あの合宿から数日が過ぎ……もう少ししたら期末テストである。
僕は自室で教科書を開き、勉強をしていた。
いつも通りの事なのであるが……。
「でも、何でテスト勉強って言うんだろうね……テストって抜き打ちでやるみたいな形だし、これまでの勉強の成果をみせる物なんだから、意味はないと思うのに……」
僕は隣の家に耳を傾けてみる。
「ううぅぅぅぅぅぅぅ……うがあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!わかんないよぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
「さやか、お前はやれば出来るんだからやれよな……」
「うるさい、この天才才女が!何よ、今まで碌に勉強してこなかった筈なのに、私より勉強が出来るって!」
「明久やマミに教わった」
「くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
…………さやかちゃん、普段から勉強しないからでしょうに……。
Prrrrr
「ん?電話?」
僕はリビングに置いてある固定電話を取り、受信ボタンを押して耳に当てる。
「はい、もしもし」
『あ、明久ね。私よ』
「母さん?」
電話の相手は僕の母さんである吉井
結構放任主義であり、基本的に僕のする事は自己責任でねといった感じだ。
そして、世界を転々としている人だ。お父さんと姉さんもそれについていったんだけど……僕だけ日本に残ったんだよね。
「何か用事あるの?」
『ええ。ちょっと玲が日本に一時帰国する事になったからあんたの家に住まわせなさい』
「え?姉さん、一時帰国するの?」
僕の姉さん、吉井
例を出すなら杏子ちゃんと同じような感じかな。杏子ちゃんも天才だし。
『そうよ。ちょっとそっちで仕事が出来たんだけど……今動けるのが玲しかいないのよ』
「母さん達にも仕事が?」
『ええ……まあ、夏休みには一回帰るからね。それまでに大統りょ……先鋒と対談を済ませるから』
「ちょっと待って!?今、耳がおかしくなければ大統領って言わなかった!?」
『明久、耳がおかしくなったんじゃないの?』
いや、僕の耳は正常だ。
『ま、話はそれだけね。あ、それと……そっちにまどかちゃん達、行ってるでしょ?』
「え、母さん知ってるの?」
『ええ、ママ友であるまどかちゃんのお母さんとかから情報がやってくるのよ』
恐るべきは主婦の情報網か……。
『それなんだけどね……明久、了解はちゃんと取るのよ?』
「母さんは僕に何を望んでるの!?」
『あっはっは♪明久はからかうと面白いわね~♪じゃ、今回はそれだけだから。また夏休みにね♪』
そう言って向こうから電話を切った。
「ったく……」
それにしても……姉さんが帰ってくるのか……。
「何か、一悶着ありそうなんだけど……」
「えっ!?玲さん、帰ってくるの!?」
母さんから電話があった翌日の朝。皆で食卓を囲みながら僕は姉さんが帰ってくる事を報告した。
「そうなんだよ。だから、ちょっとね……」
「ああ、わかった。友達を教えたくないんでしょ?」
「うっ……」
さやかちゃんの言う通り……僕は僕の友達と姉さんを会わせたくはない。
それはまぁ……ある理由があるんだけど……でも、それで姉さんの機嫌を損ねたら……うぅ、考えるだけで身震いがする。
「まあ、坂本達なら大丈夫なんじゃない?明久の事を本当に大切にしているし」
「そうかな……?」
それでも、やっぱり不安だ。
「だったら、玲さんが帰ってきたら明久君の友達を家に招待したらいいんだよ」
と、まどかちゃんがそう提案した。
「でも、家に招待する理由なんて」
「期末テスト」
「え?」
僕が理由がないと言おうとした瞬間にほむらちゃんがそう言った。
「期末テストがあるでしょ?テスト勉強をしようって事なら何も怪しまれないと思うのだけど?」
そっか、確かにその手段があった……。
「よし、それじゃほむらちゃんの案を採用させてもらうよ。ありがとう、ほむらちゃん」
「別に。友達を助けるのは当然の事よ」
そう言って牛乳の入ったカップを口元に持っていき、牛乳を口に含む。
「まあ、それはいいとして……とりあえず、早く飯食っちまおうぜ?時間もちょっと厳しい感じだしな」
杏子ちゃんの言葉で時計を見てみたらいつも家を出る時間が後三十分後という所まで迫っていた。
「あ、そうだね」
そして皆で朝食を食べ終わり、学園に向かう。
姉さん、皆を
次回、玲さんが出てくるのですが……原作とは性格は違いますのでそこを承知の上で。
性格に関してはヒントを出しましょう。明久は一度瀕死の状態になってしまいました。そこに関係します。