FAIRY TAIL ~妖精の双竜~   作:駄文帝

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翼人の過去2

「ありがとうございます」

 

そう言うルナは、レイから手当てを受け腹の辺りと右足首の所に包帯を巻ていた。

 

「私はルナと言います。あなたたちの名前はなんて言うんですか?」

 

「オレはナツ、でこっちがレイ、それとハッピーだ」

 

「よろしく」

 

「あい」

 

そう言ってナツは自分たちの紹介をする。

 

「よろしくお願いします。でもどうしてこんな森の奥に来たんですか?」

 

「それは・・・・」

 

レイは3日前のことを話始めた。

 

 

 

 

3日前、マリグリアの街にて

 

「やんのかぁ!?この年中露出男!!」

 

「てめぇこそやんのかぁ!?この年中マフラー男!!」

 

「「あ゛っ!!」」

 

そう言い合いナツとグレイが睨みあっていた。

 

「おまえを見てると寒気がしてくるんだよ。オレが暖めてやろうか!?」

 

「うるせぇ!オレはオマエ見てると暑苦しくなんだよ。オレが冷やしてやろうか!?」

 

そう言って互いに魔法を発動させ衝突するかと思われたその時・・・

 

「いいかげんにせんかぁ!!」

 

「「ぐほっ!!」」

 

そういって鎧を着た緋色の髪の女性「エルザ」が二人を殴り飛ばした。

 

「まったく。なんでお前たちはそんなに仲が悪いんだ」

 

「いつもの事だからしかたない」

 

「レイ居たのか」

 

エルザが声した方向を向くと、そこには大量のかき氷を食べているレイの姿があった。

 

「それでレイ、今回の喧嘩の原因は何なんだ?」

 

「二人が同じ依頼を受けようとした事」

 

「いったいどんな依頼なんだ?」

 

「これ」

 

レイはそう言うと一枚の紙を取り出した。エルザはそれを受け取りしばらくみた後・・・

 

「これは・・・・・グレイこれはお前には無理だ」

 

「なんだとぉ!!」

 

グレイはすぐに立ち上がり反論しようとするが・・・

 

「この依頼は先ほどS級に認定されたものだ」

 

「なぁ・・・!」

 

エルザの言葉になにも反論できなくなってしまうグレイ、一方のナツは・・・

 

「残念だったなグレイ!!レイ行くぞ!!」

 

「ナツ、引きずらないで」

 

「ナツ!レイ!おいらを置いてかないでよ!!」

 

かき氷を食べているレイを引きずりながら、慌てて追っかけてきたハッピーと共にギルドを出て行った。

 

 

 

 

「・・・と言う事があった」

 

「えーっと、その、楽しそうなギルドですね・・・」

 

「間違ってはない」

 

レイの話を聞いて困惑した表情を浮かべるルナ。

 

「ルナはなんでこんな所にいんだ?」

 

「その・・・大鴉の退治を任されまして・・・」

 

「おかしい」

 

「!!」

 

「「?」」

 

レイが言葉にレイは驚愕の表情を浮かべナツとハッピーは首を傾げる。

 

「子供を倒せないのに退治なんか普通は頼まない」

 

「「!!」」

 

レイの言葉にはっとした表情になるナツとハッピ。

 

「・・・そ、それは・・・」

 

「なにあったのか話してみて」

 

俯いているルナの近くに言って話かけるレイ。そんなレイに対してルナは自分の事を話始めた。

 

翼人が15歳になると全員が出来るようになる事が17歳になった今でも使えない事。

そのせいで村の人から虐待や暴言などを浴びせられた事。

そして昨日自分の母親である族長から大鴉の退治と言う名の死刑を告げられた事。

今自分に付けられている首輪のせいで逃げることが出来ない事。

 

その話を聞いたナツは怒りの形相で森の奥に向かおうとする。

 

「ナツ!」

 

それに気づいたレイがナツの右腕を掴んで止める。

 

「はなせよ・・・」

 

「ナツ、落ち着こうよ」

 

ハッピーがそう言ってナツを落ち着かせようとするが、ナツは・・・・

 

「落ち着けるわけねぇだろ!!自分の子供じゃねぇのかよ!?今すぐそいつをぶっ飛ばしてやる!!」

 

そう怒りの声を上げ森の奥に向かおうとするが、レイが後ろから抱きしめそれを止める。

 

「ナツ、そいつを倒しても何も変わらない。大鴉を倒してルナを自由にさせたほうがいい」

 

「うるせえ!!俺は・・・・」

 

ナツの言葉が途中で途切れる。なぜならルナが声を上げて泣いていたからだ。

 

「ど、どうしたんだ・・・何処か・・いてぇのか?」

 

泣いているルナを見てあたふたするナツ。

 

「ち、違います・・・だって・・私なんかのために・・・怒ってくれる人が・・久しぶりだったので・・・」

 

泣きながらそう答えるルナ。

 

「ナツ、一旦落ち着こう」

 

「お、おう」

 

ルナの涙を見たせいか落ち着いたナツがそう答えた。

 

 

 

 

ルナが泣き終わった後、その場に座って話をしていた。

 

「で、どうすんだ」

 

「一番速いのはナツとレイが大鴉を倒すことだね」

 

ハッピーが案を提案するが・・・・

 

「すいません。この首は私が大鴉を倒さないと外れないようになっているんです」

 

ルナによって却下された。

 

「だったら村に乗り込んで族長をぶっ飛ばせばいいんだ」

 

次にナツが提案するが・・・

 

「そ、それも無理です。村のそばには結界が貼られていて、中から外に出るのも、外から中に入るのも難しいんです」

 

またルナによって却下された。

 

「だったらどうしよう・・・」

 

そう言ってナツとハッピーそしてルナも頭を抱えて考えこむが・・・

 

「だったらもう一つ考えがある」

 

レイが声を上げた。

 

「ほ、本当かレイ」

 

「簡単なこと。私とナツがルナを扱・・・鍛えればいい」

 

「いま扱くって言おうとしませんでしたか!?」

 

「そんな事はない」

 

レイの言った不穏な言葉にルナが突っ込む。そんななかナツは・・・

 

「おしっ!!燃えてきたァ」

 

一人燃え上がってやる気を出していた。

 

 

 

 

一週間後

 

「は・・・は・・・は・・・」

 

全身傷だらけのルナが息切れを起して地面に倒れてした。

 

「ナツ、レイ、大鴉倒せそう?」

 

「無理じゃねぇか」

 

「ナツと同じ」

 

一方、無傷のナツとレイは、ルナの駄目だしをしていた。

 

「や、やっぱり・・・私には・・・」

 

「そうじゃない」

 

「え?」

 

ルナの言葉を遮ったレイの言葉に疑問の声をあげる。

 

「ルナは、魔力も技術も大鴉に勝てるくらいはある」

 

「でも・・・私は・・・」

 

「でもルナは自信がない」

 

「自信ですか?」

 

レイの言葉に首を傾げるルナ。

 

「そう。ルナは自信がないから勝てるって思いがない。それが弱くしている」

 

「でも・・・私は落ちこぼれですし・・・」

 

「よくわかんねぇけど・・・」

 

自分を自虐するルナの言葉をナツが遮る。

 

「勝てるって思わないでどうやって勝つんだ?」

 

「そ、それは・・・」

 

ナツの言葉に声を失うルナ。

 

「明日、大鴉の巣に行く」

 

「いいの!まだ勝てないんじゃないの!?」

 

「これ以上やってもルナが自信を取り戻さない限り無駄」

 

レイの言葉を聞いたルナが恐怖によって体を震わせる。

 

「心配すんなって。ピンチになったら助けてやっから」

 

そんなルナを見たナツはルナにそう言った。

 

 

 

 

翌日の昼、ルナを連れたナツたちは大鴉の巣の前まで来ていた。

 

「ここにいるんですね・・・」

 

そう言うルナの前には巨大な樹木があった。

 

「心配しない。ナツも言ったとうり危なくなったら助ける」

 

ルナを励まそうとレイが声をかけていると・・・・

 

「「ガァァァァァ!!」」

 

木の中から大鴉の子供が現れナツたちの方向に飛んでくる。

 

「俺がぶっ飛ばしてやる」

 

「ナツ、まって」

 

大鴉に攻撃しようするナツをレイが止める。

 

「何だよ、レイ」

 

「ゴメン。ルナ、コレの相手はあなたがやって」

 

「わ、私ですか!?」

 

突然の事に困惑するルナ。

 

「いいから、やってみて」

 

「わ、わかりました」

 

そう言って両手を合わせるルナ。

 

「ウインドメイク〝(スワロー)〟」

 

無数の燕が大鴉を襲う。そして・・・

 

「「ガァ・・・」」

 

大鴉が墜落した。

 

「え?」

 

思いがけない事に動揺するルナ。

 

「それがルナの力」

 

「こ、これが・・・私の・・」

 

信じられないっと言った表情をするルナ。そんな中・・・

 

「ガァァァァァァァァ!!!」

 

木の中から人の四倍ほどの大きさをした大鴉が現れた。

 

「でっけぇ!」

 

「大きい」

 

「普通の倍の大きさはあるよ!」

 

「コレを私が・・・」

 

その大きさにナツたちが動揺している最中・・・

 

「「ガァァァァァ!!」」

 

左右から現れた子供の大鴉がルナ目掛けて飛んできた。

 

「しまっ・・・」

 

ルナは目を閉じてくるであろう痛みの耐えようとするが・・・・

 

「?」

 

いつまで経っても痛みが来ることをなかった。ルナが目を開けるとそこには・・・

 

「大丈夫か、ルナ」

 

「怪我してない?」

 

ナツとレイによって丸焦げと氷漬けにされた大鴉がいた。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「雑魚は私たちがやる。ルナは親のほうを」

 

「はい!」

 

ルナは翼をはばたかせ、空へと飛んで行く。

 

「行ったな」

 

「あい」

 

「私たちはこいつ等の相手をしないと」

 

そう言うナツたちの周りには無数の子供の大鴉が現れた。

 

「多すぎるよ!!」

 

「50匹くらい。S級にされた理由はこれみたい」

 

そんな事はハッピーとレイが言っていると・・・

 

「燃えてきたぜ」

 

ナツはそう言った。

 

 

 

 

一方のルナは大鴉と戦いながらのぼっていき、かなり高い上空で戦っていた。

 

「ウインドメイク〝(ホーク)〟」

 

風で出来た鷹が大鴉に襲い掛かるが、大鴉はそれをかわしそのままルナに体当たりをする。

 

「くっ・・・」

 

それをかわすルナだが、完全にはかわしきれずわき腹を嘴によって切られてしまう。

 

(この大きさに反して速い・・・私の攻撃をどうやって当てたら・・・)

 

そんな事を考えていると、再び大鴉が体当たりをしてきて・・・

 

「がっ!!」

 

今度はかわしきれず翼と衝突そのまま吹き飛ばされてしまう。吹き飛ばされたルナはすぐに翼を動かしてた姿勢を整える。

 

(このままでは私がやられてしまう・・・幸いも相手の攻撃は体当たりだけ・・・体当たり・・・!そうかだったら・・・)

 

何か攻撃する手段を見つけたルナに対して再び飛んでくる大鴉。そしてルナは・・・

 

「ぐっ!!」

 

両手で嘴を掴み真正面から受け止める。

 

「この距離ならはずしません。ウインドメイク〝大鷲(イーグル)〟」

 

風で出来た巨大な大鷲が大鴉の体を貫き。

 

「ガァ・・・・」

 

そのまま地面へと落ちていった。ルナもその後を追いかけるが地面に落ちた大鴉に動きはない。そして・・・

 

「く、首輪が取れた・・・私が倒したの・・・」

 

ルナの首に付いた首輪とれる。そんな中・・

 

「おーい!ルナ!!」

 

「倒したの?」

 

「ルナすごいね!!」

 

子供の大鴉を倒したのであろうナツたちが来た。

 

「みなさん・・・本当にありがとうございます」

 

そう言ってルナが頭を下げた。

 

 

 

 

その後、帰ろうとするナツたちにルナが話していた。

 

「ルナはどうするの?」

 

「まだ決めてないんです。ナツさんたちはどうするですか?」

 

「依頼人の所にいくんだよぉ」

 

「報酬をもらいに行くんですか?」

 

「違うよ」

 

「え?」

 

ハッピーの言葉に疑問の声を上げるルナ。

 

「依頼は失敗した」

 

「で、でも大鴉は倒していますよ?」

 

「それはルナがやった事だろ。オレたちじゃねぇし」

 

「私はそんな事気にしません。そもそもナツさんやレイさんがいなかったら倒し事も出来ませんでした」

 

「そう言う問題じゃないんだよ」

 

「そう言うこと」

 

ナツたちの言葉を聞いて呆然とするルナ。

 

(すごいな。私もっとこの人たちと一緒にいたいな・・・そうだ!)

 

「あ、あの~」

 

「なんだ。報酬の事はかえねぇぞ」

 

「ちがいます。その、私を・・・」

 

「「「私を?」」」

 

「ギルドに入れて貰えますか?」

 

ルナの言葉を聞いて時が止まったように固まるナツたち。

 

「あ!その、めいわっ!?」

 

ルナの言葉は続かなかった。なぜならナツがルナの手を握って走りだしたからだ。

 

「ナ、ナツさん!?」

 

「新しい仲間だ!!」

 

「あいさ!!」

 

「二人とも速い」

 

そんなナツにハッピーとレイが追いかける。

 

「わ。私でいいですか!?」

 

「あったりめぇだろ!」

 

「あい!」

 

「これからよろしくルナ」

 

「は、はい!!」

 

そう言ったルナは今までにない笑顔だった。

 

 

 

 

時は戻りマグノリアの街、ルーシィの家。

 

「って事があったんです」

 

「そ・・そんなことが・・・」

 

そう言うルーシィの顔は暗い。さりげなく聞いてしまった事を後悔しているようだ。

 

「いいんですよ。ルーシィさん、過去の事を吹っ切った訳ではないですけど・・・・」

 

ルナはそう言いながら笑顔で・・・

 

「今はとっても幸せですから」

 

そういった。

 

 

 

 

 

 

 

一方同時刻、マグノリアから遠く離れた場所。

そこには、巨大な魔物が首から下が凍り漬け、そして本来あるはずの頭が切り飛ばされ離れた場所にあった。

 

「すまないな。ナツと離してしまって」

 

「なぜナツ?」

 

そこにはエルザとレイが立っていた。

 

「なぜって、お前はナツが好きじゃないのか?」

 

「そ、それは・・・・・」

 

普段は無表情のレイが顔を真っ赤にさせてそう言った。

 

「その様子だとあまり仲を進んでいないようだな」

 

「ナ、ナツがいろんな事をやっても反応してくれない」

 

「そうか。ナツはあまりそう言った事に反応を示さないからな。とにかく速く帰ろうか。妖精の尻尾(フェアリーテイル)に」

 

「うん」

 

そう言うと二人はマグノリアの方を向いた。

 




ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回からは原作の鉄の森を書きます。レイの戦闘シーンもあるので見てくれると嬉しいです。

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