ポケットモンスター・ライフ   作:ヤトラ

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お待たせしました。ポケモン×モンハンのコラボ二次小説です。後日小説情報に項目を足しておきます。
とりあえず御三家からやってみようかなと思い、一番しっくりするポケモンを選びました。

ちなみに当作品に出てくるポケモンはゲーム内の体長より2~3倍ほど大きくなっています(ぉ)

9/3:大幅変更。TUEEE成分が多すぎていたので修正しました。ご指摘ありがとうございました。


ポケモンハン「火炎竜リザードン」

 アルセウス隠しって、知っているかな?

 

 世の中にはね、卵から孵ったばかりのポケモンを野性に帰しちゃうトレーナーがいるんだって。

 酷い話だよね。生まれたてのポケモンは専用の施設で新しいトレーナーに送る。子供からチャンピオンまでそうしているのに。

 そんなポケモン達を可哀想だと思ったアルセウスっていう伝説のポケモンは、彼らを新しい世界に送るんだって。

 こことは違う世界……いわゆる異世界でノビノビと暮らしているの。それがアルセウス隠し。私が子供の頃からお婆ちゃんに聞いたお話。本当かどうかは私にも解らないけど。

 

 

 異世界で暮らしているポケモンはどうしているのかって?……うーん、逞しく生きているんじゃないかなぁ?

 

 

―――

 

 火竜リオレウス。それはモンスターを狩る者・ハンターにとって一人前となる為の壁である。

 飛竜種の代表とも呼ばれるリオレウスは、飛竜に違わぬ高い飛行能力を持っており、行動範囲の広さから様々な地域に生息している。

 さらに口から吐く炎のブレスは強力なもので、「火竜」の2つ名に恥じぬ戦いぶりを敵に見せつける。

 

 そんな火竜リオレウスに真っ向から勝負を挑むモンスターがいた。

 

 その飛行能力はリオレウスを余裕で抜き去るほどのスピードと自由な方向転換を可能とする機動力を併せ持ち。

 その攻撃性は火竜の名が付くリオレウスですら劣等と思ってしまうかのような、多種多様な炎を口から吐き出し。

 そんな細腕で大丈夫か?と言ったら必ず後悔するような、細腕でありながら鋭く硬い爪を使ったヘビー級パンチや鋭い斬撃を繰り出し。

 何よりも恐ろしいのは、どんな状況下でも勇敢に挑んでくる勇ましさだ。火球ブレスをブチ破って突っ込み、マウントポジションでも即座に起き上がってやり返す。

 

 このモンスターに名は無い。何故ならこの世界(・・・・)ではまだ人から目撃されてないからだ。しかし別の世界(・・・・)でなら名は存在している。

 

 そのモンスターの名は―――「かえんポケモン」リザードン。大きな翼と命の炎を燃やす尾を持ったポケットモンスター。この世界風の別名をつけるとすれば「火炎竜」が相応しいだろう。

 

 

 

 火炎竜リザードンは必死だった。リオレウスという敵を目撃して以降、倒さねばならないという危機感に襲われているからだ。

 ヒトカゲの時代から学んでいること―――それは『やらなければやられる』という弱肉強食の世界で生き抜く術。

 

 リザードンは大きな翼を広げ、しなやかな体と尾でバランスを取りながら悠々と飛び、リオレウスをぐるりと周る。

 空高く飛ぶリオレウスは比較的緩やかなカーブでしか曲がることが出来ない為、速度を上げて引き離すしかないのだが……このリザードンを相手にするには分が悪かった。

 速度を上げても余裕で追い越し、口から炎を吐いて四方八方から攻撃するリザードン。倍返しっていうレベルじゃねーぞ!

 

 しかしリオレウスも伊達や酔狂で人々から「火竜」と呼ばれてはいない。火を扱うが故に火に強くなった甲殻は炎を耐えることが出来る。

 とはいえまるで小鳥のように自在に飛びまわれるリザードンを振り切ることが不可能だと考えたリオレウスは高度を下げようとする。

 そこを逃すリザードンではない。地上に近ければ三次元による攻撃が難しくなることもあり、一気にリオレウスに近づく。

 

 近づいただけに留まらず、なんと隣接してリオレウスを両手で掴み取ったではないか。

 細腕に似合わぬ腕力がリオレウスをガッチリと捉えられ、そのまま強引に軌道を修正。ぐるりと宙返りし、そのまま回転。

 

 円を描いて振り回すその技は―――『ちきゅうなげ』と呼ばれるものだ。

 

 そして回転の勢いに乗じ、リオレウスを地面に向かって投擲!その体の重さと重力が合わさる事でダメージはさらに加速する!

 リオレウスはリザードンに掴まれ回転させられたことにより脳が揺さぶられ、上手く飛ぼうとせずそのまま地面に激突。

 

「ゴオオォォォッ!」

 

 俺はやったぜ!とばかりに空中で咆哮を轟かせるリザードン。

 

 だがリザードンは知っている。リオレウスと呼ばれる巨大なドラゴンは、この程度で倒れるような相手ではないと。

 

 もうもうと溢れ出る土煙から、何発もの火球が空へ向けて飛んでくる。一瞬でも油断していたリザードンはそのうちの一発をモロに喰らい、よろよろと落ちていく。

 土煙が晴れた頃には、地に足をつけ天―正しくはリザードン―を見上げるリオレウスの姿が。硬い甲殻と強靭な筋力を持つ彼は、高高度から落ちた程度で倒れはしない。

 

 地面に激突するものかとリザードンは翼を広げ、太い両足を地面にめり込めせて着地。

 着地の隙を逃すまいとリオレウスは続けざまに火球を吐き出すが、リザードンは翼を羽ばたかせ一時的に浮遊して回避。

 飛行タイプになったことで走力が落ちたリザードンではあるが、しっかりと大地を踏み締め、翼を活かし浮くことで得たスピードをもって突進。

 だがリオレウス相手にそれは迂闊ともいえよう。己も翼を広げて滞空。リザードンを正面に見すえたままサマーソルトによる尻尾攻撃を繰り出す。

 

 ビッシリと生えた鱗と棘が生えた尻尾は、鱗など硬い物を生やしていないリザードンにとって当れば致命傷どころではない。

 だがリザードンにとって重要なのはこのスピードと知性、そして細腕に似合わぬパワーだ。

 ギリギリの所で右へ避け、ぐるりと回るリオレウスに合わせて光り輝く拳―――メガトンパンチを振り上げる。

 

 サマーソルトによる下への移動と振り上げたリザードンの拳はリオレウスの腹部にクリーンヒット!錐で突かれたような一撃にリオレウスは口から一気に息を吐く。

 流石のリオレウスも腹部という急所を突かれては動きを止めざるを得ず、そのままリザードンを巻き添えにして地面に倒れ込む。

 自身の体長の倍以上、体重に関しては数倍もある巨体に押し潰されるリザードンだが、ここで(リオレウスに比べ)小柄なリザードンは持ち前の俊敏性で何とか潜り抜ける。

 

 ドスンと地面に倒れるリオレウスだが、まだ意識はある。これ以上の追撃はされないと再び後ろ脚に力を込めようとして―――それを見上げた。

 

 

―力を込めることで光り輝き、鋼鉄の硬度を宿した尾を、加速度と重力を用いてリオレウスの頭に叩きつけた。

 

 

 鋼鉄の尾(アイアンテール)を頭部に叩きつけられたことで流石のリオレウスも脳を大きく揺さぶられ、気絶。

 しかしリオレウスの頭殻もまた鉄並みに硬かったのか絶命には至らず、逆にリザードンの方が痛かったのか自身の尾にフーフーと吐息で冷やしていた。

 しかし勝ちは勝ちだ。そう誇示するかのようにジンジン痛む尾を振り回し、天に向けて咆哮する。

 

 

 

―あ、やっぱり痛いのか、尾を持ってフーフーしだした。

 

 

 

――

 

 ポケットモンスター。縮めて「ポケモン」。

 彼らは何らかの世界で異世界―――彼らよりも強大なモンスターが蔓延る世界へと飛ばされる。原因は不明だ。

 このリザードンは幼少(ヒトカゲ)の頃よりこの異世界に飛ばされた。他のポケモンがどの状態で飛ばされたのかも、未だ解っていない。

 

 しかし彼らもまた「モンスター」の名を冠する生命。異世界だろうとなんだろうと生き延びる凄まじい生命力がある。

 このリザードンだってヒトカゲの頃から懸命に生き延び、今では本来の体長の2~3倍の巨体を得ることが出来たのだ。

 もし彼の生息している場所が―――未だ人が見つからない遠い大地でなければ、人と接して安穏と暮らせたかもしれない。

 

 この世界は彼らが棲んでいた世界よりも殺伐としている。食うか食われるかの、人ですらモンスターを狩る事がある弱肉強食の世界。

 だがポケットモンスターはそれに従い生きてきた。「棲めば都」という言葉があるように、彼らの知性と適応力はそれに順応してきた。

 アイルーという種族に対しては友好的だが、己に敵意を向けてくるのであれば迎え撃つ。その精神を元に戦い続け、生き延びる。

 

 

 

 このリザードンもこの世界で生き延びる為、今日も空を飛んで獲物を探す。

 その獲物が何なのかは――ご想像にお任せしよう。

 

 

 

―終―




ポケモンがモンスターハンター入り。いかがでしたか?

攻撃性と知能ならポケモン、耐久性とパワーならモンスター。そんな振り分けだと私は思います。
知能が高い時点でポケモンが有利っぽそうですが、モンスターには古龍種がおりますしおすし(笑)

読者様のご指摘で気づいたのですが……。

リオレウスがリザードンに噛み付いた場合:一撃必殺!
リオレウスがリザードンに体当たりした場合:一撃必殺!
リオレウスのサマーソルトがリザードンに当った場合:一撃必殺!
リオレウスの火球がリザードンに当った場合:大文字並みのダメージ(効果はいまひとつ)

ま、まぁリザードンは耐久低めです押すし

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