王咲燐は大空を舞う (氷狼)
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0.暗黒と紅蓮
皇帝が親しみ、親愛を気づいたその場所で……
「サァァァァゼクスゥゥッ‼‼」
皇帝が悲しみ、命を築き育てたその場所で……
「リィィィィィィィィッン‼‼」
暗黒と紅蓮が咆哮を上げて衝突する。
黒い魔力の波動、紅い魔力の鼓動。
それ全てが、一つの力と成りて二人の拳を包み込んでいた。
その異形の二人を見守る者が二人、そして共に戦う者達もまた絶叫の雄叫びを上げてお互い斬り、殴り、殺し合う。
「燐…………」
暗黒を心配するような声が戦場に透き通るように響き渡るが、戦っている者達は全てそんな声など聞こえないぐらいの衝突音と、怒号を上げてただひたすらにお互いを傷つけあう。
―――――――激昂と極怒……
紅蓮は暗黒の過ちを、暗黒は紅蓮の執着を。
「僕は、僕は‼」
紅蓮の魔力が大地を抉り、消滅させながら暗黒を襲う。
「僕は貴方を許さない‼」
「ケルベロスゥッ‼」
暗黒はまたも闇に堕ちる、暗黒の目には生気などなく、ただ破壊を。
今の日常を壊そうと必死だった、自分という存在を世界から消すために。
三匹の魔犬が暗黒に纏い、獣の雄叫びを発した瞬間抉れボロボロの大地から、黒と鈍い緑の黒柱が空に向かって聳え立つ。
『俺様はこういう事は好きではないのだがな』
三つの重なった唸り声のような言葉が暗黒から届く。
その言葉に、紅蓮は少し興味を持ったのか行動がぶれる。
「……地獄の番犬ッ‼
先程の黒柱とは違い、高熱を発す黒柱が大地を引き裂きながら、空を割りながら出現する。
その黒柱の根元が徐々に干乾び、千里に及ぶ大地に咲きつめる光の花が枯れていく。
それを眼の端に写した暗黒はまたも激昂し、叫ぶ。
「
花畑から、大地から無数の緑の光が漂い、暗黒に吸収される。
暗黒の胸から狂犬の巨大な口が出現してそれを喰っていく。
「や、止めろ。止めろ燐⁉」
腰に禍々しいオーラを放つ魔剣を指した女騎士は、悲鳴の如く叫びをあげる。
大地から出現する緑の光は全てこの場所を死守した者達の魂。
騎士道精神を根本とする彼女にとってはその行動は何よりも外道で、残酷だった。
そしてこの大地を枯らすその黒柱を、眼もとに涙を浮かばせながら叫ぶ。
「此処はッ‼お前が生涯守り通した場所だろう?私と、私と共に守っていこうと、未来永劫絶対に枯らす事が無いようにと、誓いあった結晶じゃないのかッ……‼」
だが、彼女の言葉は暗黒には聞こえない。
紅蓮も悲しみを歯を噛み締めて耐える、自分の師であり友であり、兄であった暗黒を見つめる。
「サァァァァァァァゼクスゥゥゥゥゥゥゥッッ‼‼」
目に映るのは唯闇雲に破壊と滅亡を繰り返す愚かな存在のみ。
「師匠、リン、リン兄さんッ‼貴方を何と呼べば、貴方は応えてくれるんですか⁉」
その問いにも答えない、暗黒は黒柱を止める。
その動作に先程叫んだ女性はピクリと反応するが……
「フェニックス‼」
次に発した彼の言葉でそれは潰される。
『燐様…………くっ……』
「…………
刹那、大地は炎に覆われた。
烈火の如く圧倒的熱量に支配された元暗黒の家は消失した。
「リィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッッン‼‼」
怒涛の怒りがさらに激しく渦巻く。
紅蓮の魔力は巨大な波となり、暗黒を包む。
「
しかしその波は彼の言葉に打ち消される。
「……………………サーティス」
『なんだ』
「――――――――――――」
『本当に、それでいいのだな』
「…………ああ」
一瞬、暗黒の雰囲気が元の暗黒に戻ったが、彼の力の根源がまた変わり黒い魔力に蝕まれていく様に狂気に戻っていく、いや……染まっていく。
「 」
魔力の根源たる詠唱を唱えた瞬間、暗黒は深淵の闇に包まれる。
完全に包まれる直前、彼の口が動く。
紅蓮はそれも認めずに闇に紅蓮の力をぶつけるが闇に変化はなく、無意味。
「認めない‼僕は認めない‼魔王として、僕は魔王としても貴方の弟子であり、友であり、弟としても認めないッ‼貴方は誰だ⁉私の師だ、友だ、兄だ、冥界の――――――皇帝だ!」
闇が肥大化していく。
それが何を意味しているのかを知っている他で戦っていた屈強な男たちや剣士、そして見守っていた一人の騎士と魔法使いの少女は守りの動作に入る。
「…………守るの。お兄ちゃんに教わったの」
銀の髪を靡かせる少女は教本を開いて、呪文を唱える。
「ℒℜL⁰ℊ Йℭ℘ TÿXэℬΠ……魔導騎士団第一壁」
巨大な西洋風の盾を持つ高さ2メートルを軽く超える長身の騎士が、少女の背後に60体ほど現れる。
「GюǍℛⅮ(護って)」
60人の騎士たちがそれぞれすべてのこの場に居る、暗黒と紅蓮を除く者達の元へ風の様に速く傍に向かう。そして…………
「リィィィッンッ‼」
騎士に抑えられて、身動きの取れない雌獅子の騎士の呼びかけにも遂に答えなかったその暗黒は、ガラスの如く割り、裂け、爆ぜた。
大地にその爆発で別れた欠片が突き刺さり、爆風と魔力の振動波が空を壊し、大地を潰した。
その爆心地には、いるはずの黒い暗黒は消えうせていた。
後に残ったのは無残に破壊の限りを尽くされた過去の栄光の証、そして絶句し爆心をジッと見つめる戦士たち。そして破壊の波動に耐え鎧がボロボロに崩れ葬られた魔導騎士。
悲しい水滴が、乾いた大地に落ちて音を響かせた。
報告文を読んでいない方で、あれ?あの元作品は?
なんか変わってる?って驚いている方もいるかもしれませんので
こちらをご覧ください↓
http://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=7488&uid=5530
9時前まで報告、として載せていたものです。
リメイク後の作品に、こちらはなるという事です。
