FAIRY TAIL ～妖精の双竜～

呪歌

「何という事だっ！！話に夢中になるあまりナツとレイを列車においてきたっ！あいつらは乗り物に弱いというのにっ！私の過失だっ！とりあえず私を殴ってくれないかっ！！」

「まぁまぁまぁ」

取り乱すエルザを、ルーシィが宥めようとする。

「そういう訳だっ！！列車を止める！」

「ど、どういう訳？」

「妖精の尻尾の人はやっぱみんなこーゆー感じなんだぁ・・・」

「オイ！オレはまともだぞ」

「露出魔が言っても説得力ありませんよ」

突然話を振られ戸惑う店員。

「仲間のためだ、わかってほしい」

「無茶言わんでくださいよっ！！降りそこなった客二人のために列車を止めるなんて！！」

エルザがそう説得していると緊急停止信号のレバーが目に入る。

「ハッピー」

「あいさー！！」

「ちょ、ちょっとぉ！！」

エルザの指示を聞いたハッピーがレバーを落とす。すると警報がなり、駅にいた人々に動揺が走る。

「ナツを追うぞ！！すまない荷物を「ホテル・チリ」までたのむ」

「誰・・・アンタ・・・」

そんな事を気にせず、エルザはそこら辺の通行人に荷物を押し付ける。

「また始末書が・・・」

「がんばれ」

頭を抱えるルナにそう言うグレイの服装は・・・

「服！なんで！？」

なぜか全裸だった。

一方、列車に取り残されたナツとレイにカゲヤマは話かけていた。

「妖精の尻尾(フェアリーテイル)って言えばさぁ、ミラジェーンって有名だよね。ために雑誌とか載ってるし綺麗だよね。何で現役やめちゃったのかなぁ？まだ若いのにね」

だが二人は乗り物酔いが酷いため答えれずにいる。それを知っていながらカゲヤマはさらに話を続ける。

「あのさぁ、名前知らないんだけど、新しく入った女の子がかわいいんだって？君達知ってる？」

二人に返事はない。それを見たカゲヤマはくすっと笑い。

「正規ギルドはかわいい子多いのかぁ・・・うらやましいなぁ。うちのギルドまったく女っ気なくてさ、少しわけてよ」

優しそうな笑みを浮かべたカゲヤマがそう言う。

「・・・なーんつって」

カゲヤマは表情を変えて、足でナツを踏みつける。

「キーっク、ヒャハ。シカトはやだなぁ闇ギルド差別だよ」

「あ？」

その行為によってようやくナツが反応した。

「お！やっとしゃべってくれた、ヒャハハ」

「な、何すんだ・・・でめ・・・」

「はい？よく聞こえないよ？」

ナツは足を手で退かす。

「妖精の尻尾(フェアリーテイル)て、いやぁ随分目立ってるらしいじゃない？正規ギルドだからってハバをきかせる奴ってムカツクんだよね。うちら妖精の尻尾(フェアリーテイル)の事なんて呼んでるか知ってる？妖精(ハエ)だよ妖精(ハエ)・・・ハエたたきーっ！！えいっ！！えいっ！！」

そう言ってカゲヤマはナツにチョップを喰らわせる。

「でめ・・・」

「ナツを・・」

「おーやるのかい？」

その事でようやく反応したレイと共にナツが上がるが・・・

「「うぷ」」

列車の中のため酔ってしまう。

「ヒャハハッ！何だよその魔法。魔法ってのは・・・」

ぐいーんっとカゲヤマの影が伸びるそして・・・

「こう使わなきゃ！」

「うごっ」

影の中から出た拳に殴り飛ばされてしまう。

「ナツ・・・」

レイは慌ててナツの元に行こうするが・・・

「ちょっと待ちなよ。暇だから付くまでの間付き合ってくれる」

カゲヤマに捕まってしまう。

「く、くそ・・・」

そるといきなり列車が止まり大きく揺れた。

「うあっ！何だよ！！停車か！？」

カゲヤマのカバンが床に落ち、その際の蓋が開き中身がでてしまう。

「止まった・・ん？」

ナツはカバンから出た三つ目の髑髏が付いた笛を見かける。

「み、見たな」

それに気づいたカゲヤマが慌てた様子で言う。

「うるせぇ・・・さっきはよくもやってくれたな」

「え？」

先ほどとは違った様子のナツに驚くカゲヤマ。

「レイ！」

「うん」

「な！」

ナツに名前を呼ばれたレイは自分を掴んでいる手を掴んで、ナツがいる方向に投げ飛ばす。

「お返しだ！！」

「ぐもっ」

自分のほうに飛んできたカゲヤマをナツは殴り飛ばす。カゲヤマは何度か地面を跳ね、壁に衝突する。

「ハエパンチ！」

「て、てめぇ～」

そう言ってナツは拳を振る。すると列車内にアナウンスが流れた。

「先ほどの急停車は誤報によるものと確認できました。間もなく発車します。大変ご迷惑をおかけしました」

「マズ・・」

「逃げよ」

「逃がすかぁっ！」

ナツとレイは自分の荷物を掴み逃げようとするが、カゲヤマがそれを止めようとする。

「鉄の森(アイゼンヴアルト)に手ぇ出したんだ！だだですむとは思うなよっ！妖精がぁっ！！」

「こっちもてめぇの顔覚えたぞっ！さんざん妖精の尻尾(フェアリーテイル)をバカにしやがって！」

「鉄の森(アイゼンヴアルト)・・・」

列車が再び動き始める。

「今度は外で勝負してやぼる・・・うぷ」

「しかたないか・・・・うぷ」

そう言ってナツとレイは列車の窓から外に飛び出した。

その頃、空を飛んでいるルナとレンタルした魔道四輪にのってエルザたちは列車を追っていた。

ちなみに魔道四輪とは馬車よりスピードが出るが運転手の魔力を消費する魔法アイテムだ。

「とう！」

「ナツさん！レイさん！」

列車の窓から、ナツとレイが飛び出してきた。

「なんで列車から飛んで来るんだよぉ！！」

「どーなってんのよ！！」

「レイさん危ない！！」

「ありがとう」

レイのほうはルナが捕まえたたが、ナツのほうはそういかず、魔道四輪の屋根に乗っていたグレイと・・・

「「ぎゃああああああ！！」」

ゴチンと音をたててナツとグレイの額がぶつかった。そのまま二人は地面に落ちる。

「ナツ！！レイ！！無事だったか！？」

魔道四輪を止めたエルザが声をかける。

「痛ーっ！！何しやがるっ！！ナツてめえっ！！」

「今のショックで記憶喪失になっちまった！誰だオメェ、くせぇ」

「何ぃ！？」

「ナツーごめんねー」

「ハッピー！エルザ！ルナ！ルーシィ！ひでぇぞ！！オレたちをおいてくなよっ！！」

「すまない」

「ごめん」

「すいません」

「おい・・・随分都合のいい記憶喪失だな・・・」

その通りだ。

「エルザごめん」

「ん？どうしたんだ」

いきなりレイがエルザに謝った。

「鉄の森(アイゼンヴアルト)を逃がしてしまった」

「なんだと！！」

レイの言葉のエルザは声を上げる。

「なあ。鉄の森(アイゼンヴアルト)ってなんだ？」

「私たちが追っている人達ですよ」

気絶していたために理解できないナツに、ルナが答えた。

「さっきの列車に乗っているのだな。今すぐ追うぞ！」

「ナツさん、レイさんどんな特徴でした？」

ルナの質問に対してナツとレイは話した。

「特に特徴はなかった」

「なんか髑髏っぽい笛を持っていた。三つ目がある髑髏だった」

「なんだそりゃ。趣味悪ィ奴だな」

その話を聞いていたルーシィが振るえだした。

「三つ目の髑髏・・・」

「どうしてのルーシィ」

「ううん・・・まさかね・・・あんなの作り話よ・・・でも・・・もしもその笛が呪歌だとしたら・・子守唄(ララバイ)・・・眠り・・・死・・・！！」

何かも気づいたようにルーシィは顔を上げた。

「その笛がララバイだ！！　呪歌(ララバイ)・・・〝死〟の魔法！！」

「何！？」

「呪歌？」

聞きなれない言葉にグレイが首を傾げる。

「あたしも本で読んだことしかないんだけど。禁止されている魔法の一つに呪殺ってあるでしょ？」

「名前の通り対象者に死の呪いを与える黒魔法ですよね」

「呪歌(ララバイ)はもっと恐ろしいの」

「もっと恐ろしい？」

レイが首を傾げる。

「その笛は元々〝呪殺〟の為の道具だったんだけど、伝説の黒魔導士ゼレフがさらなる魔笛へと進化させたの」

「進化？」

「うん・・・その笛の音を聞いた者全てを呪殺する・・・・〝集団呪殺魔法〟呪歌(ララバイ)へ！！」

それを聞いたエルザたちは急いで列車を追った。

しばらく走って、クヌギ駅に到着した一同そこでは軍隊が駅を封鎖していた。

「いかなり大鎌を持った男達が乗り込んできたんです」

「ワシはしっとるぞ！！あいつ等はこの辺にいる闇ギルドの者だ」

「女房より大事な商売道具を列車の中に置いてきちまったんだ」

当然、駅の周りはざわついていた。

「あいつ等・・列車を乗っとったの！？」

「みたいだね」

「馬車や船とかならわかるけど列車って・・・」

「あい・・・レールの上しか走れないし奪ってもそれほどのメリットないよね」

そんな会話を聞いたグレイは・・・

「ただしスピードはある。何かをしでかす為に奴等は急がざるをえないという事か？」

「グレイさん脱がないでください！」

服を脱ぎながら答え、辺りを飛んでいたルナに突っ込まれた。

「もう軍隊も動いているし、捕まるのは時間の問題なんじゃない？」

「だどいいんだがな・・・」

ここはオシバナの街、そこでエルザは魔道四輪を全力で走らせていた。

「エルザさん！飛ばしすぎです！！」

「そうだ！ＳＥプラグが膨張してんじゃねぇか！」

グレイの言うとうり魔力送るためのＳＥプラグが膨張していた。

「あの笛が吹かれれば大勢の人が死ぬ・・・音色を聞いただけで人の命が消えてしまうんだぞ」

「わかってっけど奴等の目的もはっきりしてねぇし・・・一戦交える必要もある」

「そんなスピードを出したら、エルザさんでも魔力がもちませんよ」

グレイとルナの言う事を聞かず、エルザは魔道四輪を走らせる。

「構わん。いよいよとなれば棒切れでも持って戦うさ。それにお前達がいるしな」

その言葉にグレイもルナも何もいえなくなった。一方車内にいるメンバーはというと。

「何かルーシィに言う事あった気がする。忘れたけど」

「何？」

「だから忘れたんだって」

「気になるじゃない。思い出しなさいよ」

「う～ん・・・」

「うぷっ・・・」

「キモチ・・・悪・・・」

必死にルーシィに言う事を思い出そうするハッピー。ナツとレイは乗り物酔いでダウンしていた。

「キモ・・・チ・・・ワル・・・！！」

「それかいっ！！」

ピクッと反応するハッピーに突っ込むルーシィ。

「ナツ、レイ、落ちるわよ！」

「お願い・・・」

「落として・・・くれ・・・」

「うーん、何だろ？ルーシィ、変、魚、おいしー、ルーシィ、変」

「変って！」

ハッピーはまだ思い出そうとしていた。

「あ！！」

「何だあれは・・・」

その視線の先には、煙が立ち上がっていた。

煙が上がっていたのはオシバナ駅であった。

「皆さん！お下がりください。ここは危険です。ただ今列車の脱線事故により駅には入れません！」

「脱線？」

「いや・・・テロらしよ」

駅の周りに人が集まっていた。

「内部の安全が確保されるまさ駅は封鎖します」

「いくぞ！」

「でも封鎖って」

「いちいち聞いてられっかよ」

「「うぷ」」

「ナツさん、レイさん、人酔いしないでください！」

一同は人混みの中を進んでいく。

「駅内(なか)の様子は？」

「な、何だね君！！」

駅員がそう言った瞬間、エルザは駅員に頭突きをした。

「駅内(なか)の様子は？」

「は？」

また頭突きをした。

「駅内(なか)の様子は？」

「ひっ」

今度の駅員は怯えていた。

「即答できる人しかいらないって事なのね」

「だんだんわかってきたろ？」

その様子を見たルーシィとグレイが若干引いていた。

「すいません！ルーシィさん、ナツさんを持ってくれませんか！？」

レイを背負っているルナがルーシィに声をかけた。列車・魔道四輪・人酔いがきつかったのかナツとレイは完全にダウンしていた。

「何でわたしなの！？グレイもいるじゃない！！」

「オレは死んでもソイツを運ばねぇぞ」

「そういうことです」

グレイはナツを運ぶことを即刻拒否した。

「しょうがないわね」

「わ、わりぃ・・・」

そう言ってルーシィがナツを背負った。そして一同は駅の中に突入した。

「軍の小隊が突入したんですよね？」

「ああ。しかしまだ戻って来ないらしい」

「中で戦闘してんのか」

そう言って駅の中をエルザを筆頭にルーシィ、グレイ、ルナ、ハッピーが背負われたナツとレイと共に走っていた。

しばらくして目に飛び込んできたのは、完全にやられた軍の小隊であった。

「ひいいっ！」

「全滅！！」

「相手は一つのギルドすなわち全員魔導士」

「やはり軍の小隊では話になりませんね」

「急げ！ホームはこっちだ！！」

グレイが先導してホームに向かう一同。

ホームに着くと全員が足を止めた。

「やはりきたな。妖精の尻尾(フェアリーテイル)」

そこには大勢の魔導士と、鎌をもった男、エリゴールがいた。

「な、何・・この数・・・」

ルーシィがその光景に怯える。

「待ってたぜぇ」

「貴様がエリゴールだな」

「あれ・・・あの鎧の姉ちゃん・・・・」

「なるほど・・・計画バレたのオマエせいじゃん」

太っちょが呟く。

「妖精(ハエ)がぁ～お前等のせいで・・」

「落ち着けよ、カゲちゃぁん」

「ん？この、声・・・」

ルーシィの背中から降ろされたナツが呟いた。

「貴様等の目的は何だ？返答次第ではただでは済まさんぞ」

エルザの殺気にエリゴールはまったく動じない。

「遊びてぇんだよ。仕事もねぇし、ヒマなモンでよぉ」

エリゴールがそう言うと、大勢の魔導士が笑い出す。そしてエリゴールは空に飛んだ。

「まだわかんねぇのか？駅には何がある」

「飛んだ！」

「風の魔法ですね」

「駅？」

エリゴールが駅のスピーカに方に飛んで行き・・・

「ぶー」

そうスピーカを叩きながら言った。

「呪歌(ララバイ)を放送するつもりか！？」

「ええ！？」

「何だと！？」

「そんな事をしたら・・・・」

「ふははははっ！！」

驚愕するエルザたちを見て、エリゴールは楽しそうに笑う。

「この駅も周辺には何百・・・何千ものヤジ馬どもが集まっている。いや・・音量を上げれば町中に響くかもな・・・死のメロディが」

「大量無差別殺人だと！？」

「これは粛清なのだ。権利を奪われた者の存在を知らずに、権利を掲げ生活を保全している愚か者どもへのな。この不平等な世界を知らずに生きるのは罪だ。よって死神が罰を与えに来た。〝死〟という名の罰をな！！」

「そんな事をしても権利が返ってきません！！そもそも自業自得でしょう！！」

ルナが怒鳴るが、エリゴールはまったく動じない。

「ここまで着たらほしいのは〝権利〟じゃない〝権力〟だ。権力があれば全ての過去を流し未来を支配する事だってできる」

「アンタバッカじゃないのっ！！」

今度はルーシィが怒鳴るが、やはりエリゴールは動じない。

「残念だな妖精(ハエ)ども。闇の時代を見ることなく死んでしまうちは！！」

「きゃあ！」

「！」

カゲヤマがカゲを伸ばし、そこから出た手でルーシィのルナに攻撃しようとするが・・・

「やっぱりオマエかぁ！！」

「させない」

片方をナツが炎を纏った手で切り裂き、もう一方をレイが氷漬けにした後、粉々に破壊する。

「てめら・・・」

カゲヤマが憎々しげに呟く。

「今度は地上戦だな！！」

睨み合う妖精の尻尾と鉄の森。その中でエリゴールは一人不敵な笑みを浮かべた。

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本日二回目の投稿です。
投稿のことですが、私は学生で平日は家にほとんどいないため、基本土日以外はあまりできないですがお許しください。