FAIRY TAIL ~妖精の双竜~   作:駄文帝

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悪魔の島
S級


「やっぱりシャバの空気はうめぇ!!最高にうめぇっ!!自由って素晴らしいっ!!フリーダァーッム!!」

 

「うおっ!やかましい!」

 

「おとなしく食ってろ!!」

 

「もう少し入ってればよかったのに・・・」

 

牢から出たばかりのナツが炎を吹いて走り回っていた。

 

「結局〝形式だけ〟の逮捕だったなんてね・・・心配して損しちゃった」

 

「そうか!!カエルの使いだけにすぐに〝(かえ)る〟」

 

「さ、さすが氷の魔導士・・・」

 

「凄く寒いです・・・」

 

ルーシィは項垂れ、グレイはギャグを言い、それを聞いたエルフマンとルナは凍えていた。

 

「・・・でエルザとの漢の勝負はどうなったんだよ。ナツ」

 

「漢!?」

 

「そうだ!!忘れてたっ!エルザー!この前の続きだーっ!!」

 

エルフマンの言葉に勝負の事を思い出したナツはエルザにそう叫ぶ。

 

「よせ・・・疲れてるんだ」

 

一方のエルザはあまりやる気がなさそうだ。

 

「行くぞーーーっ!!」

 

しかしナツはそんな事お構いなしにエルザ目掛けて突っ込んで行くが・・・

 

ガシィ!

 

そんな音を立ててレイがナツの手を掴んだ。

 

「レイじゃま・・・・」

 

「連れて行ってくれなかった」

 

ナツがの叫びを遮ってレイが話す。

 

「ハッピーさん、今のレイさんの機嫌はどうなんですか?」

 

「凄く悪いよ」

 

それを見たルナはハッピー質問していた。

 

「一緒にいてくれるって約束したのに」

 

「う!」

 

レイの言葉にナツはバツが悪そうに視線を逸らす。

 

「そうだ!!レイ、エルザより先に勝負しねぇか!?」

 

「勝負・・・」

 

ナツにそう言われたレイは少し考え込み。

 

「わかった。今回は許す」

 

そう言った。

 

「ハッピーさん」

 

「うん。機嫌がよくなったよ」

 

「表情がほとんど変わってないんですけど!!」

 

そう言って突っ込むルーシィ。

しかし無理もない、何故なら先ほどからレイは表情を変えずに話している。

 

「レイの奴はほとんど感情を顔にださねぇからな」

 

「わかる奴はナツとハッピーくらいじゃねぇのか」

 

上からグレイとエルフマンがそう答えた。

 

「そんじゃあ行くぞぉ!!」

 

「ナツ、ギルドじゃダメ」

 

「あ!そうか」

 

そう言って外に出ようとするナツとレイ。

その様子をギルドメンバーが笑っていると。

 

「ふぬ・・・」

 

「どうしました?マスター」

 

「いや・・眠い・・・奴じゃ」

 

マカロフがそう呟いた瞬間、ミラが寝て倒れてしまう。

 

「!」

 

「これは!!」

 

「くっ」

 

「眠く・・・」

 

ミラだけではない、ギルドにいた者が次々に眠りについてしまう。

するとそんなギルドに一人の男が入って来た。

 

「ミストガン」

 

全身を覆い隠すような恰好で、顔に覆面をした男「ミストガン」は無言で|依頼板(リクエストボード)から一枚の依頼書を取りマカロフの前に持ってくる。

 

「行ってくる」

 

「これっ!!眠りの魔法を解かんかっ!!」

 

マカロフには何も答えず振り返ってギルドから出ようとするが・・・

 

「待って!!」

 

頭の大きなたんこぶがあるナツに呼び止められた。

ちなみレイは隣で眠たそうにしているが、かろうじて起きている。

 

「レイの拳で無理やり起きたか。相変わらず無茶をするな」

 

「うるせぇ!!今日こそ勝負すんぞ!!」

 

そう言ってミストガンに突っ込んでいくナツだが・・・

 

「また今度な」

 

「な!?」

 

マストガンはナツの攻撃を身体を霧に変えて回避する。

そしてミストガンは歩きだし、ギルドを出てった。

するとギルドの皆は一斉に目を覚ます。

 

「こ・・・この感じはミストガンか!!」

 

「あんにゃろぉ!!」

 

「相変わらずスゲェ強力な眠りの魔法だ!!」

 

「ミストガン?」

 

ギルドメンバーの言葉に疑問を感じるルーシィ。

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の男候補の一人だよ」

 

その疑問にロキが答えた。

すぐにルーシィだと気づいて後ろに慌ててさがったが。

 

「どうゆう訳か誰にも姿を見られたくないらしくて、仕事をとる時はいつもこうやって全員を眠らせちまうのさ」

 

「なにそれっ!!あやしすぎ!!」

 

「だからマスターとレイさん、そしてナツさん以外は誰も顔を知らないんですよ」

 

続けてグレイとルナがルーシィに説明する。

 

「いんや・・・オレは知ってっぞ」

 

すると二階から声が響き渡った。

 

「ラクサス!!」

 

「いたのか」

 

「珍しいなっ!!」

 

ギルドの面々が上を見て騒ぎ始める。

 

「もう一人の最強候補だ」

 

「!!」

 

グレイの言葉を聞いてルーシィが上を見るとそこには・・・

 

「ミストガンはシャイなんだあんまり詮索してやるな」

 

金髪のヘッドフォンをした男「ラクサス」がいた。

 

「ラクサスー!!オレと勝負しろーっ!!」

 

「レイと勝負するんじゃなかったのか」

 

ナツはラクサスを見た途端そう言った。

 

「レイやエルザごときに勝てねぇようじゃオレには勝てねぇよ」

 

「それはどういう意味だ」

 

「エ、エルザさん・・・落ち着いてください」

 

ラクサスの言葉に反応して怒るエルザをルナが宥める。

一方のレイはエルザとは違って何も反応を示さない。

 

「オレが最強って事さ」

 

「降りてこい!!コノヤロウ!!」

 

「お前が上がってこい」

 

「上等だ!!」

 

ナツは二階に上がろとするが・・・

 

「うお!!」

 

ナツの進路を手を巨大化させたマカロフがふさぐ。

 

「やめんか。お前とラクサスがここで戦ったら、ギルドが持たんわい」

 

「はは!!怒られたやんの」

 

「ラクサス!!」

 

「うるさい」

 

ナツをバカにした為だろうか、初めてラクサスの言葉にレイは反応した。

 

「お!誰かと思えばレイじゃねぇか。ナツをバカにされて怒ってんのか?昔はお前がバカにしてたくせによ」

 

「うるさいってた。それも理解できないほど頭が腐ってるの?早く病院にいったら?」

 

「ナツの事しか頭にねぇお前に比べればましだよ」

 

「あなただって最強、最強ってその事しか頭にない。まずは自分を見てみたら?」

 

「だったらお前こそ自分を見ろよ。そんな胸で何するんだ?新人にも負けてるじゃねぇかよ」

 

「死にたいの?」

 

レイはそう言うと冷気を纏い始めた。

 

「やろってのか?いいぜそのほうが分かりやすい」

 

そう言って雷を纏うラクサス。

そのまま二人が衝突すると思われたその時・・・

 

「やめぇい!!」

 

マカロフの叫び声が響いた。

それを聞いたレイとラクサスは互いに魔法を止めた。

 

「ちぃ!命拾いしたなレイ。覚えていろよ妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の座は誰にも渡さねぇ。エルザにもミストガンにもレイにもナツにも、あのオヤジにもな。オレが最強だ!!」

 

ラクサスはそう言い放って何処かに行ってしまた。

 

 

 

 

 

そんあひと騒動あった後、ルーシィとルナはカウンター席に座ってミラと会話していた。

 

「ミラさん、一つ聞きたい事があるんですけどいいですか?」

 

「いいけど、何かしら?」

 

「ナツとエルザとの勝負の時、S級って言葉を聞いたんですけど、それって何ですか?」

 

「まだルーシィには早いけどね。二階の依頼板(リクエストボード)には一階とは比べものにならないくらい難しい仕事が貼ってあるの」

 

「S級クエストって言うですよ」

 

「それがS級・・・」

 

ルーシィが呟く。

 

「一瞬の判断ミスが死を招くような危険な仕事よ。その分報酬もいいけどね」

 

「うあ・・・」

 

「S級の仕事はマスターに認めれれた魔導士しか受けられないの。資格があるのはエルザ、ラクサス、ミストガン、レイ、そして去年認められたばかりのナツを含めてまだ七人しかいないのよ」

 

「S級は行かないほうがいいですよ。私はナツさんとレイさんに連れて行れて何度死にかけたか・・・」

 

「大丈夫、ルナ」

 

思い出したのだろうか、顔を青くして身体を震わせるルナを心配するルーシィ。

 

「ルーシィさんも気を付けてくださいね。ナツさんに気に入られていますし。」

 

「え?」

 

ルーシィがこの言葉の意味を知るのはすぐ後の事だった。

 

 

 

 

 

ギルドを出たルーシィは川沿いを歩いていた。

 

「ミストガンもラクサスも聞いた事ある名前だったなぁ。やっぱ妖精の尻尾(フェアリーテイル)ってすごいギルドよね」

 

プルはその横を歩いている。

 

「だいたい妖精の尻尾(フェアリーテイル)の力関係もわかってきたし・・・」

 

そう言ってルーシィが思い浮かべるのは構図は。

 

マスターが一番上、その下にあのオヤジ、その下にエルザ、ラクサス、ミストガン、レイ、ナツ、そしてその下に、ルナ、グレイ、そしてなぜかルーシィだった。

 

「明日から仕事がんばろー!」

 

そう言ってルーシィは自分の家の扉を開けると・・・

 

「おかえり」

 

「おかー」

 

「おかえり」

 

「きゃああああああっ!!」

 

筋トレをしているナツとハッピー、そしてソファに座っているレイがいた。

 

「汗くさーい!!」

 

「ふんごっ」

 

ルーシィはナツにドロップキックを決める。

 

「筋トレなんかじぶん家でしなさいよ!!」

 

そう正論を言うルーシィだが・・・

 

「何言ってんだ、オレたちはチームだろ。ホラお前の分」

 

「ナツ、普通の女性は喜ばない」

 

ナツはピンクのアレイを取り出すがレイに突っ込まれる。

 

「ってか勝負はどうしたのよ」

 

「う・・・」

 

急に目を逸らすナツ。

 

「私が勝った」

 

レイが答えた。

するとレイがルーシィに近づく。

 

「あなた、チームに入ったの?」

 

「一応そうなるけど・・・」

 

するとレイは少し不機嫌そうな顔をした。

ナツの周りに女性が増える事はレイにとって嬉しい事ではないのだろ。

 

「それなら、あなたに話があってここにいた」

 

「え?」

 

レイの言葉に首を傾げるルーシィ。

 

「S級クエストいくぞ!!ルーシィ」

 

するとハッピーがSの文字が書かれた一枚の依頼書を取り出した。

 

「なんであたしぃぃぃっ!?」

 

「チームに入ってるって聞いたから、誘っておこうと思って」

 

ルーシィの叫び声にレイが答えた。

 

「とりあえずルーシィは初めてだからな。二階で一番安い仕事にしたんだ」

 

「それでも700万J」

 

ナツは上着を着ながら、レイはソファーから立ち上がってそうそう言った。

 

「あたしじゃ無理よ。ってかルナはいいの?」

 

ルーシィがそう言うと・・・

 

「ルナの奴は言うすぐに逃げっから」

 

「寝込みを襲う」

 

「あんた等は悪魔か!!」

 

ナツとレイはそう言いルーシィが突っ込む。

どうやらルナは行くことが勝手に決まっているようだ。

 

「とにかくあたしは行かない。四人でどうぞ」

 

そう言ってそっぽを向くルーシィにハッピは話しかける。

 

「〝島を救ってほしい〟って仕事だよ」

 

「言ってみよーぜ」

 

「島?」

 

するとナツとハッピーは怪談話をするような顔をして。

 

「「呪われた島ガルナ島」」

 

「呪・・・!!絶対行かないっ!!」

 

呪いと言う言葉に反応したルーシィが冷や汗をかきながら拒否した。

 

「つーか、ルーシィの事も考えてこの依頼を選んだんだぞ」

 

「ほらここ」

 

「何よ」

 

ハッピーが指をさしている部分を見ると「追加報酬 金の鍵」と書かれていた。

おそらく金の鍵とは横道十二門のことだろう。

 

「ウッソォ!?黄道十二門の鍵がもらえるの!?」

 

「お前それ使うんだろ?」

 

それを見たルーシィは驚いた後、にっこぉっと微笑んだ。

 

「ナツー!ハッピー!レイー!私も行く♪」

 

ルーシィのS級クエスト参加が決まった。


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