魔法少女と召喚獣   作:レゾナ

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第30話 過去と姉

僕は代表としての仕事を終えた後、皆が待っているであろう校門にやってきたのだが……

 

「あのさ……なんで、島田さんと姫路さんがいるの?」

 

「なによ、ウチ達がいたらいけないの?」

 

「私たちだって今度のテストはちょっと心配ですから、テスト勉強しないとって思ってただけです」

 

「いや、二人には僕達に関わらないように勧告してた筈だよね?」

 

実は、以前の合宿で二人ともう一人、清水さんの罰と覗きを実行した男子達に僕は罰を与えた。

 

清水さんには脅しを二度としないことと決して強引な手段を取らない事。

 

男子達と島田さん、姫路さんには学園で二度と関わらない事。

 

「吉井が言ったのは学園内での事よ。学園を出たら関係ないわ」

 

そっか……そういえば学園内って限定してたね……。

 

「ま、いいや。それじゃ、皆僕の家に向かおうか」

 

そして僕等は歩き出したのだが……

 

「な、なあ明久……何で鹿目達もこっちに来てんだ?あいつら、一度家に帰ってお前の家にいくんだろ?」

 

まどかちゃん達が僕達と一緒の方向に帰っている事に疑問を感じたのか雄二が僕にそう尋ねてきた。

 

「大丈夫だよ、それも僕の家に来たらわかるから」

 

「まさかお前……同棲してるのか?四人と」

 

「まさか。そんなのある訳ないよ」

 

そんな事がバレたらまどかちゃん達のお父さんに殺されてしまう。

 

「とにかく、付いてくればわかるから」

 

「???」

 

雄二は頭の上に?マークを浮かび上がらせながらついてくる。

 

そして僕の家があるマンションについて僕の家のドアの前にやってくる。

 

そして四人はそれぞれの家のドアの前に立つ。

 

「な、なあお前ら。まさかとは思うが……明久の家の隣がお前らの家なのか?」

 

「?何を当たり前の事を言ってんだ?そうじゃなきゃ、ドアの鍵なんて持ってるわけないだろ」

 

杏子ちゃんがそう言ってバックから鍵を取り出してドアの差込口に差し込み、鍵を開ける。

 

「そうよ。ちなみにこっちが私とまどかの家。そっちが美樹さやかと佐倉杏子の家よ」

 

そう言ってほむらちゃんも鍵を開ける。

 

これだけを見れば二人しか鍵を持ってないようにも見えるけどまどかちゃんとさやかちゃんも鍵をちゃんと持ってる。

 

最初に帰ってきた方が鍵を開けるみたいだからね。

 

「なるほどな……ん?それを明久は」

 

「うん、知ってたよ。というか、中二の時のクラスメイトだから」

 

「なるほど、納得だ」

 

「ちょっと待ちなさいよ!吉井、あんた鹿目達に変な事してるんじゃないでしょうね!?」

 

「不潔ですよ吉井君!お仕置きです!」

 

「ああ、もう。話が進まねぇから黙ってろ!」

 

雄二がいきなり騒ぎ出した二人を黙らせる。

 

ホント、何で僕ここまで嫌われてるんだろ……。

 

僕はとほほ……と思いながら中に入ろうかなと思い、鍵を開けようとするが

 

「あれ?鍵が開いてる……」

 

おかしい。僕の家の鍵は僕しか持ってない筈……何で鍵が開いてるんだ……?

 

「ああ、そういえば今日姉さんが来るんだった」

 

「姉?お主に姉がいたのか?」

 

「……初耳」

 

確かに皆には伝えていなかった。

 

「うん、でも今日来るなんて……早いな」

 

今日電話が来たってのに……。

 

僕はそう思いながらドアを開けると……目の前に姉さんがいた。

 

「アキくん、おかえりなさい」

 

吉井玲……何をしているかわからない両親の手伝いをしている天才超人だ。

 

「姉さん、ただいま。それと、おかえり」

 

「はい、ただいまです。それと……後ろの方々はお友達ですか?」

 

「うん、そうだけど……」

 

そう言うと、姉さんは雄二達を注視する。

 

「うん、合格ですね」

 

「「「???」」」

 

雄二、秀吉、康太は訳がわからずに首を傾げている。

 

「あなた達は……ダメですね、家の中に入る事は許しません」

 

「何でよっ!」

 

「そうです!私たちは何もしていないのに何で許されないんですか!?」

 

姉さんはどうやら島田さん達を家に入れない事にしたようだ。

 

「何でもです。勝手に入ろうとしたら……強制的に退出させるので」

 

「そんなっ!?」

 

「私たちは何もしていないんですよ!?」

 

「アキくんを苦しめる存在を容認する訳にはいかないので」

 

そのまま姉さんは島田さんと姫路さんをつまみ出す。

 

「「「………………」」」

 

雄二達は目の前の光景に唖然としている。

 

「皆、とりあえず中に入ろうか」

 

そう言って中に入り、リビングに通す。

 

「な、なあ明久……お前の姉さんって……何なんだ?」

 

「それって、どういう意味?」

 

「いや、何だかその……」

 

「……迫力が凄かった」

 

「うむ。有無を言わせないと言った強い思いがあるように見えたのじゃ」

 

ああ、やっぱりそんな風に見えたんだ。

 

「えっと……見滝原にいる時にちょっと、大怪我をしちゃってね……応急措置が遅かったら確実に障害を残す程の怪我をしちゃったんだ」

 

本当は腹を貫かれて、さやかちゃんの魔法の力で腹を塞いだんだけどね。

 

「何だとっ!?」

 

「だ、大丈夫だったのかっ!?」

 

「……なぜ言わなかった?」

 

「大丈夫だよ。今ではこうやって普通に生活出来てるんだし。言ったら言ったで心配させるしね」

 

「そ、そうだな……」

 

「……しかし、驚愕の真実」

 

「うん。そのせいで姉さんの過保護っぷりに拍車が掛かっちゃって……僕と関わりを持っている人を自分で見定めてるんだ」

 

「お前にとっちゃいい迷惑じゃないのか?」

 

うぅん、皆何か勘違いしてるね。

 

「姉さんの人を見る目は確かだから大丈夫だよ。姉さん曰く「その人の目を見ればアキくんとどうやって過ごしてきたかがわかりますから」らしいから」

 

「す、すげぇんだな、お前のお姉さん……」

 

雄二が驚いている。

 

まあ、僕も最初は信じられなかったけど……でも、姉さんは本当に僕の為にやってくれているんだから強くは言えないんだよね。

 

「さて、邪魔者は退散させたので……改めて、ただいまです、アキくん」

 

手をパンパンを払いながらリビングにやってきてそう言ってくる姉さん。

 

「うん、おかえり姉さん。こっちにはどれ位滞在する予定なの?」

 

「そうですね……ちょっと時間が掛かるかもしれませんが……概ね二週間を予定しています」

 

二週間か……結構長いな。

 

「それで?アキくんの友人達である貴方達は何でここに?」

 

「その前に自己紹介を……明久の友人である坂本雄二です」

 

「木下秀吉じゃ」

 

「……土屋康太」

 

と、康太が挨拶したところで姉さんは一瞬だけ驚いた顔をして

 

「……なるほど、貴方が……」

 

と、呟いた。

 

?姉さんは康太を知っているのか?でも、僕が康太と知り合ったのは中学の時からだし……康太と友達になった事も言ってたけど……。

 

ここまで驚く事ではないと思う。何に驚いたんだろう?

 

「こちらも自己紹介がまだでしたね。アキくんの姉である吉井玲です。いつも弟が世話になっています」

 

「ああ、いえいえ。俺たちも結構助かってますんで……」

 

「……明久、早く勉強を教えてほしい」

 

と、康太はさすがに我慢が出来なかったのかそう言って教材を広げる。

 

「……勉強をするのですか?」

 

「うん、今度学校で期末テストがあってね。それでテスト勉強したいって三人が」

 

「なるほど……でしたら、私もお教えしましょうか?」

 

「しかし……それは迷惑になるのでは?」

 

秀吉がちょっと恐れ多いのかそう言ったが

 

「大丈夫です。アメリカのボストンにある大学ですが既に大学課程は修了していますので」

 

「ちちち、ちょっと待ってくれ!?ボストンにある大学ってまさか……ハーバード大学か!?」

 

「さすがだね雄二。その通りだよ」

 

「「ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!???」」

 

「……驚き」

 

そう、姉さんはこれでも大学課程を修了しておりしかもあの世界に名高いハーバード大学を出ているのだ。

 

並大抵の事ではない。

 

「さて、それじゃちゃちゃっと勉強を「その前に」?どうしたの、姉さん?」

 

「いえ、少し土屋君に興味が沸いたので……アキくんは夕食の準備でもしていてください。土屋君、ベランダに行きましょうか」

 

「……?わかった」

 

そう言って康太を連れてベランダに向かう姉さん。

 

「?どうしたんだ、お前の姉貴?」

 

「さあ……?」

 

どうしたんだろう?

 

玲SIDE

 

さて、ここまでくれば大丈夫ですね。

 

「……話があるのか?」

 

「そうですね。単刀直入に伺います……貴方は9029ですか?」

 

「………………」

 

無言を貫くという事は肯定ですね。

 

「大丈夫ですよ。貴方が9029であったとしても私には関係のない事ですから」

 

「……なぜ、俺がそうだと思った?」

 

理由ですか……そうですね、強いて言うなら……。

 

「あの子と同じ目をしていた、からですね……あなたの仕事を受け継いだあの子……風見雄二君と」

 

「……っ!?」

 

驚きに目を見開かせる土屋君。

 

「……あいつは、無事なのか?」

 

「ええ、無事ですよ。今は所謂南の島で風見君を慕う女の子達と一緒に暮らしていますよ」

 

「……そうですか」

 

風見君が無事だと知った瞬間に安堵する様子を見せた土屋君。

 

やはり心配していたのですね。

 

「今度会いに行ってあげてはどうですか?」

 

「……そうだな。丁度もう少しで夏休みだし」

 

「はい」

 

本当に……彼は仲間を大切にしていますしね」

 

「私からの話はそれだけです……アキくんの事、よろしくお願いしますね」

 

「……言われるまでもない」

 

本当……頼れる人を友人にしましたね、アキくん……。

 

SIDE OUT




タグにグリザイアシリーズを入れようと思います。

夏休みになったら会いにいかせるので。

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