霊の件から少し経った頃のお話し。
妖夢の素振りを見ていた雄介、ふと思う。
(暇だ、最近散歩も飽きたな。この屋敷から離れる許可も得ようかな、冥界以外にも何かあるかも知れないし。幽々子さんに言ってみよう。)
そして幽々子さんの所へ行き「幻想郷って冥界だけなんですか?」
「そんな事ないわよ、自然が殆んどだけどこの世界もとても広いわ。人里、地底、山に神社も有ったわね。」
(人里と山の神社は分かるけど、地底ってなんだ?まあいっか、行けば分かるさ。)
「外出とかの許可欲しいのですが、駄目でしょうか?」
「そうね、この世界では今弾幕戦が流行っているの。スペルカードとそれを憶えたら許可してあげる!その時の監視は友人に頼むけどね。」
「だんまくせん、スペルカード?聞いたことありませんね。僕にも出来ますか?」
「能力的には多分問題無いわよ。説明も面倒だしまあ見てなさい、妖夢ー!弾幕戦やりましょう。雄介さんに見てもらうの、いいわね?」
彼女が素振りを辞めて此方に来た。
「私とですか?分かりました、修行の成果を試させていただきます。」
少し移動して屋敷から離れた所で弾幕戦が始まった。
幽々子さんは鮮やかな蝶々の弾幕を放つ、それを妖夢が剣で斬る。妖夢が斬撃を飛ばす、幽々子さんは華麗に避ける、それが暫らくの間続く。
弾幕の量は幽々子さんが圧倒的だ、でも妖夢は速いな、瞬発力が並ではなさそうだ。
最初は速さに目がついていかなかったが慣れてきた。
(幻想郷、この世界の名前の通り本当に幻想を見ているみたいだ。特に幽々子さんの蝶は凄く綺麗だな、例えが思いつかないや。妖夢も斬撃が飛んでるよ・・どういう理屈なんだ?斬撃が速いから出るのかそれとも霊力か、お互いよくこんな物量の中で正確な動きをしているな。)
幽々子さんが空、妖夢が地面すれすれでやり合っている。どうやら幽々子さんが制空権を握っている様に見える、それ程に弾幕の密度が凄いし彼女の弾幕は遅いのと速いのが混じっていて、躱すのも大変そうだ。それを避ける妖夢は普通ではない。
「腕を上げたわね妖夢、先に使わせて貰うわね。」【死府 ギャストリドリーム】
彼女がカードを手にしてから大量の蝶の形の弾幕が妖夢に飛んでいく。
「ならばこれで!」【剣技 桜花閃々】
カードを宣言し、妖夢が1度地面に降りたと思ったら溜めて蹴る。その加速を活かし前方へ素早く移動しながら桜色の斬撃で当たりそうな弾幕を瞬時に見分け斬り捨てた。
(なんなんだ?2人共こんな力があったんだ。スペルカードってアレだよな、威力と美しさ両方兼ね備えてるのか。真似出来ないなぁ…参考にはなるから一瞬たりとも見逃さず集中しなきゃ!)
そこから少し妖夢が優先になる、移動スピードを落とさず瞬時に距離を詰める、そして斬る速度を上げる、目で斬撃が追えない。それを幽々子さんがギリギリで躱す、見ていて目を瞑りたくなる光景だ。
あれ?よく見るとなんか幽々子さんが笑っている。
「これでどうですか。」【人鬼 未来永劫斬】
妖夢がスペルを宣言、幽々子さんは最初の一撃を読んでいたのだろう。
それを躱しカウンターで弾幕を放たれる。
「まだ甘いわね、妖夢の速さは私より上よ、でももっとソレを活かさないとねー。」
幽々子さんが妖夢の背中を触る、片手にカードを持って。
「私の負けですね、今回は途中で勝てると油断してしまいました。」
そう言い妖夢が刀を納める、勝負は決まったみたいだ。
その後幽々子さんからカードも貰い作り方の説明を受ける。まぁ念じて能力を加えるだけらしいけど。
妖夢は「修行に戻りますので何かあれば呼んで下さい」といい庭に素振りに戻っていった。
とりあえず幽々子さんの部屋で3枚作ってみた。
「面白そうなカードね。説明してくれるかしら?」
「幽々子さんと妖夢の弾幕戦を参考に作ったのですが。1枚目の名は【 怨念 村雨 】能力は悪霊を集めて身体に入れ手を刀にして斬撃の弾幕を放つ、妖夢の斬撃と違い多分ムラがあるのが欠点ですね。でも悪霊の力を取り込んで身体が強化されるハズなので使い勝手はいいかと。2枚目の名は 【悪鬼 村雲 】これも斬撃タイプにしました、村雨との違いは両腕が刀になる事と身体に入れる悪霊の数が増すのでコントロールが難しい・・下手をすると意識を持っていかれる恐れがあるので切り札ですね。3枚目は 【死霊 集いの樹海】これは悪霊を大量に集めて相手を囲み襲わせる、一発当たればその悪霊が相手の動き少しずつを奪っていく。とりあえずは説明この程度で。」
「全部話だと強力なカードね。でも多発は出来ないわね、1日で使用していいのは二枚までにしなさい! 霊力が安定してないからその約束が守れるのなら外出の許可をしましょう。友人に頼むと言っていたけど視ていたみたいね。紫ー?」
「あら、いつから気付いていたのかしら?」
何もない空間が裂けて金色の髪の女性が其処から現れた。
「彼女が貴女の監視を頼もうとしていた八雲 紫よ。私の友人なの。雄介さんを頼めるかしら?」
「ええ、他でもない幽々子の頼みなら良いわよ。でも手助けなどはしないし、本当に視ているだけよ?」
「可愛い子には旅をさせろって言うじゃない?手出しはしなくていいわ。でも彼が暴走した時はお願いね。」
「分かったわ、基本的に覗いてるだけだけどよろしくね雄介さん。」
(話しが勝手に進んでいるよ・・まあいいけど。紫さんといったな、彼女の能力ってなんだ?空間が裂けていたぞ。雰囲気もなんか人間でなさそうだし怖い!)
「よ、よりょしくお願いしアグっい!」
完全にビビってしまい連続で舌を噛んだ。
「ふっ、ふふっ…あっはっは・・お腹痛いわ!幽々子が気に入るのも分かる気がするわね。」
爆笑された、噛んだ所が痛すぎて言葉が出ない。
「雄介さんは優しい子よ、あまりイジメちゃ駄目よ!」
「ごめんなさいね、そんなに脅えるとは思わなくて。この子妖怪知っているの?」
「はひ?なんれすかそれ。」
「…私妖怪なのよ、貴方に本当の肉体があれば食べちゃいたいわ。」
妖しい気を出しながら彼女は微笑む。
「ひいぃ出たあ!」
腰が抜けた、逃げる事も出来ない。
「雄介さん落ち着きなさい!このままだと紫のオモチャになるわよ、全くもう。貴方も亡霊なんだし食べられないわよ、怖がってどうするのよ?」
(あっ、そうだった。最近忘れてたけど俺死んでるんだよな、なら怖いことない…)
あれ?紫さんが消えた?
雄介の背中に手だけが触れる。
「にゃあ!」怖さの限界が越えた時に出た声がこれだ、飛び跳ねて妖夢の所まで逃げていった。
「・・やり過ぎたわね。後でなんとかしておくわ、幽々子ごめんなさい。」
「この世界に妖怪は沢山いるから、雄介さんには悪いけどいい経験になったと思うわ。妖怪は人を恐れさせる存在、それはこの世界の基本のルールですものね。中に例外は居るけど。」
その頃の雄介と妖夢
「ちょっとやめてください、いきなり抱きつくなんて!私には心の準備が。」
「紫さんが怖いよ妖夢ー!お願いだから助けてよ。」
「えっ?・・・雄介さん。ちょっとお仕置きが必要ですか?」
「なんで怒ってるの?ちょ!刀を抜刀するのは、って斬らないでよね。幽々子さーん!助けて。」
(なんて日だっ!!)
こうして1日が終わったのである。
翌日、準備をして出発の時が来た。幽々子さんの部屋に行き挨拶をする。
「少しの間ですが旅に行ってきます。」
「気をつけるのよ?いくら亡霊でも外見は生きた人間と変わらないのだから。それと紫だけだと心配だってあの子がうるさいから連れて行ってあげて。」
「えっ?」
襖が開き妖夢が入ってきた。
「失礼します、飛べるとは言えもし何かあったら嫌ですし。もう家族なんですから少しは頼って下さい。あの時の様な事は勘弁して欲しいですけど・・」
「だそうよ?良かったわね、私は思ってたけど妖夢の口からその言葉が出るなんて感動だわー。」
「・・ありがとう。幽々子さん1人で大丈夫ですか?」
「これでも料理は出来るのよ。寂しいけど我慢するわ、可愛い妖夢と雄介さんの為ですもの。」
(家族、か。この暖かい感覚実家で普通の暮らしをしていた頃みたいで懐かしい・・ああ、僕はどうなっていくんだろう。)
こうして妖夢と少しの間だが旅をする事になったんだ。
頑張ってみた(つもり)
東方キャラ少しの間スペルカード緋想天ので許して下さい。
パソコン前のでゲームやってたしかなり記憶が曖昧なので間違えたくない!
覚えてるのは出すかも。