ティアナさん迷走録:地球編   作:ポギャン

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 3日連続の投稿になりましたが、次は仕事以外にプライベートが忙しくなるので二三日後くらいになります。

それでは三話:前世の意識覚醒とキモオタその3をお楽しみ下さい。




三話:前世の意識覚醒とキモオタその3

 

 目の前で娘が暴漢に襲われていて、助けに入って直ぐ変態男に制裁を加える事に夢中になっていたカリーヌは、魔法を使用する場合絶対に掛けなくてはならないsilentの呪文を唱え忘れたその結果

 

いくらこの場所が普段人気がないとはいえ、あれほどの周辺一帯に響く色々な音をだしていれば誰か一人くらい警察に通報する者がいたとしても不思議じゃなかった。

 

「奥さん。いくら可愛いお嬢ちゃんが容疑者に襲われていた場面をみて、無我夢中で容疑者に立ち向かったところまでは私もまだ小学生の娘がいるから

 

奥さんの気持ちは良く解るけどね……だからと言って、あれはどう見てもやり過ぎだよ」

 

市民からの通報をうけてパトカーで駆けつけた警察官達がみた物体はカリーヌによって究極的にまで痛め付けられた変質者の成れの果てが事件発生現場に哀れな姿を晒していたら

 

その直接原因の当事者に渋い表情で苦情の1つくらい述べていてもおかしくは無かった。

 

「あの、本当に申し訳ありません……私、私……娘があの男に襲われいるのを見たら頭の中が真っ白くなっておりまして

 

気がつきましたら、あの様な事になっていまして、私自身無我夢中でしたのでどう手を下したのか殆ど覚えがないんです」

 

そう、カリーヌは事件現場に駆けつけた警察官の簡単な事情聴取に対して身体を震わせ表情は取り返しのつかない事を仕出かし

 

誰がみても後悔しているようなガタガタと震え怖がった態度で事情聴取をうけていた。

 

そのような弱々しい態度をみている警察官も、元々相手がここ最近この周辺一帯で幼くて可愛い幼女に性的な犯罪を犯していた重要容疑者の手配書の写真に顔がよく似ていた事もあって、カリーヌの演技力にコロッと騙されていても仕形ないことだった。

 

「まぁ、奥さん。そんなに心配しなくても良いですよあの容疑者は叩けば余罪が出てきそうですから……それに奥さんには正当防衛が適用されますよ。まあ、後は裁判になった時にあの容疑者に人権派のやり手弁護士がついたら少々厄介なことになるかもしれませんが……」

 

 

「巡査部長。ちょと良いですか」

 

この事件現場を取り仕切っている巡査部長と呼ばれる年輩の警察官が容疑者を尋問していた若手の警察官に呼ばれ場を離れた。

 

「奥さん……ちょっと訊ねたい事があるのですがね」

 

「ええ、別に構いませんが……どの様な事でしょうか? 」

 

カリーヌに対し言いにくそうな感じで巡査部長は訊ねる。

 

 

「いま部下が救急車に搬送される前の容疑者に少し尋問して聞き出した事に関してなのですが………容疑者は貴女に……自分でもこんな事を訊ねたら常識を疑われるのは解っていますが

 

これも仕事だと思って話ますが……あの容疑者は奥さんが魔法を使って自分を殺そうとしたから逮捕しろとか喚いていた様なんですよ」

 

こんな非現実的な事を述べるのを馬鹿馬鹿しいと思っている感じでカリーヌに喋る警察官。

 

「は? 一体何を仰っていますのか、私解らないのですけど? 」

 

カリーヌは巡査部長の口から放たれた言葉に内心、激しく動揺しながらも外見上、何の事なのか解らないと言ったふうに真面目な表情で惚けてみせる。

 

「たぶん……容疑者はやばいクスリ等を常用していた疑いがあるから病院にて警察官立ち会いで尿検査する事になります……はは、魔法ねえ……自分の罪を言い逃れようとして出鱈目にも程がありますな……ハリー何とかじゃ有るまいし……大の大人が魔法とか言い出して恥ずかしく無いのかと思いますよ奥さん」

 

「それってハリーポッターじゃないですか? 私も主人や子供たちと一緒に映画を観に行きましたけど

 

私があれと同じ魔法を使ったてあの変質者は仰っているんですか……オホホホ……あの様な素敵な魔法が私に使えていましたら、普通の家庭の主婦などしておりませんわ……魔法が出きるようでしたら、今頃正義の魔法少女をやっておりますわ……うふふ……」

 

カリーヌは演技に磨きが、かかったかの様に口に手を添えて上品な笑い声をだして軽い雰囲気を醸しだしながら冗談を交えて否定する。

 

「全くもってその通りですな……この21世紀現実の世の中に魔法など有るわけなど有り得ないと言うのに……じゃあ、奥さん。今日の所はこれくらいにしましょう。明日の午後1時以降○○○○警察署の捜査1課へご足労でしょうが、お越し頂けますか。そこで事件の事を詳しくお聞きする事になりますから、よろしくお願いします。奥さん」

 

「子供たちと一緒に家に帰りますので、これで失礼いたします」

 

カリーヌは軽く頭を下げて心配そうな瞳をして自分を見つめている子供たちのところへ歩いて行った。

 

本来ならこの後直ぐに所轄の警察署に事件の事情聴取のためにカリーヌに同行を求めるのが決まり事のはずだったが、流石に変質者に襲われ恐怖にうち震えているまだ小さい幼女とその横で懸命になって妹を励ましている兄の少年の二人にこれ以上、負担をかけさせるべきでは無いと考えたこの事件現場の指揮をとっていた巡査部長の温情であった。

 

警察官の許可を貰って不安な表情で待っていた才人とティアナの二人を車に乗せて一路我が家に向けて公道を法定速度に則って愛車を走らせるカリーヌである。

 

蛇足であるがカリーヌがいまの愛車に乗って既に3年程の月日が経つが、カリーヌが子供たちのために車を購入する時に今は亡き義父、平賀 才助がプレゼントするため購入費を出すときにカリーヌは少し遠慮して日本で一番の自動車メーカーの1600ccの排気量のごくありふれた大衆車を選ぼうとしたが

 

「遠慮する事は無いですぞ。カリーヌさん。別にその車が悪いわけじゃないが、儂は心配性だからのもっと安全性がある高級外車に乗って欲しいのですぞ」

 

「ありがとうございます。義父様。よろこんでその申し出をおうけ致します」

 

とカリーヌが義父、平賀 才助からの申し出をうけて購入したのが今の愛車、イニシャルにBの文字がつくとある世界では「我が国の技術は世界一! 」と宣う軍人がいた国の世界中の金持ち達の中で割と購入されている真っ赤なボディーを誇る愛車を選んで乗っていた。ちなみにハルケギニアに帰還する時まで同じ車種を気に入ったのか買い換えて乗っていた。

 

家に到着するとカリーヌはティアナに

 

「ティア。これからは、私が居ないときにひとりで魔法の訓練は禁止します。良いですね」

 

そうリビングのソファーに座っている愛娘にカリーヌは言い聞かせていた。

 

「…………はぃ……解ったわ………ママ………」

 

ティアナは力ない感じで座っていたソファーから、顔を俯いたまま小さな声で途切れぎみに了承の言葉を呟いた。

 

「母さん。ティアを責めるなよ。悪いのはあの変態だろう! 」

 

可愛い妹ティアナを庇って才人は母親に少しキツい言い方をしたが……よく見ると膝がカクカクと震えていた。

 

口では勇ましい事を言った才人であるが普段イタズラや道理の良くない事をすると容赦ない鉄拳という名の教育的指導がすぐに飛んできたり

 

それに彼が5歳の誕生日をむかえた翌日から

 

「男の子はいざという時のため、普段から戦う術を身につけていないとダメですからね」

 

と仰ったカリーヌに毎日早朝稽古という名の扱きをうけていたから母親に逆らった言葉を述べるのがどれ程恐ろしいか才人自身、本能的に身に染みこみ理解していた故の武者震いであった。

 

「才人は黙ってなさい!!!! 」

 

案の定カリーヌの怖い一喝を喰らって「あぅぅ」と身を竦めるくらい縮み上がった。

 

「ママ。才にいを怒らないで……私が悪いのだから………庇ってくれてありがとう才にい」

 

ティアナは大好きな才人が自分を庇ってあの母親に意見を述べてくれた事にすごく感謝感激していた。

 

モチロンの事に益々兄への愛情が高まっていったのは先ず間違いなかった。

 

「ティアナ自身が今回の事を良く解っているのなら、これ以上何も言うことは無いわ……今から晩ご飯の支度をしますから二人ともテレビを観て待っていなさい」

 

娘が今回の件で自分が何を言いたいか良く解っていたから、これ以上叱責することをカリーヌはしなかった。

 

夜遅く仕事を終え、帰宅した夫の海人に事件の説明をカリーヌがすると

「何で連絡してくれなかった! ティアナの一大事何だぞ! 」

 

そう激しく言って怒っていた海人に

 

「海人さんに報せなかったのは連絡うけたら仕事を放り出してくる事が解っていたからです」

 

そうカリーヌは夫の行動を先読みした結果から連絡しなかったと。当然のような態度で答える。

 

「……解ったよ……普段素行のよくない俺が勝手に仕事放棄したら岩瀬司令だってこれ以上庇いきれない事はなぁ……カリーヌは本当に俺にすぎた恋女房だ」

 

「海人さんはやっぱり素敵な旦那さまですわ」

 

海人は自分自身の身を案じ。そして子供たちの事もよく考えた上でのカリーヌの行動を理解したからなのか、これ以上は何も言わなかった。

 

 

ティアナが変質者に襲われた事件は逮捕された犯人が今回の件と今までの余罪すべて自供したことで平賀家にとって、それで全て終ったことになるのだった。

 

「悔しい! あんな変態に好き勝手に身体を触られて何も出来なかった……ママと才にいにもいっぱい迷惑かけて………パパには心配させて……ほんとに私……何やっているのよ! 

 

これじゃあ、あの時スバルに心配かけた時と変わらないじゃない! 生まれ変わっても進歩しない私って…………もう二度とこんな不様な事はしないわ! 才にいもママも護ってみせる! ついでにパパも……だからこの先どんな手段を用いてでも……絶対強くなってみせるわ! 」

 

ティアナは今回の事で自身の不甲斐なさを自覚したのか、この後魔法の向上は無論、母カリーヌからは各種格闘技の手解きをうけ、日夜自己鍛練も欠かさなかった。しかしコッソリ隠れて練習していたミッドチルダ式魔法のほうはやはりデバイスの補助が無いため初歩のシュート・バレットのヘボい魔力弾を撃つことしか出来なかった。

 

 

あの事件があった日から2年半年以上の月日が経った今日は各地で桜が満開の花を咲かせていたティアナの小学校入学式の晴れ舞台の快晴日和であった。

 

 

 

続く。

 

 





 シュート・バレットなのか、それともバレット・シュートどちらが正しい魔法名何ですかね……自分には解らないです。

一応シュート・バレットのほうを採用しているけどね。

次回。四話:ティアナと学校その1でまたお逢いしましょう。


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