FAIRY TAIL ~妖精の双竜~   作:駄文帝

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遅くなってすいません。次の話は遅くても日曜日には投稿したいと思います。


鉄の森編
鎧の魔導士


「う~ん・・・」

 

エバルーの依頼から数日後、ルーシィは依頼板の前で悩んでいた。

 

「魔法の腕輪探しに・・・呪われた杖の魔法解除(ディスペル)、占星術で恋占い希望!?」

 

「ルーシィさん何しているんですか?」

 

「あ。ルナ」

 

依頼を見ていたルーシィの後ろからルナが声をかけた。

 

「気に入った仕事あったら私にいってね。今は総長(マスター)いないから」

 

「あれ?本当だ」

 

「定例会があるからしばらくいないのよぉ」

 

「定例会?」

 

聞きなれない言葉にルーシィが首を傾げる。

 

「地方のギルドマスターが集って定期報告する会のことです。評議会とは違うんですけど・・・・どう説明したら・・・」

 

「リーダス、光筆貸してくれる?」

 

「ウィ」

 

ルナが説明に悩んでいるとミラは、近くに居た大柄な男「リーダス」から光筆と言う空中に文字が書ける魔法アイテムを借り、空中に文字を書き始める。

 

「魔法界で一番偉いのは政府とのつながりもある評議院の10人。魔法界におかる全ての秩序を守る為に存在するの。犯罪を犯した魔導士をこの機関で裁く事もできるのよ。その下にいるのがギルドマスター。評議会での決定事項などを通達したり、各地方ギルド同士の意思伝達を円滑にしたり、私たちをまとめたり。まぁ、大変な仕事よねぇ」

 

「知らなかったなぁー、ギルド同士のつながりがあったなんて」

 

ミラの説明を聞いたルーシィが感嘆の声を上げた。

 

「ギルド同士の連携は大切なのよ。これをおそまつにしてると・・ね」

 

「黒い奴等が来るぞォォォ」

 

「ひいいいっ!!」

 

ミラが言いかけた時、ナツがルーシィの背後から声色を変えて囁き、それに驚くルーシィ。

 

「うひゃひゃひゃひゃ!「ひいい」だってよ。なぁにビビってんだよ!」

 

「もォ!脅かさないでよォ!」

 

「ナツさん、そう言うのはダメですよ」

 

「でも黒い奴等は本当にいるのよ」

 

空気を変えるようにミラがそう言った。

 

「連盟に属さないギルドを闇ギルドって呼んでるの」

 

「法律を無視しますから危険なんです」

 

「あい」

 

「じゃあいつかアンタにもスカウト来そうね」

 

「否定できませんね」

 

ルーシィの言葉にルナが苦笑しながら同意した。

 

「つーか早く仕事選べよ」

 

「前はオイラたちが勝手に決めちゃったからね。今度はルーシィの番」

 

「冗談!!チームに入らないに決まってるでしょ」

 

「なんで?」

 

「あい」

 

ルーシィの言葉にナツとハッピーが首を傾げ、ルナはやっぱりと言った顔をする。

 

「だいたい金髪の女性だったら、誰でもよかったんでしょ!」

 

「それでけじゃねぇよ。ルーシィがいい奴だから選んだんだ」

 

屈託のない笑顔で言われ、ルーシィは何も言えなくなる。

 

「私はルーシィさんにいてほしいですよ」

 

「うん・・・・」

 

ルナにもそう言われ考えこむルーシィ。

 

「なーに、無理にチームなんか決める事ァねぇ。聞いたぜ大活躍だってな。きっとイヤってほど誘いがくる」

 

「ルーシィ・・・僕と愛のチームを結成しないか?今夜二人で」

 

「イヤ・・・・」

 

「な?」

 

会話を近くで聞いていたグレイとロキが話かけてきた。

 

「傭兵ギルド南の狼の二人とゴリラみてーな女やっつけたんだろ?すげーや実際」

 

「そ、それ全部ナツ」

 

「てめぇかこのヤロォ!!」

 

「文句あっかおぉ!?」

 

ナツとグレイが喧嘩を始めるが・・

 

「グレイさん服着てください!!」

 

「ああああっ!また忘れたぁっ!!」

 

「うぜぇ」

 

ルナに指摘され服を着ていないことに気づくグレイ。

 

「今うぜぇつったか!?クソ炎!!」

 

「超うぜぇよ変態野郎!!」

 

「ねー」

 

「何が!?」

 

殴り合いの喧嘩を始める二人。そしてロキはルーシィを口説き始めた。

 

「君って本当にキレイだよね。サングラスを通してもその美しさ・・・肉眼で見たらきっと目が潰れちゃうな・・・ははっ」

 

「潰せば」

 

口説いて来るロキに対して、ルーシィは冷たく言い放つ。

ロキがルーシィの腰に鍵に気づくと、ルーシィから離れた。

 

「うおおっ!!き、君星霊魔導士!?」

 

「?」

 

「な、なんたる運命のいたずらだ・・・!!」

 

先ほどまでと違った様子のロキにルーシィは首を傾げる。

 

「ゴメン!!僕たちここまでにしよう!!」

 

「何か始まってたのかしら・・・」

 

ロキは慌てて出口に向かって走り出し、ルーシィは一人ぼやく。

 

「何あれぇ」

 

「ロキさんは星霊魔導士が苦手なんですよ」

 

「はぁ?」

 

「どうせ昔女の子がらみで何かあったのよ」

 

「戻ってきましたよ」

 

ロキは先ほどより慌てた様子で戻ってきた。そして喧嘩をしているナツとグレイに叫ぶ。

 

「ナツ!グレイ!マズイぞっ!!」

 

「「あ?」」

 

「エルザが帰ってきた!!」

 

「あ゛!?」

 

それを聞いた二人は尋常ないほどの汗を噴出す。そして・・・

 

ズシィン・・・

 

地響きのような音が聞こえてきた。

段々近くなる地響きを聞きながら、固唾を飲むギルドメンバーたち。

そして、巨大な角を持った、鎧を着た緋色の髪の女性、エルザが帰ってきた。

 

「「?」」

 

そんな中、ナツとルナが首をかしげた。

 

「今戻った。総長(マスター)はおられるか?」

 

「お帰り!総長(マスター)は定例会よ」

 

「そうか・・・」

 

巨大な角を床に置いたエルザがミラに尋ね、それにミラが答える。

 

「エ、エルザさん・・・そ、その・・バカでかいの何ですかい?」

 

「ん?これか。討伐した魔物の角に地元の物が飾りをほどこしてくれてな・・・綺麗だったのでここへの土産にしようと思ってな・・・迷惑か?」

 

「い、いえ滅相もない!!」

 

エルザに話を振られた男は即座に否定する。

 

「それよりもお前達。また問題ばかり起しているようだな。総長(マスター)が許しても私は許さんぞ」

 

そう言ってメンバーを睨むエルザの視線に、多くのメンバーの体が震えた。

 

「な、なにこの人」

 

「エルザ!とっても強いんだ」

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の女候補の一人なんですよ」

 

ルーシィの嘆きにハッピーが答える。

 

「カナ・・・なんという格好だ飲んでいる」

 

「う・・・」

 

「ビジター、踊りなら外でやれ。ワカバ、吸い殻が落ちてるぞ。ナブ、相変わらず依頼板の前をウロウロしているのか?仕事をしろ」

 

一通りダメ出しした後、ため息をつき。

 

「まったく・・・世話がやけるな。今日のところは何も言わずにおいてやろう。ところでナツとグレイそしてルナはいるか?」

 

「は、はい!」

 

呼ばれたルナは慌てて返事をする。そして同じく呼ばれたナツは・・・

 

「エルザ、レイはどうしたんだ!?一緒に仕事に行ったんだろ!?」

 

そう言ってエルザに問い詰めるが足が震えていた。

 

「な、なんで足が震えてるの?」

 

「ナツもグレイもエルザが怖いのよ。図で説明するわね」

 

「ええぇっ!?」

 

そう言ってミラはお世辞にもうまいとは言えない絵を描きながら説明を始めた。

 

「ナツは昔喧嘩を挑んでボコボコにされちゃったの」

 

「まさかぁ、あのナツが!?」

 

「グレイは裸で歩いているところを見つかってボコボコに・・・」

 

「あらら・・・」

 

「ロキはエルザを口説こうとして半殺し」

 

そんな説明が終わるとエルザが口を開いた。

 

「その事と関係あるのだが、実は三人に頼みたい事がある。仕事先で少々厄介な話を耳にしてしまった。本来なら総長の判断をあおぐトコなんだが、早期解決が望ましいと私は判断した。三人の力を貸してほしい、ついてきてくれるな」

 

「え!?」

 

「はい!?」

 

「いいですけど・・・」

 

エルザの言葉にギルドがざわつく。

 

「ど、どういう事!?」

 

「あのエルザがそんな大人数誘うトコ初めて見たぞ!」

 

「何事なんだ・・・」

 

ハッピーはそう嘆く。ギルドの尋常じゃない空気にルーシィの心臓が強く鳴る。

 

「出発は明日だ。レイにはすでに伝えて準備させている。お前達も準備しておけ」

 

「あ、いや・・・ちょっ・・・」

 

「行くなんていったかよ!!」

 

「詳しくは移動中に話す」

 

ナツとグレイの話は無視された。そしてそのままギルドから去っていた。

 

「エルザとナツとレイ、そしてグレイとルナ・・・今まで想像した事もなかったけど・・・」

 

「?」

 

ミラの呟きにルーシィは首を傾げる。

 

「これって妖精の尻尾最強チームかも・・・」

 

「!!」

 

その言葉の驚きのあまり、ルーシィは口を大きく開いた。そんな中ナツとグレイは・・・

 

「む、無理だ・・・こいつと一緒ってだけでうぜぇのにエルザが一緒なんてーーー!!」

 

「こんなチームありえねぇっ!!つーか行きたくねぇーーー!!」

 

ナツはルーシィのほうを振り向き、ルーシィはその気迫にビクッと震える。

 

「おおおおおっ!!」

 

「きゃあっ!な、なにするのよぉ!」

 

ナツは目に見えない速さで・・・

 

「お前、今からナツだ」

 

「無理だって」

 

「あい」

 

ルーシィに自分のマフラーと服を着せ、自分の様に前髪を上げた。

 

 

 

 

場所は移って、魔導師ギルド鉄の森(アイゼンヴアルド)

 

「あの鎧女、どこのギルドの者よ」

 

「知らね」

 

「いい女だったなぁ・・・クソッ!!声かけとけきゃよかったぜ」

 

「オメーじゃ無理だ」

 

「何だとっ!」

 

丸い男と髪が立った男がもめていた。

 

「カゲヤマはまだ戻らねぇのか?」

 

あれ(・・)の封印を解くのはそう簡単じゃねぇハズだ。仕方ねぇよ」

 

鎌を持った男の質問に、一人の男が答える。

 

「モタモタしてんじゃねぇよ・・・今が好機なんだぜぇ。ジジィどもが定例会をしている今がな」

 

鎌を持った男「エリゴール」がそう呟いた。


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