ティアナさん迷走録:地球編   作:ポギャン

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 この六話の文章量は前回の倍は有ります。

今回から原作のゲームキャラが一人登場します。それが誰なのかは本編を読んでもらいますと解りますから、この前書きではあえて言いません。

では、六話をお楽しみ下さいね。




六話:ランジェリーショップとライバル登場

 

 別荘で楽しく過ごしているとあっという間に季節は夏休みをすぎていき、いつしか気がつけばティアナがもう12歳の誕生日を迎えた小学校6年生になる直前の春休みの此処、平賀家のリビングでは今年中学2年生に進級目前の平賀 才人がソファーにゆったりと座り同じく正面のソファーに座って話している相手はオレンジ(茜色)の長くきれいな髪を黒色のリボンでツインテールにしている端整な顔立ちで最近胸が急に膨らんできて、兄の才人を悩ましていた美少女の平賀 ティアナたんであった。

 

「なぁ、ティア朝早くからこんな事言うのも何だけどさ……まだ春なのに、そのブラウス薄すぎないか? 」

 

才人は困惑した顔で正面に座っている可愛い妹ティアナにいま思っていることを正直に訊ねていた。

 

「別に薄くないとティアは思ってるけど……もしかして才にいは服が透き通って私の胸が見えるのが気になってるの? 才にいのス・ケ・ベ……」

 

「そ、そんな事はないぞ! い、妹の胸を視たいなんて、俺はそんな変態兄貴じゃない! 」

 

妹に本音を言い当てられた才人は狼狽えるばかりで誰が聞いても見苦しい言い訳にしか聞こえなかった。

 

「言い訳しなくっても、良いよ……ティアは才にいが見たいなら………見せてあげても良いよ」

 

そう言いながらティアナはソファーから立ち上がると白いブラウスのボタンを下から順番に1個づつ外していって、後ボタンは上のひとつを残すのみの状態になっており、モチロン今のティアナは下にシュミーズを着てはいないので、所謂ノーブラであったから79のCカップの蒼い果実が実に際どい無防備状態を晒していた。

 

そのティアナの大胆な行動に対して才人はろくな阻止行動も出来なくて「アウ、アウ」と呟き。ただ狼狽えるだけであった。

 

「何をしているの! ティア! はしたない真似はやめなさい! 女の子がそんな事して、みっともない! 」

 

そう言って娘を叱りながらティアナの頭を強く叩いた母親のカリーヌが恐い表情でリビングの真ん中で立っていた。

 

頭を叩かれたティアナは

 

「痛い! ママったら、叩かなくても良いじゃないのよ! ちょっと才にいをからかっていただけなのに」

 

叩かれた頭をさすりながらティアナは余ほど痛かったからなのか涙目で、母カリーヌに抗議するのだったが……そんな娘の行動などは全く無視していたカリーヌ。

 

「才人も年頃なのだから、あまり惑わしてはいけませんよ。ティア……それにあなたも胸が成長してきて目立つ様になりましたから、ブラを着けないとならないわね……後から私と一緒にランジェリー専門店へ下着を買いに行きましょう」

 

カリーヌが強引的にブラを買いに行くと言った途端ティアナはまだブラを着けるのが嫌だったのか、母親に抵抗の言葉をぶつける。

 

「嫌よママ! わたし行きたくない! まだブラなんて必要ないから、だから買いに行かない! 」

 

そう、ティアナが反抗的な言葉を述べた直後カリーヌは眉を逆立て烈火の如く娘に対して、キツい叱責をし出していた。

 

「ティアナ! これ以上の我儘は私が認めないわ! だから絶対一緒に下着を買いに行きますから……それにブラを着けないとティアの成長の早い胸がどんどん大きくなって、誰が見ても目立つようになるわ………そうなったらまた、あんな変態に襲われたりする事態になるかもしれないわ……だから引きずってでもブラを買いに店まで行きますから、覚悟なさい! 」

 

「ママの横暴……才にいもティアのために何とか言ってよ! 」

 

あまりに強烈なカリーヌの剣幕にさすがのティアナも弱気になって、愛しい兄才人を見つめ援軍を要請したのだったが……肝心の兄の返事は…………。

 

「わるい、ティア。俺も母さんと同じ意見だ……それにブラしてくれないと、困るよ。変な野郎たちがティアの胸を見るのも嫌だからな」

 

「そ、そう……才にいはティアの胸が他の男の子たちに見られるのが嫌なんだ……フフフ……そうか、そっか………才にいったら、やっぱりティアの事が……好きなんだ……うふふふ……うれしい……ママ! 早くブラ買いに行こ……それから才にいも一緒に行くよね……これ絶対決まりだからね」

 

自分がブラ着けないと才人が困る。それに対してブラを着ける=愛してくれてると思い込んだティアナは嬉しさで笑顔満点になって、母カリーヌに早速ブラを買いにランジェリーショップへ行こうと言い出した。

 

ついでに才人もつき合う様に半ば強制的に決めていた。

 

「俺に自由を選ぶ意思決定権は無いのかぁ! 」

 

と、叫ぶも

 

「才人に決定権はもちろん有るわけ無いわね」

 

非情にも、そう言い切る母親に

 

「ティアがブラ着けるきっかけを作った才にいが責任とって一緒に来るの当たり前だからね」

 

と、そう宣う妹の二人に強引に押し切られるかたちでしぶしぶ男にとっての桃源郷。下着専門店へ付き合うことが決定した才人であった。

 

あの後手早く支度を済ませたカリーヌ達は駐車場から真っ赤なB○Wの見た目派手な外車に乗り込み向かった場所は都内の割と賑やかなとある街の駅のすぐ隣にある繁華街の8階建てのいろいろな主にファッション関係の店が入っている商業ビルの5階にあった今人気のランジェリーショップであった。

 

乗ってきた車を繁華街近くの有料一時駐車場に停めて目的地のビルへ歩いていくカリーヌと二人の子供だった。

 

カリーヌ母子たちが目的商業ビルの5階フロアへエレベーターで上がってすぐ目の前にカリーヌ御用達の下着専門店があった。

 

「ふ~ん。此処がママがよく買いに来てる店なのねぇ~」

 

店の出入口右横にあるショウウインドーの中には様々な種類の派手な女性用下着が飾られていたのを見たティアナは初めてみる光景にすこしは興味津々な様子だった。

 

「さぁ、入りましょうかティア」

 

そう言って、子供たちに入店を促したカリーヌであったが才人は入る事を嫌がってなけなしの勇気を奮い抵抗を示すのであったが………。

 

「一緒に入らないと夜の鍛練メニューはいつもの5倍にしますよ。才人」

 

そうニッコリと微笑みながら息子へ相当なプレッシャーをかけてカリーヌが語ると、あまりの恐ろしさに恐怖を感じた才人は「アゥゥ」と発して観念したのか、ようやくランジェリーショップに入った。

 

店に入るとすぐにカリーヌは顔馴染みの店員を見かけ、声をかけると直ぐにその店員は気がつきやって来ていた。

 

「平賀さま。本日の当店へのお越し誠に有り難うございます。今日は何をお求めになられるのでしょうか? 」

 

物腰が丁寧な妙齢の女性店員があいさつした後、来店の理由をカリーヌに訊ねた。

 

「今日はこの子に合った。主にブラを中心にしたいろいろな下着を購入に来ましたの」

 

落ちついた口調で話すカリーヌはとても普段、家で家族と会話をする時と全く別次元の存在感を示していた。

 

「才にい、才にい。ママったら家で私たちに喋る雰囲気と全然違ってよそいきの猫被った話し方してるわね」

 

ボソボソと横にいる兄へ小声で囁きかけてきた妹に対して、才人も同じ思いだったのか囁き返してきた。

 

「まぁ、母さんは大人だから世間体ってのがあるからな……家と同じみたいな態度なんか出来ないだろう。そこんとこは察してやらないとダメだよティア……でも、あの母さんが丁寧なあいさつしてるのみると、事情解っててもつい笑っちゃうよな」

 

「ティア、才人。あなた達が普段わたしの事をどう思っているのか、今の会話でよ~く解りました………二人とも家に帰ったら覚悟しなさい……長いお話が有りますからね」

 

いつの間にか店員との話が終わっており、子供たちが気づかない様に気配を消して近寄ったカリーヌは一見穏やかな表情で普通の話し方で接しながら先ほどの二人の会話についてとある注意を周囲の者たちに聞こえないように小声で話していた状態は何でも無いような態度をとっていたが……実は内心では自分に対する子供たちの本音を聴いて、怒りが心の中で渦巻いているくらい高まっているほど今にも爆発しそうな危険な感情を必死になって抑えている状況である。

 

その証拠にカリーヌの右手はきつくギュット握りしめていた為に爪が手のひらにくい込んで今にも血が出てもおかしくない状態なのであった。

 

ちなみにカリーヌが子供たちの会話を知ることが出来たのは、風のスクウェアだったので聴力が他人より何倍も感度が優れていたためである……彼女の名誉のために言うがけして、普段から聞き耳をたてて等はないから……。

 

「……ママに今の会話聞かれてたなんて……うぅ……家に帰るの怖いよ、才にい」

 

いつもは気儘に振る舞っていたティアナでしたが、さすがにカリーヌに対しては全く頭が上がらないので、その本人に叱責されて普段の気の強さは何処に行ったのかと思えるくらい狼狽しながら兄才人へすこし涙目でどうしようと話していた。

 

「やっぱり母さんの近くで内緒ばなしなんてするもんじゃ無いよなぁ……しょうがないよティア、抵抗なんかしてもムダだから諦めて母さんの説教聞くしかないな……はぁ~気が重い………」

 

才人は覚悟ができたのか、ティアナにも家に帰ったらおとなしく一緒にカリーヌのお説教黙って聞くしかないと力弱い表情で語っていた。

 

このあとティアナはカリーヌと一緒に店員が奨めるいろんな種類のランジェリーをみてなん着かの下着を手にとってその中から気に入ったモノを10着持って試着室へと入っていく。

 

「才人。あなたはティアが今試着室に入っていますから、その前で待っていなさい。わたしは自分の下着をいろいろ選んできますから、必ずティアの前で待っているのですよ。解りますね……才人」

 

カリーヌは自身もランジェリー購入するからと言って、才人にティアナの試着室の前で待つようにと厳命すると店の奥にある高級下着が置いてあったコーナーへと足早に向かった。後には周囲にいるあらゆる年代の女性たちに奇異の目で見られいたたまれなくなった才人は母親に言われたとおり妹がいるはずの試着室前へ早足で歩いていった。

 

ティアナは試着室の中でいろんな種類の下着を試着しながら手に持った杖で『遠見』の魔法を目の前にある等身大の姿見の鏡に掛けて愛しい兄才人の現在地を写してみているとコッチヘ来ることが解り慌てて自分が気に入った派手なオレンジ色の上下の下着を穿いて才人が来るのを待っていた。

 

(ママったらなんで才にいを試着室まで来させるのよ! まだこっちはろくに下着を選んじゃいないってのに……才にいにみてもらうんだから、良いモノじゃないと駄目だからね……どれにしようかな……あっ、これなら才にいに見せるに相応しいわね)

 

ティアナは内心で素早く考えをまとめて、とあるランジェリーを手につかむと急いでそれに着替えていく(モチロン素肌に直接下着を穿くマナー違反の行為をティアナがするはずもなく、試着室に備え付けられていたこの店専用の使い捨てインナー衣類を穿いてその上から下着を試着している)。

 

「ねぇ才にい。そこにいるわよね……いるなら返事してくれる」

 

試着室の分厚いカーテン越しに声をかけているティアナ。

 

「おぉ~ちゃんと此処にいるぜティア」

 

才人は恥ずかしいのか、周辺に聞こえない様に声のトーンをおとして言葉を返す。

 

才人が恥ずかしさのあまり疲れた顔で何気なく妹がいると思える試着室をみていると、急にカーテンが開くとそこにいたのは上下のオレンジ色のブラとショーツを穿いていた茜色の髪を黒いリボンでツイン・テールに整えたスラリとした長い手足にものすごく可愛い顔をした美少女が下着を晒すという姿を兄才人に対して見せつける様な格好で立っていた。

 

「おまっ、一体なんて格好してるんだよ! 」

 

妹が試着室のカーテンを開けて、下着姿を堂々と自分にさらしている妹ティアナに才人は苦言の言葉をなげつけている。

 

「兄妹だから別に良いじゃない。才にいだってほんとはティアのこの姿見れてうれしいくせに」

 

そう、宣いながらティアナは次々といろいろランジェリーを試着しては才人にみせては

 

「ねぇ、才にい。これどうかなぁ、フリルついて可愛いらしいけど……ティアに似合ってると思う? 」

 

 

「このシンプルなデザイン。才にいはどう思う? ティアはちょっと地味かなと思えるんだけど」

 

しまいには

 

「もう、才にいったら! どの下着をみせても顔を背けて『それが良いんじゃないか』とか『あぁ、似合ってる、似合ってる』て、そんなことばっかり言って、本気で見てくれて無いじゃないの! 才にいのバカ! 」

 

恥ずかしがってまともに自分の下着姿を見ようとしない兄の態度にイラついたティアナは不満を口にしてぶつける。

兄へ怒りの言葉を吐き出したティアナは試着室のカーテンを閉めてすこしの間、無言を貫き才人がいくら呼び掛けても返事をしようとしなかった。

 

 

何度呼び掛けても無視する妹に対し才人はある言葉を述べてその場を立ち去ろうとしたのですが………。

 

「ま、待って才にい」

 

慌てるようなティアナの言葉と共に試着室のカーテンが力強く開け放たれた。

 

この場を去ろうとしていた才人は妹の声が聴こえたので、くるりと身体を反転させて試着室のほうに顔を向けた途端。

 

「ティア、おま……」

 

と、妹を叱るセリフを言おうとした直後『ブシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ』と派手に鼻血を盛大に床にぶちまけて後ろ向きに倒れた。

 

「イヤアァァァァ……才にいなんで鼻血だして倒れてるのよ! 」

 

ティアナは自分がカーテン開けてすぐに才人が鼻血だして倒れたから、悲鳴をあげていた。その後すぐにこうなった原因がいまの自分の姿が生まれたままの何も穿いていない状態であった事に気がつくと、素早くカーテンを閉めて下着を穿きスカートとブラウスを着て試着室の外へ出てみると、そこには騒ぎを聞きつけやって来たランジェリーショップの店員たちに母親であるカリーヌも駆けつけて、鼻血をだした才人へ応急措置を施していた。そして周囲には一連の騒ぎを聞きつけ彼方コチラから下着専門店だったからなのか女性限定の野次馬たちがたむろっていた。

 

このあと、このビルの4階に在った専用の救護室へ運ばれた才人は適切な処置を施されて、其所を出るとすぐにカリーヌによって妹と一緒にあまり目立たない非常階段のところへ強引に連れて行かれると、とても厳しい説教が待っていた。

 

「あなた達! なんて事をしてくれたの! お店に迷惑をかけて、それで赦されると思っているの!? 幸いお店の店長さんが私が常連だったから、床を血で汚した事に対して弁償をしなくても良いと仰って下さったから、後であなた達! 私と一緒にお店の方達に謝りに行きますからね! でも、弁償を赦されたからと言って何もしない訳にもいかないから、私が20着の上下の高級下着を購入することにしました。後、ティアが試着していたランジェリーの上下10着買いましたからね」

 

カリーヌからの烈火の如くこのフロアー全体に響き渡るほどの激しい叱責をうけて才人は

 

「アウ、アウ……ごめんなさい母さん……ごめんなさい母さん……ごめんなさい母さん……」

 

と、非常階段横に設置してあった長イスに座りながら膝をブルブルと震わせてカリーヌに謝罪を何度もするのだった。

 

一方その謝罪する才人の横に座るティアナはというと………。

 

「別に悪いことしてないから良いじゃない」

 

 

「才にいにティアの裸見せたの偶然だったの……それにティアの裸みて鼻血だして倒れる才にいがどうかしてるのよ……なんでティアのきれいな裸みて倒れるの、オカシイワ……普通なら喜ぶのが当たり前なのに」

 

とか

 

「なんでティアの承諾なしに下着を買ったのよ、ママ! アレ半分は気にいらなかったのに! どうして勝手なことしたのよ! 」

 

等と、ティアナは唯々諾々と母親に従う兄と違ってカリーヌの叱責に対して逆ギレして反抗的な言動をさっきからしていた。

 

ティアナのその一連の言動に対して母は娘ががなりたてるのを瞳を瞑り腕を組ながら黙って最後まで聴いた後、瞳をあけると娘に対しこの世の者とはとても思えない冷やかでそら恐ろしい眼差しで見つめながら、何時もは出さない低い声で言葉を静に述べていた。

 

「言いたい事はそれだけですか、ティア……家に帰ってじっくり……オ・ハ・ナ・シ・シマショウネ」

 

そう、カリーヌが言った途端、ティアナは身体中に得たいのしれない寒気を感じて目の前で立っていた母親の瞳をみると何か正体の解らない深い深い深淵を覗いた感覚になって、急に膝がガクガクと震えだすし歯は恐怖のあまりカチカチと噛み合わなくなった……そして、これはティアナの名誉のために伏せておくが、実はティアナはカリーヌから恐ろしいほどのオーラをぶつけられその怖さのあまり、この年頃の女の子にとっては恥ずかしいことに少しだけ黄色のお水を漏らして、いま穿いている純白の少女らしいショーツを湿らす事態に陥っていた。

「……ご、ごめん……なさい……ティアが………悪かったの……だから、だから……赦して……もう、やめて……これから……良い子になるから……その、怖い……オーラを放出するのは……やめて……お願いよ……ママ…………………」

 

そう、言うとティアナは恐怖のあまり、とうとう堪えキレず気絶してしまった。

 

そのままではフロアーの床に崩れ落ちてしまうところを横に座っていた才人が何とか支えて無事であった。

 

「か、母さん……ティアも意識を失うくらい反省してるから、もう気を強く当てるのやめてあげてくれないかな」

 

普段ヘタレで最近じゃあ母カリーヌに逆らう事は殆どしない才人が怖さで震えながらも、必死な表情で可愛い妹のためになけなしの勇気でカリーヌに赦しを乞う兄であった。

 

「傍若無人のティアもさすがに今回は少しは堪えた様ですね……良いわ、妹を思う兄の心に免じてティアを赦して今回の件に関してもう何も言わないわ……その代わり才人はティアの分まで家に帰ったらなが~いお話をして夜の鍛練メニューはいつもの三倍はこなして貰いますから、今から覚悟してなさい。才人」

 

そう、言われた才人は頭をガクッと落として気落ちしていた。

 

「これから私はお店に行って下着を購入してくるから、ティアが意識を取り戻しらあなた達もお店に謝罪しに来なさい」

 

才人にその言葉を告げるとカリーヌは足早に目的の店へ向かって行った。

 

「はぁ、何でこうなったんだぁ……俺って案外トラブル惹き起こす体質なのかなぁ……」

 

カリーヌが去った後、非常階段横のベンチに座っている才人はまだ気絶したままの妹を支えてながら、しみじみと自分に先ほど降り注いだ厄介ごとを思い出してタメ息と愚痴を吐き出していた。

 

「う、う~ん……あれ……此処、どこ……」

 

ようやく意識が覚醒したティアナはまだ頭がハッキリしないのかぼ~としながらこの場所は何処なのか呟いていた。

 

「ようやく意識が戻ったみたいだなぁ……よかったよ……どこか具合が悪いとこは無いか、ティア」

 

意識が目覚めた妹をみて心の底から安堵した表情で才人はティアナを見つめながら、優しい言葉をかけていた。

 

「うん……身体のどこも悪いとこは無いよ。才にい」

 

そう、ティアナが返事すると才人は

 

「そうか、それは良かった……母さんの強い気を当てられてティアが気絶した時、すごく心配だったんだよ」

 

才人がそう述べるとティアナは満面の喜色を顔にうかべる程喜びながら隣に座っている才人を押し倒すかたちになって、抱きついた。

 

「おいおい、ティア。周りが見てるから、離れてくれよ」

 

妹に抱きつかれ恥ずかしかった才人はティアナに離れるように穏やかな声でやんわりと諭すのだった(いまの才人は14歳。正に厨似病と呼ばれる年頃であったので、妹に抱きつかれる姿を誰かに見られる事を嫌がるのだった)だか、ティアナはそんな才人の思惑を全く理解することはなく、更に強く抱きついてくる。

 

「あれぇ、さっきランジェリーショップで鼻血流してたエロ少年じゃん」

 

「あっ、ほんとだ! 今度は少女に抱きついてるよ。あは、あははは、やっぱ変態キモ」

 

「お嬢ちゃん。あたしらがその変態少年退治してやるからさ、お金くんねぇ? 」

 

突如現れ、先ほどの下着専門店での一件を目撃でもしていたのか、才人を一方的に変態と決めつけ退治するからと言ってティアナからお金を騙し盗ろうとしていた汚ならしい下品な言葉を使っていた者たちは16か17歳くらいの年代と思える蓮っ葉で派手な化粧に際ぞい服を着ていた二人組の女達であった。

 

「何いってるんだよ、あんた達。俺とティアは兄妹だから別にやましい事なんかこれぽっちもしてないからな! 」

 

才人は強きで派手な格好の女二人組に説明して追い払おうとしていたが、才人をまだ中学生の年下だと思っておもいきり見下した態度で悪意に満ちた言葉を投げつける。

 

「うっせえよ、変態! そんなことはあたし達にとって、どうでも良いんだよ! 出すもんさえ出したら、こっちには関係ねえよ」

 

 

「そうだよ、エロ変態少年。払うもの払ってくれたら、うちらには関係ないの! 」

 

偉そうな態度で才人たちに口汚く宣う二人組の女。

 

普通ならここまで言われたら大概の気の短い男なら腕力を振るっていてもおかしくはないが、母親に毎日きつい鍛練をうけている才人の場合は、基本ヘタレでましてやガラが悪いとはいえ若い女相手に力を振るうことをヨシとしない考えの持ち主なので暴力を振るう選択肢を選ぶことは到底できないから、女達に言われっぱなしになるのはしょうがないが、あの気の強いティアナがここまで一言も無いのはどう考えてもおかしい事である。

 

だけどティアナは内心では愛する才人へ傍若無人な態度を振る舞っていたガラの悪い二人組の女に対してはらわたが煮えたぎるくらい、怒りMAX状態でマルチタスクを駆使して、何通りものシュミレーションをかんがえている最中だったから、無言になっていただけの事であった。

 

(この腐れ淫売たち! よくもよくも、才にいの事有ること無いこと言って! どうしてくれようか……このアバズレたちめえ! 身体をバラバラにしても飽き足りないわ! いっそのこと、バインドで拘束して手足を1つずつブレイドの魔法で切り落として泣き叫ぶくらいの苦痛を与えてやろうかしら、それともゴーレムを生成して四技を引き抜かせ、止めに身体を引き裂かせてみるのも良いわねぇ……ウフフ……アハハハハハハハハ……)

 

この様にいまのティアナは才人に因縁を吹っ掛けお金を脅し盗ろうとしている女二人組をどう始末しようかとそればかり思案していた。

 

このままじゃらちが明かないと思った才人は仕方無いといった表情で小銭入れの中からすこし勿体ないと考えながらも、一枚の500円硬貨を取り出すとガラの悪い二人組の女達によく見えるように左腕をまっすぐ伸ばしそれを親指と人指し指の二本のゆびの間に立てて持つと、強い力で一瞬で見事に真っ二つに折り曲げてしまった。

 

その様子を一部始終見ていた女二人組はガタガタと震えだして、才人から後退りしながら

「て、てめえ、後で覚えてろよ」

 

 

「そんな事しても、あ、あんたなんか、こ、怖くないんだからぁ」

 

そう言って、捨てぜりふを吐き出すと身体をくるりと百八十度反転させて一目散にこの場から逃げようとしていたが、この時を待っていたかの様にティアナは高速で呪文を唱えシャープペンの杖を逃げる女二人組へ向け振り下ろしていた。

 

「誰が逃がすものか! この淫売アバズレどもめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

ティアナが増悪をこめて言った直後、連続して放たれた『念力』の直撃をうけた二人の女達は衣服が吹っ飛び、辛うじて下着だけは穿いた状態になっていた。

 

「なんだこれ? どうしてあたし達の服が弾け飛んでだよ! 」

 

「キャアァァァァァァァァ、いやあぁ、何で服が無くなってるの!? 」

 

服が弾け飛び下着姿をを晒しているガラの悪い女達が、腕で身体を隠しながら絶叫していた。

 

「フフン。才にいに罵声浴びせたお前たちにお似合いの姿ねぇ。ざまぁないわね」

 

ティアナは大好きな才人を貶めた二人組の女達へ悪意をこめた嘲笑を浴びせる。

 

それが合図かなのように、周辺にいた男たちが一斉に携帯電話を女二人組へむけて次々にシャッターボタンを押して下着姿を撮っていく。

 

「てめえら、止めろ、撮るんじゃねぇ! 」

 

「いやぁ、やめて、撮らないで、お願いだからぁ……ひっく、ぐす……」

 

一人の女は強がって男たちに撮るなと叫んでいたが、その顔は半泣きになっており。

 

もう一人の女のほうは涙をながして、撮るのを止めるように泣き叫んでいたが、それでも周囲の男たちは容赦なくパシャッ、パシャッと携帯のシャッターボタンを押していく。

 

その行為に堪えられなくなった二人組の女は散らばる自分たちの洋服の残骸を拾い集めると、一目散に女子トイレめざしてこの場から走り去って行った。

 

「ふん! ようやく、気が晴れたわ。才にいもそう思うでしょう」

 

逃げ去る女達の姿をみて気分がスッキリしたティアナからそのセリフを振られた才人はあまり良い表情じゃない様子でこう述べている。

 

「……ティア、いくら相手の態度がわるいからと言っても、あれはどう見てもやりすぎだよう」

 

「で、でも、才にいを馬鹿にしてたのよ、あいつら。これくらいの事しても別に良いじゃない! 」

 

そうティアナが言い訳をするとその言葉を聴いた才人が何かを言おうとした途端、思いもよらない方向から涼やかな少女の声が響いてきた。

 

「平賀君なの? 」

 

自分を呼ぶ声に才人が後ろへ顔を振り向かせると、数㍍先の場所に立っていたのは身長が約153㎝くらいでスリーサイズは上からB79W56H77の中々のスタイルを誇る将来はもっと美人になる予定を感じるわりと長い黒髪に清楚な白いワンピースを着た美少女がそこに佇んでいた。

 

「い、委員長……何故、此処に居るんだ? 」

 

あまりにも思いがけない場所で思いもよらない人物に出逢った才人は少し動揺している様子である。

 

「私が今日ここに来たのは衣類を買いに……やっぱりさっきランジェリーショップで鼻血だして倒れていたの、平賀君だったのね………先ほどの女の子たちの衣服が剥がされていた騒ぎも平賀君の仕業なの? 」

 

「いや、あれは、その……俺がやったんじゃないけど……し、信じて欲しいんだ、委員長……」

 

委員長と自分がそう呼ぶ女の子に対して、才人は一連の騒ぎの張本人は自分じゃないと懸命に説明するも、まさか妹がやった事だとも言えず歯切れが悪かった。

 

「平賀君がやったのじゃ無かったら、どうしてそんなにオドオドしているの。自分に関わりないなら、もっと堂々とした態度をとれるはずよ……」

 

あまりにもビクビクした態度をとっていた才人をみて、委員長と呼ばれる美少女は不審者を見るような疑う態度をとる。

 

「いや違う、俺は犯人じゃないけど……全く関わりが無いとはいえないか……だけどあんな破廉恥な行い、俺は絶対しない! それだけは信じてほしい。委員長」

 

才人はいま自分が思っている精いっぱいの心情を拙い言葉で委員長に伝えたのだったが………。

 

無情にも返ってきた言葉は

 

「うそ! いまの平賀君はいつもと違う雰囲気をしてるわ……だから、到底信じられないの………本当の事を言ってくれない平賀君なんて嫌い、大嫌い! うぅぅぅ、あぁぁぁぁぁ」

 

と、才人を信じることが出来ないとその言葉を投げつけて泣きながらこの場を駆け足で走り去っていく委員長であった。

 

一方ティアナは突然出てきて兄を問い詰める委員長と呼ばれる美少女の存在に最初はかなり混乱していたが、すぐに思考を切り替えて才人とかなり親しいと思えるこの美少女に対する対策にマルチタスクを最大限に稼働して、いろんな傾向と対策案を練っていた。

 

(なに、この女……突然現れて才にいに馴れ馴れしく話す女狐は……私が集めた今までの才にいの中学校に在籍してる1年から3年のすべての女達のデータにこの危険な女のデータは無かったわ……いったいこの尊大で嫌な女は何者なのよ! )

 

ティアナがマルチタスクで委員長に対する対策案をいろいろと考えている間に進展があって、才人に不信感の言葉をぶつけ走り去る委員長と呼ばれる美少女を「待ってくれ! 」と呼びながら、いまにも追いかけて行こうとしている才人をティアナは

 

「才にい! 今の人、誰? 才にいの中学校の生徒じゃ無いよね? 」

 

そう言って呼びとめていた。

 

「何だよティア! いま忙しいから質問なら後にしてくれよ! 」

 

早く委員長を追いかけて誤解を解きたかった才人は普段なら妹のティアナにこの様な邪見な扱いをすることはめったにしなかったが、今は急いで委員長に追いつかないとならないからか、こういう態度をとっても仕方無いといえるのだった。

 

「だめよ才にい! さっきの彼女が誰なのか言ってくれないと、絶対に行かせないんだからぁ! 」

 

そう述べるとティアナは才人の左腕を自身の両腕で力いっぱい掴んで離さなかった。

才人がいくら振りほどこうとしても、腕を離そうとしない妹に、時間が惜しかったのか仕方無いと思った表情で委員長についての情報を話始める。

 

 

「ティアのいう通り、委員長は同じ学校の生徒じゃない。俺がいま通ってる塾で彼女も一緒に通っているんだ……ちょっとした事がきっかけで親しくなった彼女の名前は『高凪 春奈』と言うんだ……委員長は塾で名づけられたアダ名だ。これで解ったろう、いい加減腕を離してくれ」

 

委員長の名前と親しくなった経緯を話すと才人は力弱くなった妹の両腕を振りほどくと、脱兎の如くこの場から走り去って委員長と呼ばれる『高凪 春名奈』を追いかけていった。

 

「何なのあの女! 才にいがあんなに真剣な顔して追いかけて行くなんて……これはいったい、どういう事なのよ! 」

 

(あの高凪 春奈っていう、下劣女は危険よ! それにさっきの才にいのあの女に対する態度も危険値がMAXを超えてるわ……私にとってこのまま何もしないとドンドン悪い方へ転がるばかりよ……あぁ、あの女狐『高凪 春奈』を早く始末しないと、大変な事になるわ……あの女を早くこの世から抹殺しないと……存在そのものが危険だから、何とかして引き離さないと才にいを盗られちゃうよ! )

 

ティアナはこの一連の出来事に納得出来なかった故に大きな声で叫んでいながらも、マルチタスクでいまや謎の女から宿敵に昇格した『高凪 春奈』に対して、増悪した感情が嵐の様になったかのような恐ろしい事を次々と思案していた。

 

平賀 ティアナ12歳の誕生日をすぎたばかりのとある春の出来事だった。

 

 

 

続く。

 





 今回から登場した『高凪 春奈』という美少女キャラは作者自身はゲームを持っていないので、性格や容姿はよく解っていないから、あちこちのSS作品に登場している春奈さんを参考にしたほぼ作者オリジナルのキャラと呼んでも差し支えないキャラになりました。スリーサイズはとあるサイト様に載っていたデータからゲーム搭乗時は17歳だったので、今回はまだ14歳なのでその分は少しサイズを小さくしたスリーサイズを作品上に描写致しましたので、事前に知っている方々にはご容赦して下さると有り難いですね。

また次回でお逢いしましょう。


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