FAIRY TAIL ~妖精の双竜~   作:駄文帝

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真実は悲しき氷の刃

絶対氷結(アイスドシェル)!?」

 

「アイスド・・」

 

「シェル?」

 

驚愕と声を上げるリオンに対して、首を傾げるナツとレイ。

その時二人は、グレイとリオンの言葉を思い出した。

 

『ウルはこの悪魔に絶対氷結(アイスドシェル)っていう魔法をかけた』

 

『ウルが命をかけて封じた悪魔だ』

 

『ウルはすでに死んだいる』

 

「「!!」」

 

そして二人共、グレイが何をしようとしているかを理解した。

 

「き、貴様・・・血迷ったか!?」

 

「今すぐ島の人の姿を元に戻せ・・・そして仲間を連れて出て行け。これはお前に与える最後にチャンスだ」

 

「なるほどその魔法は脅しか・・・くだらん」

 

口元に笑みを浮かべてそう言うリオン。

しかし次の瞬間、凄まじい魔力が吹き荒れる。

 

「くっ!」

 

「ぬぉぉっ!」

 

「うっ!」

 

吹き荒れる風に、ナツとレイは吹き飛ばされ、リオンはなんとかとどまる。

 

「本気だ」

 

「コイツ・・!!」

 

リオンは阻止するために攻撃しようとするが・・・

 

「うおぉっ!!」

 

グレイの凄まじい魔力の前に近づく事すら出来ず吹き飛ばされてしまう。

 

「この先何年経とうが・・オレのせいでウルが死んだ事実は変われねぇ。どこかで責任をとらなきゃいけなかったんだ」

 

グレイの巻かれた包帯やガーゼが解けていく。

三人はそんなグレイを驚愕した表情で見る。

 

「それをここにした」

 

ペリッと額に貼ってあった湿布が剥がれる。

 

「本気・・・なのか・・・!?」

 

「答えろリオン!!共に死ぬか生きるかだ!!」

 

グレイはリオン決死の言葉でに問い掛ける。

それに対してリオンはニヤッと笑い・・・

 

「やれよ。お前に死ぬ勇気はない」

 

そう答えた。

それを聞いたグレイは一度目を閉じた後、ゆっくりと開ける。

 

「残念だ」

 

「ぬぅぇあぁっ!!」

 

「うぐぅぅぅっ!!」

 

ナツとレイは力任せに立ち上がる。

 

「これで全て終わりだ!!アイスド・・・」

 

グレイが両腕を開き魔法を発動させよとしたその時・・・

 

「どアホォ!!」

 

「バカ!!」

 

ナツとレイがグレイを容赦なく殴り飛ばした。その結果、魔法は止まった。

リオンはその光景を見て目を見開く。

 

「ナツ・・・レイ・・・」

 

「勝手に出てきて責任が何だうるせぇんだよ」

 

「私達の獲物をたらないで」

 

「え、えもの!?」

 

ナツとレイの発言に目を丸くするグレイ。

 

「アイツはオレたちが倒すんだよ」

 

「な・・・!!オレにケジメつけさせてくれって言ったじゃねーか!!」

 

「それに私達は同意していない」

 

「てめら・・・」

 

「お?やんのか?」

 

グレイの言葉を聞いたナツは挑発的な笑みを浮かべる。

するとグレイはナツの胸倉を掴む。

 

「アイツとの決着はオレがつけなきゃならねんだよ!!」

 

グレイがそう怒鳴るがナツの表情は変わらず、レイは何時も通りの無表情だ。

 

「死ぬ覚悟だってできてんだ!!」

 

それを聞いた瞬間、ナツは自分の胸倉を掴むグレイの腕を掴む。

そしてレイは何時もの無表情とは打って変わってグレイを睨みつける。

 

「死ぬ事が決着かよ、あ?逃げてんじゃねぇぞ、コラ」

 

「生き死にだけが決着じゃないって言った。自分の言ったを忘れないで」

 

ナツとレイの言葉に絶句し、呆然とするグレイ。

 

「「「「!!」」」」

 

すると遺跡が突然揺れ始めた。

 

「な、何だ!?」

 

 

 

 

一方、遺跡の外では遺跡に揺れによる音が響いていた。

 

「何の音だ?」

 

「皆さん、あれを見てください!!」

 

「そんな・・・」

 

ルナの指をさした方向を向いたルーシィが呆然とした。

 

「傾いた遺跡が・・・戻っているね・・・」

 

 

 

 

「ど、どーなってんだ!?」

 

「こ、これじゃ月の光がまたデリオラに・・・」

 

「それはマズイ・・・」

 

ナツがバンバンっと床を足で蹴っていると・・・

 

「お取り込み中失礼」

 

グレイが先ほど開けた氷の壁の穴から、ザルティが現れた。

 

「ほっほっほっ、そろそろ夕日が出ますので、元に戻させてもらいましたぞ」

 

「ザルティ、お前だったのか」

 

「な、何者だコイツ・・・」

 

「オレたちが苦労して傾かせたのに・・・どうやって元に戻した!?」

 

「ほっほっほっ」

 

ナツの質問にザルティは笑うばかりで答えない。

 

「どうやって戻したーーーっ!!」

 

「さて・・・月の雫(ムーンドリップ)の儀式を始めに行きますかな」

 

「シカト」

 

ナツの怒鳴り声を無視して、ザルティは走り去ってしまう。

それにカチーンと来たナツは・・・

 

「上等じゃねぇかナマハゲがぁ!!」

 

「ほっほっほっ」

 

「待てやコラー!!」

 

「ナツ、待って」

 

思いっきりキレたナツはザルティを追いかけ始めた。

それを見たレイは慌ててナツを追いかける。

 

「オレをあのクソッタレをレイと一緒に100万回ぶっ飛ばす!!こっちはお前に任せるぞ!!」

 

ナツの言葉にグレイは頷く。

 

「負けたままじゃ名折れだろ?」

 

「オメーのじゃねぇぞ」

 

「わかってる?」

 

「ああ」

 

そして三人が同時に言った。

 

「「「妖精の尻尾(フェアリーテイル)のだ!!」」」

 

そしてナツとレイの姿が完全に見えなくなってしまた。

 

「やれやれ・・騒がしい奴等だ」

 

「おまえ・・・さっきオレが絶対氷結(アイスドシェル)を使おうとした時、ナツとレイが止めるのを計算にいれてやがったのか」

 

「いや・・・まさか奴等があの魔力に近づけるとは想像もなかった」

 

「じゃあ本気で喰らうつもりだったのか」

 

「そうだ」

 

グレイの質問にリオンは短くそう答えた。

 

「たとえオレが氷に閉じ込められようとオレには仲間がいる。そしてここは月の雫(ムーンドリップ)絶対氷結(アイスドシェル)が解かせる島だ」

 

「うかつだった・・・これで絶対氷結(アイスドシェル)は使えないな」

 

「それでも、このオレとの決着を望むと?お前はオレには勝てな・・・」

 

「もうやめよう」

 

「何!?」

 

思いがけないグレイの言葉に、目を見開くリオン。

 

「デリオラは諦めるんだ」

 

「何をバカなことを・・・脅しの次は説得だと?貴様のギルドには牙を抜く優秀な歯医者でもいるのか」

 

「リオン・・・よく聞いてくれ」

 

そしてグレイは・・・

 

「ウルは生きているんだ」

 

10年前の真実を言った。

その言葉にリオンは口を閉じて動きを止める。

 

絶対氷結(アイスドシェル)は自らの体を氷に変える魔法だったんだ。あの時・・・デリオラを封じた氷・・・つまりお前が今溶かそうとしている氷はウルなんだ」

 

リオンはまだ止まっている。

 

「ウルは・・・氷となって・・・今も生きている・・・今まで黙っていたのは悪かった・・・ウルとの約束だったんだ」

 

『アイツの事だ私が氷になった事を知れば、この魔法を解く為に人生を棒にふるだろう』

 

リオンは顔を俯かせてグレイに歩み寄ってきた。

 

「グレイ・・・」

 

「リオン・・・だからこんな事は・・・やっ」

 

「やめろ」そう言いたかったのだろう。

しかしグレイの口から出てきたのもは言葉ではなく、血だった。

 

「知っているさ、そんなくだらん事」

 

リオンがグレイの脇腹を氷の剣で刺した為だった。

 

「あれはもはやウルではない、ただの氷クズだ」

 

そうリオンは、何かに憑かれたような不気味な笑みを浮かべていた。

ブシュッと音を立てて剣が抜かれ、剣が消え去る。

グレイはドッと音を立てて地面に倒れる。

 

「お、お前・・・し、知って・・・た・・のか・・・」

 

「お前でって本気で信じている訳ではなかろう。ウルが生きているなどと。早く大人になる事だ」

 

「知ってて・・・こ、こんな事を・・・」

 

痛みに耐えながらグレイはそう呟いた。

 

 

 

 

「待ちやがれーーーっ!!この仮面野郎ー!!」

 

「ほっほっほっ」

 

「どうやって元に戻したんだーーーっ!!」

 

「ナツ、落ち着いて」

 

一方こちらは、ナツとレイが高笑いしているザルティを追いかけていた。

急に立ち止まったザルティが天井に手を向ける。

すると天井が崩れ落ち、ナツとレイの向かって行くが・・・

 

「効くかーー!!」

 

「邪魔」

 

炎と冷気、それぞれを纏った足によって粉々に砕かれてしまう。

しかしザルディが手を動かすと、その破片はまるで時間が遡ったかのように空に浮かび崩れ落ちた天井に集まりもとどうりになる。

 

「え?」

 

「ご覧の通りこうやって遺跡を元に戻したのです」

 

「こんな魔法が・・・」

 

ナツとレイが呆気に取られていると、ザルティが説明を始める。

 

失われた魔法(ロストマジック)の一種でございますな。その強力さと副作用の深刻さにより歴史より抹消された魔法」

 

「歴史?」

 

「あなたたちの滅竜魔法も然り」

 

そう言うとザルティはどこかに消えてしまう。

 

「消えたーーっ!!どこ行ったーーっ!!ちくしょオォーーっ!!」

 

「ナツ、落ち着く」

 

 

 

 

「数が多いな」

 

「一体何人いるんでしょう」

 

「しつこいわね」

 

「あい」

 

外のルーシィたちは今だ覆面集団と戦っていた。

ルーシィたちは次々と倒していくがそれでも減る気配が一向にない。

そんな時クリスが口を開いた。

 

「皆で先に行って。こいつ等を私一人で片付けるから」

 

「え!」

 

「無理ですよ。何人いるかわからないんですよ」

 

ルナはクリスを止めようとするが、クリスは安心させる様に笑みを見せながら。

 

「大丈夫だよ。これ使うから」

 

そう言って、クリスは包帯のしている目に自分の指をさす。

 

「本当に大丈夫なんだな」

 

「うん」

 

エルザはクリスに確認を取ると・・・

 

「ハッピー!!ルナ!!」

 

「あいさ!!」

 

「わかりました!!」

 

ハッピーとルナに声を掛け。

 

ハッピーとルナは、ルーシィとエルザを抱えて遺跡に向かって飛び立つ。

 

「ねぇ!!クリス一人で大丈夫なの!?」

 

「大丈夫だよ。クリスはね皆で戦うよりも、一人で戦った方が強いんだ」

 

「え?」

 

そのまま四人は遺跡の方に飛んで行った。

 

「さてと、皆行ったし私は本気をだすかな」

 

そして残ったクリスは目の包帯を外した。

 

 

 

 

 

一方、遺跡の中では、グレイがリオンを殴り付けていた。

 

「な・・!!バカな!!そのキズでなぜ動ける!?」

 

「限界だ・・・」

 

グレイは小さく呟く。

 

「あ!?」

 

「助けてやりたかったが、もう限界だ」

 

次の瞬間グレイは氷の弓矢を瞬時に作り、それを放つ。

そしてそれはリオンに直撃する。

 

「がっ」

 

吹き飛ばされたリオンはすぐに立ち上がろうとするが、グレイは顔面に足のつま先を喰らわせる。

グレイの猛攻はそれでは終わらず、蹴り、殴り、頭突きなどを次々喰らわせリオンをボコボコにする。

 

「がっ・・はぁ!!このオレがグレイごときに血を流すなど・・・あってはならんのだ!!」

 

よろよろとよろめくリオンが右手に魔力を集める。

 

「アイスメイク〝白竜(スノードラゴン)〟」

 

「ぐあぁっ」

 

リオンの作った竜がグレイの脇腹に噛み付き、グレイは吹き飛ばされる。

 

「無駄な魔力は使わせんでほしいな・・・オレはこの後デリオラとの一戦が控えているんでな」

 

「させる・・かよ・・」

 

「どうあがいたところでデリオラは間もなく復活する。もう誰にも止められんぞ・・」

 

「絶対・・止めてやる・・・」

 

リオンがマントを脱ぎ捨てる。

 

「お前がこんな所ではいつくばってる今まさに・・・ザルティは月の雫(ムーンドリップ)を行なっているというのにか?」

 

それに対してグレイは笑みを浮かべた。

 

「ナツとレイをなめんなよ」

 

 

 

 

「いよいよか・・・」

 

地下のデリオラの前には、ザルディが立っていた。

するとどこからか声が響いた。

 

「見つけたぞ」

 

「!」

 

「とりあえず燃えとけぇ!!」

 

「ほっほー愉快な売り言葉ですなぁ」

 

ナツが炎を纏ってザルティに突撃するが、ザルティはそれ飛んでをかわす。

 

「しかしなぜここがお分かりに?」

 

「オレは鼻がいいんだよ。ちなみにお前は女の香水のにニオイだ」

 

「ほっほっほっ」

 

ザルティは近くにあった岩に着地する。

 

「私はねぇ・・・どうしてもデリオラを復活させねばなりませんのですよ」

 

「やめとけ、やめとけ、もう無理だ」

 

「おや?なぜに無理と?」

 

「グレイがあいつをぶっ飛ばす。オレがお前をぶっ飛ばす。100万回な。それで終わりだ」

 

ナツが指をさしてそう言うが、ザルティは全く動じない。

 

「そうでしょうかねぇ?」

 

ザルティがデリオラをチラッと覗く。

つられるようにナツもデリオラを見て目を見開いた。そこには・・・

 

「ひ、光!?え!?誰かが上で儀式をやってんのか!?」

 

 

 

 

 

遺跡の上では・・・

 

「おおーん、おおーん」

 

トビーが一人で儀式を行なっていた。

 

 

 

 

「たった一人の儀式では月の雫(ムーンドリップ)の効果はですが、実はすでに十分な量の月の光が集まっております。後はキッカケさえ与えてあげれば・・・ホラ・・・」

 

「うおおっ!!」

 

デリオラの氷が溶けて水の変わり始めた。

しかしそんな中でナツは・・・

 

「レイのヤツ間に合うかな」

 

落ち着いており、そう呟いた。

 

「おや?思ったよりも落ち着いておりますね」

 

「レイのヤツがどこに行ったと思う」

 

ナツはそう言って笑みを浮かべる。

一方のザルティは少し考えた後、答えにいたった。

 

「まさか!?この事を見越して!!」

 

「そうだ!!作戦失敗だな」




遅れてしまって申しわけありません。
パソコンがウイルスに感染してデータがぶっ飛んだのと、体調を崩したのとで書く時間があまり取れませんでした。
それと別の小説を現在書いており、間に合えば今日中に投稿すると思いますので、そちらの方も見てくれると嬉しいです。

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