魔法少女と召喚獣   作:レゾナ

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第10話 営業妨害その2

僕とまどかちゃんが休憩から戻ってくると

 

「全く。この喫茶店は従業員の態度がおかしいよな!」

 

「まったくだ!もうちょっと紳士的になれねぇとな!」

 

先ほど追い出した筈の二人が再びやってきていた。

 

あの二人は……まだ、懲りてなかったようだね……?

 

「おい、明久」

 

「あ、雄二。帰ってたんだ」

 

「お、おう……一体、何があったんだ?」

 

「ああ、あの二人はね、この喫茶店をバカにしてるんだよ……」

 

「いや、それは見ればわかるが……お前は何があったんだ?」

 

「え……?」

 

「いや、自覚がないのならいい……にしても、どう対処すっかな……」

 

雄二も一緒に考えてくれるようだ。

 

「いっその事、もう一回強制的に出そうかな?」

 

「いや、それはあいつらにとって好都合な事になる?」

 

「?どういう事なの?」

 

ああ、なるほど。僕はまどかちゃんに説明する。

 

「つまりは、一度暴力を振るった僕がまたあいつらの対応をしたらその時の事を吹聴するからだよ」

 

「ああ、なるほど……って、あれは明久くんは関係ないよ!」

 

そうは言ってもなぁ……絶対にそうしてくるだろうし。

 

「よし、明久。俺に名案が浮かんだ」

 

「おっ。何々?」

 

「と、その前に……翔子、予備のメイド服があっただろ?ちょっと持ってきてくれないか?」

 

「…わかった」

 

そう言って奥の方に向かう霧島さん。

 

?メイド服?どういう事?

 

そして数秒後、一着のメイド服を持って霧島さんが戻ってきた。

 

「…雄二、どうするの?」

 

「ああ、それはな……」

 

そこで雄二は言葉を切ってそのメイド服を手に取り、僕に差し出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前が、このメイド服で女装をしてあいつらに近づくんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

……………………

 

………………

 

…………

 

「えええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?」

 

「お、おい。何もそこまで驚かんでも……」

 

ヤバいヤバいヤバい!今の話をまどかちゃんは聞いている!

 

「あ、マミさんですか?明久くんが女装するらしいんで来てもらってもいいですか?はい、皆にはもう伝えましたんで♪」

 

くっ!もう既に情報が出回っているだと!?

 

こうしちゃいられない!急いで避難を「出来ると思ってるの?明久」振り返るとそこにはいい笑顔を浮かべて僕の肩に手を置くほむらちゃんの姿があった。

 

「あ、あの……女装だけは、勘弁で……「させると思う?」ですよね……」

 

そして僕はほむらちゃんにドナドナされてしまった……ほむらちゃんと一緒にいつもの4人もやってきてたし……。とほほ……。

 

坂本SIDE

 

あ、明久がドナドナされていった……というか、何か見覚えのない人まで行ってなかったか……?

 

「ふむ……明久のあの怯えよう……明久は昔、女装をしたことがあるのじゃろうか?」

 

まあ、秀吉の疑問もそうだろう。

 

俺自身、ビックリしている。しかし……

 

(明久……どんな姿になって帰ってくるんだろうな……)

 

正直、すっげぇ気になる。

 

というか……明久を連れていった……えぇと、暁美、だったか?あの子は明久をどう思ってるんだろうな……何だか表情が読めん……。

 

そして更衣室のカーテンが勢いよく開けられる。

 

「よう、明久。着替えた……か…………」

 

俺は驚きでその後声が出せなくなった。

 

そこには、金髪で目が黄色になっているメイドが立っていた……。

 

SIDE OUT

 

「雄二、僕だよ……」

 

「あ、明久か!?お前、その目どうしたんだっ!?」

 

「カラコンだよ。不本意ながら」

 

まあ、本当は違うのだが……。

 

「「「「「ふぅ…………♪」」」」」

 

僕の女装を半強制的に手伝った五人は満足!って感じだし……。

 

「はぁ……」

 

僕は半ば諦めながら二人の所に向かった……。

 

 

「お客様」

 

「何だ?って、こんな子もいたんだな」

 

「結構可愛いな」

 

何だろう……気持ち悪いぞこいつら……

 

「お客様、足元を掃除しますので少々よろしいでしょうか?」

 

「掃除?さっさと済ませてくれよ?」

 

僕は雄二に合図を送り……

 

「こ、この人!今私の胸を触りました!」

 

「は?何言っtぐぶぁ!?」

 

「こんな公衆の面前で痴漢行為とは、成敗するぜ」

 

雄二、ナイスドロップキック。

 

「何言ってんだ!!俺らは何も」

 

「黙れ!たった今、こいつはこのウェイトレスの胸触っただろうが!俺の目は節穴ではないぞ!」

 

あえて言おう、節穴だ。

 

「そうだな。人のところの従業員に手ぇ出したんだから、覚悟は出来てるよな?」

 

杏子ちゃん、殺気出てる殺気出てる。

 

あ、そうだ。

 

僕は押し付けられても尚、着替えを許しはしなかったブラを坊主先輩の頭に瞬間接着剤で貼り付ける。

 

ははは!これであの先輩は今日一日で変態のレッテルを貼られるのだ!

 

「ちっ!行くぞ夏川!!」

 

「こ、これ、外れねぇじゃねぇか!!畜生!!」

 

正義は勝つって言葉、こんな時の為にあるんじゃないかな、と僕は思った。

 

 

 

そして二回戦の会場にやってきたのだが……

 

「不戦敗?」

 

「はい、何でも対戦相手の二人が腹痛を訴えているという事で……」

 

「腹痛ですか……それは仕方ありませんね」

 

こうして二回戦は不戦勝……続く三回戦は

 

「ちょっと交際を考えさせてもらうわ」

 

「ま、待ってくれ友香!」

 

と、確かCクラス代表の小山さん……だったかな?が持っている本を見て驚愕しているBクラス代表の根本君。

 

何なのかな、あれ……?

 

そんなこんなで、この三回戦も不戦勝に終わった。

 

そして続く4回戦。

 

僕はまどかちゃんと一緒に出るのだが

 

「あれ?吉井達もそろそろなの?」

 

「そうなんですか?実は私達もそろそろ出番なんですよ」

 

ふぅん……って事はこの二人と当たる可能性もあるって訳か。

 

そして会場に向かえば……そこには案の定、二人が立っていた。

 

あれ?そういえば

 

『私も召喚獣がどんな感じなのか、見てみたいから明久くんの出る試合を教えて♪』

 

マミさんにそう言われてこの試合の時間を教えたのだが……来ているのだろうか?

 

僕は目を凝らして会場を見渡す。

 

すると……手を大きく振っているマミさんの姿を発見した。

 

「明久くーんっ!頑張ってーっ!」

 

僕はその応援に手を挙げて答える。

 

「マミさん、会場に来てたんだ……」

 

「うん、僕が教えたんだ」

 

さって、試合試合っと。

 

「勝ったら、膝枕で耳かきしてあげるから~!」

 

マミさんは、どうやら爆弾を落としたようだ。

 

「うえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」

 

「「「「「「「「吉井を殺せえええええええ!!!!!!!」」」」」」」」

 

なぜ、今そんな事を言うの、マミさん!?ほら!Fクラスの男子の視線に殺意が込められてるよ!?

 

「……吉井……どういう事かしら?」

 

僕にもわかりません。でも、応援らしいですよ?

 

「詳しく聞きたいのですが?」

 

言えません。中二の頃に結構してもらったとは口が裂けても言えません。

 

「「お仕置きが必要ね(ですね)……」」

 

「はぁ……」

 

僕は思わずため息をつく。

 

「明久くん……私がやるよ……」

 

「え、でも……」

 

「それでは、召喚してください」

 

「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

そして召喚獣が召喚され点数が表示される。

 

古典

 

Fクラス 姫路瑞希  399点

Fクラス 島田美波  6点

 

VS

 

Aクラス 鹿目まどか 400点

Aクラス 吉井明久  597点

 

「な、4回戦は数学じゃ……」

 

あれ?知らなかったのかな?4回戦は数学じゃなくて古典だったのに……。

 

「あれ位だったら……腕輪発動!無限の雨(インフィニット・レイン)!」

 

そしてまどかちゃんは試合開始早々腕輪を発動し、二人の視界に入る場所全てが矢で埋め尽くされていく。

 

「いっけぇ!乱れ弓(みだれゆみ)!」

 

おそらくはまたマミさんと考案した技名だろう、それを叫ぶと矢が全て二人の召喚獣を襲う。

 

古典

 

Fクラス 姫路瑞希 0点 戦死

Fクラス 島田美波 0点 戦死

 

難なく撃破。というか……僕、何もしてなくね?

 

ほぼ何もせずに準決勝までやってきてしまった……。


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