魔法少女と召喚獣   作:レゾナ

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第16話

清涼祭から数日後……今日は休日。

 

「あ、そうだ」

 

僕は今更ながらに思い出して朝食中だというのに自分の部屋に向かう。

 

「おい明久。飯の最中に席を立つなよ。行儀が悪いぞ」

 

杏子ちゃんに注意されてしまった。

 

「ごめんごめん。ちょっと思い出した事があってね……それはそうとまどかちゃん?」

 

「ふえ?」

 

口に料理を運んだ直後だったのか口に料理を入れたまま返事をする。

 

「ああ、飲み込んでからでいいから」

 

「うん……っんく、ふぅ……で、何?」

 

「ほら、清涼祭でチケット貰ったじゃない?あれ、どうしたの?」

 

そう、優勝賞品として僕とまどかちゃんは白金の腕輪と如月ハイランドプレミアムオープンチケットを貰ったのだ。

 

「ああ、白金の腕輪と一緒に坂本君に渡しちゃったよ?私よりも坂本君の方が効果的に扱ってくれると思うし」

 

なるほど、まどかちゃんの言う通りだ。

 

僕が貰ったのは同時召喚型の白金の腕輪。この腕輪は召喚獣の操作技術が高くなければ意味がない。なにしろ自分一人でゲームのコントローラーを二つ使うような物なのだ。

 

そしてまどかちゃんが貰ったのは召喚フィールド型の腕輪だ。その能力は名前のままで先生の許可を受けずともランダムで教科を選んで召喚フィールドを構築するのだ。

 

こういうのは指揮官が臨機応変に対応する為の物でまどかちゃんのような娘が使うには些かあれである。

 

まどかちゃんの選択は正しいだろう。

 

「よかった……それでね?チケットなんだけど……まどかちゃん、一緒にいかない?」

 

それを聞いたまどかちゃんは……ご飯茶碗をその手から落とした。幸いにもご飯は落ちたりはしなかったがそれ位に驚いたという事だろう。

 

「ふえええぇぇぇぇぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇ!!!!!???」

 

まどかちゃんは顔を真っ赤にして慌てふためく。

 

「あああ、明久くんっ!?そそそそそ、それって!?」

 

「まどかちゃん、落ち着いて。ほら、深呼吸深呼吸」

 

「う、うん……す~は~……」

 

そして深呼吸をしたおかげか先ほどよりかは落ち着いていた。

 

「明久、なんでまどかを誘ったの?」

 

ほむらちゃんが険しい顔で僕にそう聞いてくる。

 

「ああ、何だかんだで清涼祭の時にはパートナーとして戦ってくれたし……その恩返し、かな?」

 

僕は正直な理由を喋る。

 

他にも色々とあるが大本の理由はこれだ。

 

「なるほどね……まあ、いいわ。それで?いつ、行くの?」

 

なんでこんなにこだわるのだろうか……?まあ、いいや。

 

今日は既に始まっている。昼から行ってもいいかもしれないがそれでは遊び足りなくなるかもしれない。

 

「明日も休みだし、明日行くよ。まどかちゃん、明日は大丈夫?」

 

「明久くんと……デート……明久くんと……え、えへへ……」

 

まどかちゃんはなぜか僕の名前を呼びながら笑顔になっていく。

 

僕、何かしたのかな?

 

ほむらSIDE

 

あの事があった夜……まどかよりも先に寝たと思わせて私は寝なかった。

 

寝るよりも大事な用があるからだった。

 

リビングにやってくると……そこにはまどかと明久を除いた皆がいる。

 

「遅いわよ、ほむら」

 

「ごめんなさいね、まどかが中々寝なかったから」

 

多分、明日が楽しみでしょうがないんだけど……そりゃあね?私だって多分まどかと同じ事を言われたら明日が楽しみでしょうがなくなるんだけど……でも、今はifの事を想像している場合じゃない。

 

「それで?私は何も聞かされてないから状況がわからないんだけど……」

 

「わかったわ……簡潔に言うわね、明久がまどかを如月ハイランドのプレミアムチケットを使って誘ったのよ」

 

「あらあら♪明久くんに事情を聞きたいわね♪」

 

もの凄く良い笑顔でそう言ってのける巴マミ。本当に怖いわね……。

 

「それでね、マミさん……私達は邪魔はしない気なんだけど……」

 

「問題はあの2人だよな……」

 

佐倉杏子の言う通り私達の目下の敵はあの2人……島田美波と姫路瑞希だ。

 

「あの2人にいかにバレないようにするかが問題よね……」

 

「あの2人って……文化祭で明久くんに暴力を振るおうとしていたあの2人?」

 

ああ、そうか。巴マミはあの場にいたのよね。それなら知っているか。

 

「しかもよ……これはほぼ確定情報なんだけど……坂本の奴、明日に霧島さんを伴ってこの如月ハイランドに来るのよ」

 

美樹さやか……あなた、一体どこからそんな情報を仕入れてくるの?

 

「それは確かなのか、さやか?」

 

「ええ、土屋に確認を取ったから確定情報よ」

 

なるほどね……確かに彼ならその程度の情報なんか普通に手に入れてくるでしょうね……。

 

「それならFクラスのあの男子達も……いや、Fクラス全員で来る可能性もあるか……」

 

「あの2人は十中八九来るって事だね……」

 

一気に諦めムードになってしまう。

 

「そ、それでね?一つ疑問に思ったんだけど……」

 

と、巴マミはどうやら話題を変えてこの空気をなくそうとしているようだ。話に乗っかりましょう。

 

「その疑問とは?」

 

「あの2人って本当に明久くんの事、好きなの?」

 

それを聞いた瞬間、私は今までの事を思い返してみる。

 

明久が他の女性と話しているだけでお仕置きと称して暴力を振るう……ダメだ、この2人に関してはこの事しか思い出せない。

 

「まあ、所々の態度にはそんなのは出てるけど……」

 

「でも、あんなの見せられて「私達は明久が好きです」って言われても説得力ないよなぁ」

 

佐倉杏子の言う通り。あれを何も知らない人間が見ればただの憂さ晴らしにしか見えない。

 

「うぅん……よし、今はそんな事は考えないようにしよう!今の問題は明久とまどかのデートを監視……もとい、見守る事なんだから!」

 

美樹さやか。あなた、本音が出てたわよ。

 

「それじゃ、そういう事で……」

 

佐倉杏子はそう言うと座っていた椅子から立ち上がる。私達もそれに倣って席を立つ。

 

「明日は、何がなんでも、頑張るぞ~っ!」

 

「「「おぉ~!」」」

 

こうして、私達の明久とまどかのデートを監視……違う違う、見守る作戦は一応の結論を出してそれぞれの部屋に戻った。

 

ちなみに巴マミは帰る間際に美樹さやか達に新しい必殺技名が思いついたとかで伝授しようとしていた。

 

巴マミ……あなたは本っ当に変わらないわね……。

 

SIDE OUT




いやぁ……今回は雄二SIDEは最後らへんにしかしない事にしました。

これ、結構長くなるんですよね……まあ、頑張って書いていきますよ♪

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