魔法少女と召喚獣   作:レゾナ

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第37話 テストと明かされた過去

「……雄二、勉強は捗ってる?」

 

「あ?ああ、結構な。本当、この勉強会をしてよかったと思うぜ」

 

みんなが食べ終わった後、お茶を飲んでいたら霧島さんが雄二にそう聞いた。

 

「……本当に?」

 

?霧島さんは何がしたいんだ?

 

「ああ、本当だ。今度の期末テストじゃ翔子を抜いちまうかもな……明久は抜けるかどうか、わからんが」

 

最後の所は小さく言って霧島さんに聞こえないようにしていたみたいだけど、僕には聞こえた。

 

まあ、僕自意識過剰でもなんでもなく、最近学力がついてきたからなぁ。

 

ホント、今までが嘘みたいだよ。

 

まあ、それもこれも……まどかちゃん達に顔向け出来ないなと思ったからやっただけなんだけど。

 

「……そこまで、言うなら…勝負、する?」

 

「あん?勝負だぁ?」

 

あ、なるほど。今現在のみんなの学力を調べたいわけね。

 

「……うん、みんながどれくらい学力がついたかを調べる為にもテストを用意する」

 

「なるほどな……それは面白そうだ」

 

あ、雄二が悪い笑みを浮かべた。

 

「明久、お前後でシバくからな」

 

「ちょっと待って!?僕何か言ったかした!?何もしてないし、何も言ってないよねぇ!?」

 

「お前の方から俺に対する侮辱を心の声で言ったような気配がしたんだ」

 

いかん、エスパーがここにいる……というか、僕そんなにわかりやすいのかな?

 

「しかし、ただやるってのもつまらねぇな……そうだ。テストの順位で寝る部屋を決めれるってのはどうだ?相部屋にするもよし、1人部屋でのんびり過ごすもよし」

 

なるほど。雄二はみんながこのテストに意欲的になるように賞品をつけたようだ。

 

「雄二よ、質問なのじゃが」

 

「何だ、秀吉?」

 

「上位の者から指名された下位の者は断ってもよいのか?」

 

「ああ、そうだな……状況にもよる。断っても構わないし、断らずにいてもいい」

 

そこは自由と。

 

「なぁるほど。うん、ボクは賛成かな♪」

 

工藤さんは賛成派らしい。まあ、合法的に康太と同室になれるんだから賛成しないわけにはいかないよね。

 

「いいんじゃない?面白そうだし」

 

優子さんもオッケーらしい。

 

この調子でいくと、みんなオッケーだな。

 

「いいわね、ウチらも賛成よ」

 

「はい、大賛成です!」

 

島田さんと姫路さんも賛成に一票を入れた。

 

まどかちゃん達も同様だ。

 

「……じゃあ、まだ開けていない新品の模擬試験を持ってくる」

 

霧島さんはそう言うと、部屋を出て行った。

 

というか、新品の模擬試験とかあるんだ、この家……。

 

改めて、霧島さんはお金持ちだなと実感させられたね。

 

 

 

 

 

「……それじゃ、試験開始」

 

霧島さんの声でみんな配られた模擬試験を裏返し、テストを開始する。

 

結構難しい感じの問題だけど……大丈夫、何とかいけてる筈。

 

僕は答案用紙が見えないように周りのみんなを見渡す。

 

秀吉はちょっと苦戦気味。あ、これはわかるって顔をしてシャーペンを動かし始めた。

 

優子さんはテストの解答が早い。さすがは優等生だ。

 

雄二と霧島さんは同じような速度でテストに解答を書いていっている。さすがは夫婦だね。

 

康太も相変わらず。でも、以前よりかはわかっているみたい。工藤さんもAクラスなだけあって解くのが早い。

 

姫路さんも早いけど……問題は島田さんだね。あまりペンが動いてないし。

 

まどかちゃんもほむらちゃんも早い。二人共、勉強は出来るほうだし。

 

杏子ちゃんは……ちょっと苦戦しているみたい。

 

さやかちゃんは……言うだけ野暮かな。あまり進んでないみたいだし。

 

そんなこんなで、テストの制限時間である五十分が過ぎ

 

「……終了」

 

「「「「だぁ~~……」」」」

 

「「「「「「「「ふぅ……」」」」」」」」

 

僕等男性陣は情けない声を上げてしまう。

 

結構集中してやってたしね。あ、周りを見ながら集中してたって事だからね?って誰に弁明してるんだろ、僕……。

 

「……解答を集める」

 

そう言って霧島さんはみんなの解答用紙を持って別の部屋に向かった。

 

それから、みんなで談笑していると何やら紙を持った霧島さんがやってきた。

 

「……お待たせ」

 

「おう、それで?結果はどうなったんだ?」

 

「……こんな感じ」

 

そう言って机の上に紙を広げる。どうやら点数を書いている紙らしい。

 

一位:吉井明久 100点

 

二位:霧島翔子  99点

 

三位:木下優子  89点

 

四位:坂本雄二  87点

 

五位:暁美ほむら 86点

 

六位:佐倉杏子  84点

 

七位:鹿目まどか 82点

 

八位:姫路瑞希  79点

 

九位:工藤愛子  77点

 

十位:美樹さやか  69点

 

十一位:土屋康太 61点

 

十二位:木下秀吉 49点

 

十三位:島田美波 42点

 

こんな結果になった。

 

杏子ちゃんは結構苦戦していたにも関わらず中々の高得点だ。

 

というか、僕100点だったんだ。そりゃ、全部解答欄は埋めたけどさ。

 

「…‥というわけで、吉井。どうする?」

 

「うぅん……」

 

僕としては一人でも構わないんだけど……でも、合宿では一人で寂しかったもんな。

 

それじゃあ……

 

「さやかちゃん、お願いしてもいい?」

 

「えっ?あ、あたし!?」

 

さやかちゃんは指名された事が意外なのか素っ頓狂な声を上げる。

 

「い、一応理由を聞いときたいんだけど……何で?」

 

「え、いや……さやかちゃんの笑顔って寂しさを吹っ飛ばしてくれる位の元気ハツラツって感じがあるからね。だからかな」

 

「そ、そうなんだ……」

 

さやかちゃんは小さくガッツポーズしている。何でだろ?

 

「じゃあ、次の人に「待ちなさい!!」……何、島田さん?」

 

僕が次に進めようとすると島田さんが待ったをかけた。

 

「吉井、美樹と一緒になるのは止めなさい!」

 

「そうです!美樹さんと同室になったら吉井君が危険です!」

 

「あ、あのさ……何でそう言っているのかわかんないんだけど……?」

 

「それもそうだな。大体、何で明久が襲われる側なんだ?」

 

雄二が頭を掻きながら言うと

 

「いいわ、証拠を見せてあげる」

 

そう言って島田さんが携帯で何かを検索する。

 

「これよ!」

 

僕達は携帯の画面に表示された物を見る。

 

「っ!!!!????」

 

それを見てさやかちゃんは顔を真っ青にする。

 

そこにはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『見滝原にて、女子生徒が同級生の男子生徒を刺殺か』

 

そこに写真が出ており、顔に黒い線は引かれているが……それは、まぎれもなく、僕とさやかちゃんだった。

 

 

 

 

まどかSIDE

 

こ、これ……間違いない、さやかちゃんが明久くんを貫いた時の言い訳になってた物だ。

 

で、でも……何で、この二人が知っているの……?

 

「な、なあ……この写真の二人って……明久と美樹じゃ……?」

 

坂本君に悪気はなかったと思う。でも坂本君がそう言った瞬間、さやかちゃんは走り去ってしまう。

 

私には見えた。さやかちゃんは瞼に涙を……溜めていた。

 

「逃げ出したのが証拠じゃない!吉井、あんな奴に構ってたら今度は本当に死ぬかもしれないわよ?」

 

「そうです吉井君!考え直してくださ」

 

ください、と言おうとしたと思う。でも、その言葉は最後まで言われる事はなかった。

 

ダンッ!!!!!!!!!!!!!

 

明久君が、右手をグーにして机に思いっきり上から叩きつけたからだ。

 

「「「「「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」」」」」

 

そのあまりの音量に私たちは一斉にビクついてしまう。

 

「……島田さん、姫路さん。そんなので僕とさやかちゃんを遠ざけようとしてたの?」

 

そうだ。明久君の言う通りだ。二人は今日ずっと、さやかちゃんと明久君を近づかせないようにしていた。

 

それはこの記事を読んでいたからだったんだ。

 

「そ、そうよ!あいつは吉井を殺そうとしたんでしょ?」

 

「そ、そうです!そんな人といたら吉井君が死んじゃいます!」

 

「君たちに……何がわかる……」

 

「あ、明久……?」

 

さすがの坂本君も動揺しているみたい。でも、私たちは知っている。

 

この状態の明久君は……かなり、怒っている。

 

「君たちにっ!!!さやかちゃんの何がわかるってんだ!!!!」

 

明久君はそう言うと、走ってさやかちゃんの後を追いました。

 

「ま、待ちなさい吉井!」

 

「待ってください、吉井君!」

 

そう叫んで島田さんと姫路さんは明久君を追おうとしますけど

 

「行かせねぇな」

 

杏子ちゃんが間に入りました。

 

「どきなさい、佐倉!」

 

「そうです、どいてください佐倉さん!」

 

「だから、退く訳にはいかねぇんだよ」

 

「あんた、美樹が吉井を殺そうとしたって知ってた筈でしょ!?何で一緒にいる事を許容してんのよ!?」

 

どうやら、島田さんは真相を知らないみたいだ。

 

あの記事にはさやかちゃんが明久君を刺したという事実しか書いていなかったみたいだから、その動機も知らないみたい。

 

「そりゃさやかの味方だからな、あたしは。それに……お前ら、当事者であるさやかの事を考えてんのか?」

 

「ど、どういう意味よ……?」

 

「簡単に言えば動機よ」

 

と、ほむらちゃんも参戦した。

 

「あなた達は、美樹さやかがどうしてそんな行動に出たのか。それを知ってるの?」

 

「し、知る訳ないでしょ!」

 

「でも、彼女が吉井君を殺そうとしたのは事実です!」

 

「なあ、美樹が明久を殺そうとしたのは何か理由があるんだろ?」

 

坂本君は島田さん達を無視して私たちにそう聞いてきた。

 

「ああ、そうだ。確かに理由はある……さやかはな、絶望しちまったんだよ」

 

「「「絶望?」」」

 

坂本君、木下君、土屋君がそう声を出す。

 

「そうだ。さやかにはな……小さい頃からずっと好きだった奴がいたんだ。でもさやかの幼なじみであるもう一人もさやかの好きな奴の事が好きだった」

 

「そして、意を決して告白したんだけれど……先に告白されていてオーケーされていてね。それでフラれたのよ」

 

「なるほどな、そりゃ確かに絶望する」

 

杏子ちゃんとほむらちゃんの説明にそう言う坂本君。

 

「そこからさやかは絶望しちまってな……誰も何も話しかけなかったんだ」

 

「そんな中、吉井明久だけは話しかけたのよ。それでさやかはそんなしつこい吉井明久を鬱陶しがってね……その結末が、その殺人未遂事件なのよ」

 

「「…………………」」

 

事情を聞いた二人は何も言わない。

 

いや、多分違う。何も言えないんだと思う。

 

「わかったか?さやかは自分の意思で明久を刺したわけじゃねぇ。だっていうのに……お前らはどうだ!?何も知らねぇで知った風な口叩きやがって……!」

 

杏子ちゃんはそう言ってズンズンと二人に歩み寄っていく。

 

「お前らはな……さやかの過去の傷を抉ったんだよ!少しは、その自覚を持ちやがれ!!」

 

そう言って杏子ちゃんは、二人を、殴った。

 

「……っ」

 

「……!」

 

二人は黙って、殴られた。

 

「ちょっとは反省しやがれ」

 

そう言って杏子ちゃんは出て行った。

 

その後には、重苦しい雰囲気だけが残されただけだった……。

 

SIDE OUT




やっはぁ!!……ヤバい、制裁がちょっと甘すぎたかもしれない。叩かれないかな……?

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