ティアナさん迷走録:地球編   作:ポギャン

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 今回はティアナ小学校に入学するお話です。




五話:ティアナと学校その2

 

 ティアナと才人二人の兄妹が巻き起こした朝のゴタゴタのせいもあって予定よりだいぶ時間がすぎていたので、大事に育ててきた可愛い愛娘の入学式にあわせて勤務日を調整して今日の休みを確保した父親の平賀 海人は愛する妻カリーヌと才人。ティアナの三人を車に乗せると急ぐようにここから数キロ先にある場所へ向かって車を走らせていた。

 

ティアナが今日から通う小学校は幼稚園から小学校。中学校。高校。大学まである一貫教育を誇る都内有数の名門女学院であった。

 

ティアナが講堂で行われた入学式を無事終えた後、自分のクラスがある教室へ入るとすぐに新入生の自己紹介が始まるのであった。

 

「次は平賀 ティアナさんに自己紹介をして貰いますね」

 

ティアナに自己紹介を促した若い女性教師は姿かたちは普通の何処にでもいる様なクラス担任であった。

 

ティアナがイスから立ち上がり自己紹介始めようと口を開く直前、とある場所から数人の少女たちからクスクスと笑い声がしており、更にハッキリとした言葉で

 

「あら、この方外国から来られたのかしら? その割りにしては背がわたくし達より低すぎるんじゃないかしら」

 

その言葉が発せられた途端クラス中から失笑が漏れ出していた。

 

ティアナに対して悪意をこめた嫌味を述べていたのは典型的な顔立ち髪型服装の金持ちお嬢様だった。

 

クラス中の生徒たちによる嘲りや笑い声がおさまる気配はまったく無く、それに対し本来なら諌める立場の担任はただオロオロするだけで何も出来はしなかった。

 

突如ティアナは両手を力強く自分の机に降り下ろす。その結果クラス中に響き渡る程の大きな物音を発生させ私語を語っていた者たち全てを一瞬で黙らせた。

 

「最初に言っとくけど私は外国人じゃ無いわ。日本人平賀 ティアナよ! それにアンタ達みたいな程度の低い奴らと馴れ合うつもりは全くないから。自己紹介はこれで終ります」

 

(全くぴーちく囀ずって煩い奴ら……これじゃあ陸士訓練学校の時と一緒じゃないの! ……ひとつだけ違うか……此処にスバル居ないから………)

 

ティアナは自分に嘲笑を浴びせたきたクラスメイトたちへ宣戦布告ともとれる所信を述べながらマルチタスクで別の事を考えていた。

 

この後、ティアナはクラス替えの二年間授業以外にクラスの者たちと殆ど言葉を交わすことはなかった。

 

「ティアと才人。こっちに来なさい。海人さんが私達の写真を撮ってくれるから」

 

カリーヌが子供たちを呼び寄せて、ティアナ入学式の記念写真を撮った場所は小学校校庭隅でキレイに並んだ満開のさくらが咲き誇っており花びらが春風によって舞い上がり幻想的な空間を現出していた。

 

「ティアナも、もう小学生か……この前生まれたばかりだと思っていたけどな……年月が経つのは早いなぁ……結婚するのも直ぐなのか? …………いやいや! ティアは絶対誰にも嫁にはやらんぞ!! 」

 

海人はティアナを中心にした家族3人の記念写真を何枚も撮るべく、シャッターボタンを何回も押しファインダー見ながら感慨に耽っていろん事を呟いていた。

 

ようやく写真を撮り終えて家族のもとへ歩いてきた海人にティアナはある事を囁く。

 

「パパったら、心配しなくて良いよ。ティアは知らない人と結婚したりしないよ」

 

「流石は俺の娘だぁ! パパの事良く解っているな! 」

 

娘の結婚しない宣言に気をよくして、すっかりいい気分の海人だったが、直ぐ述べられたセリフは………。

 

「だって、そんな何処の誰だか知らない他人(ひと)よりティアは才にいのお嫁さんになるって、ずっと前から決めていたの! ねっ、才にい」

 

ティアナが述べた言葉に対し家族は各々こう語っている。

 

「おぃ、ティアまた何時もの冗談だろ……俺をからかっただけ何だろう? 」

 

「ハァ~この子は……海人さんをあまり落ち込ませるのは母として、どうかと考えますよ」

 

「ティア! ウソだろ? この場面は普通『結婚するならパパが良いよ』だろう……それなのに……てめぇ、才人この野郎! 父親から娘を奪うとは……いい度胸しているなぁ………覚悟は出来てるよな……」

 

こう述べていた3人なのであった。

 

 

因みにこの後、「父さん! 俺に八つ当たりするの間違ってるぞ! 不満があるならティアに言ったらいいじゃないか! 」

 

と、才人が父親の理不尽を口にして抗議すると指摘された本人は

 

「理不尽や傲慢なのもすべて承知の上だ! それとも俺にmyエンジェルのティアに何か言えというのか……出来る訳がないだろう……だからこのもって行き場のない怒りを娘に好かれているお前にぶつけて何が悪い! 覚悟しやがれ、才人! 」

 

溺愛する娘に袖にされた海人は自分とは逆に最大級の好意を示された息子の才人にこの膨れ上がった怒りのすべてをぶつけようとして逃げる相手を追いかけまわしていた。

 

「もう、パパったら才にいに嫉妬するなんて……ティアが才にいのお嫁さんになるって言ったの……すごくショックだったのかなぁ? 」

 

小首を少し傾ける姿も可愛いティアナがいま目の前で行われている事態に囁いていた。

 

「ティア……貴女もあまり海人さんに心労をかけない様になさい」

 

カリーヌは真面目な表情で娘をたしなめる言葉を吐き出すと少し疲れた様子をみせていた。

 

この様に最後は少し弾けぶりを示しながらも、無事ティアナの小学校入学式とそれを記念に撮った家族の写真撮影を終えて食事するため入学祝として予約していた某ホテルにある有名一流レストランへ向かったティアナとその愛すべき家族たち一行であった。

 

 

ティアナが小学校へ入学して2年数ヶ月の月日が経ったAD:200X年の季節は丁度日本特有の梅雨が立ち去って本格的な真夏日が全国を覆いはじめ、学生が夏休みに突入した1週間以上すぎた8月上旬のとある場所。

 

「これもダメ……こっちも全く駄目だわ……ミッドチルダの簡易ストレージ・デバイスを地球の技術で再現するの、何でこんなに難しいのよ! 部品の規格どころか、精度や品質が比べるのバカらしいくらい問題にならないわ!  」

 

此処、某県奥秩父にある平賀家別荘のリビングでは先程から簡易テーブル上でとある物を作製する為の専用工具と各種部品をひろげ四苦八苦している美少女が大きな声をだして独り言を呟いていた。

 

「あんまり、根を詰めすぎると倒れるぞ。これを飲んで一休みしろよな」

 

才人は朝食を済ませた直後から一心不乱になるほど、集中して作っていたとある物作りをしている最中の可愛い妹、ティアナに一息いれる様に進言すると共に冷蔵庫から取り出したばかりのよく冷えたペットボトルのスポエネ飲料水を手渡した。

 

「ありがとう。才にい」

 

ティアは兄才人から渡されたスポエネ飲料水のペットボトルの蓋を開けて、喉が渇いていたのか勢いよくゴクゴクと中身が無くなるまでイッキに飲みほしていた。

 

水分補給して少し落ちついたティアナは水分で濡れた口を手で拭って才人に何かを問いかけていた。

 

「才にい。この後予定無かったらティアと一緒に彼処へいって欲しいんだけど……モチロン返事はyesよね」

 

「………も、もちろん。俺も、さ、賛成だぜ? 」

 

少し小首を傾げうるうるの瞳でみつめてくる可愛い妹の頼みにnoと言えるハズもないヘタレ兄貴だった。

 

ティアナと才人の兄妹がやって来た場所は別荘から歩いて5分くらいのところに小川を渡ってすぐの小さな林のちょうど真ん中に位置する割と広い広場であった。

 

「じゃあ、早速始めるよ」

 

そうティアナが呟くと呪文を唱え終え右手に持っているシャープペンシルの杖をゆっくり振り下ろすと其処には右腕に魔力を動力源とするドリルが『キュイン』『キュイン』とドリル特有の音を発してものすごい速さで回転しており

 

左腕にもシャベルを装着している3㍍をすこし超える高さの全身をとある金属に覆われたゴーレムが3体すがたを現していた。

 

「おぉ~いつ見てもティアの魔法はスゲエなぁ~こんなロボットみたいなゴーレムを3体も同時に作り出せちゃうんだからな」

 

やっぱり才人も、まだ小学5年生の男の子。ロボットに浪漫や憧れを感じる年ごろなのか、瞳を輝かせて妹が魔法で出現させた3体のゴーレムに魅いられたかの様に見つめていた。

 

「このゴーレムを使って今からこの小高い山を掘ってある石を採掘するの」

ティアナが笑顔でゴーレムを用いて石を採掘すると述べると才人は

 

「あれ? 何時もはそこら辺に落ちてる石を持ってかえって、デバイスを作るための部品を錬金するだけじゃなかったのか? 」

 

「それは何時ものことで、今日は宝石の原石を含んでる石灰質変成岩をこのゴーレムで大量に採掘しちゃうの」

 

才人の質問に対してティアナはルンルン気分で目的を告げる。

 

「えっ、日本で宝石採れたのか? 」

 

ティアナの言葉に才人は疑問を口にした。

 

「才にいは知らなかったみたいだけど。量は少ないけど色んな種類の宝石が採れるんだから……でも、ダイヤモンドは殆んど無いけどね」

 

ティアナの説明に解ったのか解らなかったのか、ハッキリしない仕種をしながら

 

「日本に宝石有るのかなぁ? 」

 

と、半信半疑の才人。

 

「原石掘るためにゴーレムの背中に石を収納するスペースが有ることは解ったけど。何の宝石の石を掘るんだティア」

 

才人のタイムリーな質問にティアナは良くぞ聞いてくれたと言った、明るい表情で兄の質問に応じるのであった。

 

「ルビーとサファイアの原石よ。後、この辺りでよく産出する柘榴石と言ってガーネットの原石も一緒に採掘するの。一般的に石灰質変成岩や玄武岩に含まれてる石で無色と黄色の物がコランダ。不純物で黒ずんでいるのがエメリーと呼ばれてる品質がルビーとサファイヤより落ちる石なのよ。解った才にい? 」

 

「そんな難しいこと言われて俺の頭が理解できると思うかティア。クラスどころか学年1位の成績のお前とくらべ、誰が知ってもまぁ、がんばれなこっちの成績の脳ミソと一緒にするなよ。恥ずかしいから……………」

 

一応は知られているはずの自身のどうにもならないおバカな頭の現状をカミングアウトした才人は言葉を述べた後、かなり落ち込み膝を落としてそこら辺に転がっていた小枝で地面にのの字を書いている始末。

 

「元気だしてよ才にい。才にいが頭良いより少しくらいおバカの方がティアは好きだよ。それに才にいの良いところは何事に関しても、真っ直ぐに突き進むバカみたいに熱血なのが長所なんだから、勉強なんか全然出来なくても気にしないで」

真摯な気持ちで兄を褒めちぎる? ティアナの言葉に、基本お調子者の才人はすぐに復活して最初の言葉が

 

「そうか、やっぱりティアもそう思うよな。俺って勉強はできないけど熱血で真っ直ぐな正直者だからなぁ……アハハハハ」

 

と、妹の褒め言葉に何時ものような態度を取り戻していた。

 

落ち込んだ才人を一生懸命になって励ましながらマルチタスク(平行処理)では違うことをティアナは考えていた。

 

(落ち込んだ才にいも可愛くて良いんだけど……やっぱり才にいは明るい笑顔の方がなん万倍も素敵! あぁ~早くこの身体が成長しないかなぁ……そしたら才にいに私の純潔を捧げられるのに……ほんとに人生て儘ならないものね)

 

「なぁ、ティア。宝石の原石をそんなに集めて何に使うつもりなんだ? 」

 

ふっと、才人は思っていた疑問をティアナに問い掛けてみる。

 

「どうしてティアがこれ等の石を集めているのか、才にいは疑問に感じてるみたいね……ティアの目的は錬金でこれらの原石を使って色と形も含めて完璧な宝石作り出しちゃうの。そうする事で錬金に研きをかけて最終目標のストレージ・デバイスを完成させるための各種部品の品質を高めるのがティアの目指す事なのね。これで解ったかなぁ~才にい」

 

あまりこういう事に頭が回らない才人の為に、ティアナとしては噛み砕いて説明したつもりであった。

 

「まぁ、ティアの説明で半分くらいは解ったつもりだけど……うまく言えないけど………様は宝石を作って『わたしって最高! 』と、俺や母さんに見せつけるのがティアの目的何だろう」

 

やっぱり全然妹の説明を理解していなかったおバカな兄。

 

「もう! 全く違うよ才にいったら! 才にいにはやっぱり口で言うよりこっちの方が良いみたいだから、今から出すものを良くみていてね……才にい」

 

あまりの才人の理解のなさに少し疲れた表情を見せながらも、ティアナは前世で使用していた簡易ストレージ・デバイスの『アンカーガン』によく似たお手製の簡易ストレージ・デバイスから収納していたとある蒼色に光輝く1つの大きい宝石を取り出して才人がよく見える位置の高さで見せるのだった。

 

 

「おぉ~すっげぇ~大きなサファイアじゃないか! どうしたんだよ、コレ」

 

妹がデバイスから取り出した見事なまでの蒼く輝く大きいサファイアをみてびっくり仰天の才人はティアナにこの宝石の入手経路を問い質していた。

 

「これはもちろんティアが錬金で原石から本物以上に不純物を全て取り出して品質を高めて作製した最高級品の150カラットのサファイアなの」

 

良い表情でニッコリと微笑みながら、大好きな兄へティアナは説明する。

 

「いくらティアが母さんと同じように魔法が使えると言ったって、こんな大きな宝石を作ったら誰だってびっくりしちゃうぞ」

 

「驚かしてごめんね、才にい」

 

才人の驚き具合に少しばつが悪いと思ったティアナは、兄へごめんと言って謝る。

 

「別にティアを責めるつもりで言ったんじゃないから、謝らなくても良いんだよ。それよりそのサファイアを売ったとしたら値段はいくらになるんだ? 」

 

「もし、値段がつくとしたら150カラットある大きいサファイアだから………最低でも20億円以上はするはずだよ………でもね、哀しいかなそれは絶対に無理なの」

 

ティアナの見込み値段を聞いた才人は最初、ものすごく嬉しさのあまり表情を爆発的に歓喜させていたが、最後に妹がこのサファイアを売ることは出来ないと言うと、落胆のあまり腰がヘナヘナとなって、地面に尻餅をついた。

 

「なんで、売ることが出来ないんだよ! ティア」

 

当然沸き上がる疑問を妹にぶつける才人であった。

 

「……詳しい事を言うと才にいの頭がオーバーヒートしちゃうから、簡単に説明すると……ダイヤモンドを始めとする宝石は世界中に出回っている正式な物は鑑定証以外に認定証と言って世界の宝石流通に携わる関係者達が認める正式な宝石以外は全て出所不明瞭な宝石と見なされて

 

宝石店や健全なオークションに持ち込んで売買が出来ない取り決めになってあるの……だからティアが錬金で作ったこのサファイアも、いくら完成度が高くても一生売ることができない代物なのよ」

 

「………そうか、売ることが出来ないのか……これで俺とティアは一生お金に困らないと思っていたんだけどな……ハァァ……ヤッパリ地道に働けって事かぁ……」

 

一瞬でも大金持ちになれると思った瞬間、それは砂上の脆さでしか無かったと理解した才人の落ち込み具合は期待した分だけ激しかった。

 

「もう、そんなに落ち込まないでよ、才にい。大きく成ったらティアが絶対お金持ちになって才にいを幸せにするからね……だから今はこのゴーレム達を使って原石を回収して、一緒に別荘へ持ち運んで選別作業しようよ……ねっ」

 

ティアナの励ましに落ち込みから急に回復した才人は

 

「そうだな……何時までも、落ち込んでてもしょうがないし……元気に頑張って穴堀作業するか」

 

そう才人が述べている横ではティアナは

 

「才にいは元気な方がティアも嬉しいよ。だから早く作業開始しよう」

 

と、笑顔で才人に語りながらもマルチタスクで他の事を真剣になって、考えていた。

 

(どんな手段を使ってでも、大金持ちになって愛しい才にいと一緒に幸せに暮らすのよ! それを邪魔する者がいたら……大好きなママだって、容赦しないから………例え殺す事になっても、絶対後悔なんてしない………才にいと一緒に幸せを手に入れる為なら戸惑いや躊躇はしない! ………うふふふ……アハハハハハハハ…………)

 

マチタスクでティアナは恐ろしい事を平然と考えていた。

 

 

 

続く。

 

 




今回のお話を執筆するためにネットで色々調べたら日本にも量はすくないけど、各種類の宝石が採れることが解って少し賢くなりました。

次回もよろしくお願い致します。


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