FAIRY TAIL ~妖精の双竜~   作:駄文帝

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風と風

リシュカ峡谷。

そこのレールの上を魔導四輪が走っていた。

 

「これ・・・あたしたちがレンタルした魔導四輪車じゃないじゃん!!」

 

鉄の森(アイゼンヴアルト)の周到さには頭が下がる。ご丁寧に破壊されてやがった」

 

「弁償かぁ・・・」

 

グレイの言葉から弁償を想像したルーシィが落ち込む。

 

「ケェ・・・それで他の車を盗んてちゃせわないよね」

 

「借りただけよ!!エルザが言うには」

 

何故か魔導四輪に乗っているカゲヤマが毒づきルーシィが答える。

 

「な、なぜ僕をつれてく・・・?」

 

その質問にルーシィが答えた。

 

「しょうがないじゃない。街に誰も人がいないんだから。クローバーのお医者さんに連れてってあげって言ってんのよ。感謝しなさいよ」

 

「違う!!何で助ける!?敵だぞ!!」

 

理解できない行動に、カゲヤマが怒鳴る。

 

「そうか・・・わかったぞ・・・僕を人質にエリゴールさんと交渉しようと・・・無駄だよ・・・あの人は冷血そのものさ。僕なんかの・・・」

 

「うわー暗ーい」

 

ブツブツというカゲヤマにルーシィはそう言った。

 

「死にてぇなら殺してやろうか?」

 

「ちょっとグレイ!!」

 

ルーシィの制止かけるが、グレイは構わず続ける。

 

「生き死にだけが決着の全てじゃねぇだろ?もう少し前を向いて生きろよオマエ等全員さ・・・」

 

グレイの言葉にカゲヤマは押し黙る。

すると、魔導四輪がガタンっと大きく揺れた。

 

「きゃあ!!」

 

「・・・!!」

 

その際に、ルーシィの尻がカゲヤマにぶつかった。

 

「エルザ!!」

 

「すまない大丈夫だ」

 

グレイが運転席のエルザに声を掛ける。

エルザが大丈夫といったが息が上がっておりかなり苦しそうだ。

 

「でけぇケツしてんじゃねえよ・・・」

 

「ひーーーっ!!セクハラよ!!グレイこいつ殺して!!

 

「おい・・・オレの名言チャラにするんじゃねぇ」

 

そんな会話をしている中、ナツとレイは・・・

 

「ナツ、レイ、大丈夫?」

 

「だ、だいじょ・・・うぶ・・じゃ・・・」

 

「な・・・い・・・うぷっ・・・」

 

いつも通りだった。

 

 

 

 

一方こちらは、ルナとエリゴールが対峙していた。

 

(相手はあのエリゴール、何とか足止めをできれば・・・)

 

ルナがそんな事を考えていると、エリゴールは印をきり始める。

そしてエリゴールが指をルナに向けると突風が吹き荒れた。

 

「!!ウインドメイク〝(ホーク)〟!」

 

がすぐにルナは自分の魔法で相殺する。

 

「ちぃ、風の魔導士か・・・」

 

エリゴール舌打ちをしていると・・・

 

「ウインドメイク〝(スワロー)〟!」

 

ルナは無数の風で出来た燕をエリゴールに向けて放つ。

しかしエリゴールはそれをかわしルナのほうにちかずき・・・

 

「がぁ!!」

 

左手でルナの首を締め上げた。

 

「近接戦はできねぇようだな。これで終わりだ」

 

そう言って、エリゴールが右手に持った鎌で止めを刺そうとするが・・・

 

「背後が・・・がら空きですよ・・・」

 

「あ?」

 

次の瞬間、背後から燕がエリゴールを襲った。先ほど放った燕が戻ってきたのだ。

エリゴールはその衝撃でルナから手を離し、ルナはエリゴールを蹴飛ばす。

 

「ウインドメイク〝(ホーク)〟!」

 

そのままルナは追撃するが、エリゴールは自分の風でそれを相殺する。

 

「調子に乗りおって!!」

 

ルナの上まで飛んだエリゴールが印をきった。

そして左手をルナに向けて。

 

暴風波(ストームブリンガー)

 

左手から放たれた竜巻は容赦なくルナを飲み込んだ。しかし・・・

 

「ウインドメイク〝(ファルコン)〟」

 

そんな声が聞こえると、竜巻の中心から現れた風で出来た隼がエリゴールを吹き飛ばす。

 

「竜巻・・・の中心・・・は無風です・・・」

 

攻撃を喰らってボロボロになったルナがそう呟いた。

一方のエリゴールは何かを考えているのかしばらく沈黙した後、口を開いた。

 

「貴様の力・・・少々侮っていたようだ・・・ここから本気でいこうか」

 

そう言った。

 

(まだ本気じゃなかったなんて・・・)

 

その言葉にルナが動揺しているとエリゴールは顔の前で手を交差させ。

 

暴風衣(ストームメイル)

 

風がエリゴールの身体を包み、風の鎧のを纏った。

 

「いくぞ」

 

 

 

 

「あの娘死んだな・・・」

 

走っている魔導四輪の中でカゲヤマが突然そう呟いた。

 

「なーんでそういう事言うかなぁ」

 

「ふふ・・・彼女、翼人って事は風の魔導士だろ?」

 

「あ?それがどーしたんだ」

 

カゲヤマの質問にグレイが答えた。

 

「おなじ風の魔法でエリゴールさんに勝てない。絶対に」

 

 

 

 

暴風衣(ストームメイル)を纏ったエリゴールがルナの方に向かう。

 

「ウインドメイク〝(ホーク)〟!」

 

風で出来た鷹がエリゴールに直撃するが・・・

 

「きかんな!!」

 

「な!きゃぁぁ!!」

 

何事のなかったかのように飛んで来たエリゴールがルナを蹴り飛ばした。

 

暴風衣(ストームメイル)は常に外に向かって風が吹いている。わかるか?お前の風はそれに吹き飛ばされたんだ。お前には勝てねぇんだよ」

 

そう言って、風を放出させる。

 

「凄い風・・・」

 

「これでは近づく事もでくねぇだろ。死ねぇ!!」

 

飛んでくる風の刃をかわし続けるルナ。

 

「ウインドメイク〝大鷲(イーグル)〟!!」

 

ルナから放たれた巨大な大鷹がエリゴールに直撃する。

しかしエリゴールは無傷で飛んでいた。

 

「そんな・・・」

 

「くらえ!!全て切り刻む鳳翔魔法、翠緑迅(エノラ・バラム)

 

エリゴールの両腕に強い風が纏われる。

 

「そんな魔法をくらったら・・・」

 

ルナは急いで回避しようとするが・・・

 

「死ね!!翼人の娘!!!」

 

回避する前にエリゴール両手の指を交差させ魔法を放つ。

そして突風がルナに直撃する。

 

「やったか」

 

直撃したルナは峡谷に落ちていった。

 

 

 

 

一方、エルザたちが乗った魔導四輪では・・・

 

「ねぇ実際ルナはエリゴールに勝てると思う?」

 

ルーシィが質問していた。

 

「難しいじゃねえのか」

 

「ああ、ルナはギルドの中では実力は上位に入るが・・・」

 

「あの・・・エリゴールには・・・勝つ・・・事は・・・難しい・・・うぷっ」

 

グレイ、エルザ、レイの順に答えた。

 

「ほらな、エリゴールさんに・・・」

 

「勝てない」そうカゲヤマが言おうとした時・・・

 

「か、勝て・・・る・・・」

 

ナツの声が遮った。

 

「なに言ってんだよ!!」

 

カゲヤマが怒鳴るが、ナツは話を続ける。

 

「ルナが・・・負ける・・・はずねぇだろ・・・アイツは・・・強ぇんだ・・・」

 

「ナツ・・・」

 

ルナの勝利を信じて疑わないナツに、ルーシィはそう呟いた

 

 

 

 

(すいません・・・私には・・・足止めすら・・・出来ませんでした・・・・)

 

ルナが落下しながらそう思い諦めかけたその時・・・

 

『勝てるって思わないでどうやって勝つんだ?』

 

「!?」

 

昔、ナツに言われた言葉が脳裏によぎった。

そして翼を動かして落下を止める。

 

「そうでした・・・そうでしたね」

 

思い出すのは一年前、大鴉を倒した日の事。

 

「自分の力を信じて・・・」

 

そう言って自分の手を見るルナ。

 

「でもどうやったら暴風衣(ストームメイル)を・・・」

 

ルナは考え込む。

 

「ナツさんだったら・・・!そうか!!」

 

ルナはナツの戦う姿を思い浮かべ何か考えついたようだ。

 

「ナツさんありがとうございます。絶対に勝ってみせますね」

 

ルナはそう言って再び飛び上がった。

 

 

 

 

「予想外に時間を食ったが、もう少し・・・」

 

「させません!!」

 

「!!」

 

エリゴールが声をした方向を振り向くとそこにはルナがいた。

 

「バカな!!まだ生きてるのか!?」

 

「私はあなたに勝たせてもらいます!」

 

「なんてしぶてえ娘だ!」

 

ルナはエリゴールに近づこうするが、エリゴールに吹き飛ばされてしまう。

しかしルナは吹き場されながら・・・

 

「ウインドメイク〝(スワロー)〟!!」

 

ルナはそう叫び、エリゴールの視界を埋め尽くすほどの大量の燕を放った。

そして燕はエリゴールに直撃していった。

 

「だからきかねぇて・・・・!?」

 

エリゴールが動揺した。それもそのはずだ。

なぜなら燕を目隠しにしたルナが自分の目の前にいたからだ。

そしてルナは・・・

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「な!?」

 

右腕を暴風衣(ストームメイル)の中に突っ込んだ。

そして手でエリゴールを掴む。

 

「お前なにを・・・傷つきたいのか!?」

 

エリゴールの言うとおり、暴風衣(ストームメイル)の中に突っ込んだルナの腕は切り刻まれて血を流している。

 

「これで暴風衣(ストームメイル)は意味がないですね?」

 

ルナが笑みを浮かべる。

 

「しまった!!」

 

「もう遅いです!ウインドメイク〝大鷲(イーグル)〟!!」

 

エリゴールが急いでルナの手を振りほどこうとするが、ルナはその前に手から巨大な大鷲を放つ。

そしてエリゴールは橋の上に打ち付けられ気を失い、その際に呪歌(ララバイ)が橋の上に落ちた。

 

「ナツさんやりましたよ・・・」

 

すると魔道四輪が近づいてきた。

 

「ルナーーー!!」

 

ルーシィが声を上げる。

 

「皆さん!エリゴールは倒しましたよ!!」

 

そういってエルザたちの魔導四輪に近づくルナ。

 

「少し見くびっていたようだな。すまないルナ」

 

「やるじゃねぇか」

 

「す・・・ごい・・・」

 

「ほら・・な・・・」

 

「そ、そんな!!エリゴールさんが負けたのか!?」

 

少し申しわけなさそうにするエルザに称賛するグレイ、カゲヤマは驚き、ナツとレイは酔いが抜けてないのか相当気持ち悪そうだ。

 

「エルザ、大丈夫?」

 

「あ、ああ気にするな」

 

そう言って運転席から降りるエルザ。

 

「ボロボロじゃねぇか。大丈夫なのか?」

 

「ナツさんやレイさんに比べたら大丈夫です」

 

「それもそうだな」

 

そう言ってダウンしているナツとレイを見る。

 

「何はともあれ見事だルナ。これで総長(マスター)達は守られた」

 

エルザの言葉にダウンしているナツとレイ以外の全員が笑みをこぼす。

 

「ついでだ・・・定例会の会場へ行き事件の報告と笛の処分について総長(マスター)に指示を仰ごう」

 

「クローバーはすぐそこだもんね」

 

ハッピはそう言うと急に魔導四輪が動き出した。

 

「カゲ!!」

 

「危ねぇなぁ、動かすならそう言えよ!!」

 

「油断したな妖精(ハエ)ども」

 

そう言ってカゲヤマは影を伸ばして、呪歌(ララバイ)を掴んだ。

 

「笛は・・・呪歌(ララバイ)はここだーーー!!ざまあみろーーー!!」

 

カゲヤマはそう言って去っていった。

復帰したナツを含めた全員が目を見開く。

レイは表情をまったく変えていないが驚いているようだ。

 

「あんのヤロォォォ!!」

 

「何なのよ!!助けてあげたのにーー!!」

 

「追いぞ!!」

 




オリジナルの戦闘シーンを書くが大変でした。
これからのこんなに悩むと思うと・・・・・
それはべつにして、次の投稿は早くて金曜日になると思います。
待たせてしまって申しわけないですが、お許しください

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