FAIRY TAIL ~妖精の双竜~   作:駄文帝

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最強チーム

ここはクローバーの街、その定例会会場付近に一人の男性が立っていた。

 

(よし・・・定例会は終わってないみたいだな)

 

その男性はカゲヤマだった。左手には呪歌(ララバイ)を持っていいる。

 

(この距離なら十分に呪歌(ララバイ)が届く。ふふふ・・・ついにこの時が来たんだ・・・)

 

そんな事を考えていると後ろから誰かに肩を叩かれた。

それに驚いたカゲヤマはそおっと後ろを向くと・・・

 

むぎゅうっと右の頬に指が刺さった。

 

「なっ!!」

 

「ふひゃひゃじゅあひゃひゃ!!」

 

大笑いしているマカロフ。どうやら先ほどの悪戯はマカロフがやったようだ。

 

「ゲホッゲホッ」

 

笑いすぎたのかむせている。

 

「いかんいかん、こんな事をしている場合じゃなかった。急いでおの五人の行き先を調べねば。街がいくつ消えるかわからん」

 

そう言ってカゲヤマの乗ってきた魔導四輪から飛び降りるマカロフ。

 

「お前さんもはよぉ帰れ、病院に」

 

どうやらマカロフはカゲヤマを病人だと思ったようだ。

そのままマカロフがその場を去ろうとすると・・・

 

「あ、あの・・・」

 

「ん?」

 

カゲヤマが呼び止めた。

 

「一曲・・・聴いていきませんか?病院は楽器が禁止されてるもので・・・」

 

そう言って呪歌(ララバイ)構えるカゲヤマ。

 

「誰かに聞いてもらいたいんです」

 

「気持ち悪い笛じゃのう」

 

「見た目はともかく、いい音が出るんですよ」

 

怪訝そうな顔をするマカロフにカゲヤマはそう言う。

 

「急いどるんじゃ、一曲だけじゃぞ」

 

マカロフは指を一本立ててそう言った。

 

「よぉく聴いててくださいね」

 

この時、カゲヤマは勝利を確信した。

そしてカゲヤマが笛を吹こうとしたその時、脳裏に鉄の森(アイゼンヴアルト)の仲間の声がよぎる。

 

『正規のギルドはどこもくだらねぇな!!』

 

『能力が低いくせにイキがるんじゃねぇっての!!」

 

『これはオレたちを暗い闇へと閉じ込め・・・生活を奪いやがった魔法界への復讐なのだ!!手始めにこの辺りのギルドマスターどもを皆殺しにする!!』

 

そして次に別の声が聞こえた。

 

『もう少し前を向いて生きろよオマエ等全員さ・・・』

 

『しっかりしてください!!』

 

『おまえの力が必要なんだ!!』

 

『同じギルドの仲間じゃねぇのかよ!!』

 

それは今日、敵として出会った妖精の尻尾(フェアリーテイル)の声だった。

そしてその声にカゲヤマの心は揺れていた。

 

 

 

 

一方のナツたちは・・・

 

「いた!!」

 

「じっちゃん!!」

 

総長(マスター)

 

そんな二人から少し離れたところに、たった今到着したようだ。

 

「しっ」

 

マカロフに駆け寄ろうとする一同をボブが止めた。

 

「今イイトコなんだからみていきなさい♪てかあんたたちかわいいわね。ウフ♪」

 

ボブに熱烈な視線を向けられた、ナツとグレイは寒気を感じていた。

そんな中・・・

 

「ボブさん・・・」

 

レイがボブの前に立って。

 

「ナツは私の」

 

「あら、レイちゃん。もしかして、彼が意中の人?それはごめんなさいね♪」

 

ナツたちに聞こえにないようにそんな会話をしていた。

ちなみにレイの顔は少し赤く染まっている。

 

「どうした早くせんか」

 

そんな会話をしているとマカロフの声が聞こえた。

カゲヤマは汗を流し、呪歌(ララバイ)を持つ手を震わせている。

 

「いけない!!」

 

「黙ってなって。面白ぇトコなんだからよ」

 

今度はゴールドマインが止める。

 

「さあ」

 

マカロフの視線にカゲヤマは怖気づく。

 

(吹けば・・・吹けばいいだけだ。それで全てが変わる)

 

「何も変わらんよ」

 

自分の心を見透かしたようなマカロフの言葉にカゲヤマはゾッとする。

 

「弱いに人間はいつまでたっても弱いまま。しかし弱さの全てが悪ではない。元々人間なんて弱い生き物じゃ。一人じゃ不安だからギルドがある。仲間がいる」

 

カゲヤマの目が見開く。

 

「強く生きる為に寄り添いあって歩いていく。不器用な者は人より多くぶつかるし、遠回りするのかもしれん」

 

その言葉にカゲヤマだけではなく、ナツたちも聞く。

 

「しかし明日を信じて歩み出せば、おのずと力は湧いてくる。強く生きようと笑っていける」

 

マカロフは笑みを浮かべ・・・

 

「そんな笛に頼らなくてもな」

 

そう言放った。

 

(さすがだ・・・すべてお見通しだったか・・・)

 

そしてカゲヤマは・・・

 

「参りました」

 

呪歌(ララバイ)を手放して、マカロフの前で膝をついた。

 

「「総長(マスター)!!」」

 

「じっちゃん!!」

 

「じーさん!!」

 

それを見た一同はマカロフに向かって、駆けて行く。

 

「ぬぉぉぉっ!!なぜこの五人がここに!!」

 

そう言って驚くマカロフ。

 

「さすがです!今の言葉、目頭が熱くなりました!!」

 

「痛っ!!」

 

エルザの鎧に打ち付けられるマカロフ。

 

「じっちゃんスゲェなぁ!」

 

「さすが」

 

「ナツ、そう思うならペシペシせんでくれぃ。それとレイも見てるでけではなくナツをとめんか」

 

自分の頭をペシペシ叩くナツとそれを見てるだけのレイ突っ込むマカロフ。

 

「一見落着だな」

 

「一時はどうなるかと思いましたけどね」

 

「ホラ・・・アンタ、医者に行くわよ」

 

「よくわかんないけど、アンタもかわいいわ~♪」

 

全てが終わったかに見えたその時・・・

 

「カカカ・・・どいつもこいつも根性のねぇ魔導士どもだ」

 

突如、笛から煙が出て来たと同時に声を出し始める。

それをマカロフとナツが目を見開いて見ている。

 

「もうガマンできん。ワシが自ら喰ってやろう」

 

煙が形を成していく。

 

「笛が喋ったわよっ!ハッピー!!」

 

「あの煙・・・形になっていく!!」

 

そしてそこに現れたのは・・・

 

「貴様達の魂をな・・・」

 

巨大な木で出来た怪物だった。

 

「な!!」

 

「「怪物!!」」

 

「大きい」

 

一名を除いて驚く一同。

その一名のレイはいつもの無表情でいた。

 

「な、何だこんなのは知らないぞ!!」

 

「あらら・・・大変」

 

「こいつぁゼレフ書の悪魔だ!!」

 

封印を解いたカゲヤマもギルドマスターも驚きを隠せない。

 

「こりゃあちとマズイのう」

 

「助太刀にゆくか」

 

「腰が痛いんじゃが・・・」

 

定例会会場にいるギルドマスターも同様のようだ。

 

「腹が減って堪らん。貴様等の魂を喰わせてもらうぞ」

 

「何ーーーっ!!」

 

それを聞いたナツが叫ぶ。そして・・・

 

「魂って食えるのかー!?うめぇのか!?」

 

「知るか!!」

 

「ナツ、私達が自分の属性を食べるのと同じだと思う」

 

「なるほど!」

 

「レイさんも答えないでください!!」

 

的外れな質問と答えをする、ナツとレイに突っ込むグレイとルナ。

 

「一体・・・どうなっているの?なんで笛から怪物が・・・」

 

「あの怪物が呪歌(ララバイ)そのものさ。つまり生きた魔法、それがゼレフの魔法だ」

 

ルーシィの疑問にゴールドマインが答えた。

 

「生きた魔法・・・」

 

「これがゼレフの・・・」

 

「黒魔導師ゼレフ。魔法界の歴史上最も凶悪だった魔導師・・・何百年も前の不の遺産がこんな時代に姿を現すなんてね・・・」

 

「さあて・・・どいつの魂から頂こうかな」

 

そう言ってララバイが辺りを見渡した後・・・

 

「決めたぞ・・・全員まとめてだ」

 

「いかん!呪歌(ララバイ)じゃ!!」

 

「ひーーーっ!」

 

ララバイが口を開き、ギルドマスター達が逃げ出し、ルーシィが耳を塞ぐ中・・・

 

「!」

 

ナツ、グレイ、エルザ、レイ、が飛び出し、ルナが飛び上がった。

そしてエルザが天輪の鎧の換装しレイは手に冷気を纏う。

 

「鎧の換装!?」

 

「こっちは冷気を纏ったぞ」

 

ギルドマスター達が驚く中、エルザは右足、レイは左足の方に向かって行く。

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

「氷竜の砕牙」

 

そして二本の剣と冷気を纏った手がララバイの足を切り裂き、呪歌(ララバイ)を阻止する。

 

「む!?」

 

「ありゃああああっ!!」

 

そしてララバイの足からよじ登ったナツが、ララバイの顔を炎を纏った足で蹴った。

それを喰らったララバイは体勢を崩す。

 

「おおっ!!」

 

「何と!蹴りであの巨体を!!」

 

「てか本当に魔導士か!?アイツ」

 

その光景にギルドマスター達は驚愕する。

 

「小癪な!!」

 

「おっと」

 

ララバイは口から弾丸のようなものを発射する。

ナツはそれを難なく避けるが、その弾丸はギルドマスター達の方に向かう。

それを見たグレイは両手を合わせる。

 

「アイスメイク・・・〝(シールド)〟」

 

「氷の造形魔導士か!?」

 

「しかし間に合わん!くらうぞっ!!」

 

しかし予想に反して、グレイは一瞬で氷の盾を造形した。

その盾がララバイからの攻撃を受け止める。

 

「速い!!」

 

「あの一瞬でこれほどの造形魔法を!?」

 

ギルドマスター達がまた驚いていると・・・

 

「ウインドメイク〝隼《ファルコン》〟」

 

そう言ってララバイの後ろからルナが攻撃した。

 

「貴様!!」

 

そう叫んで先ほどと同じく口から弾丸の様なものを発射する。

ルナはそれを難なくかわす。

 

「なんて速さで飛ぶんだ!!」

 

「翼人なんて始め見たぞ!!」

 

「風の造形魔法を使うのか!!」

 

「造形魔法?」

 

「魔力に形を与える魔法だよ。そして形を奪う魔法でもある」

 

ルーシィがハッピーの説明にゾクッとした。

 

「グレイさん!!」

 

「分かてる」

 

ルナがグレイに呼びかけ、グレイがそれに答えると・・・

 

「アイスメイク〝槍騎兵(ランス)〟!!」

 

「ウインドメイク〝(スワロー)〟!!」

 

「ゴォア!!」

 

氷の槍と風の燕がほぼ同時にララバイに襲い掛かった。

されらはララバイに直撃、腹に大きな穴を開ける。

 

「な、なんて威力なの!!」

 

「今だ!!」

 

グレイの号令を聞いた各々が攻撃を始める。

エルザは鎧を換装する。

 

「黒羽の鎧!!一撃の攻撃力を増加させる魔法の鎧だ!!」

 

ギルドマスターが叫んだ。

 

「右手の炎と左手の炎を合わせて・・・火竜の煌炎!!」

 

ナツは両手に炎を纏って、ララバイに振り下ろす。

 

「氷竜の弓撃」

 

レイは氷で弓矢を作り上げ矢を放つ。

 

「ウインドメイク〝大鷲(イーグル)〟!!」

 

ルナは風の大鷲を放ち。

 

「アイスメイク〝槍騎兵(ランス)〟!!」

 

グレイは氷の槍を放った。

そして・・・・

 

「バ、バカな・・・」

 

その攻撃は一斉の命中し、ララバイは激しい轟音と共に倒れた。

 

「見事」

 

マカロフはそう呟く。

 

「ゼレフの悪魔がこうもあさっり・・・」

 

「こ、こりゃたまげたわい」

 

「かーかっかっかっかっ!!」

 

「す、凄い・・・こ、これが妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強チーム!!」

 

それを見たギルドマスター達は愕然とし、ルーシィは笑みを浮かべ、カゲヤマは感激したような言葉を言った。

 

「どうじゃー!!すごいじゃろぉぉぉっ!!」

 

「すごーい!!超カッコいい!!」

 

そう言い褒め称えるルーシィ。

 

「ホラぁん♪アンタはお医者さん行かなきゃ、ね♪」

 

ボブがカゲヤマをそう言いながらを抱く。

 

「いやぁ、経緯はよく解らんが妖精の尻尾(フェアリーテイル)には借りが出来ちまったなぁ」

 

「なんのなんのー!!ふひゃひゃひゃひゃひゃ!!ひゃ・・・ゃ・・・は・・・!!」

 

高笑いしていたマカロフが何か気づいたようだ。

 

「ん?」

 

他のギルドマスターが不信に思って後ろを振り返る。

するとマカロフと同様に気づいたようだ。

ちなみマカロフはその間にそろーっと逃げ出そうとしている。

 

「ぬああああっ!定例会の会場が・・・粉々じゃ!!」

 

そう、先ほどララバイが倒れて際に巻き込まれ、粉々になった定例会会場があった。

 

「ははっ!!見事ぶっこわれちまったなぁ!!」

 

「笑い事じゃありません!!」

 

他人事のように笑うナツに突っ込むルナ。

 

「捕まえろーーーっ!!」

 

 

「おし、任せとけ!!」

 

「ナツはこっち」

 

「お!そうだったな」

 

何か勘違いしているナツを連れ戻すレイ。

 

総長(マスター)・・・申し訳ありません・・・顔を潰してしまって・・・」

 

「いーのいーの、どうせもう呼ばれないでしょ?」

 

「これ始末書何枚になるんでしょう・・・」

 

そんな事を言いながら、妖精の尻尾(フェアリーテイル)はその場から逃げ出した。




予定より時間が取れたので投稿しました。
またノートパソコンを新しく買ったので投稿が今までよりは出来るようになると思います。

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