あの後、もう既に時間も時間だったので皆には帰らせた。
そして僕は一人、学園長に今回の誘拐事件の事を報告していた。
「……という事がありまして。それで今回の妨害ですが竹原教頭先生の仕業だとハッキリしました。このように証言もばっちりです」
僕はそう言って録音機を取り出す。
実は、あの時録音機のスイッチをONにしてあの時の一通りの会話を録音してたんだ。
「なるほどね……やはりかい……」
「学園長。これは早急に警察に届けるべきでは?」
同席していた西村先生が学園長にそう進言する。
「いや。これだけじゃあいつはシラを切るよ。もっと明確な証拠がないとね」
「明確な証拠か……」
ほむらちゃんに頼めば容易に入手してくれるんだろうけど……さすがにほむらちゃんに危険な事はさせたくない。ほむらちゃんは平気を装っていたけど本当は怖くて仕方なかった筈なんだ。
だから、今回は僕等だけでやるしかないんだっ。
「教頭もなりふり構ってられないって感じだね……こうなると明日の召喚大会に何かしてくるかもしれないね……」
「大丈夫です。学園長達は教頭が今回の騒動の首謀者だという証拠をなんとしても掴んでください」
「吉井はどうする気だ?」
「僕は……明日、教頭先生に加担している先輩を確実に倒すために勉強してきます」
なぜなら僕とまどかちゃんの決勝の相手は……あの営業妨害をしてきた先輩二人なんだから。
「という訳なので、勉強教えてください」
「うん。何がというわけ、なの?」
僕が今現在いるのはマミさんの住んでいる家。
マミさんは僕よりも一歳年上。つまりは僕よりも頭はいい。中学校の時にも当時はもの凄くバカだった僕にも分かりやすく勉強を教えてくれた。
マミさんに教わって点数アップを狙っているのだ。
相手は曲がりなりにも三年生。僕よりも一歳年上だ。
負ける気はさらさらないがそれでも油断大敵。打てる手は打っておかないとね。
「うぅん……いいわ。でも。今日は泊まりがけは覚悟してね?」
「はいっ!」
さあて!勉強、頑張るぞ!
マミSIDE
「それじゃ、十分間休憩ね」
「はぁい……ふわぁ……」
「ふふっ。眠いの?」
「ああ、ちょっと……」
「待っててね。今紅茶を入れてくるから」
そう言って私は台所に向かい、お茶っ葉をティーポッドに入れてお湯を入れる。
(そういえば……昔、勉強を教えてって言われて泊まりがけだった時もこうやって紅茶を入れてあげたっけ……)
私はそんな事を思い出していた。
(ふふっ…‥そうそう、そしてこの後…)
私はティーカップとシュガースティック、ミルクを持って明久くんのところに向かうと……明久くんは机の上で腕を枕代わりにして眠っていた。
「ふふ……あの時と本当に一緒ね……」
そう、あの時もこうやって紅茶を持ってくると明久くんは眠っていたのだ。
「それじゃあ……あの時と同じ事をしようかしら」
私は紅茶等をテーブルの上に置いて明久くんを起こさないようにテーブルの上から私の膝の上に移動させる。
「ふふ、言ったでしょ?勝ったら膝枕してあげるって」
まあ、明久くんには聞こえていないだろうけれど。
「あの時はこんな事出来なかったもんね……」
もちろんあの時というのは私と明久くんが初めて出会った頃の事だ。
あの時は本当に色々な事が起こりすぎて……ビックリの連続だったもんね。
ワルプルギスの夜との戦いの後、明久くんと一緒に過ごしてきて明久くんは私たちの事を本当に大事に思っているっていうのがよくわかったの。
あの戦いの後、明久くんに勉強を教えるようになったもんね。
でもね、明久くん?そうやって気を張りすぎるのはダメだと思うの。
「だから……こういう時ばかりは気を緩めてもいいのよ……」
私たちは明久くんの事、大好きだから♪
私はそういう思いを込めながら、明久くんの頭を撫でつづけた……。
SIDE OUT
と、言いつつ短いという……ごめんなさい、マミさん……。