魔法少女と召喚獣   作:レゾナ

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第35話 霧島宅でのお泊まり会

今日は週末。つまりはお泊まり会当日である。

 

僕はその為にバッグの中に着替えや教材などを詰め込んでいく。

 

そして全ての準備を整えた。

 

それと同時に

 

「アキ君、私を差し置いて勉強会など許されると思ってるんですか?」

 

姉さんが僕の部屋に突撃してきた。

 

「いや、言葉おかしいからね?それと、それただ単に僕がいなくなったら料理が食べれない事から出てくる言葉でしょ?」

 

「それは当然です。我が家では料理が出来る母さんとアキ君だけなんですよ」

 

そう。姉さんの言う通り、我が家では料理が出来るのは僕と母さんしかいない。

 

名前を上げなかった父さんと姉さんは料理が出来ない。というより作らせても暗黒物質しか作られない。

 

以前に一度だけ姉さんがおじやを作ってくれたのだが……なぜか黒く変色していた。

 

姉さんに何を入れたのかと問い詰めると

 

「えぇっと……まず精がつくようにヤモリの干物を入れましたね」

 

それを聞いた瞬間に僕はおじやの入っている鍋を生ごみとして処分した。

 

なぜヤモリの干物を入れる必要があるのかと思ったね……。

 

でも、姉さんと同種の杏子ちゃんは普通に料理は上手いけどなぁ……何でだろ?

 

「とりあえず作り置きはあるでしょ?」

 

「アキ君はカレーで2日間凌げと言うんですか?」

 

「いや、凌げると思うけど……というか、さすがに2日で飽きたりはしないでしょ?」

 

「それもそうですね」

 

あっけらかんとしてるなぁ……。

 

「それじゃ、行ってくるね」

 

「あ、待ってくださいアキ君」

 

「何?」

 

玄関から振り返って姉さんを向き合う。その顔はやけに真剣だ。

 

「今日、何か嫌な予感がします。ですので気をつけてくださいね」

 

「嫌な予感?」

 

姉さんの直感は正直言って怖いほど当たる。

 

そんな姉さんがここまで真剣な顔で気をつけろって言うんだから

 

「うん、わかった。注意しとく」

 

そう言って僕は家を出た。

 

「あ、明久君」

 

「今から出る所だったのね」

 

隣の部屋からまどかちゃんとほむらちゃんが

 

「お、明久。おはようだな」

 

「今日は待ちに待ったお泊まり会!騒ぐぞぉ!」

 

もう片方の隣の部屋からは杏子ちゃんとさやかちゃんが出てきた。

 

示し合わせた訳でもないのによく一緒に出てきたよね。

 

「さて、それじゃ向かおうか」

 

「「「「うんっ(おう)(ええ)」」」」

 

そして、僕等は雄二に持たされた地図(場所が分からなかったので雄二に書いてもらった)を持って霧島家へと向かった。

 

 

 

 

 

「えっと、ここだよね……?」

 

「そ、そうだったよね、ほむらちゃん?」

 

「ええ、ここで合ってる筈よ?」

 

ほむらちゃんが手に持った地図を見せてくる。

 

地図が指し示す場所は確かにここなんだけど……。

 

「へぇ~、こりゃ……」

 

「いやぁ……」

 

「「「「「でかい(な)(わね)……」」」」」

 

そう、でかい。ただひたすらにでかい。

 

こ、これが金持ちの家だというのか……!

 

「明久、圧倒されてはダメよ」

 

「ほむらちゃん、格好よさげに言ってるけど……その手に持っているバッグは何で揺れてるの?」

 

「こ、これは違っ……!」

 

僕がそう指摘するとほむらちゃんはバッグを持った手を空いている手で抑える。

 

どうやら動揺しているのを見られたくないらしい。

 

「あはは、ほむらちゃんでも動揺するんだねっ」

 

まどかちゃんは楽しそうに笑う。

 

「ま、まどか、今のは気にしなくてもいいわよっ?」

 

ほむらちゃん、どんだけ動揺したのがバレたくなかったの?

 

とりあえず、呼び鈴を鳴らす。

 

ピンポーン

 

「呼び鈴だけは普通の家みたいだな……」

 

杏子ちゃん、そこは突っ込んではいけない部分だ。

 

「……吉井、まどか、ほむら、さやか、杏子、いらっしゃい」

 

程なくして、私服姿の霧島さんが大きな扉から出てきた。

 

「「「「「お邪魔します(するわ)」」」」」

 

僕達はほぼ同時にそう言って頭を下げる。

 

「他の皆は?」

 

「……もう来てる。一部呼んでない人も来てるけど?」

 

へぇ、そうなんだ。一体、誰が来たんだろう?

 

「……とにかく、入って」

 

そう言われたので大人しく霧島さんの後をついていく。

 

「それにしても、お部屋がいっぱいだね」

 

まどかちゃんが家の中に入って少し歩いてからそんな事を言った。

 

まあ、確かに部屋の数が多い。ここまでの家なのだから仕方ないのかもしれないけど。

 

「あの部屋は?」

 

「……書斎」

 

書斎とかあるんだ……。

 

「あっちの大きなベッドのある部屋は?」

 

「……雄二と一緒に住む予定の部屋」

 

雄二、どうやら霧島さんは既に準備万端みたいだよ。

 

「……ここが勉強部屋」

 

そう言って部屋の扉を開ける霧島さん。

 

すると、なぜか工藤さんと康太が言い争いをしていた。

 

「?何を言い争いしてんだ、あいつら?」

 

杏子ちゃんも気になったようだ。

 

えっと内容は……

 

「康太君は頭でものを考えすぎだよ!『百聞は一見に如かず』って諺を知らないの!?」

 

「……充分なシミュレーションもなく実戦に挑むのは愚の骨頂」

 

「そうやって考えてばかりだから、いつまで経っても気づいてくれないんでしょ!?」

 

「……何を言われても信念を曲げる気はない」

 

「もう……康太君なんて、こうだっ!(チラッ」

 

「(ブバッ!)……卑怯な……!!」

 

そんな言い争いをしていた。

 

一体、どんな話題からあんな言い争いになってるんだろう……。

 

「明久君達、来たのね」

 

「おお、明久。来ておったのか。他の皆も」

 

と、僕達に気づいた木下姉弟が僕達に話しかけてきた。

 

そうだ、この際だから聞いてみよう。

 

「ねぇ、康太と工藤さんがあそこで言い争いをしてるんだけど、あれって何が原因?」

 

「ああ、それなのじゃがな……」

 

「愛子がね、土屋君に相談したのよ。「告白するにはどうすればいいかな?」って……そしたらその答えが「……俺はまず、相手の事を知る。綿密に情報を探ってから頭の中で告白の台詞を考えてから告白する」って言っちゃって……」

 

「それで、工藤が「あたしは一直線にしようと思うんだけど……」と言ったのじゃが……」

 

「それがなぜか、あんな風に言い争いになったって訳」

 

何とか二人の説明で状況はわかった。

 

要するに……工藤さんは康太に告白をしたいけど、康太がそれに気がつかない。そしてそれにしびれを切らした工藤さんが意地を張って、って感じかな。

 

「それにしても……あの子達、何で来たのかしら?」

 

「?」

 

優子さんが何やら呟いているが……。

 

「吉井、遅かったじゃない」

 

「遅いですよ、吉井君」

 

……あれ?今この場では聞こえるはずのない声が聞こえた気がする。

 

声の聞こえた方を見てみると……そこには案の定な人達がいた。

 

「姫路さん、島田さん、何でここにいるの?」

 

そこには呼んでいない姫路さんと島田さんの姿があった。




さあさあ、次回この姫路と島田……通称毒兎と絶壁がやらかしますよぉ!

そしてそれに杏子達がキレますよぉ!

次回を、乞うご期待!

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