FAIRY TAIL ~妖精の双竜~   作:駄文帝

17 / 27
ナツVSエルザ

鉄の森(アイゼンヴアルト)によるギルドマスターの定例会を狙ったテロ事件は、一躍大ニュースとなり国中に知れ渡ったの。あんな大事件の中心に自分がいたなんて未だに信じられないけど、あたしはいつもと同じ日常を送ってます。たまにあの時の事を思い出してドキドキしてるけどね』

 

「今日は買い物にしよーっと」

 

『風の噂じゃあのカゲって人や鉄の森(アイゼンヴアルト)のメンバーはほとんどが捕まっちゃったみたい。ま・・・当たり前か一つ怖いのはエリゴールだけは捕まってないらしいの。|妖精の尻尾に復讐とかしに来たらどうしよう!?』

 

ルーシィは髪を結び、服を着て机に向かう。

 

『でも大丈夫よね。妖精の尻尾(フェアリーテイル)にはナツ・グレイ・エルザ・ルナ・レイの最強チーム+猫とあたしがいるからね♪』

 

ルーシィは机の上で手紙を書いている。

 

『このギルドは最高よ。だからママも心配しないでね。あたしは元気にやっています』

 

そして最後に・・・

 

『P.S パパには秘密にしてね』

 

そう書いて手紙を封筒に入れ、封筒に封をする。

その後、一息つき、手をを伸ばす。

 

「ハラハラドキドキの大冒険もいいけど、やっぱりじぶん家はあちつくなぁ」

 

「これで家賃7万Jは確かに安いなぁ」

 

すると何処からか声が聞こえてきた。

ルーシィが声がした方向に振り向くと・・・

 

「いいトコ見つかったなルーシィ」

 

「不法侵入ーーーーっ!!」

 

パンツ一丁のグレイがソファーに座ってくつろいでいた。

 

「しかも人ん家で服脱ぐなー!!」

 

「ぐほぉ!」

 

ルーシィはグレイに蹴りをお見舞いする。

するとグレイは言い訳を始めるが・・・

 

「ちょと待って・・・誤解だ・・・!!脱いでから来たんだが」

 

「帰れ!!」

 

言い訳になってなかった。

 

「例のアレ(・・)だぞ。忘れてんじゃねーかと思って来てやったのによぉ」

 

「アレ?」

 

グレイの言葉に首を傾げるルーシィ。

 

「やっぱり忘れてんじゃねーか。出発前にナツが言ってただろ?」

 

グレイの言うアレとは・・・

 

「ナツとエルザが戦うだ」

 

 

 

 

 

マノグリアの郊外にある野原に大勢の人だかりができていた。

その中心にはナツとエルザが向かい合っている。

 

「ちょ・・・ちょっと!!本気なの!?二人とも!!」

 

「あらルーシィ」

 

それを聞いたルーシィは人混みをかき分けてきた。

 

「本気も本気。本気でやらねば漢では無い!!」

 

「エルザは女」

 

「怪物の雌さ」

 

レイの言葉に「マックス」が小さく呟くが・・・

 

「私にも言ってるの?」

 

「き、聞こえたのかよ!?」

 

レイには聞こえたようだ。

そんな会話をしているとルーシィが・・・

 

「だって・・・最強チーム二人が激突したら・・・」

 

「最強チーム?何だそりゃ」

 

「あんたとナツとエルザとレイとルナじゃないっ!!|妖精の尻尾(フェアリーテイル)トップ5でしょ」

 

「はぁ?くだんねぇ!誰がそんな事言ったんだよ」

 

そう言うがグレイは笑いのける。

するとルナが・・・

 

「グレイさん・・・こっちを見てください」

 

そう言って指を向けた方向には、泣いているミラの姿があった。

 

「あ・・・ミラちゃんだったんだ・・・」

 

「泣かしたっ」

 

「最低」

 

グレイがルーシィとレイから非難の目が向けられる。

 

「確かにナツやグレイの漢気は認めるが・・・〝最強〟と言われると黙っておけねぇな。妖精の尻尾(フェアリーテイル)にはまだまだ強者が大勢いるんだ。オレとか」

 

場の空気を変えるようにエルフマンがそう言った。

 

「最強の女はエルザかレイで間違いないと思うけどね」

 

「最強の男となるとミストガンやラクサスもいるし」

 

「あのオヤジも外す訳にはいかねぇな」

 

上からレビィ、ジェット、ドロイが答えた。

 

「でも、チームなら最強だと思いますけど」

 

「確かにS級が三人もいるからな」

 

レイの言った事にエルフマンが答えた。

 

「S級?」

 

ルーシィが聞きなれない言葉に疑問を感じていると・・・

 

「こうしてお前と魔法をぶつけ合うのは去年以来だな・・・」

 

「去年とは違う!!今は違うぞ!!今日こそお前に勝つ!!」

 

どうやら勝負が始まるようだ。

 

「私も本気でいかせてもらうぞ。お前相手に手加減などできんからな。」

 

エルザはそう言うと黒と赤を基調した鎧に変えた。

 

「炎帝の鎧!!対火能力の鎧だ!!」

 

「これじゃナツの炎が半減されちまう!!」

 

「エルザそりゃあ本気すぎだぜ!!」

 

エルザの鎧を見てギルドメンバーが驚愕の言葉を口にする。

そんな中レイは・・・

 

「頑張れ」

 

そう言った。

 

「ねぇ。ハッピー、去年の戦いはどうだったの?」

 

「ナツがね、エルザをあと一歩ってところまで追い込んだんだよ」

 

ルーシィの疑問にハッピーが答える。

 

「はぁ?ナツの奴そこまでやったのか」

 

「あんた達は、しらないの?」

 

「その勝負を見ていたのが、総長(マスター)とハッピーさん、そしてレイさんだけだったんですよ」

 

「オレたちは勝負してナツが負けたって事だけを聞いただけだ」

 

ルーシィの疑問にルナとエルフマンが答えて。

 

「てかあたしこーゆーのダメ!!どっちにも負けてほしくないもん!」

 

「意外と純情なのな」

 

そんな会話をしていると・・・

 

「炎帝の鎧かぁ・・・そくこなくちゃ。行くぞ」

 

ナツがそう言って両手に炎を纏った。

そしてお互いがお互いを睨み合い・・・

 

「始めいっ!!」

 

マカロフと声を合図に衝突した。

 

「だりゃっ!!」

 

先に動いたナツが拳でエルザに殴りかかる。

しかしエルザは後ろに下がることによってそれをかわし、剣を振る。

ナツはそれ回避するとすぐに蹴りを放つがエルザはそれも回避してして剣を振る。

ナツはそれに反応してかわすがエルザに蹴りを喰らいバランスを崩す。

ナツは負けじと口から炎を放つがエルザは跳躍して足にかする程度にとどまる。

 

「あちち」

 

「こらナツ!てめぇ!!」

 

ナツの放った炎が周りで見ていた人々に向かった。

 

「凄い!!」

 

「いい勝負してんな」

 

「どこが」

 

そしてナツとエルザが、互いに攻撃しようとしたその時・・・

パァン!と手を叩いたような音が響き、動きを止めるナツとエルザ。

 

「そこまでだ。全員その場を動くな私を評議院の使者である」

 

そう言って現れたのは二足歩行をした、カエルのような生き物だった。

 

「評議院!?」

 

「使者だって!?」

 

「何でこんな所に!?」

 

「あのビジュアルについてはスルーなのね・・・」

 

ルーシィが驚いているメンバーを突っ込む。

 

「先日の鉄の森(アイゼンヴアルト)テロ事件において、器物損壊罪他11件の罪の容疑で・・・エルザ・スカーレットを逮捕する」

 

「え?」

 

「何だとぉぉっ!?」

 

エルザの逮捕宣告に、ナツが叫び声をあげた。

 

 

 

 

 

エルザが逮捕されて数時間後、ギルドは先ほどとは打って変わって静まり返っていた。

 

「出せっ!!オレをここからだせぇっ!!」

 

そんな中騒いででいる者が一人いた。

 

「ナツ・・・うるさいわよ」

 

「出せーーーっ!!」

 

「出したら暴れるでしょ?」

 

「暴れねぇよ!!つーか元に戻せよっ!!」

 

そこにはトカゲに姿を変えられて、コップの中に閉じ込められたナツがいた。

 

「そしてらナツは「助けにいく!!」って言うでしょ?」

 

「言わねえよ!!誰がエルザなんかっ!!」

 

ミラに反論するナツ。

 

「今回ばかりは相手が評議院じゃ手の打ちどころねぇ・・・」

 

「出せーーーっ!!オレは一言言ってやるんだーーーっ!!評議員だかなんだかしらねぇが、間違ってんのはあっちだろ!!」

 

「白いモンでも評議員が黒って言えば黒になるんだ。ウチらの言い分なんか聞くモンか」

 

「しっかしなぁ。・・・今まで散々やってきた事が何で今回にかぎって」

 

「ああ・・理解に苦しむね」

 

「そういえば、レイさんは何もしませんね。いつもだとすぐにナツさんの事を助けるのに・・・」

 

ルナにそう言われたレイはナツに見向きもせずかき氷を食べている。

 

「絶対・・・絶対なにか裏があるんだわ」

 

 

 

 

 

一方その頃、エルザは評議院フィオーレ支部にいた。

そこである男と会ってていた。

 

「ジークレイン」

 

エルザに「ジークレイン」と呼ばれた青髪の男がエルザに話かける。

 

「久ぶりだな・・・エルザ」

 

ジークレインに名前を呼ばれたエルザは身構えた。

 

「そう身構える、これは思念体だ。オレの〝体〟はERAにある。あの扉の向こうにいるじじいどもも全員思念体さ。こんな小せぇ案件でわざわざ出向く訳ないだろう」

 

「そうか・・・これは貴様の仕業だったのか。くだらん茶番だ」

 

「心外だな・・・オレは妖精の尻尾(フェアリーテイル)を弁護したんだぞ」

 

「黙れ」

 

エルザがそう言ったのを聞いて話をやめるジークレイン。

 

「まま・・・いいが裁判前にオマエに会いに来たのは他でもない・・・」

 

ジークレインはそう言うとエルザの顔に自分の顔を近づけて・・・

 

「〝あの事〟はじじいどもには言うな。互いの為にな」

 

そう言った。

 

「では・・・扉の向こうで待っている。評議員の一人としてな」

 

そう言い残してジークレインの思念体は消えた。

 

「あ、あんた・・・凄い人と知り合いなんだな・・・」

 

エルザはそれに対して

 

「〝悪〟だ」

 

そう言った。

 

 

 

 

 

場所を戻してギルドでは・・・

 

「やっぱり放っておけないっ!!証言をしに行きましょ!!」

 

「ルーシィ」

 

ルーシィがそう言って立ち上がるが・・・

 

「まあ・・・待て」

 

マカロフに止められる。

 

「何言ってんの!!これは不当逮捕よ!!判決が出てからじゃ間に合わない!!」

 

「今からではどれだけ急いでも判決には間に合わん」

 

「でも!!」

 

「出せー!!オレをだせー!!」

 

「本当に出してもよいのか?」

 

未だに騒いでいるナツだがマカロフがそう問いかけると、ナツは急に黙りこんでしまう。

 

「どうしたナツ急に元気がなくなったな」

 

マカロフはそう言ってニッと笑う。そして・・・

 

「かっ」

 

ナツに向かって魔法をかける。

するとトカゲはナツ・・・ではなくマカオの姿になった。

 

「マカオ!?」

 

「えーーーっ!!」

 

「やっぱり」

 

今までナツだと思っていた、マカロフとレイ以外のギルドメンバー全員が驚く。

 

「す、すまねぇ・・・ナツには借りがあってよ。ナツに見せかける為に自分でトカゲに変身したんだ。ってかなんでレイは分かっんだ?」」

 

レイが気づいていた事に疑問を感じるマカオ。

 

「癖が全く違う」

 

それに対してレイはそう言った。

 

「だから助けなかったんですね」

 

「うん」

 

そんな会話をしているとルーシィが。

 

「じゃあ本物のナツは!?」

 

「まさかエルザを追って・・・!!」

 

「ああ・・・たぶん」

 

「シャレになんねえぞ!!アイツなら評議員すら殴りそうだ!!」

 

ざわつき始めるギルドでレイは・・・

 

「問題ない」

 

そいう言った。

 

「問題ないってどう言う事だ!?」

 

グレイがレイに問い詰める。

 

「すぐにエルザは解放される」

 

「え?でも逮捕・・・」

 

「評議員は自分達に責任が来ないために責任を押し付ける人が欲しかっただけ。それにエルザが選ばれただけ、取り締まったって姿勢を見せたらそれでお終い」

 

ルナの言葉を遮ってレイはそう言った。

 

「つまりそれって・・・」

 

「有罪になるけどエルザは罰を受けないはずだった」

 

「だったてどう言う事よ?」

 

レイの言葉にルーシィが疑問の声を上げる。

 

「ナツが「オレがエルザだ!!」とか言って騒いでいると思う」

 

「それなら行く前に止めなさいよ!!」

 

レイにルーシィがもっともま意見を言うが・・・

 

「言う前に行った」

 

レイは少し不機嫌そうにそう答えた。

 

 

 

 

 

一方ここは牢屋。

レイの言った通りの事をやったナツとエルザがそこにいた。

 

「今日中にでも帰れたんだお前が暴れなえればな」

 

「えーーーっ!!」

 

レイと同様の説明をされて声を上げるナツ。

 

「全く・・・」

 

「う・・・スマネェ・・・」

 

そう言って身を縮ませるナツ。

 

「だが嬉しかったぞ」

 

そう言ってエルザが優しく微笑み、ナツは目を逸らした。

 

「ふふ」

 

「痛ぇ」

 

エルザがナツを抱き寄せるが、鎧にぶつかるナツ。

 

「なるほど」

 

その様子を遠くから見ている男が一人。

 

「|妖精の尻尾《フェアリーテイルに居たのか・・・ナツ・ドラグニル」

 

その男、ジークレインはそう呟いた。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。