魔法少女と召喚獣   作:レゾナ

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第21話 下準備

そんなこんなで昼休み。

 

いつも通り、僕らは雄二達と一緒に昼休みに屋上に上がり、皆で昼食を食べる。

 

「あん?脅迫だぁ?」

 

「うん……ほら、これ」

 

僕はそう言って便箋を取り出す。

 

「……明久、これはラブレターじゃないんだな?」

 

「うん、脅迫状だよ?」

 

「……普通は、ラブレター等に使う色」

 

「ふぅむ……内容までは知らなかったが、そんな事が書かれておるとはの……」

 

「そうなのよ。だから土屋。これを送りつけた犯人、探せない?」

 

僕の身を心配してかさやかちゃんが康太に頼み込む。

 

「……何とかやってみよう。しかしあまり期待はしないでくれ。さすがに下駄箱付近の監視カメラを全てチェックするには時間がかかる」

 

「「「「「「「「そんな所にまで仕掛けてたのっ!?」」」」」」」

 

僕等の声が完全に一致した時だった。

 

「おっと。そういえば明久に伝えたい事があったんだった」

 

そう言うと雄二は弁当を置いて、僕に向き直る。

 

「どうしたの、雄二?」

 

「後生の頼みなんだが……今度の合宿で行く合宿所にお前たちはバスかなんかで行くだろう?」

 

「えぇと……」

 

僕は説明を受けていたにも関わらずド忘れしてしまった。

 

えっと……?

 

「確かにそうよ。学園から出るバスで約3時間。それが?」

 

僕の代わりにほむらちゃんが説明してくれた。ありがとう、ほむらちゃん。

 

「それでなんだが……俺たちFクラスにも何とか、手配してくれねぇか?」

 

「え?でも、確か全クラスそれぞれのバスで行くんじゃ」

 

「俺たちFクラスには、案内すらないそうだ。今日の朝のHRで現地集合と言われた」

 

「「「「「…………………」」」」」

 

それを聞いた僕等は唖然とする。

 

「ち、ちなみに聞くけど理由は……?」

 

「うちのバカ共が他のクラスの奴等に迷惑を掛ける可能性があるからだ」

 

なるほど、納得だ。

 

「わかった。じゃあ、条件付きという事で手配してあげる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、助かったぜ~明久の機転のおかげだな」

 

「そうかな?」

 

今、僕等がいるのはAクラスに割り振られたバスの中。その中にいるのは僕等AクラスメンバーとFクラスの雄二と秀吉と康太。

 

僕が言った条件というのが……『合宿の始まる前日まで誰にも暴力を振るわず誰にも怖い思いをさせない事』。

 

その結果……Fクラスの雄二達以外がこの条件を破り、Aクラスのバスに乗る事が出来なくなり、現地集合となった。

 

そういえば、さっき西村先生からある事を頼まれたんだけど……何でも合宿所に使っている場所のボイラーが少し調子が悪いらしく、自分一人だけでは手が足りなくなるかもしれないので出来る限り男手を集めてほしいという話だった。

 

雄二達に言えば引き受けてくれるかな……?

 

どうせなら驚かせたいし、合宿所に着いた時にでも聞いてみようかな。

 

あ、ちなみにこのバス、普通のバスとは違い、新幹線のように座席を回転させる事が出来る。

 

僕の席の隣には杏子ちゃん。後ろには雄二と霧島さん、前には工藤さんと康太。反対側の席にはほむらちゃんとまどかちゃん、さやかちゃんと秀吉。そして補助席にはなぜか優子さんが座っており、皆で向き合って座っている形になる。

 

このバス、すごい高性能だよね……ホント。

 

と、そんな事は後にして

 

「工藤さん、その本どうしたの?」

 

「えっ?ああ、コレ?」

 

そう言って工藤さんは持っている本を顔の所まで上げる。

 

「コレ、百均で買った心理テストの本。面白半分で買ってみたんだけど結構面白いんだ~、そうだ!やってみない?」

 

そう言って工藤さんは僕等にそう提案する。

 

「いいんじゃねぇか?面白そうだし」

 

「あたしもあたしも!面白そうだし!」

 

杏子ちゃんとさやかちゃんはやる気満々。

 

「おもしろそうね」

 

「うん、やってみようっ」

 

ほむらちゃんとまどかちゃんも同様のようだ。

 

「俺はパスだ。ちょっと昨日勉強しすぎで眠いんだ…」

 

「……雄二は乾いたスポンジに水を与えるみたいにどんどん知識を吸収していくから教え甲斐がある」

 

どうやら雄二達は昨日は勉強漬けだったらしい。だったら仕方ないだろう。

 

ちなみに先ほどから喋っていない秀吉と康太、優子さんは眠りについている。

 

康太に関しては何となく事情はわかるけど……秀吉達もこの合宿が楽しみだったのかな?

 

「それじゃ、早速第一問いくよっ♪『次の色でイメージする異性を挙げて下さい。緑 オレンジ 青』それぞれ似合うと思う人の名前を言ってもらえる?」

 

「えっと……順番に緑は島田さんに姫路さん、オレンジは雄二達、青は……まどかちゃん達、かな?」

 

「あたしは、そうだなぁ……緑は坂本達、オレンジと青は二つとも明久だな」

 

「おっ!珍しく意見が一致したね!あたしも同じだよ!」

 

「私もかな……」

 

「私もね」

 

「へぇ~ふぅん、ほぉ~」

 

工藤さんは答えを知っているからなのか僕等の顔をマジマジと見つめてくる。

 

「な、何……?」

 

「いや、なんでも~ただ、ご馳走様ってだけだよ♪」

 

 

「それじゃ、2問目。『一から十の数字で今あなたが思い浮かべた数字を順番に二つあげてください』だって。どう?」

 

一から十か……。

 

「僕は1と4だね」

 

「あたしは3と8だな」

 

「あたしは2と6だね」

 

「私は5と7」

 

「私は8と9だよ」

 

「なるほど、なるほど……えっとね……『最初に思い浮かべた数字はいつもまわりに見せているあなたの顔を表します』だって……それによるとね……」

 

明久・友情を大切にする

 

杏子・悪戯っ子

 

さやか・皆のムードメーカー

 

まどか・臆病で少し気弱

 

ほむら・強気で強引

 

 

なるほど、皆の感じをよく表してるね。

 

「それで、『後に思い浮かべた数字はあなたのあまり見せない本当の顔』だって……えっと……それぞれ……」

 

明久・全てを守ろうとする決意

 

杏子・困っている人を放っておけない

 

さやか・相談を誰にもせず一人で抱え込む

 

まどか・一途な人

 

ほむら・泣き虫ですぐに誰かに頼ろうとする

 

すごい……ほむらちゃんに至っては完全に合致している……!

 

ゲシッ

 

「痛いっ!?」

 

「?どうしたの、明久くん?」

 

「あ、ああ、いや……何でもない……」

 

ふと、足を踏まれた方向を見てみるとそこには……ふんっと頬を膨らませているほむらちゃんの姿があった。

 

僕、本当になんでこんなに心を読まれるんだろう……?

 

そしてそんな事をしている間にもどんどん合宿所に近づいていく僕等……。

 

この合宿で何か得られるといいんだけどな……。

 

ほむらSIDE

 

まったく……まさかこんな心理テストの本で昔の私の事を思い出すなんてね……。

 

昔の私は心理テストの通り……弱気で泣き虫で……ずっと誰かに頼ってた。

 

まあ、この世界に来て甘えてもいいんだってわかったけど……。

 

そしてそれを教えてくれたのが……目の前で私に踏まれた足を擦っている明久。

 

明久のおかげで私も無限のループとでも言う旅に終止符を打つ事が出来た。

 

明久に本当に感謝の言葉しかない……それと同時に明久には好意も持っている。

 

これに関しては……一体いつから、というはっきりとした理由はない。

 

ただ……気がついたら好きになってた……。

 

「………………………」

 

私は窓から綺麗な雲一つない青空を見る。

 

こんな空を見せてくれたのも……明久……。

 

すると、空を見ていたからなのか、日頃の疲れが出てしまったのかうとうとしてきてしまい意識を手放す。

 

そして思い出していた……明久と私たち魔法少女の出会いを……。

 

SIDE OUT




という事で、次回はほむら視点のまどマギの話。

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