僕は、真っ白い空間に一人、立っていた。
この空間を僕は知っている。なぜならここには今まで
でも、今ではその怨念も消え去っている。
いや、消え去っているというのは語弊があるだろう。見極めているのだ。
僕の言った事が真実かどうか……。
と、そんな事を考えていると
「来たんだな、吉井明久」
目の前に金髪のイケメンが現れた。
最初は「ちっイケメンが」と思っていたが、事情を聞いた後にはそんな事は考えないようになっていた。
「うん……」
「今のお前の抱えている悩みはわかっている。ガングニールだからな、私は」
そう、目の前のイケメンこそ初代ガングニールの所有者……名前は聞いた事はない。
「それで?お前はどうしたいんだ?」
「どうしたいって……それがわからないから来たんだよ」
「はぁ……今代の所有者は本当に……」
と、イケメンは頭を抱えている。
僕だって真剣に悩んでるんだよ。
「僕だって……出来る事ならまどかちゃん達とずっと一緒にいたいって思うよ……でも、またあの時のような感情を持つのは嫌なんだよ」
見滝原にいて……魔法少女という存在がいる事を知り、僕にも戦う力があるんだってわかった時……僕は、自分でもわからないところで魔法少女という存在自体を……嫌悪していた。
僕にだって何でなのかわからなかったけど……ガングニールと相対してからわかった。これは……歴代所有者の怨念から来る感情なのだと。
「あの時は何とか抑え込めれてた……でも、今度はどうなるかわからない」
「明久よ。お前は一つだけ勘違いしている」
「え?」
僕はイケメンの顔を見る。その顔には……笑顔があった。
「明久よ、お前にはわかる筈だ。この空間にはかつて私も溺れてしまった怨念の感情に溢れていた」
「そして、歴代の所有者達も怨念に勝てずに……その身を滅ぼしていった……」
「しかしだ。お前はそんな怨念達相手に「希望」を見せてくれた」
「き、ぼう……?」
「そうだ、希望だ。だからこそ、お前は唯一私のいる深層空間まで来れた」
「それは……」
「希望は絶望に打ち勝てる唯一の物……絶望に打ち拉がれたこの世界の私たちにとって……お前はそんな世界を壊してくれたヒーローのような物なんだ」
「僕がヒーローだなんて……」
僕にはヒーローになる資格なんてない。一時的とはいえ……僕は仲間であった筈のほむらちゃん、さやかちゃん、杏子ちゃん、マミさんに武器を向けたんだから。
「そんなお前だからこそ私はワルプルギスの夜を浄化してくれと頼んだんだ」
そう、僕はこのイケメンにワルプルギスの夜を浄化してくれと頼まれた。
何でも、彼が生前活躍していた時に側で見守っていてくれていた子がいた。
それがその時代の最強の魔法少女であり……ワルプルギスの夜となってしまった魔法少女だ。
キュウべぇから魔法少女のシステムを聞いたこの人は魔法少女という存在とキュウべぇに強い憎しみを持った。
それが彼自身愛用していた聖槍ガングニールに邪悪の力を宿らせてしまう結果になってしまい、今では聖邪槍ガングニールとなっている。
「そして……そんなお前だからこそ、歴代の所有者達も見守る事にしたのだろう」
「え……?」
見守る……?見極めるんじゃなくて?
「彼らもお前をとっくに認めているんだよ。自分達が囚われてしまったこの世界を壊してくれたお前を……だから、心配しなくてもいいと思うぞ」
目の前の彼は穏やかな笑みを崩さない。
「だから……もう、自分の気持ちに嘘をつくのは止めろ。万が一暴走してしまっても……彼女達がいる限り大丈夫だろ」
彼の言う彼女達というのは……やっぱり、まどかちゃん達かな?
「ふふふ。君は君の思う通りの道を突き進めばいい。そんな君だからこそ彼女達は君に惹かれたんだからね」
え……?惹かれた……って……?
「おっと。これ以上は無粋というものか。それじゃあね明久」
そう言って僕の意識は浮上していった……。
「んぅ……朝、か……」
僕は右手を上に掲げてみる。その手に淡い光が宿る。
「ガングニール……」
僕がなぜ、ガングニールを継承したかはわからない。
でも、これかなって仮説はある。
多分……ガングニールも怨念の事はどうにかしたいと思ったんだと思う。
それでこの闇を祓う事が出来る人物を探していた…んだと思う。
それで僕が選ばれた…………って、どう考えても拡大解釈なんだけどね。
「それでも、そう思えるって事は……余裕が出来たって事かな……」
それとわかった事……多分、ガングニールはもう暴走はしない。
それにしたとしても……。
僕は杏子ちゃんとさやかちゃんがいるであろう部屋の方向を見つめた後、今度はマミさんが住んでいるマンションの方向を見る。
そして最後にほむらちゃんとまどかちゃんがいるであろう部屋の方向を見る。
「皆がいてくれるんだから……安心出来るよね……」
よし、決めた。僕はもう嘘はつかない。
それでも……
「………………告白ってどうすればいいんだあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」
そう!僕、こんな感情を持った事など今まで一切合切ないのでどうすればいいのかわからない!!
「そうだ、雄二に聞けば!」
…………ダメだ!絶対にイジってくる!
「他は……ダメだ、康太もこういうのは慣れてないだろうし……」
ホント、どうすればいいんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!????
こんな感じになりましたが……明久くん、ヘタれすぎて何も言えません。