僕は保健の先生に先ほど島田さんに殴られた僕のクラスメイトを預けて部屋に戻ってきていた。
「…………?」
ふと、風景に何か違和感を感じた。
「あ、明久。大丈夫だったのか?」
と、雄二が何だか慌ててといった感じで聞いてくる。
「うん、とりあえずは大丈夫そうだったけど、まだわかんない……ねぇ雄二」
「な、何だ……?」
「あの……何だか風景に違和感を感じるんだけど……」
何て言うのかな……狭まったみたいな……。
「あ……」
そこまで思って気づいた。襖が閉じられていたのだ。
「雄二、襖が閉じられてるよね?」
「そ、そうか?俺は知らなかったな……はは」
むぅ……怪しい……。
僕は襖の取っ手に手を掛ける。
「っ!ま、待て明久!襖を開けるな!」
「何でさ。開けないと他のクラスと連携が取れない……」
そこまで言ってから襖の先の光景を見て唖然となった。
そこには……島田さんと姫路さんを正座させてその周りをまどかちゃん達が覆っているというある意味シュールな光景だったからである。
僕は静かに襖を閉じた。
「雄二……君の言う通りにしておけばよかったよ……」
「ああ、済まんな。こっちの注意が遅かった……」
安易に開けた事を軽く後悔してしまいました……。
お昼休みを利用してクラスメイトの容態を見に行く。
「すいませ~ん」
「ああ、吉井君ね。どうしたの?また、誰かが怪我したとか?」
「ああ、いえ……僕のクラスメイトの容態をちょっと見にきて……」
「そうか……今は眠っているから、私から説明しよう」
そう言って僕に座布団を差し出してくる先生。
えっと……座布団を出すって事はちょっと長い話になるって事?
僕は座布団の上に腰を落ち着ける。
「それじゃあはっきりと言わせてもらうね……あの子の体だけど外にはなんら影響はなかったんだ」
外には影響はなかった?って事は……!
「まさか……内臓か、もしくは骨か何かが……?」
「そう。まさしくその通り。本当に軽くだけど肝臓にダメージを負っちゃってる……あ!でも、ちゃんと時間が経てば回復するレベルだから!」
先生は安心させようとして言ってくれたのだろう。しかし前半の部分が問題だった。
つまり……島田さんは肝臓にダメージを負うレベルの一撃を何の関係もないクラスメイトに喰らわせたのだ。
「先生……これはさすがに、もう容認出来るレベルじゃないと思うんですけど……」
「吉井君……」
僕は大体の事なら笑って許してやれる。それこそ相手が誠心誠意謝ってくれるなら尚更だ。
でも、島田さんは謝るどころか邪魔する奴が悪いと言ってまったく反省の色が見えなかった。
姫路さんもそんな島田さんを止めるんじゃなくて、むしろ加担していたように見えた。
「先生……この件の事、Aクラス代表として、学園長に進言します」
「吉井君……」
先生が僕を心配するような顔で見つめてくる。
「大丈夫ですよ。僕に被害が被るだけなので……それに、今回の件は本当に一歩間違えば……僕のクラスメイトに一生物の傷を背負わせる事になっていたんです……」
「そう、ですね……わかりました、他の先生方へは私から言っておきます」
「すいません、お願いします……それじゃあ、僕はこれで」
そう言って僕は部屋を出て行く。
その後も何やかんやあって……今は夜。
今回、僕はちょこっとだけ扉を開けて外の音に気を配ってみた。
すると
「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~!!!女子風呂ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~!!!!」」」」」」」」」
男子達のそんな大声が聞こえてきた。
「えっと……女子風呂って言ってたし……覗きに行くって事でいいんだよね……?」
今日も多分雄二達は加勢すると思うし……。
「僕も行こうかな……さすがに、親友が関係ない事で傷つけられるのは見たくないし……」
僕はそう言って頭を掻きながらお風呂場への道へと向かった。
お風呂場への道にはやはりというか、女子対男子という形になっていた。
そんな中でも雄二達は女子達に味方しているのだが……いかんせん、信用されていないらしい。
そんな中、僕は召喚する。
「
そして呼び出された召喚獣を操作し、雄二に振るわれようとした女子達の攻撃を木刀で押し返す。
「あ、明久っ!?」
「やっ、雄二。助っ人登場って奴だよ」
「貴方も覗きをしようとしてきた人ね!?」
あれ?もしやと思うけど……僕が僕だってわかってない?
「わぁっ!?待って待って!僕だよ僕!吉井明久っ!」
「だ、代表!?」
どうやら僕に襲いかかろうとした女子はAクラスの女子だったらしい。
「だ、代表、何でここにっ!?」
「何でも何も……救援に来たんだよ……女子達の救援にね!」
そう言ってその女子の後ろに襲いかかろうとしてきた男子の召喚獣を木刀で斬る。
「うわっ!?」
日本史
Fクラス モブA 0点(戦死)
VS
Aクラス 吉井明久 859点
「はぁっ!?何でAクラスの吉井がこの戦いに!?」
「というか、何で女子の味方してんだよっ!?」
「あいつも裏切り者だっ!」
「「「「「「「裏切り者には死をっ!!!!」」」」」」」
いや、裏切り者って……おかしいよね?
「吉井ぃぃ~~!!あんた、そんなにも女子の裸が見たいのっ!?」
「吉井君っ!そんなのはダメです!お仕置きです!」
そしてこの二人はまた僕に突っかかってきた。
僕が何したっていうのさ……。
「島田さん、あの男子生徒に謝ってくれる気になった?」
「そんなのはどうでもいいわ!吉井、お仕置きよ!」
どうでもいい?どうでもいいで片付けられたっていうのか?
そんなの……おかしいよ。
「島田さん……ちょっとだけ、どいててくれるかな?」
僕はそう言って召喚獣を操作する。
ザシュッ
「え?う、嘘……いつの間に……」
操作といってもそこまで難しい事はしていない。
ただ、近づいて斬りつけるようにしただけだ。
まあ、常人の目には映らないような早さで、だけどね。
日本史
Fクラス 島田美波 0点(戦死)
「美波ちゃん!?吉井君、許せません!」
許せないのはこっちの方なんだよ。
学園長、すみません。腕輪、使います。
「腕輪発動……!」
そして僕の召喚獣はガングニールと木刀の異質な二刀流の形を取る。
「いくよ……双針!」
僕はそう叫んで召喚獣を操作する。
双針……これは召喚獣を操作しての中では最高威力の連撃だ。息つく暇もない位に連撃をずっと喰らわせていく。
最初に防御の姿勢でもしていなければガングニールの一撃だけで点数という概念を破壊されて終わっちゃうからね。
でも、ただでは終わらせない。今回、学園長に頼んでガングニールの概念破壊の設定を無しにしてもらった。
学園長からは後々に何かしらの作業を無償でしなければいけないな。
「そ、そんなっ!?こんな早い攻撃、捌けるわけが……!」
そして姫路さんの高い点数も
日本史
Fクラス 姫路瑞希 0点(戦死)
いつの間にか、0点になっていた。
「だ、代表……?」
「ん?ああ、ごめんごめん。関係ない人に手を挙げた人達だからね……」
僕は西村先生に連れられていく島田さんと姫路さんを見る。
「大丈夫だよ。僕は覗きなんて興味はないし」
「えっ……そ、それって……代表は、男色!?」
「ちょっと待って!?僕にそっち系の趣味はないから!?」
まさか、僕のクラスに腐女子がいるとは思わなかった。
「おい明久っ!んな事してねぇでさっさと戦線に加わってくれ!」
「そんな事って何!?僕にはこの人に僕にはそっち系の趣味はないって事を証明しないといけないんだ!!」
「んな事は後でも出来んだろ!」
「嫌だぁ!!!後で絶対に言い広められる~~~!!!」
僕はその後、泣きながら戦い抜きました……うぅ、変な噂、出来ないといいな……。
最後に明久は何か大切な物を失くしたような気がするのは気のせいだろうか?
そんな明久と皆さんに朗報!次回、つまりは合宿最終日!夜に明久にラッキーな事が起こります!
「ラッキーな事……?それって皆にとってはラッキーな事だけど僕からしたらアンラッキーな事なんじゃないの……?」
……………………………………読者の皆、期待しててくれよな!
「今の間は何!?」