魔法少女と召喚獣   作:レゾナ

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第3話 Fクラスからの宣戦布告!

「失礼する。Fクラス代表、坂本雄二だ」

 

予想通りに雄二はやってきた。

 

応対したのは優子さんだ。(ちなみにこの前から優子さんと言ってるけどその事を聞いたら「いいわよ、別に気にしてないしね」と言われて許してもらえた。僕のこの相手を名前で呼ぶのちょっと自重しないとな……)

 

「Fクラスの代表が何の用なのかしら?」

 

「今やっている事を思い出せば自ずと答えはわかると思うが?」

 

「まあ、わかっているけどね。つまり?Fクラスからの宣戦布告だと?」

 

「いや、今回は宣戦布告だが様式が違う。俺たちが望むのは一騎打ちだ」

 

「一騎打ち?」

 

やっぱりその方法を取ってきたね……。

 

雄二達Fクラスの皆がいくら二度の試召戦争を経験したといっても点数ではこっちが圧倒的に有利。だったら少しでも勝率が高い方法を取る。それが代表を決めて一騎打ちさせる方法。

 

「何が狙いなの?」

 

「もちろんFクラスの勝利だが……俺個人としてはもう一つの目的がある」

 

「目的?」

 

「すまんがここでは話せない」

 

なるほど、つまりは雄二はその目的の為に戦ってきたと……

 

「いいんじゃないの?」

 

「明久……」

 

「吉井君?」

 

「雄二は今まであまりにも我慢してきたからね。ここらでいっそ発散させたら」

 

「明久……済まねぇな」

 

「いいよ、親友なんだから……ごめんね、交渉に割って入っちゃって……」

 

「いいわ。でも私たちだってAクラス、そうそう簡単には負けないわよ」

 

「よし、それじゃ……お互い代表を五人ずつ出して先に三勝した方の勝ち、という事でいいか?」

 

「ええ、いいわ。それじゃ科目選択は……そっちが三回、こっちが二回といった所かしら?」

 

「ああ、そうしてくれるとこっちとしても助かる」

 

「……それともう一つ」

 

「うおっ、ビックリした!?」

 

いきなりの登場、霧島さんだ。

 

え?霧島さんは何で霧島さんなのかって?もしも翔子さんなんて呼んでみてよ。雄二から鉄拳制裁が来るに決まってるでしょ?

 

「……負けた方は何でもいう事を一つ聞く」

 

それを聞いたムッツリーニがカメラを高速で準備し始めた。

 

「ムッツリーニ?」

 

「…………な、何だ?」

 

「そのカメラ、仕舞おうか?……お気に入り、なんでしょ?」

 

「………わかった(サッ)」

 

僕の凄みが効いたのかムッツリーニは素直にカメラを懐に仕舞う。

 

さて、メンバーはどうしようかな……。

 

 

 

「皆、よく聞いて。これから行われるFクラスとの一騎打ちで出すメンバーを発表する」

 

僕が壇上に上がってそう言うと皆緊張した面持ちで僕の言葉を待つ。

 

「一回戦は……優子さん。後に続く皆の士気を上げる為に頑張って」

 

「わかったわ」

 

優子さんは快く了承してくれた。

 

「二回戦は……ほむらちゃん。頼むね」

 

「わかったわ……あの女がやってきたらコテンパンにしてやろうかしら……」

 

なんだか物騒な事を言ってるけど無視しておこう。でもほむらちゃんがそんな事をしたら相手にトラウマを植え付けかねない気が……あ、それを望んでやってるのか。さすがはトリガーハッピー。

 

「……バカにされた気がするわね」

 

くそっ……なぜこうも僕の思っている事は彼女たちには筒抜けなんだ……。

 

彼女達というのはむろんまどかちゃん達。なぜか心をよく読まれる。

 

「三回戦は……工藤さん。お願い」

 

「よぅし、張りきっちゃうよ~!」

 

「四回戦は……まどかちゃん、頼むね」

 

「わかったよっ」

 

まどかちゃんは気合を入れるように手を胸の前でグッと握りこむ。

 

雄二達、驚くだろうなぁ……霧島さんが代表じゃなくて僕が代表だって知ったら……。

 

「そして最終戦……僕が出る?皆、文句があるなら遠慮なく言ってほしい。僕は出来るだけ皆の意見を取り入れたいからね」

 

「「「「………………」」」」

 

皆、黙っている。つまりは意見はないということ。

 

「……勝ちに、いくぞ!」

 

「「「「「「「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」」

 

そして、僕等の戦いが始まる……!

 

 

 

 

時間は昼休みを終えた午後一時。

 

場所はAクラス教室。

 

なぜAクラスなのかと言うと、Aクラスの教室のほうが広いためだ。

 

そして、教室の中央には縦横4mほど四角く線が引かれている。そこがバトルフィールドだ。

 

「それでは、これよりAクラス対Fクラスの一騎打ちを始めます」

 

今回の試験監督は、Aクラス担任にして学年主任の高橋洋子先生だ

 

「それでは、両名とも準備は良いですか?」

 

「って、明久!?」

 

「やっほぅ、雄二。お互い悔いのないように戦おうよ」

 

「おいおい、ちょっと待て。まさかとは思うが……お前が代表なのか?」

 

「うん、そうだよ」

 

「そうか……高橋先生、俺たちの準備はOKです」

 

「こちらもです」

 

「わかりました。では今よりAクラス対Fクラスの試合を開始します。一回戦、代表者は前へ」

 

優子さんが向かう。

 

対するFクラスからやってきたのは……

 

「あんただったのね、秀吉」

 

「姉上が相手か……これは厳しい戦いになりそうじゃ」

 

秀吉だった。秀吉って事は……向こうは他にも康太とかも出してくるね。ま、予想はしてたけど。

 

「明久。あの秀吉って子、何で女子なのに男子の制服を着てるの?」

 

「あ、それは私も疑問に思ってたんだよね。何で?」

 

杏子ちゃんとさやかちゃんが僕にそんな事を聞いてくるけど……

 

「二人共何言ってるの?秀吉は男だよ?」

 

「は?んなのあるわけ」

 

「本当の話。木下秀吉は男。これが真実だから」

 

「………どっからどう見ても女にしか見えねぇんだけど……」

 

「まあ、そうだろうね。僕も最初は間違えたし」

 

ホント、なんであんなに容姿に恵まれて男なんだろうね、秀吉は……まあ、同じ顔をしている優子さんにも同じ事が言えるんだけど……。

 

「明久、それとは無関係なのだけれど……あっちの二人、あなたをずっと睨んでるわよ?」

 

あっちの二人?ほむらちゃんが指差した方を見てみると……そこには姫路さんと島田さんが僕を睨みつけていた。

 

「僕が何をしたっていうんだよ……」

 

「さあ?まあ、明久が気にする事はないわ。関係ないのだし」

 

そう言って試合の行く末を見守る僕等……ていうか

 

古典

 

Aクラス 木下優子 37点

 

VS

 

Fクラス 木下秀吉 35点

 

もう終わりそうなんだけど……早いね、展開。

 

「後、一撃入れれば終わりって所かしら……」

 

「そうじゃな……勝負!」

 

そして秀吉の召喚獣の武器、薙刀と優子さんの召喚獣の武器、ランスが交差する。

 

そして、二人の攻撃は……秀吉の召喚獣の薙刀は、優子さんの召喚獣の胸元に……優子さんの召喚獣のランスは、秀吉の召喚獣の腹部を貫通していた。

 

その結果

 

古典

 

Aクラス 木下優子 0点 戦死

 

VS

 

Fクラス 木下秀吉 0点 戦死

 

お互いに、戦死となっていた。

 

その瞬間

 

「第一回戦、引き分け!!」

 

高橋先生が、勝負の結果を宣言したのだった。

 

「それでは、第二回戦を開始します。代表者、前へ」

 

「吉井、出てきなさいっ!」

 

あっちの代表者は島田さんか……ん?何か嫌な予感が……。

 

「ふふっ……」

 

ほむらちゃんは笑みを浮かべながら前に出る。

 

ああ、ほむらちゃんの微笑みがものすごく怖い……。

 

「残念ながら貴女の相手は私よ、ごめんなさいね」

 

「なんであんたが相手なのよ!?吉井、出てきなさい!」

 

「はぁ、高橋先生始めてください……」

 

「わかりました。それでは、教科は?」

 

「数学でお願いします!」

 

「おい、島田!勝手に科目は選択するなとあれほど!」

 

「黙ってなさい!」

 

うわぁ……自分のクラスの代表に歯向かってるよ……。

 

「数学承認しました。召喚してください」

 

試獣召喚(サモン)っ!」

 

島田さんの召喚獣はサーベルを武器にしている軍服のような姿だ。

 

数学

 

Fクラス 島田美波 214点

 

「ふん、ウチは数学ならBクラス並なのよ!」

 

「そう。それで胸を張れるなんて、貴女の頭の中はお花畑なのかしら?」

 

「なんですってぇ!!!」

 

うわぁ……ほむらちゃん、相手を煽るねぇ……。

 

「はぁ……試獣召喚(サモン)っ」

 

ほむらちゃんも召喚獣を出す。

 

「うわっ、懐かしい……」

 

それはあの時の……中学二年の時の彼女の魔法少女の姿を小さくした物だった。

 

その証拠に左手には(バックラー)を持っている。

 

「試合、開始!」

 

その言葉とともに島田さんはほむらちゃんの召喚獣に突撃する。

 

「ふん、あんたの武器はその盾なんでしょうけど、盾でどうなるってのよ!」

 

そう言ってサーベルを構えて突き刺そうとするが……逆に島田さんの召喚獣が吹っ飛んだ。

 

「えっ?な、何で!?」

 

ほむらちゃんの召喚獣の手には……銃が握られている。

 

「残念ながら私の武器は盾ではないわ、私の武器は……」

 

そう言うとほむらちゃんの盾が光り……召喚獣の回りにロケットランチャーや手榴弾、RPGー7など重火器が出揃う。

 

「この重火器、全部よ」

 

すごっ……本当にあの時の再現みたいだ。

 

そして少し遅れて点数が表示される。

 

数学

 

Aクラス 暁美ほむら 459点

 

「な!?」

 

「ごめんなさいね。私、単純計算なら得意なの」

 

そう言うとまたほむらちゃんの召喚獣の盾が光り出して……何も起こらなかった。

 

「こけおどしね……えっ?ちょ、ちょっと何で動かないのよ?」

 

島田さんは動かそうとしているのだろうが、召喚獣は動かない。

 

「残念ながらこれで終わりね」

 

そう言うとほむらちゃんの召喚獣は無表情でロケットランチャーなどをバカスカと撃ちまくる。

 

しかしそのどれもが島田さんの召喚獣の1メートル前位で止まる。

 

「ちょ、ちょっと動きなさいよ!?まさか、あんた何かしたんじゃないでしょうね!?」

 

「まあ、確かに私がしたわね。でもこれは腕輪の力」

 

数学

 

Aクラス 暁美ほむら 159点

 

確かにほむらちゃんの点数は減っている。そしてほむらちゃんは島田さんの召喚獣の攻撃を受けていない。

 

という事は腕輪による消費だとわかる。

 

「私の腕輪の能力は……まあ、さしずめ私の召喚獣の時間を止める「時間停止(タイム・ストップ)」って所かしら?武器とかにも適用されるのね……」

 

もう、本当にあの時の再現になってるよ……。

 

「それで、これで終わりね……」

 

そしてほむらちゃんが指パッチンすると……時間が動き出したのか、ロケットランチャーや手榴弾、RPGなどが一斉に島田さんの召喚獣に襲いかかり……

 

数学

 

Fクラス 島田美波 0点 戦死

 

島田さんの点数は0になり、戦死となった。

 

「勝者、Aクラス!」

 

一回戦は引き分けたけど……二回戦は勝てた。

 

頼むよ、皆……!


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