ー亡き者が幻想の世界へー 居候の物語   作:TSUTAYA

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7話 修行の終わり 自分という者

時は少し戻るとしよう。

 

今の雄介の意思は精神の存在、戦っている相手の彼は魂の存在。

肉体の存在は死んだ、そしてバランスの崩れてきた自分の世界。

白と黒の世界に光が差す、それは崩壊の光、心の部屋がひび割れている。

本来入るハズのないモノ。

それが魂の俺は嫌いだった。

生きている間は1人では無かった気がする、肉体という存在の容器に入り彼と2人で精神を主とし能力を抑えていた。

 

自分だけが特別ではないと肉体の彼が言っていた。

 

誰でも能力はある、だが開花させるかさせないかの違いだけと。

 

たまたま俺の精神の能力は悪霊を集める能力、魂の能力は支配する能力、肉体の能力は封じる能力とバランスが良かった。

精神が知らないだけでそれぞれが役割を守っていたんだ。

 

ある日肉体に変化が起きた、精神の能力が強過ぎたのか……疲れてしまったらしい。

魂と肉体はもう一つの人格の様なモノ。

 

疲れた肉体はいつしか封じる事を辞めた。

そしたら全部一回死んだ。

 

でもそれが終わりではなく

こうして冥界へと来てしまった。

肉体だけ別の世界へ置いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いを始める時一気に頭の中へ入ってきた記憶がコレだ。

 

彼は苦しんだ、そしてなんとか精神を生かそうと犠牲になってきた。

その結果が

肘から刀

それは異常な事の現れであり

魂が精神の力を抑える限界なのだろう

 

本来死とは肉体が活動を停止した時決まる、だから終わりで良かった。

でも精神が死にたくない!と強く願ったので魂が応えてくれた。

そして亡霊となった。

 

この中は死んだ魂の居場所、恐らく色々な世界、もしくは他の魂も集う場所となりつつある。

 

 

 

 

自分との戦いは全くの互角、もう一週間やり続けていた。

彼は鏡みたいなものなんだろう。

利き腕が逆という特徴で動きも一緒。

右手を斬ると左手が斬られる、そして再生。

刀の使い方が上手くなってきたと思ったが彼も同じ、そんな感じてずっとやり続けていた。

 

 

「そろそろ時間になるぜ、もう1人の俺ちゃんよ!さぁ、答えを出してもらおうか?」

 

彼は戦いを辞めて入ってきた悪霊を追い払う、でも話は聞こうという姿勢は感じれる。

 

(全くの同じ力、でも役割が違う事は分かった答えか……そうか、これが?)

 

「役割と力をよこせ!俺が支配の能力も担当する。お前には肉体の記憶もあるんだろ?だったらそれを担当してくれ。」

 

「封じる役割が俺様か……楽できそうでいいね!だがお前がまた死ぬような事があれば表に出てくるぜ?大切な人この世界で出来たんだろう、守ってみせな!この記憶をやろう、どっかの剣豪だった奴の物だ、名は有名では無いがな。」

 

彼が手をかざす、ソレの記憶が頭に入る。

幻想郷の侍の記憶だった。

昔幻想郷がまだ人里へ妖怪が襲ってきた頃の時代、数々の敵を斬って守っていた英雄の記憶、最後まで彼は戦っていたらしい。

若くして亡くなって未練があり彷徨っていた所で俺の魂の中へ入ってきた。

そして今精神の中に入った。

 

「もう力の使い方は俺から学べたハズだ。後はこの中の修復だな、俺様がやっといてやるからお前は休んでな!外で心配している奴も居るだろうし、じゃあな。出来れば2度と会いたくないぜ!これからは1人で見守りたいからな。」

 

「色々とありがとな、そしてこれからも宜しく!じゃあ帰るね、君に出来るだけ迷惑掛けないようにするつもりだけど……」

 

彼は普通の姿に戻る。

俺は力が溢れてくる、制御出来る範囲でだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚める、此処は冥界の庭?

 

「祐介さん!やはり生きていたのね?一週間も行方不明で心配したのよ。」

 

(生きてはいないんだよなぁ、幽々子さんも俺も。まあそれだけ心配してくれたのか・・)

 

などと考えていたら幽々子さんが飛び付いてきた。

 

「うわっ!ひんやりしてて気持ちいい…一週間もですか?妖夢と紫さん呼んで貰っていいですか?説明したいので。」

 

紫さんがスキマで妖夢を連れて来た。

そこで簡単に中での出来事、俺の存在について説明した。

 

「って事なので。修行も兼ねて遅くなってしまいましたがもう大丈夫みたいです。さっそくだけど妖夢、スペル無しで剣の相手をしてくれない?」

 

「いいですよ!中々に頑張ってきたみたいですね、楽しみです。」

 

こうして一体一の決闘方式での試合が始まった。

 

祐介は能力で両方の肘から伸ばした刀。

妖夢は2本の刀を出し構えをとる。

 

剣の記憶が言う、二刀流は普通脳の処理速度の関係で人間には無理だ。

もし完全に扱えるモノがいるならソレは人間では無いと。

彼女は半人半霊、その二つの脳の処理で可能にしている。

ならどうだ?今の俺の能力で何体かの脳の処理を借りよう、この記憶を元に処理速度を限界まで使えば・・・

 

「行きます!」

 

彼女は躊躇わず踏み込み斬りに来た、一撃目は受ける、二撃目をいなす。そして足払いで体制を崩す。

 

「そこっ!」

 

腹めがけて突きを出す、一撃目は受けられる、二撃目がかすった!だが飛んで距離を取られた。

妖夢の瞬発力は並ではない。

 

「一撃当たったので私の負けです。剣で勝てないのは貴方と師匠くらいですね。本当強くなりましたね!」

 

そう笑顔で言ってくれた、悔しいよりも家族が成長した事に喜んでいるのだろう。

 

いつか幽々子が言っていた「妖夢は優しい子なの」の部分だけが頭に残って離れなかったんだ。

 




次回から日常に戻ります。
主人公強化終了!
スペカ増やすかもですが。

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