魔法少女と召喚獣   作:レゾナ

14 / 54
第12話 明久の怒り

「お前ら……皆に何してんだ……?」

 

「なっ!?て、てめぇ、何者だ!?」

 

「お、おい、こいつ吉井じゃねぇか!?」

 

「ははっ!一人で来るなんてな!野郎共、やっちまえ!」

 

男達が僕に拳を握り締めて殴り掛かろうとしてくる。

 

僕はそれを冷静に見極めて体の中に衝撃が通るように殴りつける。

 

「がっ!?」

 

「ぐっ!?」

 

「ごっ!?」

 

男達は僕とすれ違う度に倒れていき、リーダー格の男一人だけが残っていた。

 

「なっ……何でだ、吉井がこんなに強いなんて聞いてねぇぞ…!?」

 

聞いてない…か……つまりは、こいつらは学園の関係者から僕を脅迫するように言われてこんな事をしたって事か……。

 

「死ねや、おらぁ!!!」

 

男の一人が気絶から立ち直って何かを振り下ろしてくる。

 

多分、さっきバットかなにかが見えたからそれを振り下ろしているんだろうな。

 

僕はそれを見ずに左手だけで振り下ろされる前のバットを掴む。

 

「な、何で見えてねぇのにバットを掴めるんだ!?」

 

「黙れよ……」

 

僕はもう自分を抑制する事が出来なかった。

 

「お前ら……皆に何したのか、わかってんのか…?」

 

「あ………あ………………」

 

僕は殺気で皆が起きないように器用にコントロールして男達だけに当たるように殺気を放つ。

 

殺気を当てられた男達は勝手に起き上がり、歯をガチガチと鳴らして震えている。

 

「お前ら……誰の指示でこんな事をした……?」

 

「あ……あ…………」

 

「怯えてるだけじゃ聞こえねぇぞ!!!」

 

僕は思いっきり地面を踏みつける。

 

「「「「ひぃっ!!!?」」」」

 

「あ、あんたのとこの学園の教頭だ!教頭に頼まれたんだ!」

 

「教頭先生か……」

 

なるほど……やっぱり学園長の失脚を望んでいるのか……。

 

「他には何か言ってた?」

 

「よ、吉井は頭がいいと言われているがその本質はバカだ、あいつにとって大事な人たちを攫えばあいつはどうにも出来なくなるって言ってた!こ、この誘拐に関しては俺たちは乗り気じゃなかったんだ!!」

 

「そうか……でも、君たちが誘拐したのは事実なんだ……罪は償ってくれるよね?」

 

「あ、ああ!俺たちはもうこんなのとは足を洗う!喜んで警察にも行く!だから見逃してくれ!!」

 

「ああ、いいよ。さっさと逃げても」

 

「「「「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」

 

男達は悲鳴を上げながらカラオケの部屋を出て行った。

 

最初はあんなに自信満々だったのに……根性なしだな……。

 

「明久……」

 

っと、まずはほむらちゃん達を助けるのが先決だったな。

 

「大丈夫、ほむらちゃん?」

 

僕は縄を解きながらほむらちゃんにそう聞く。

 

他の皆は気持ちよさそうに眠っている。誘拐された事に気づいてないのかな?

 

まあ、気づかないだけマシ、なのかな?

 

ほむらちゃんの縄を解くと

 

ガシッ

 

ほむらちゃんはいきなり僕に抱きついてきた。

 

「……怖かった……怖かったよぅ、明久……」

 

「ほむらちゃん……」

 

僕はもう大丈夫だと思えるようにその背中をポンポンと叩く。

 

「大丈夫。大丈夫だから」

 

「うん……ありがとう、明久……」

 

その後、僕はほむらちゃんが安心するまでずっと背中をポンポンと叩きつづけた……。

 

 

 

「うぅぅ……///」

 

誘拐事件から数分後、ほむらちゃんはいきなり顔を真っ赤にして僕から遠のいた。

 

まあ、そろそろさやかちゃん達を起こさないといけなかったから結構タイミングはよかったけどね。

 

とりあえず皆に縄の痕なんかないかを確認してから皆を起こす。

 

「ほら、起きて。まどかちゃん、さやかちゃん、杏子ちゃん」

 

「むにゃむにゃ……明久、そんなに食べれないよ……」

 

「あ、明久君……///」

 

「どうだ、明久……私の料理の腕も相当上がっただろ……」

 

どんな夢を見てるんだよ皆……まあ、杏子ちゃんは料理の夢でさやかちゃんは僕の料理を食べてる夢で……まどかちゃんはどんな夢を見てるんだろ……僕の名前を呼びながら顔を赤らめてるけど……。

 

「むにゃ……あ、明久……?」

 

最初に起きたのはさやかちゃんだった。

 

「あれ……料理は?」

 

どうやらまだ寝ぼけているらしい。

 

「あ……あ、明久君!?」

 

まどかちゃんは驚きながら起こる。僕、何かしたかな……?

 

「あ……?明久、あたしの料理が食べれねぇってか!?」

 

「ちょ!?杏子ちゃん!?」

 

そして杏子ちゃんは僕を寝ぼけて襲いました。

 

とりあえず皆に状況を説明する。

 

「わ、私たち…誘拐されてたの!?」

 

「全然気づかなかったんだけど……」

 

「お前の場合は仕方ねぇかもしれねぇな。さやかだもんな」

 

「杏子!?どんだけあたしをバカ扱いするの!?」

 

「大丈夫だ、バカ扱いはしていない」

 

「バカ扱いはって何!?他の扱いはしてるって事!?」

 

「すげぇな……まさかバレるとは……」

 

「むっきぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

ははは……ようやく僕等らしくなってきたな……。

 

「それで?どうするの、明久?」

 

と、すっかり元に戻ったほむらちゃんがそう聞いてきた。

 

「うん、多分これ以上は何もしてこないと思う。後やってくるといったら……召喚大会の妨害か…僕の優勝を拒む為に決勝戦の相手の賄賂に協力するか、だろうね……」

 

とりあえずは皆を学園に連れていって……それから学園長に事の顛末を報告しないと……。

 

「それじゃ、帰ろうか?」

 

「「「「うん(ああ)(ええ)っ」」」」

 

そして皆でカラオケ店を後にした……とりあえず扉の修繕費などを支払って。




明久君、君は既に人間を止めていると思う……後ろ見ずにバットを握るって……。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。