by平凡な少女
私…‥鹿目まどかの世界はその人が来るまでは変わりませんでした。
でも、あの人が……吉井明久くんが来た事で私の世界は変わりました。
その日は今までと変わらないと思っていました。
朝、登校してさやかちゃん達とお話したり、一緒にお昼ご飯を食べたり……。
でも、その日は違っていました。
「えっと……吉井明久です。父の都合でこの中学に転校してきました、よろしくお願いします」
朝、転校生が来るという事で紹介された吉井明久くんという人。
「気軽に、ダーリンとでも呼んでくださいっ」
その人は転校初日、爆弾を投下しました。
「「「「「………………」」」」」
皆、何が起こったのか頭で整理するのに必死です。かくいう私も何が何だかわからないのです。
「すいません!ただ場を和ませようとしたジョークです!ですから、その静かな空気を止めてください!居た堪れなくなりますから!」
ちょっと変な人……でも、まっすぐないい人。それがこの時の私の第一印象だったと思います。
それからその明久君と一緒に学校生活を送りました。
そして……魔法少女の存在を知り、魔女結界の中に捕らわれた時に明久君も一緒にいたのですが、明久君も捕らわれていました。
マミさんの話では男性も入れるには入れるのだがそれは魔女に狙われた男性だけ。しかも魔女は主に女性しか狙わないため男性が襲われる事はほぼないらしいのです。
しかも……明久君には魔女結界の中に入る為の魔女からの口付けをされていないというのです。
マミさんは最初は警戒していたけど、明久君の裏表ない性格のおかげか、すぐに打ち解けました。
その時に転校してきたほむらちゃんとも明久君は仲良くしようとしましたが
「逃げられた……」
と、私に泣きついてきました。
その時に明久君はやっぱり純粋でいい人だな……と改めて思いました。
でも、何でかさやかちゃんが私を睨んできたのですが……今にして思えば私に抱きついている明久くんとそれを慰める私に嫉妬していたんじゃないか?と思えてきます。
そして明久くんにも……戦う力が覚醒しました。
それはお菓子の空間で戦った魔女……その魔女にマミさんが食われようとした時に、明久くんは身の危険も顧みずに魔女に右の拳を振るい……そして人間の力ではどうする事も出来ない筈の魔女を吹っ飛ばしてしまったのです。
それを見ていた私達は呆気に取られてしまいました。
「……え?」
それはそれを行った当人もだったのですが。
そしてさやかちゃんも魔法少女となり……私一人だけが何も出来ないと知りました。
ほむらちゃんも魔法少女だったんです。
それを明久くんに相談したのですが
「まどかちゃんはそれでいいと思うよ?」
そう、返してくれました。
そして、続けてこう言ってくれました。
「まどかちゃんが戦う力がないのは確かに悔しいかもしれない。でもね?僕等戦える人にとってはまどかちゃんは平和の象徴なんだ。まどかちゃんと会えるから帰ってこれたんだと思える……だから、まどかちゃんは何も考えないでただ僕等に「おかえり」って言ってくれるだけでいいんだよ?」
私ってそんな風に思われてたんだ…と思いました。
そして私は泣きました。恥ずかしかったからです、力が欲しいなんて言っちゃった事に……でも明久くんは
「って、ええっ!?な、何で泣くの!?まどかちゃん!?も、もしかして僕、何かいけない事言っちゃった!?」
こんな恥ずかしいだけで泣いちゃう私の為に慌ててくれました。
そしてそれから少し経った後……私たちは魔法少女の真実を知りました。
自分の魂が変換されたのがソウルジェム……要するにさやかちゃん達は魂が備わっていないゾンビとキュウベえは言ったんです。
そんなキュウベえに
「お前、そんな事して何とも思わないのかっ!?」
明久くんは怒ってくれました。
「何でそんなに怒るんだい?僕は聞かれなかったから答えなかった。ただそれだけだよ?」
「だったらそのデメリットもちゃんと説明してから契約するか聞けよ!人間はな、欲深いんだ!お前はそんな人間の心を利用したんだ!」
「まったく、君たち人間は……僕には訳が分からないよ」
「ああ、そうだろうな!お前と人間は決して歩み寄れたりはしないだろうさ!」
明久くんのその言葉を聞いてさやかちゃんとマミさんは泣いてくれました。
嘆くしか出来なかったさやかちゃん達の為に明久くんは怒ってくれていたのです。
でも悲劇は起こってしまいました……さやかちゃんのソウルジェムが砕けてさやかちゃんが魔女になってしまったのです。
何とかさやかちゃんを魔女から元に戻す為に私たちは杏子ちゃんと一緒にさやかちゃんが魔女になった姿と戦いました。
私が何度呼びかけてもさやかちゃんは答えてくれません。
でも……
(?明久くんの所……攻撃があまり行っていない?)
こんな疑問を持つようになりました。明久くんのいる所に武器が向かおうとすると急に方向を変えるのです。
それを見て気づきました。
さやかちゃんは無意識の中でも明久くんを傷つけたくないんだと……。
でも、悲劇は起きてしまいました。
杏子ちゃんを助けようと杏子ちゃんの背中を押して……代わりに自分の胸をさやかちゃんがなってしまった魔女に貫かれました。
そして……明久くんは胸に穴を開けて…………倒れてしましました。
「明久くーーーーーーーんっ!!!」
私たちは一斉に明久くんのいる場所に集まりました。
そして明久くんが一筋の涙を流すと……魔女は苦しみだし……そして奇跡が起こりました。
さやかちゃんが戻ってきたのです。
そしてさやかちゃんは必死に回復を促進する魔法をかけますが……それでも間に合いませんでした。
そしてさやかちゃんは……
「生きてよ……明久……希望に、なってくれるんでしょ……?」
そう言って……キスをしました。
「さ、さささ、さやかちゃん!?」
「さやかぁ!?お前、何してんだよ!?」
「あらあら……」
「…………っ!」
私たちは驚きます。
そしてさやかちゃんがキスを終えてから皆でさやかちゃんを追いかけ回しました。
杏子ちゃんに至っては槍を使ってさやかちゃんを攻撃していましたし……。
その後、明久くんが治っていた時に私たちは驚きました。
何でもさやかちゃんは外側から回復出来ないのなら内側から回復すればいいと考えたらしく自分の回復の魔力をキスという形で明久くんに渡したんだそうです。
でも、別にキスじゃなくてもいいと思うんだよね……。
それから明久くんは大事をとって入院。
それからというものキュウベえがずっと私を勧誘してくるのですが……その度にほむらちゃんに銃殺されます。
そして明久くんという戦力がいないまま……ほむらちゃんがいう最悪の魔女「ワルプルギスの夜」という魔女が見滝原にやってきました。
皆が必死に戦っている中、私だけ何もしていませんでした。
そんな時にキュウベえが囁いてきました。
「まどかが魔法少女になればワルプルギスの夜が倒せるかもしれないよ」
私はそれを聞いて……迷ってしまいました。
そして返事をしようとした時
「ダメだよ、まどかちゃん……それじゃ、まどかちゃんが救えないじゃんか……」
明久くんが重傷の身でやってきました。
明久くんは痛くて堪らない筈なのに……笑顔で私に契約をさせないように言ってくれました。
「僕がやるから……」
明久くんはそう言って自分の何かもわからない力を開放しました。
その結果……明久くんは一度敵も味方も分からずに攻撃し出しました。
皆がやられていくのを私は黙って見ているだけしか出来ませんでした。
でも……明久くんを止めたい……その思いだけで明久くんを抱きしめました。
「大丈夫だよ、明久くん……ここには明久くんを傷つける人はいない……だから、ね?」
「ウウウゥゥゥゥゥ……」
「明久くん……ただ、倒す力じゃないでしょ?明久くんの力は……暖かい力……こんなの明久くんらしくないよ……」
「ウウウゥゥゥゥゥゥゥ……マ……マ……ド……カ……チャン……?」
「そうだよ、まどかだよ。明久くん……明久くんなら出来るよ」
そして明久くんの瞳に光が戻りました。
「ごめん、ありがとう、まどかちゃん……もう、大丈夫だから……見てて?」
そして明久くんは右手を握ると……そこには槍が握られていました。
その背中を見て私は思いました……明久くんは私たちを守ってくれるけど……だったら明久くんは誰が守るの?と……。
明久くんはずっと私たちを守って戦ってきました……そしてその背中を見て……守ってあげたいと思いました。
思えばこの時かもしれません……私が明久くんに恋してると気づいたのは……。
あれから早4年……まだ、気持ちは言ってないけど……でも、いつかは気づいてね、明久くん……?
これは救われた少女の物語……この物語の他の人物視点の本もあるよ……しかし、それはまたの機会にね……。