現在、私は自動車学校に通っているためまた遅れることがあると思いますがお許しください。
ルーシィたちがリオンの部下を倒した翌日。
「どこだここは?」
一晩経ち、目を覚ましたグレイがテントから出る。
すると近くにいたクリスが声を掛けてきた。
「よかった・・・心配したんだよ」
「!!」
「ここは村から少し離れた資材置き場らしいよ。昨夜、村がなくなったから、村の人はここに非難してるんだ」
「村が・・・なくなった?」
クリスの言葉に疑問を感じるグレイだが、リオンの言った『村を消してこい』を思い出す。
「くっ!!」
「グレイ!!」
グレイの胸に痛みが走る。
「大丈夫だ。それより他のヤツは?」
「他の皆はテントを一つ借りてそこにいるよ。ちょうど目を覚ましたら連れて来いってエルザに言われてたんだ」
クリスはそう言ってグレイをテントまで案内する。
そして見えてきたテントに入るグレイとクリス。
「「?」」
テントに入ってすぐ違和感を感じるグレイとクリス。
なぜならそこには・・・
「ナツとレイはどうしたんだ?」
「おかしいな?私が前に来た時はいたのに」
そうナツとレイがその場にいなかったのだ。
「ナツとレイには先に遺跡に向かわせた」
「二人ともオイラを置いて行ったんだよ」
「それとクリスさん、前って言っても夜からずっとグレイさんに付き添っていたじゃないですか・・・」
「皆で交代しよっかって、なてたのにね」
「うっ」
ルナとルーシィに指摘されて視線を逸らすクリス。
「さすがに放っておくわけにも行かないからな」
そう言葉を区切った後。
「グレイ、クリス、ルナにルーシィ・・・・お前たちは先に帰れ」
その言葉にこの場にいた全員が声を失った。
所変わって月の遺跡前。
「ナツ、そろそろ起きて」
「いっけね・・・せかっくいい事考えついたのに、寝すぎちまった」
そこにはナツとレイの二人がいた。
二人は遺跡の前に立つと。
「さーて・・・始めっか」
「わかった」
「私はこの依頼を少し甘く見ていたようだ、今のお前たちにはこの依頼を危険過ぎる、お前たちは一足先にギルドに返っていろ」
「ちょっと持てよ。それじゃあ依頼はどうすんだよ」
「そうだよ」
「依頼は私とレイとナツで何とかする。報酬の方も山分けするから心配するな」
グレイとクリスの抗議にそう返すエルザ。
「オレは行かせてもううぞ」
そう言って遺跡に向かおうするグレイをルナが羽交い絞めをして止める。
「放しやがれ!!」
「落ち着いてください!そんな傷だらけ行ったら今度こそ殺されますよ!!」
ルナはそう言ってグレイを必死に止めようとするが、徐々に力負けをして引き剥がされていく。
「ちょっとまって!!」
クリスの声がテント中に響き渡る。
その声を聞いたグレイとルナが動きを止める。
「どうしてなの・・・エルザたちならリオンってヤツを倒せる・・・何にどうしてグレイが行くの・・・」
その言葉を聞いたグレイは少し考えた後。
「これがオレの選んだ道なんだ。やらなきゃならねえ事なんだ。オレは・・・行かせてもらうぞ・・・」
ルナはその言葉に秘めた思いを感じて、腕の力を抜いてしまう。
グレイはルナを振り払って遺跡に向かっていく。
「エルザ・・・どうするの」
それを見たエルザは大きくため息をつくと
「仕方ないな。行くぞ」
「え?」
「この仕事を早く片づける」
「エルザさん」
「エルザ」
エルザの言葉にルナとクリスの顔に笑顔が浮かぶ。
その一方で・・・
「ねぇルーシィ、オイラの名前が出なかったんだけどこれは、オイラを問題ないって意味だよね?オイラは言うまでもないって意味じゃないよね?」
「えーっと・・・・」
ハッピーの質問にルーシィが苦悩していた。
再び所変わって月の遺跡内部。
「情けない・・・残ったのはお前だけか」
「おおーん」
遺跡の中にある王座にリオンが足を組んで座っており、その前にはトビーが申しわけなさそうに立っていた。
「
「オレが恐怖で気絶したのはナイショの方向で頼みます」
トビーの発言に呆れて言葉を失うリオン。
するとそこに仮面を被った男「ザルティ」がやってきた。
「これではデリオラの復活も危ういかも知れませんな」
「いたのかザルティ」
「今宵・・・月の魔力は全て注がれデリオラが復活する。しかし
「くだらん・・・最初からオレが手を下せばよかっただけの事」
「おおーん。めんぼくない」
リオンの言葉に申しわけなさそうにするトビー。
「相手はあの双竜と
「相変わらず情報が早いな。だがオレには勝てん。ウルをも超える氷の刃にはな」
それに対してザルティは感心したような声を出す。
「それはそれは頼もしい限りですな。では・・私めも久しぶり参戦しますかな」
「お前も戦えたのかよっ!?」
ザルティの言葉に驚くトビー。
「はい・・・〝
「失われた魔法!?おお?」
「フン。不気味な奴だ」
リオンがそういった瞬間、地鳴りのような音が響く。
天井から砂落ち、遺跡全体が揺れ始める。
「こ、これは!?」
「遺跡が崩れ・・・」
そう言いかけたトビーが気づく。
「いや・・・傾いた!!」
そう遺跡が大きく傾いてしまっていた。
「早速やってくれましたな」
そう言うザルティの視線は煙の先を向いている。
「ほれ・・・下にいますぞ」
「何!?」
煙が晴れた、崩れた床の穴を覗く二人。
するとそこには・・・
「普段しれねえうちに壊れてる事はよくあっけど」
「思ってやると結構大変」
「貴様ら・・・何のマネだ・・・」
リオンが憎たらしげに下を覗き込む。
「建物曲がったろ?」
「これで月の光は地下の悪魔に届かない」
建物を傾かせた張本人・・・ナツとレイがその場に立っていた。
「あれは
「
ザルティの説明を受けたリオンは二人を怒りを込めた目で睨む。
ナツとレイもリオンを睨む。
「ダメだ!!何がどうなったのか全然わかんね!!」
「この遺跡を傾けたようですな」
頭を抱えるトビーにザルティが説明を始める。
「遺跡を支える支柱を半分ほど破壊し傾かせた事で、月の光を届かせない作戦でしょう。見かけによらずキレ者にございますな」
「ごちゃごちゃうるせえよ!!」
「まって」
ザルティの説明が終わるとナツは両足に炎を纏い、レイはナツの右足にしがみつく。
「足に炎!?」
「あちらの方が
「かぁーーーっ!!」
そんな会話をしている間にも、ナツは炎を使って飛び出しリオンにリオンに直撃、レイはナツがリオンと直撃する寸前に手を離し床に足をつける。
ナツの攻撃を喰らったリオンは罅が入り、それが全身に渡って崩れ去る。
「こっちだ」
本物のリオンが右手に魔力を集め・・・
「空中じゃ避け入れまい」
リオンの放った無数の氷の大鷲がナツに襲い掛かる。
しかし途中でレイが立ち塞がり、全ての大鷲が直撃する。
「ふん。バカ・・・な!?」
リオンが驚きの声を上げる、それは自分の攻撃が直撃したレイが全く無傷で・・・それだけではなく何匹かの大鷲を食べていたからである。
「なかなかいい味」
「こんななでたらめな魔法が・・・」
「余所見してていいのか!!」
「!!」
レイに気を取られ過ぎてナツの接近に気づかなかったリオンが驚く。
ナツは拳を振るうがリオンは空中に飛んでそれを避ける。しかし・・・
「空中でいいの?」
「!!」
「氷竜の咆哮」
ナツの後ろにいたレイがブレスを放つ。
ナツはそれをしゃがんで外し、リオンに直撃すると思われたその時ザルティが手をかざした。
「な!?」
「レイ!!」
するとレイの下の床が崩れ落ち、その穴に落ちるレイ。
その結果、ブレスは上にずれ直撃を免れるリオン。
ナツは慌ててレイの元に向かう。
「ちっ」
「おやおや・・・運がよかったですな零帝様」
「オレが喰らっているのは、ナイショの方向で」
レイのブレスを喰らい右腕が凍っているトビーは全員が無視した。
「何をした?ザルティ」
「はて?」
「とぼけるな・・・床が崩れ落ちたのは、貴様の魔法でだろう」
「さすが零帝様お見通しでしたか・・・わかってください、氷竜の方は見ての通り氷の魔法は効きません。デリオラを復活させるまであなたを失う訳にはいかないのです。」
「ふっ」
それを聞いたリオンを口元に笑みを浮かべると、次の瞬間、氷の壁を周りに作った。
「出ていけこいつらはオレ一人で片付ける」
ナツがレイを引っ張り、二人とも床に足をつける。
「オレはデリオラを倒せる唯一の魔導師、零帝リオンだ。ウルをも超える氷でヤツも倒してみせよう」
「おやおや・・・」
「デリオラを・・・・」
「倒す?」
ナツとレイはリオンを不思議そうに見つめていた。
「もう半分倒されているようなモンじゃねーか」
「意味が分からない」
「全てはウルを超える為・・・夢の続きを見る為だ!!」
リオンはそう言って右腕をナツとレイに向け、氷の大鷲を放つ。
「だったらウルと直接戦えばいいんじゃねーの?」
「ナツ、ウルって人は多分・・・」
「ああ、すでに死んでいる」
ナツは器用に大鷲をよけながら、グレイの言った事を思い出す。
『オレに魔法を教えてくれた師匠、ウルが命を懸けて封じた悪魔だ』
「あれは死んだって事だったのか・・・」
「グレイのせいでなっ!!」
リオンが叫び、右手を振るう。
すると残っていた大鷲が側面からナツを襲おうとするが・・・
「私を忘れないで」
レイがその大鷲を素手でつかみ口元に持っていき食べ始める。
「過去に何があったか知らねえが、今オマエがやろうとしてる事で迷惑している奴がたくさんいるんだ」
ナツと大鷲を食べ終えたレイがリオンを睨みつける。
「いい加減目覚ましてもらうぞ。熱~いお灸でな」
一方のルーシィたちは森の中を走っていた。
「リオンは昔からウルを超える事だけを目標にして走ってきた。だからそのウルがいなくなって今、ウルを倒せなかったデリオラを倒す事でウルを超えようとしている」
「そっか・・・死んだ人起きこすには・・・」
「そんな方法しかありません・・・」
「あい」
ルーシィ、ルナ、ハッピーがそう言うと、グレイが口を開いた。
「いや・・・あいつは知らないんだ」
「え?」
「確かにウルはオレたちの前からいなくなった。だけど・・・」
そこで一呼吸置いた後・・・
「ウルはまだ生きている」
そう言った。
「「ええっ!?」」
「死んだんじゃ!?」
「うそぁっ!?」
その言葉に一名を除いた全員が驚く。
「どういう事だ?一体過去に何があった」
そんな中で唯一冷静なエルザがグレイを問いただす。
「十年前だ」
10年前、グレイの住んでいた街がデリオラに襲われた。
その街が壊滅するまで一日とかからなかった・・・
「デリオラ、噂には聞いていたがここまでとはな・・・」
廃墟となった街を一人の女魔導士「ウル」が歩いていた。
するとウルの目に、小さく呻く少年が映った。
「リオン!!こっちに来い、生存者がいる!!」
その少年はぶつぶつと何かを呟いている。
「お前!!大丈夫か!?」
リオンがその少年が声をかける。
「デリオラ・・・許さねえ・・デリオラ・・絶対・・」
憎しみ満ちた声でそう言う少年がグレイだった。
そしてこの出会いが全ての始まりだった。