魔法少女と召喚獣   作:レゾナ

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第42話 学園長

召喚獣がオカルト的な物に変わった翌日。

 

僕は雄二と共に学園長室に来ていた。

 

「失礼します」

 

一言断りを入れてから室内に入る。

 

「おや、吉井かい。どうしたんだい?」

 

バタンッと急ぐように引き出しを閉める学園長。

 

何か見てたのかな?まあ、いいや。

 

「あの、今回の召喚獣の件に関して聞きにきたんですけど……」

 

「ああ、あれはちょっとした遊び心さね」

 

「遊び心だぁ?」

 

雄二、まったく信じてないね。まあ、僕もあまり信じてないけど。

 

「そうさね。もうすぐ夏だろ?肝試しにはもってこいの季節じゃないかい」

 

「えぇと……つまり、夏が近いから妖怪仕様の召喚獣にカスタマイズした、という事ですか?」

 

「ああ、吉井は理解が早くて助かるね。ああ、言っとくけどきちんと今日辺りにサプライズとして知らせようとはしてたんだよ」

 

まあ、知らせる気があったのなら……いい、のかな?

 

「あ、そういえば疑問なんだけどよ……なんで鹿目達の召喚獣は変わってねぇんだ?」

 

「さあ?それが彼女達の本質って事じゃないかい?」

 

学園長はそう言ってる。

 

そして、僕の中ではある仮説が浮かび上がってる。

 

それは「召喚獣システムは彼女達を()()()()と認識している」という物だった。

 

魔法少女だって結構オカルトちっくだし、そこを認識したのだろう。妖怪としてもだ。

 

そうなると、まどかちゃんはどうなるんだって話になるんだけど……ほむらちゃんから聞いていたこことは違う時間軸ではまどかちゃんは魔法少女になっていたという。

 

つまり、まどかちゃんもここでは違うが魔法少女としての力は持っていたのだ。

 

それをシステムが認識したって感じなんだろうけど……。

 

(って事は、このシステムを作った人は魔法少女の事を知ってるんじゃないか?)

 

そんな疑問に辿り着いた。

 

まあ、単なる疑問だし、システムがその本質を正しく理解したって事なのかもしれない。

 

考えてもしょうがないしね。僕は考えるよりも行動が先にだしね。

 

「そこまで考えてるんだ。肝試しの具体案、出来てんだろうな?」

 

「ああ、企画はここに纏めといたよ」

 

そう言って学園長は机の上にあった紙の束を雄二に手渡す。

 

「なるほどなぁ……この召喚獣を使った肝試し、やってみても構わねぇよな?」

 

「ああ、うちは自主性を重んじてるからね。何なら企画の責任者、やってみるかい?」

 

「へっ。いいぜ」

 

こうして雄二は肝試しの責任者となったのだけど……三年生とかから、何か言われないかな?

 

 

 

 

 

 

学園長SIDE

 

「ふぅ、何とか誤魔化せたね……」

 

まあ、企画は昨日の内に出来てたし、責任も押し付けれたしね。

 

「坂本は将来霧島の家が経営している会社に就職してって話は聞いてたけど……あの目さえあれば、大丈夫だろうね……問題は……」

 

私は引き出しの中に仕舞ったソウルジェムを取り出す。

 

「こいつが、反応した……」

 

今まで反応しなかったのに、だ。という事は

 

「坂本か吉井、どちらかに……ガングニールが宿っている」

 

可能性としては、吉井の方が高いね。

 

見滝原でのあの災害……恐らくは、ワルプルギスの夜となってしまったあの子を浄化したのは、吉井。

 

「よかったじゃないかい、グレン。あんたの最後の願い……バカみたいに優しい吉井が叶えてくれたよ……あの頃のあんたを見てるみたいさね」

 

あの頃は優しかった……でも、あの子を失ってからは魔法少女への憎しみしかなくて……。

 

「だから、私は見守る事を願ったのかもしれないね……」

 

『彼の願いを最後まで見届けたい』……それが私が願った事だ。

 

そして、こんな体になってしまった。戦闘なんて最低限の事しか出来ない。

 

でも、誰にもない私だけの能力があった。それが……この体の特異体質。

 

「誰も思わないだろうね……私が、何回もこの姿になってるなんて……」

 

右手を見つめながらそんな事を呟く。

 

今言った通り、私はなんどもこの姿になってきた。

 

というのも、私の願いによってこの体は死ねない体になった。

 

いや、正確に言えば死ぬと契約した年齢……確か、十五歳だったかね。そこまで年齢が若返って復活する。記憶を保持したまま。

 

「ホント、厄介な体だよ……でもま、感謝はしてるけどね」

 

あの子が消えた……正しくは浄化したという事を知れたんだから。

 

「さて、教育者として、やれる事はやらないとね……いつかは、問いただしてみるのもいいね」

 

私はそんな密かな楽しみを脳内に浮かべながら、学園長室を後にした。




学園長の半生が気になるね……どんな風に過ごしたのかな?

というか、皆さん、気持ち悪いって感想が多かったねwww

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