この作品は不定期連載でだいたい2000文字から3000文字くらいの文章量で書いていく予定です。
これからよろしくお願い致しますね。
初夏の風薫る匂いが周辺一帯に充満する中、先程から此処、某県秩父の山裾近くに所在している
きれいに手入れされていたとある霊園墓地の一画にある。先祖代々の平賀家のお墓に先頃亡くなった平賀 才助の四十九日のお墓参りに故人の一人息子が家族3人といっしょに訪れていた。
「四十九日にこうして俺たちがお墓参りにきて親父もあの世でさぞ満足しているだろうし……そろそろ行こうか」
「………そうですね……海人さん。お義父様もあれほど可愛がって下さった孫の才人とティアナの二人がきて喜んでいるわね………ティア、どうかしたの? さっきから心、此処にあらずみたいにぼ~としているけど。大丈夫? 」
カリーヌは何か何時もと様子がちがう愛しい愛娘。ティアナの雰囲気や感じが異なることに気がついて、心配するあまり声をかけていた。
「…………うん……ママ、心配しないで……大好きだったお祖父ちゃんが亡くなってまだ心の整理がついていないのに
四十九日の日にお墓参りにきていろいろお祖父ちゃんとの思い出を思いだしていたから、少し……寂しさを感じていたのが原因かな……」
ティアナは大好きな祖父が亡くなってまだ日が浅いから心が少しだけブルーになっていただけだから、心配しないでと母親のカリーヌに返事をしていたが
それは本心からの言葉ではなくて、さっきから自分の頭の中に今まで自身が見に覚えのない色々ある大量の記憶が脳内に渦巻くように流入してきていたのが本当の原因であった。
(……おかしいわ……私の名前は平賀 、平賀 ティアナのはずなのに……どうしてさっきから、ティアナ・ランスターと言う名前が頭の中に渦巻いているの………わからない、わからない、わからないわ……それに、ミッドチルダに機動六課……執務官……スバル…これらにいったい何の意味があるのよ!? )
「ティアナ! 海人さん。ティアが、ティアが」
「少しは落ち着けカリーヌ! 気が張っていたんだろうな……直ぐ車に運んで休ませよう……才人心配するなとは言わないが、男の子ならちょっとした事で泣くな……お前はティアのお兄ちゃんなんだぞ」
あの時ティアナは気が張っていたのか、崩れるように倒れて直ぐに意識をなくしていた。
急いで駐車場に停めてある車に運び、キーを挿し込みエンジンを始動させエアコンを入れて暫く様子をみてこれなら大丈夫と判断した海人は車を走らせ近くの病院に連れていって医師に診察してもらい、普通の緊張からくる意識喪失と判断を受けて治療代を支払って、その後は家に帰宅してティアナを自室のベッドに安静のために寝かせていた。
ティアナが祖父のお墓参りに行って前世の記憶が蘇ってから3月ヶ月以上の日にちが経った初秋の人が殆ど近寄らないとある場所でさっきから必死になって値段の高そうなブランド物のボールペンを振っているオレンジの髪を黒のリボンで結んでツインテールの髪型にした可愛い美幼女は平賀 ティアナであった。
「もう、何で出来ないのよ! 頭の中じゃ解っているのに……系統魔法は全部のコモン・マジックはできるようになっているし、系統魔法も水適性があって幾つもの呪文を覚えて水のドットになったと言うのに
何で前世で出来ていたミッド式魔法ができないのよ!? ………やっぱりデバイスが無いと無理なのかなぁ……あぁ……『クロス・ミラージュ』が有ったら直ぐにミッド式魔法が簡単にできるのに……」
ティアナはハルケギニアの系統魔法は母カリーヌにねだって3ヶ月前から習い杖とも無事契約してコモン・マジックも覚え、更に系統魔法も幾つかの水spellも修得して晴れて水のドットになっていたのに
肝心要なミッドチルダ式の魔法はまあデバイスもない事もあり、全く出来る気配も無かった。
(あ~あ、せっかく傍を離れないママを何とか言い含めて幼稚園に才にいを迎えに行かせてミッド式魔法を覚える時間を作ったのに……肝心のミッド魔法をうまく使えるように成らないなら意味が無いわよ)
ティアナがミッド式魔法を前世みたいに思うよう駆使できない事に苛立っていた時、不意に物影からガサガサとした音が響き渡った。
「誰かいるの!? 」
ティアナが音がした方向へ警戒をこめた口調で問いかけると………。
「グフ……ブヒヒヒ………か、可愛い……お、お嬢ちゃん………こんな、ひ、人気無いところに……ひとりで……あ、遊んでいたら……だ、ダメじゃないかなぁ……グフフ……ブヒ、ブヒ
お嬢ちゃんみたいな可愛い子がひとりでこんな……ブヒ、グフフ………いたら、悪いやつに……さ、拐われて……お、お持ち帰り……されちゃうよ……ブヒヒヒ……グフ……だから、ぼ、僕が……お、お家へ……グフ……ブヒ、ブヒ、送って行ってあげるよ……ブヒヒヒ……グフ……」
(うぁ~典型的な変態幼女愛好家………キモオタじゃないの……うぇ、気持ち悪……)
物影から現れた人物はティアナが前世の執務官及びその補佐していた時に何度か遭遇していたペドフィリア愛好家の典型的な姿見をした。
一言で言い表すとその辺を通行しているだけで警察へ通報されても仕方ない怪しい人物。
「……別にアンタ何かに送って貰わなくてもけっこうよ! それより、キモいから私の前から消えてくれない! それにアンタのほうが怪しさ満載じゃないのよ! 」
「ウヒョ! ツンデレきた! ツンデレ幼女は、いい! 最高だぁ! グフ、グヒヒ、ぼ、僕と……あ、遊んで、ほ、ほしなぁ」
ティアナがお前キモいから目の前から消え失せろと険悪な雰囲気でキツく言い放った言葉に
怯むどころか逆にご褒美だとばかりにツンデレきたと気持ち悪い表情で叫ぶ始末であった。
これ以上言葉を交わしていても常識が通じないと判断したティアナは取りあえずこの場からくるりと180度身体の向きを変えて立ち去ろうとした。
内心は魔法を使って吹き飛ばしたかったが、それをすると後々まずい事になりかねないので、ここはぐっと我慢する事に決めた直後……変態キモオタが行動を起こしティアナの愛らしい左腕を掴み自分の方へ引っ張り寄せていた。
「えっ……いったい何が………」
突然の出来事に精神は前世の記憶が蘇って推定年齢22さいだったが、身体のほうはまだ4歳なので急なリアクションに対応などできるハズもなく簡単にペドロフィリアにその愛らしいぷにぷにした柔らかさと幼女特有の甘く瑞々しい薫りを放っていた身体を覆い被さられるような形で抱き締められていた。
「きゃあぁぁぁぁ……いや、離してぇぇぇ」
まだ幼い身体のティアナは変態に対して必死の抵抗を試みていたが、哀しいかな変態キモオタの見てくれは体重が平均値をかなり超えるくらい重かったから、軽い幼女が力を一杯だして振り払おうとしてもビクともしなかった。
「フンフン……むふ……良いに匂いだよ。お、お嬢ちゃん……グフフ」
変態キモオタは調子にのってティアナの甘く薫る匂いを嗅ぎながら、まだ青い幼女の身体を貪るように興奮してまさぐっていた。
(……悔しい……こんな変態に好き勝手にされているなんて! 杖さえ有ったらこんなヤツ吹き飛ばしてやるのに!! )
変態に抱き締められた時に大事な杖契約した魔法を発動する媒体であるボールペンの杖が手をはなれ数メートル先に転がっていたので、今のティアナに魔法を使ってこのピンチを脱する事は出来なかった。
(誰か、パパ、ママ! 才にい……助けて……)
今ティアナは変態キモオタから逃れようと、必死に抵抗しながらも心の中で愛する家族に助けを求めていた。
果たして此のまま変態キモオタの餌食になってしまうのか……それとも誰か助けに来るのか。その結末はまだ解らなかった。
続く。
まあ、前世の記憶が覚醒してもデバイスが無いとミッドチルダ式魔法を縦横無尽に使用するのは、かなり無理かと思えます。
でも、数年後に相棒の『クロス・ミラージュ』とは思わぬところで再会する予定です。
いきなりのピンチを迎えた幼女ティアナさん。果たして助けは来るんでしょうか? 次回をお待ち下さい。