翔る姿は圧倒的なんだろうなーと思います。
そして図鑑で見て驚いたのはオゾン層なんてスゲー所を飛んでいるってことですよ。流石は伝説のドラゴンポケモン。

で、なんで宇宙に関連したかっていうと、「高い所が好き」を最高まで目指してみた結果です(笑)
最初は飛行士あたりを考えてみたんですが、どうせなら宇宙目指してみようぜ!と考えてこうなりました。

何はともあれ、ポケライフ第3弾を読んでくれてありがとうございました。
後日ポケライフとポケモンハンに関するリクエストやアンケートを活動報告で知らせる予定ですので、よろしければ。

ではでは!

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