FAIRY TAIL ~妖精の双竜~   作:駄文帝

20 / 27
デリオラ

村の前にある巨大な門の前まで来た一同。

そこには「KEEP OUT」と書かれていた。

 

「立ち入り禁止・・・って一体どんな村だよ」

 

「あの腕の事と関係あるのかな」

 

「わたしが上空から見た限りは普通の村でしたよ」

 

「すいませーん!!開けてください」

 

ルーシィが叫ぶが返事はない。

 

「まいったな・・・壊すか」

 

「ダメ!!」

 

「やめてください!!」

 

ルーシィとルナがナツに怒鳴ると上から声が聞こえてきた。

 

「何者だ」

 

「魔導士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)の者だ。依頼を受けてここに来た」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)・・・ああ!!先ほど受理されたと報告があったギルドか。全員紋章を見せろ」

 

そう言われて一同はそれぞれ身体に刻まれたギルドの紋章を見せる。

 

「本物のようだな。よし村の・・・」

 

「ちょっと待て、女達の服を脱がせろ」

 

男が村に入れようとすると、もう一人の男が遮ってそういった。

 

「仕方がないな」

 

「わかった」

 

「エルザさんやめてください!!」

 

「レイもこんなところで脱がないの!!」

 

「コラ!!脱がすな!!」

 

自分で服を脱ごうとするエルザとレイ、そしてそれを慌てて止めるルナとクリス。

ルーシィはナツとグレイに服を脱がされそうになっていた。

それを見た男は・・・

 

「うむ・・・すまん調子こいた」

 

まさか脱ぐとは思っていなかったであろうか少し動揺していた。

 

「入りなさい・・・村長を呼んでこよう」

 

そして門が開らき一同は村の中に入っていた。

 

 

 

 

「よくぞ来てくださった。魔導士の方々・・・ほがほが」

 

そう言って村人の中から出てきたのは、ここの村長である「モカ」。

村人は全員、身体全体をローブて覆い隠していた。

 

「早速ですが、これを見ていた頂きたい。皆の者、布を取りなさい」

 

モカがそう言うと、村人全員がローブを脱ぎ捨てる。

そこには消えたボボ同様、身体の一部が異形な者になっている村人たちの姿があった。

 

「やはり・・・」

 

「この村の人全員が・・・」

 

「私と・・・」

 

グレイとルナが驚き、ルーシィが唾を飲む。

そしてクリスは顔を曇らせた。

 

「スゲェモミアゲ!!」

 

「いや・・・見てほしいのはこっちじゃ・・・ほが・・・」

 

ナツは別な所で驚いていた。

 

「驚かれましたかな?ほがほが。この村に居る者全て・・・犬や鳥まで例外なくこのような呪いにかかております。ほが」

 

「言葉を返すようだが何を根拠に「呪い」だと?」

 

「病だとは考えなかったのか?」

 

疑問を感じたグレイとエルザがそう言うが・・・

 

「何十人という医者に見てもらいましたが。このような病気はないとの事です。ほが」

 

モカはそれを否定する。

 

「それに・・・こんな姿になってしまったのは〝月の魔力〟が関係しているのです」

 

「月の魔力?」

 

モカの言葉にルーシィが首を傾げる。

 

「元々この島では古代からの月の光を蓄積し、島全体が月のように輝く美しい島でした。しかし何年か前に突然月の光が紫色に変わり始めたのです」

 

「紫!?そんな月見た事ねーぞ」

 

「うん」

 

モカの説明にナツたちは驚く。

 

「だが・・現にこの島の月は紫になった・・・そして紫の月が現れてからワシ等の姿が変わりだした」

 

すると空に月が現れた。

 

「月が出てきた!!」

 

その月は紫色に色を変える。

 

「本当に色が変わりました・・・」

 

「不気味」

 

「これが月の魔力なのです」

 

モカがそういった瞬間、身体に異変が起こる。

 

「え?」

 

モカだけではなく、他の村人の異変が起こり始めた。

 

「何?どうしたの?」

 

すると村人は全員・・・悪魔のような姿になっていた。

それを見た一同は全員驚く。レイはいつもの無表情であったが。

 

「驚かして申し訳ない・・・紫の月が出ている間・・・ワシ等はこのような醜い悪魔の姿へと変えあってしまう。これを呪いと言わず・・・なんと言えばよいのでしょうか?」

 

「ひっく・・・ひっく・・・」

 

「大丈夫・・・大丈夫よ」

 

「うう・・・」

 

「う・・・」

 

村人のうち何人かは自分の変わり果てた姿を見て泣き出してしまう。

 

「朝になれば皆・・・元の姿に戻ります。しかし・・・中には戻れず心まで失ってしまう者が出てきたのです」

 

「そんな・・・」

 

「心の失い魔物と化してしまった者は殺す事に決めたのです」

 

「元に戻るかもしれねぇのにか!?」

 

モカの言葉を聞いたナツが怒鳴る。

 

「放っておけば皆がその魔物に殺される・・・ほが。幽閉しても牢など壊してしまうのです」

 

モカはそう言うと一枚の写真を取り出した。

そこにはボボの姿が映っている。

 

「だから・・・私の息子も殺しました。心まで悪魔になってしまった息子を・・・」

 

「・・・!!」

 

「その人・・ええ!?でも・・あたしたち昨日・・・」

 

「しっ」

 

ルーシィの言葉をグレイが遮った。

 

「ようやく消えちまった理由がわかった。そりゃあ・・・うかばれねぇわな」

 

「幽霊」その言葉が全員の頭の中をよぎった。

 

「さぞ高名な魔導士方とお見受けします。どかかこの島を救ってください・・・」

 

そう言って頭を下げるモカに続いて他の村人も頭を下げる。

 

「このままでは全員・・・心が奪われ・・・悪魔に・・・」

 

「そんな事にはならねえっ!!」

 

泣きながら頼み込むモカを見て、ナツは声を上げた。

 

「私たちの呪いを解く方法は一つ・・・」

 

モカは一呼吸置いた後・・・

 

「月を破壊してください」

 

『え!?』

 

ナツたちは、同時に声を上げた。

 

 

 

 

「見れば見るほど不気味な月だね」

 

村人たちが貸してくれた家の窓から空を見上げたハッピーがそう言った。

 

「ハッピー早く窓閉めなさいよ。村長さんの話聞いてなかったの?」

 

「何だっけ」

 

「月の光を浴びると、悪魔になる」

 

レイはそう言ってハッピーを抱えて窓を閉める。

 

「それにしてもまいったな」

 

「さすがに月を壊せってのはな・・・」

 

「うん・・」

 

無理、誰もがそう思っていると思ったが・・・

 

「何発殴れば壊れるか検討もつかねぇ」

 

「壊す気かよ!!」

 

「無理ですよ!!」

 

ナツだけは違ったらしい。

 

「さすがに月を壊すのは無理」

 

「そうね・・・どんな魔導士でもそれは出来ないと思う」

 

「でも月を壊せってのが依頼だぞ。できねぇってんじゃ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名がすたる」

 

「できねぇモンはできねぇんだよ!第一どうやって月まで行くん気だよ」

 

「ハッピーとルナ」

 

「さすがに無理」

 

「ハッピーさんと同じです」

 

そんな会話をしているとエルザが声を掛けた。

 

「まあ落ち着け。「月を壊せ」と言うのは被害者の視点からの発想だ。他の原因があるかもしれん」

 

「だといいんだがな」

 

グレイはそう言うと大きな欠伸をする。

 

「よしだったら明日は島を探検だ!!今日は寝るぞ!!」

 

「あいさー!!」

 

ナツとハッピーは寝床に勢いよく滑り込む。

 

「考えるのは明日だ・・・」

 

「そうしましょう・・・」

 

「もう遅いしな・・・」

 

そう言ってグレイとルナとエルザも寝床に入る。

 

「ナツ・・・布団」

 

レイはナツに布団を掛けた後、何故かその布団の中に入っていた。

 

「本当にナツの事がすきなのね・・・あたしも眠いし・・・寝よ」

 

ルーシィは布団に入るが・・・

 

「絶対に助けるからね・・・」

 

先ほどから部屋の端で考え込んでいたクリスの声が聞こえた。

 

 

 

 

「早ぇよ」

 

「まだめったゃ朝じゃねぇか」

 

「眠たいです」

 

「くぅ・・・」

 

「情けないいぞお前たち」

 

「猫!!起きろ!!」

 

「あい」

 

朝早く村を出ようしている一同はルーシィとエルザを除いて明らかに眠そうだった。

ちなみにレイは寝ながら歩くといった器用な技を披露している。

 

「クリス、昨晩はねむってなかったが、大丈夫か?」

 

「大丈夫だよ。心配掛けてごめんね」

 

「気にするな。それとお前の気持ちもわかるが、無茶だけはするなよ」

 

「わかってるよ・・・・」

 

そう言って顔を雲らせるクリス。

すると門の上から声が聞こえてきた。

 

「早いですね。辺りが悪魔だらけじゃ眠れませんでした?」

 

「そうじゃないの気にしないで」

 

「月を壊す前に島を少し調査したい。門を開けてくれないか?」

 

「何!?やっぱ壊すのか!?」

 

「ナツ、名目」

 

エルザと言葉に反応して怒鳴るナツに、レイは耳元で説明した。

 

「どうぞ。しかし気をつけてくださいね・・・森の中にある・・・」

 

門番が何かを思い出したのか、説明しようとするが・・・

 

「あ・・・もう行っちゃたよ」

 

一同はすでに森の中に入っていた。

 

 

 

 

「しかしどうする?今のとこはなんもねぇぞ」

 

「さすがに月を壊すのは無理ですしね」

 

「そう言うことは、もう少し探って見てからだ」

 

そう言いながら一同は森の中を歩いていたが・・・・

 

「おまえ、自分で歩けよ」

 

「星霊の使い方それ・・・あってるの?」

 

「たぶん間違ってるんじゃないかな・・・」

 

ルーシィは時計座の星霊、ホロロギウムの中に入っていた。

 

「「だ、だって相手は〝呪い〟なのよ。実態がないものって怖いじゃない!」と申しております」

 

ルーシィはホロロギウムの中で怖気づいていたが・・・

 

「さすがS級クエスト!!燃えてきたぞ!!」

 

「ナツ、はしゃぎすぎ」

 

「呪いなんか凍らせてやる。ビビる事ぁねぇ」

 

「それは頼もしいな。頼りしているぞグレイ」

 

ナツ、レイ、グレイ、エルザには通じなかったようだ。

 

「ね。S級ってこんな依頼ばかりなの?」

 

「大体はこんな感じです・・・」

 

クリスの質問に涙を流しながら答えるルナ。

 

「「ホンット、アンタらバカね・・・」と申しております」

 

「ねぇオイラも入りたい」

 

そうしてしばらく歩いていると、ガサガサっ草が揺れる音が聞こえてきた。

 

「ん?」

 

「何だ?」

 

「あっちのほうからだね」

 

音がした方向を振り向くと。

 

「チュー」

 

『!!』

 

服を着た巨大なネズミがいた。

 

「ネズミ!!」

 

「でかーっ!!」

 

「こんな巨大なネズミっているんですか!!」

 

「「あんたたち早くやっつけて!!」と申しております」

 

「「あい」と申しております」

 

するとネズミは頬をぷっくっと膨らさせた。

 

「んにゃろぉ!!」

 

「何か吐き出す気か」

 

「オレのアイスメイク〝(シールド)〟で・・・」

 

しかしネズミはグレイが盾を造る前に息を吐き出した。

 

「うがぁ」

 

「もげっ」

 

「う!!」

 

「これは!!」

 

「やばぃ!!」

 

「・・・臭い・・・」

 

それはただの息ではなくとても臭い息でそれを嗅いだ一同は声を上げる。

 

「「ちょっと!!皆どうしたの!?」と申し・・・んがっ!!」

 

「「?」」

 

「きゃーーーーー!」

 

その臭いをかいだホロロギウムはあまりの臭さに倒れてしまう。

 

「くさーーっ!!何だこの臭いはぁ~!!」

 

「「「・・・・」」」

 

グレイが叫ぶ中、ナツ、レイ、クリスは完全にダウンしていた。

 

「お前たち、しっかりしないか!」

 

「エルザさん無理ですよ!!三人とも私達よりも鼻がいいんですから」

 

「にげろーーっ!!」

 

「ひいいいっ!!」

 

あまりの臭さに逃げ出す一同。

そしてネズミはそれを追いかける。

 

「ちっ!アイスメイク〝床《フロア》〟」

 

それを見たグレイは両手を地面に付けて地面を凍りつかせた。

氷に足を滑らせ、ネズミはズテンっと転ぶ。

 

「ナイス!!」

 

「あ!」

 

するとルーシィが何か見つけたようだ。

 

「見て!!何か建物がある!今のうちにあそこに入りましょう」

 

そう言って建物を指さすルーシィだが・・・

 

「「今のうちにボコるんだ」」

 

ナツとグレイはネズミをボコボコにしていた。

 

「いつも思うんだけど・・・」

 

「二人とも仲いいんじゃないですか・・・・」

 

「まったく・・・なんで普段からそうできないんだ」

 

「それが二人の仲」

 

それを見たクリス、ルナ、エルザ、レイがそう呟いた。

 

 

 

 

「うわー広いね・・・」

 

「ボロボロじゃねぇか」

 

「かなり昔の建物みたいですね」

 

ネズミをぼこった後、一同は建物の中に入っていた。

 

「これは何だろう?月の様な紋章だけど」

 

「この島は、元々月の島と呼ばれたって言ってた」

 

クリスとレイは建物の壁に描かれた紋章をみていた。

 

「月の島に月の呪い・・・月の紋章。この遺跡はなんか怪しいわね」

 

「そうだな。この遺跡を調べてみるか」

 

ルーシィとエルザがそう言って考えこんでいると・・・

 

「ルーシィ見てー」

 

「アンタは犬か!!」

 

ハッピーがどこからか持ってきた骨をもっていた。

 

「それにしてもボロいな・・・これ地面とか大丈夫なのか」

 

「ナツ、危ない」

 

ナツは床を足で突き、レイはそれを止めようとするが・・・

時はすでに遅し、床はもろくも崩れてしまった。

そしてそれに巻き込まれ落下する一同。

 

「バカー!!」

 

「なんて根性のねぇ床なんだぁぁ!!」

 

「床に根性もくそもあるかよ!!」

 

「そうだよ!エルフマンみたいなこと言わないでよね!!」

 

「エルザ、止められなかった。ゴメン」

 

「気にするな、いつもの事だ」

 

「慣れたくないんですけどね・・・」

 

レイとエルザは空を飛んだいるルナに抱えられていた。

 

「ハッピー!何とかならないの!?」

 

それを見たルーシィは空を飛べるハッピに助けを求めるが・・・

 

「・・・」

 

「食べられモンじゃないからー!!それー!!」

 

骨を食べてのどに詰まらせていた。

 

そして一同は穴に落ちていった。

 

 

 

 

瓦礫の山の中からナツが顔を出した。

 

「オイ・・・皆、大丈夫か?」

 

「何とかね」

 

「ハッピーがやばい!!別の原因で!!」

 

「・・・・」

 

「てめぇ!!何でいっつも後先考えねぇで行動しやがる!!」

 

「皆さん!大丈夫ですか!?」

 

すると上からレイとエルザを抱えたルナが降りてきた。

 

「ルナ!ひでぇぞ!!オレたちも持ってくれよ!!」

 

「すいません。咄嗟だったんで二人しか持てませんでした」

 

「ねぇ・・・ここ・・・ドコなの?」

 

そう言いながらハッピーの喉に詰まった骨を取ろうとするルーシィ。

 

「先ほどの遺跡の地下のようだな」

 

「秘密の洞窟だーっ!!せかっくだからちょっと探検しよーぜ」

 

「取れた!」

 

「神っ」

 

ナツが喜びを露にする一方で、ルーシィはハッピーから骨を取り出すことに成功した。

 

「オイ!!これ以上暴れまわるんじゃねぇ!」

 

「うおおおおっ!!」

 

グレイの忠告を聞かず進もうとするナツだが・・・

 

「お?」

 

急にその動きを止めるナツ。

 

「ん?」

 

「「「?」」」

 

「どうした?」

 

「何かあったのか」

 

「な・・・何だ?あれ・・・」

 

そう言ってナツが向いている方向を見ると。

 

「な・・・!!」

 

「え・・・!!」

 

「これって・・・」

 

そこには・・・

 

「でけぇ怪物が凍りついている!!」

 

巨大な怪物が氷の中に閉じ込められていた。

 

「デリオラ・・・!?」

 

その光景に言葉を失っている中、グレイだけがその怪物の名前を叫んだ。

 

『え?』

 

「バカな!!デリオラが何でここに!?」

 

「デイオラ?」

 

「グレイ、この怪物の事を知ってるのか?」

 

レイとエルザがグレイに質問するがグレイは答えない。

どうやら相当取り乱しているようだ。

 

「あれは・・・!!あれはっ!!」

 

「グレイ少し落ち着いて!!」

 

「グレイ?」

 

「この怪物は何なんですか?」

 

クリスの声に少し落ち着きを取り戻したグレイが答える。

 

「デリオラ・・・厄災の悪魔・・・」

 

 




遅くなってしまってすいません。
次の投稿も遅くなってしまいますがお許しください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。