駅のホーム、先ほどエルザとレイが敵を一掃した場所でエルザが尋問していた。
「しれねぇんだよ・・・む、無理だって・・・魔風壁の解除なんて・・・オレたちが出来る訳ねぇだろ・・・」
エルザに胸倉をつかまれたビアードが弱弱しく答える。
「エルザー!」
「グレイか!?」
「グレイさん!!」
二階に現れたグレイがエルザに声を掛けた。
「ナツは一緒じゃないのか?」
「はぐれた。つーかそれどころじゃねぇっ!!」
「
「だいたいの話は彼から聞いた。しかし今この駅には魔風壁・・・」
「あぁ!さっき見てきた!無理矢理出ようとすればミンチになるぜありゃ!」
グレイは二階から飛び降り着地する。
「こうしている間にもエリゴールは
「こいつ等は魔風壁の消し方知らねぇのかよ」
「ひっ」
グレイは縄に縛られた敵の一人を蹴る。
「よせ・・・彼等は知らない」
「あ!」
ルナが思い出したように声を上げた。
「ルナ、どうかしたか?」
「
「!そういえばカゲと呼ばれた奴がいたハズだ!!奴は確かたった一人で
「それなら魔風壁も!!」
「探すぞ!!カゲを捕らえるんだ!!」
脱出の糸口を見つけた三人は急いでカゲヤマを探し始めた。
その様子を見たビアードはゆくっりと口を開いた。
「カラッカ・・いつまで隠れている?いるんだろ?」
ビアードがそう言うと、壁からルーシィとレイが追っているはずのカラッカが出てきた。
「ス、スマネ・・・」
「聞いていただろ?カゲが狙われている。行けよ」
「か、かんべんしてくれ!オレには助太刀なんて無理だっ!」
「もっと簡単な仕事だよ・・・」
「え?」
ビアードは不気味な笑みを浮かべた。
その頃ルーシィたちは・・・
「あ~あ・・・完全に見失っちゃったよ」
「あい」
「みたい」
カラッカを見失っていた。
「ねぇ・・・一旦エルザのトコに戻らない?」
「!」
その言葉を聞いたハッピーは震えだした。
「な、何よ」
「エルザは「追え」って言ったんだよ。そっか・・・凄いなぁルーシィは・・・エルザの頼みを無視するのかぁ。あのエルザの頼みをねぇ~、エルザにあんな事をされるルーシィは見たくないなぁ」
「あ、あたし何されちゃう訳!?」
ハッピーの言葉を聞いて不安になるルーシィ。
するとレイはルーシィの肩を叩き・・・
「骨は拾っておく」
「本当に何されるの!?」
さらに不安にさせた。
「わ、わかったわよっ!!探します!!見つけるまで探しますっ!!」
「ルーシィってコロコロ態度変わるよね」
そんな様子を見て突っ込むハッピー。
「もおぉぉっ!!うるさいなぁっ!!てかなんでアタシになついてんの!?このネコォ!!」
一方ナツはと言うと・・・
「エリゴォォォル!!」
炎を纏った足で壁を破壊した。
「どこに隠れてんだぉぉっ!!コラァァァーっ!!」
そう叫んで左右を見渡し、エリゴールがいないことを確認すると・・・
「次ぃぃっ!」
すぐ隣の壁を破壊した。
ちなみに扉はすぐ近くにある。
(あ、あいつ・・扉ってモン知らないのかよ。まったく・・メチャクチャな奴だな・・)
影に潜んでその様子を見ているカゲヤマはそう思った。
「次ぃっ!!」
(しかしエリゴールさんはもうこの駅にはいないよ・・・いくら探しても無駄なんだ。もう放っておいても何の問題もないんだけど・・・)
カゲヤマは天井にあった影から出て。
(それじゃあ僕の気がおさまらないんでねっ!!)
足でナツを蹴ろうとするが・・・
「な!?」
ナツはしゃがみ込んでそれを回避し・・・
「うらぁっ!!」
「がっ!!」
カゲヤマを蹴り飛ばした。蹴り飛ばされたカゲヤマは壁に激突する。
「またおまえか」
「よくも・・・」
カゲヤマが立ち上がる。
「でも君の魔法は大体分かった。体に炎を付加する事で破壊力を上げる珍しい魔法だね」
「おめぇに構ってる暇はねぇんだよ。エリゴールはどこだ」
「さぁてどこかな。僕に勝てたら教えてやってもいいけどね」
カゲヤマの影が伸び、そこから出た巨大な手がナツを襲う。
しかしナツはそれを難なくかわす。
「お!殴った後に教えてくれんのか?一石二鳥じゃねぇか燃えてきたぞ」
「チッ、すばしっこい」
カゲヤマは軽く舌打ちをした後・・・
「しかし
蛇の形のした八つの影がナツに襲い掛かる。
それを見たナツは両手に炎を纏って・・・
「うらぁっ!!」
「な!!」
全ての影を破壊した。
「バ、バカな全部破壊しやがった!!」
そのままナツはカゲヤマの方に向かった。
「だりゃあっ!!」
「がっ!」
そしてカゲヤマを殴り飛ばす。
そして倒れてカゲヤマの首元を掴み・・・
「おおおっ!!」
壁に投げ飛ばし、そこに咆哮をはなった。
その衝撃音は駅全体に響いた。
「かっかっかっ!!オレの勝ちだな!!約束通りエリゴールの場所言えよ」
「くくく・・・バカめ・・・エリゴールさんはこの駅にはいない・・・」
「は?」
首を傾げるナツ。そこに・・・
「ナツー!!それ以上はいい!!彼が必要なんだ!!」
「うお!?なんだなんだ!!」
エルザたちがやってきた。
「でかした!!クソ炎!!」
「さすがナツ」
「すごいです」
「何だよ三人して・・・これくれー何ともねぇよ」
状況が理解できないナツ。
「説明しているヒマはねぇがそいつを探してたんだ」
「私に任せろ」
エルザはそう言うと、倒れているカゲヤマの胸倉を右手で持って無理矢理立たせ、左手に持った剣を顔に近づける。
「四の五の言わず魔風壁を解いてもらおう。一回NOと言う度に切創が一つ増えるぞ」
「う・・」
ナツにやられたばかりのカゲヤマは抵抗することはできなかった。
「オイ・・・そんなボロボロなんだいくらなんでもそりゃひでぇぞ」
「黙ってろ!!」
事情を知らないナツの問い掛けをグレイが一蹴した。
「いいな?」
「わ、わか・・・ばっ!」
「わかった」そう言いかけた時、カゲヤマの口から大量の血が出る。そしてゆっくりと倒れるその背中にはナイフが刺さっていた。その背後にはカラッカがいた。彼はビアードから頼まれた仕事をいたのだ。「カゲを殺す」と言う・・・
「カゲ!!」
「そんな!!」
「ちくしょおぉ!!」
慌ててエルザがカゲヤマを支え、グレイとルナが駆け寄り、ナツは呆然としていた。
「しっかりしてください!!」
「オイ!!」
「おまえの力が必要なんだ!!」
エルザにグレイ、ルナが呼びかけるが返事はない。カゲヤマは気を失っているようだ。
「マジかよ!くそっ!」
「早く手当てしなと!」
「あ・・・うあ・・・ああ・・」
グレイが毒ずき、ルナは治療道具を取り出し始める。そしてカゲヤマを刺したカラッカは声を振るわていた。そんな中、ナツはいまだ一人呆然としていた。
「仲間じゃ・・・ねえのかよ・・・」
「ひっ、ひいいっ!!」
カラッカは悲鳴を上げながらは壁の中にもぐった。
「同じギルドの仲間じゃねぇのかよ!!」
ナツは怒りの形相で怒鳴ると拳に炎をまとった。
「このヤロォォ!!」
そう叫んで壁をカラッカごと殴り付け、そのまま床に叩き付けた。
「カゲしっかりしないか!!」
「エルザさん・・・だめです。気を・・・失ってます・・・」
「死なす訳にはいかん!!やってもらう!!」
「やってもらうったって、こんな状態じゃ魔法はつかえねぇぞ!!」
「やってもらわんねばならないんだ!!」
「それがおまえたちのギルドなのかっ!!」
一同が動揺する中、カラッカを追っていたルーシィとレイ、ハッピーは合流した。
「お、お邪魔だったかしら・・・」
「あい」
「なにがあったの?」
ここはリシェカ峡谷。
その先には定例会を行なっている街、クローバーがある。
そこに続く鉄橋の上にエリゴールはいた。
「ギルドマスターの集まる街・・・近いな。魔風壁で使った魔力も回復のほぼ回復した事だし」
そう言うとヒュンと飛び上がる。
「我等の仕事の権利を奪った老いぼれどもめ、待っていやがれ。
そして勢いよく飛んだ。
「死神に粛清だ!!」
「エリゴールの狙いは・・・定例会なの!?」
事情知らないルーシィたちに説明をしながら魔風壁に前に戻っていた。
「ああ・・だけどこの魔風壁をどうにかしねぇと街のそとにはでれねぇ」
そんな説明を聞いていないのか。
「ぎゃああああっ!」
「な?」
「あわわ・・・」
ナツが魔風壁を突破しようとして跳ね返された。
「カゲ・・・頼む、力を貸してくれ・・・」
カゲヤマは応急処置で一命は取り留めたものの、未だに意識が戻らない。
「くそぉぉぉっ!!こんなモン突き破ってやるっ!!」
そう叫んで再び魔風壁に挑むナツ。
しかし結果は変わらず再び吹き飛ばされてしまう。
「ナツ!」
「大丈夫?」
ナツにルーシィとレイが駆け寄る。
「バカヤロウ・・・力じゃどうにもなんねぇんだよ」
「急がなきゃマズイよっ!!アンタの魔法で凍らせたりできないの?」
「できたらとっくにやってるよ」
「じゃあ、レイは?」
「出来なくもないけど・・・」
「けど?」
レイの言葉に首を傾げるルーシィ。
「あなたとハッピーは確実に氷付けになるけど・・・やる?」
「いいです」
首をブンブンっと横に振るルーシィ。
「だったら、
「アレ?」
そう言って立ち上がって何かをしようとするナツ。しかし・・・
「ダメ」
レイに手首を掴まれて止められる。
「邪魔す・・・・」
「こんな狭い場所で
「う・・・」
レイに説得されて、使うのをしぶしぶやめるナツ。
「くそっ!!どうすればいいんだ!!」
「私が行きます」
万策尽きたと思われえたその時、ルナが声を上げた。
「どうやって」
「私は風の魔法を使います。だから私一人だけなら突破できると思います」
「マジか!?」
「本当ぉ!?」
「よっしゃぁ!!」
グレイとルーシィとナツが喜ぶ中エルザが・・・
「ちょっと待て、それに失敗したらお前は魔風壁で切り刻まれることになるんだぞ」
そういった。それに対してルナは・・・
「覚悟は出来ています」
意を決した目をエルザに向けた。
「わかった、エリゴールは強敵だ」
「私達もなんとかしてここから出るから、足止めを考えて戦って」
「分かりました!!」
そう言うとルナは羽を広げて魔風壁の中に飛びこんで行った。
「さて私達も脱出する方法を考えないとな」
エルザがそう言うと、一同は考え込む。
するとナツの目にルーシィの鍵が映る。すると・・・
「そうだっ!!星霊!!」
「え?」
声を上げてルーシィの肩を掴んだ。
「エルバーの屋敷で星霊界を通って場所移動できただろ」
「いや・・・普通は人間が入ると死んじゃうんだけどね・・・息が出来なくて。それに
「?」
「つまり星霊界を通ってここを出たいとしたら、最低でも駅の外に星霊魔導士が一人いなきゃ不可能なのよ」
「ややこしいな!!いいから早くやれよ」
「できないって言ってるでしょ!!」
あまりに横暴なナツの言葉にルーシィが怒鳴る。
「もう一つ言えば人間が星霊界に入る事自体が重大な契約違反!!あの時はエバルーの鍵だからよかったけどね」
「エルバーの・・・鍵・・・あーーーーーーっ!!」
その話を聞いていたハッピが突然大声を上げた。
「ルーシィ!思い出したよっ!!」
「な、何が?」
「来る時言ってた事だよぉ!!」
そう言うとハッピーは、背負っていたバックの中から何かを取り出した。
「これ」
「それは・・・バルゴの鍵!?」
ハッピが取り出したのは、エバルーが使用していたバルゴの鍵だった。
「ダメじゃないっ!!勝手に持ってきちゃーーー!!」
「違うよバルゴ本人がルーシィへって」
「ええ!?」
まさか自分の意思で来たとは思わず、ルーシィは驚きの声を上げる。
「何の話だ?」
「このな時にくだらねぇ話してんじゃねえよ」
「バルゴ・・・ああっ!!メイドゴリラか!!
「メイドゴリラ?」
どうやらナツ以外は話の内容が理解できないようだ。
「エバルーが逮捕されたから契約が解除になったんだって。それで今度はルーシィと契約したいって、オイラん家訪ねてきたんだ」
「あれが・・・きたのね・・・」
バルゴの姿を思い出したルーシィは体を震わせる。
「嬉しい申し出だけど今はそれどころじゃないでしょ!?脱出方法考えないと!」
「でも・・・」
「うるさいっ!!ネコは黙ってにゃーにゃー言ってなさい!!」
「それは矛盾してる」
ハッピの言葉を聞かず頬をつねるルーシィにレイが突っ込む。
「バルゴは地面もぐれるし・・・魔風壁の下を通って出られるかなって思ったんだけど」
「何!?」
「本当か!?」
「なるほど」
ハッピーの言った言葉に一同は驚愕する。
「そっかぁ!やるじゃないハッピー!もう!何でそれを早く言わないのよぉ!!」
「ルーシィがつねったから」
浮かれるルーシィにハッピの言葉を通じなかった。
「貸して!!我・・・星霊界との道をつなぐ者。汝・・・その呼びかけに答え
ハッピーから鍵を受け取ったルーシィは、それを構えて詠唱を始める。
「開け!!処女宮の扉!!バルゴ!!」
すると現れたのは・・・
「お呼びでしょうか?ご主人様」
メイドゴリラではなく、可愛らしいメイド姿の少女だった。
「え!?」
以前とは違うその姿に、ルーシィは目を見開く。
「やせたな」
「あの時はご迷惑をおかけしました」
「やせたっていうか別人!!」
どこかずれた事を言うナツに突っ込むルーシィ。
「あ・・・あんたその格好・・・」
「私は御主人様の忠実なる星霊。御主人様の望む姿にて仕事させていただきます」
「前のほうが迫力あって強そうだったぞ」
「では・・・」
「よけいな事言わない!!」
姿を変えようするバルゴをルーシィが必死に止める。
「へぇー、可愛らしいじゃねぇの」
「ルーシィか・・・やはりさすがだな」
「・・・・負けない」
グレイとエルザが感心する中、レイは嫉妬していた。
「時間がないのっ!!契約後まわしでいい!?」
「かしこまりました。ご主人様」
「でかご主人様はやめてよ」
そう言われたバルゴの目には、ルーシィの鞭が映る。
「では「女王様」と」
「却下!!」
「では「姫」と・・・」
「そんなトコかしらね」
「そんなトコなんだ!!つーか急げよ」
的外れな会話をしているルーシィにグレイが突っ込む。
「では!いきます!!」
そう叫ぶとバルゴは頭かた地面にもぐった。
「おお!!」
「もぐった」
「いいぞっ!!ルーシィ」
「痛っ」
そう言ってエルザがルーシィを抱き寄せるが、鎧を着ているため硬い。
「おし!!あの穴を通ったいくぞ!!」
するとグレイの視界にカゲヤマを背負ったナツが映った。
「何してんだ、ナツ!」
「オレと戦った後な死なれちゃ後味悪ぃんだよ」
それを見たエルザは微笑み、少し意識を取り戻したカゲヤマは驚いた顔をした。
「でられたぞー!!」
バルゴの作った穴を通って、一同は駅の外に出ることに成功した。
「急げ!!」
「うわっ、凄い風」
魔風壁の影響で強い風が吹いていた。
「姫!!下着が見えそうです」
「自分の隠せば」
「な、なんだ前が見えねぇ!!」
「ナツは見ちゃダメ」
ルーシィのスカートをバルゴは押えるが、自分のスカートは風でめくり上がり、それを見て顔を赤くしているグレイ、ナツのほうはレイに手で目隠しをされていた。
「無理だ・・・い、今からじゃ追いつけるハズがねぇ・・・オ、オレたちの勝ちだ・・・な」
途切れ途切れにカゲヤマが呟く。
「すでにルナが向かっている」
「アイツは翼人だ。今頃追いついてるだろーな」
「な・・・!?」
レイよグレイの言葉に驚くカゲヤマ。
(頼んだぞ、ルナ・・・)
その頃、リシュカ峡谷。
「あの街だ、見えてきた」
エリゴールの目にはクローバーの街が映った。そんな時。
「ウインドメイク・・・」
後ろから声が聞え、エリゴールが後ろを振り向くと・・・
「"
風で出来た鷹が襲い掛かってきた。
「どぉあっ」
鷹に吹き飛ばされるエリゴール、だがすぐに空中で体勢を整える。
そして攻撃がした方向を向き。
「キ、キサマ・・・翼人だったのか・・・」
翼を使って空を飛んでいるルナがいた。
「これ以上さきには行かせません」
次の投稿は今日中にしたいと思います。