9月8日。今日から真達の通う八十神高校は二泊三日の修学旅行で辰巳ポートアイランドへとやってきていた。
「うはー、なんだこれ……広過ぎじゃね、この学校?」
「まあ、そうだな。俺の知る限り一番だと思うぞ?」
陽介はそう言うと、唖然とした表情で月光館学園の校舎を見回し、「広さで負けてたらウチ勝つとこなくない?」とぼやく。月光館学園は高等科、初等科と中等科が同じ敷地内にあり、玄関一つとってもその広大さは八十神高校とは比べ物にならない。都会っ子である陽介はもちろんの事八十神高校の生徒は驚きを隠しきれず、元生徒の真をして改めて月光館学園の広大さを身に沁みさせていた。
「えー、あー、次に、この学園都市とこの学園の設立意義について説明しまぁす……」
驚く陽介の眼前では、月光館学園の校長の長い話が続いている。話の内容に一貫性が無く、設立意義から諺へと次々に話題が変わっていく。あまりの長話に欠伸を漏らし文句を呟く千枝を雪子が宥めていると、校長に紹介された月光館学園の生徒会長が挨拶を行う。
「ようこそ、私立月光館学園へ。初めまして。生徒会長を務めます、三年D組、伏見千尋です」
校長に紹介されて、八十神高校の生徒達の前に出てきた女生徒――眼鏡を掛けた理知的な雰囲気を持った綺麗な子だ――が挨拶をし、利発的な声で「よろしくお願いします」と挨拶。
「うお……あの子、レベル高ぇ!」
「た……確かに、カワイッスね……」
生徒会長――千尋の挨拶を聞いた陽介と完二が、千尋の容姿に顔を赤らめて見惚れている。陽介は「俺史上空前のメガネ美人だ」とまで言っており、千枝が「反応し過ぎだから」と小声で怒鳴る。
「他校を招いての本格的な学校交流は、我が学園にとっても初めての試みです。他者を知る事は己を知る事であり、己を磨く第一歩である……と、私は考えます。この機会が、参加者一人一人の糧となるよう、私達も精一杯、務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします!」
落ち着いた様子で、高校生とは思えない内容のスピーチを終えた千尋に、八十神高校の生徒達から賞賛の拍手が送られる。
「やっばい、全てが負けてる……」
千枝がうつむいて敗北感に押し潰されていた。そして柏木教諭がクラス別に分かれるように指示を出し始め、ぞろぞろと列が崩れていく中、真は千尋の方に歩いていく。
「お久しぶりです、伏見先輩」
「え?……あ、椎宮君!」
真に声をかけられた千尋は驚いたように声を出し、「そっか。転校先が」と察したように頷く。
「っておいおいおい! 真、お前このメガネ美人さんとお知り合いなの!?」
「あ、ああ。まあ……」
その後ろから陽介が真に向けて叫び、彼が苦笑を漏らしつつ肯定すると、陽介はごほんと息をついてジュネスでのバイトで磨き上げた笑顔を千尋に向けた。
「えー、は、初めまして! 俺、椎宮真君の“大親友”の、花村陽介って言います!」
「あ、先ほど名乗りましたが、この学校の生徒会長を務めます、伏見千尋です」
陽介からの自己紹介を受けた千尋は再び名乗り、その笑顔に陽介はまたも見惚れる。
「なーなーおい真! お前この人とどういう関係なんだよ教えろよー」
「ど、どういう関係って……命先輩繋がりの友達だよ」
「あ、命さんの?」
「えっ!? み、命先輩……あなた達、命先輩を知ってるの!?」
陽介の言葉に真が返し、陽介がなんか納得したように返すと、千尋が驚いたように陽介達に向け言う。
「ま、そりゃあねっ?」
「ひゃわっ!?」
と、いきなり何者かが千尋に背後から抱きつくようにのしかかった。
「久しぶり、千尋ちゃん♪」
「み、こ……」
そして何者か――命は千尋の耳元に囁くように挨拶し、千尋はその相手が何者かを知った直後、どんどん顔を赤くしていく。
「ひゃわああああぁぁぁぁぁっ!!!」
直後、千尋の悲鳴が響き渡った。
「な、み、みことしぇんぱひ!? ど、どうひてしぇんぱひがほほひ!?」
さっきまでの利発さはどこへやら真っ赤な顔に回ってない呂律で必死に言葉を発しながら命を見る千尋。それに対して命は悪戯っぽくくすくすと笑っていた。
「み、命さん!? どうしてここに!?」
「ポートアイランドって聞いて里帰りしたくなっちゃってね。電車とタクシー駆使してこっそりついて来たんだよ」
千枝が驚いたように尋ねると命はしれっとそう言う。全く誰も気がついていなかった。
「あ、紹介するね? 彼女は僕の後輩の伏見千尋ちゃん。僕と千尋ちゃんは生徒会仲間だったんだ」
「生徒会仲間?……」
「うん。僕はここに転校してきた二年の時に当時の生徒会長だった先輩にスカウトされて庶務として生徒会に入ったんだ。その時に千尋ちゃんは経理をしてたんだよ」
「経理……ってあれッスか、金の計算をする? 頭いいんスねぇ」
「うんうん。やっぱさっきのスピーチからもこう、気品っていうか教養っていうか、そういうのが滲み出てたもんなぁ……」
命から千尋の紹介を受けた完二と陽介は感心したように頷く。と、千尋はぶんぶんと首を横に振った。
「そ、そそそそんなことありません! わ、私、一年の時は流されて生徒会に入っちゃったみたいなもので、経理の仕事もミスしてばかりで、命先輩にはいつも助けてもらってましたし……」
わたわたと言葉を紡ぐ千尋。元々自分はあがり症で、命と一緒に過ごしていく中で治ったけど男性恐怖症っぽいところもあった。それにさっきのスピーチも本当は、その命の言う生徒会長と一年前の生徒会長に一緒に考えてもらった――つまりいわば彼女の一年の時からの三代生徒会長の合作――ものだ。と彼女は語る。
「ふふ、道理で。桐条先輩に似てると思ったよ……ふむ、僕みたいな万年庶務如きが頭が高かったかな? これからは伏見生徒会長と呼ばせていただきますね?」
「か、からかわないでください!!」
悪戯っぽく笑いながらからかう命と顔を真っ赤にしながら文句を返す千尋。さっきまでの落ち着いた様子や理知的な雰囲気はない。しかしその分親しみやすさを陽介達は感じ始めた。
「って、そういえば伏見先輩……その妙に分厚いプリントの束は一体?」
「え?……ああっ!?」
千尋は真の指摘を受け、自分が持っているプリントの束を見て叫ぶ。
「あ、こ、これ今日の皆さんの予定表……渡しそびれちゃった……で、でもこれから打ち合わせが……」
「それは大変だね。真君、花村君、皆。手分けして配ってあげるんだ」
慌てている千尋を見た命がすぐさま指示、真達も「はい!」と返す。
「ご、ごめんなさい、段取り悪くって……」
「いえ、充分立派です。これくらいのお手伝いさせてください」
ぺこりと頭を下げて謝る千尋に対し真はそう言ってプリントの束を受け取る。
「あの、じゃあお言葉に甘えて。私、そちらの生徒会の方々と打ち合わせがあるので……椎宮君達の班はこれから特別授業のはずですから頑張ってください。教室は二階にありますから。では失礼します」
「あ、千尋ちゃん。せっかく来たんだし鳥海先生達にも挨拶したいんだけど……」
「あ、では一緒に。鳥海先生は確か……」
千尋と命は喋り合いながら校内に入っていく。
「……今ナニゲに“特別授業”つわれた? ここまで来て“授業”!?」
悲鳴を上げる陽介に、雪子は自分が配る分のプリントを見る。
「私達のクラスはえっと……“江戸川先生”って人ね。内容は、カバラと……」
「カバ?」
「知らねんスか? カジノッスよ、カジノ」
雪子の言葉に千枝がちんぷんかんぷんの様子で呟くと完二が得意気にそう言う。
「カバラというのはユダヤ教の伝統に基づいた神秘主義思想の事だ。しかし江戸川先生か……また濃い先生が割り当てられたな」
「うえ、そうなの?」
真のカバラについての説明及び呟きに陽介が言うと、真は「まあ、この学校の教員は大体どれも劣らぬ濃さを持つけどな」と続ける。
「ってそうだ、今日はいつから自由行動だ?」
陽介はそう言って自分に割り当てられたプリントを見る。
「えーっとね……無い」
が、彼が調べるよりも早く千枝が切り捨て、陽介と完二はプリントに目を落とし、確認。今日は一日授業で、今日明日はホテル泊、明日と明後日の昼までは辛うじて自由行動。というスケジュールになっている。
「マジかよ……」
「今日は頑張って“修学”しよ?」
雪子のフォローになってない言葉に陽介は肩を落とす。それから元生徒の真の案内で彼らは教室に向かう。
「のわっ!? げ、玄関に店があるッスよ!?」
「売店だ。文房具から昼食までなんでもござれ。昼時は腹を空かせた生徒達の戦場だ」
玄関ホールにある売店に完二が驚き、真の説明に千枝と雪子がへーと言う。
「はい、どうもはじめまして。会うは別れの始め、アルファなり、オメガなり……この時間、みなさんのお相手をいたします、江戸川です、ヒヒヒ」
メガネにぼさったい黒髪、白衣といううさんくさい風貌の教師――江戸川はやはりうさんくさい笑みを浮かべながら挨拶をし、八十神高校という名前が気になったのか、気が変わったと言ってカバラ哲学の話を止めて“お別れの話”という話をしようかと言う。
「いやいや、これは“日本で一番古い呪いの話”と言ってもいいのかもしれませんねぇ」
江戸川はそう訂正をして話し始める。この国を作った神様、国生みの二神、男神イザナギと女神イザナミ。この二人は大変に仲が良かったが、ある日イザナミが火の神カグツチをお産した時に死んでしまう。それをたいそう悲しんだイザナギは死者の国までイザナミを連れ戻しにかかった。
「暗い暗い黄泉の国……そこで、黄泉の住人となったイザナミ神に、一緒に戻ろうと男神が話します」
イザナギの説得に対し、イザナミは黄泉の国の神の神に掛け合うから待っていてくれと返事。しかし様子が気になったイザナギは禁を破り、クシに火を灯して辺りを見てしまう。
「そこで見たのは……全身にウジ虫がビッシリのイザナミ神!」
江戸川の話を聞き、想像したのか、千枝など女性陣が「うげっ」と悲鳴を上げる。その変わり果てた姿のイザナミを見たイザナギは逃げ出すが、怒り狂ったイザナミもそれを追いかける。だが様々な追手をかわしたイザナギは黄泉の入り口――ヨモツヒラサカに辿り着くとこの世とあの世を繋ぐ道を多いわで塞いで事なきを得たのだと。
「そして、岩までやってきた恐ろしい女神に、別れを言い渡します。これが“コトド”と言われる呪言です」
話は続き、イザナギから別れと言う名の呪いを受けたイザナミはイザナギにこう言い返したという。“こんな仕打ちをするのなら、私はあなたの国の人間を日に1000人殺す”と。しかしイザナギはそれを咎めることなくこう言い返した。“ならば私は日に1500の産屋を立てよう”と。
「千が死にゆき、万が生まれくる。それが、この国にかけられた呪いなわけです」
有名なこのお話、知ってる人も多かったですかね。と江戸川は言う。
「さて、イザナギ神とイザナミ神。言葉の語源は“誘う”から来てるんですね。今日のお話が、みなさんの知的好奇心への“誘い”になったとしたら幸いですね」
そう話を締めた時、授業の終了を示すチャイムが鳴った。
「あー、もう時間ですか。ちょっと、喋り過ぎましたかね……ヒヒヒ」
特別授業が終了し、江戸川は教室を出て行く。
「……なんつうか、思っていたのとは違って、結構楽しめた授業だったな」
陽介は感想を言った後、ふと真を見る。
「そういや、真が最初に使ったペルソナの名前って確かイザナギだったよな?」
「そうだな。面白い偶然だ」
「ん~……って事はどっかにイザナミってペルソナを使える奴もいるのかもな」
「そうだな。先輩もそうだけど、俺達以外のペルソナ能力者もいるらしいし、意外にどこかにいるのかもな」
陽介と真は喋り合う。そして一日の長い特別授業を終え、真達は再び月光館学園の入り口に集合。
「じゃあ、これから晩御飯だけどぉ。せっかくだからここの食堂とかぁ、近場での自由行動っていうことにしちゃいまぁす。ご飯が終わったらここに集合ねぇ?」
柏木はそう言うと、「シャガールのフェロモンコーヒーで、フェロモンムンムンになっちゃいましょぉ」とか言いながら歩いていく。
「なんつうか、飯の引率放棄されただけのようが気がするんだけどさ……」
「ま、いいじゃねえスか。先輩、この辺の飯場知りませんか?」
陽介の言葉に完二は自由に行動できるならいいと返し、真に近くにいい場所ないかと尋ねる。
「そうだな……」
「あ、私はがくれ行きたいな!」
完二に尋ねられた真がいくつか脳内でピックアップを始めるとりせが手を挙げながらリクエストを出し、真もじゃあそこに行くかと決めて陽介達を案内する。
「……あーごめんねー。今満員で、ちょっと待ってくれるかな?」
が、そのはがくれは現在満員。りせが「えー」と口を尖らせるが、真はしょうがないなと頭をかく。
「あ、皆! こっちなら空いてるよ!」
「先輩! よかった、行こう!」
と、やって来ていた命が定食屋“わかつ”の前に立って手を振り呼ぶ。真もそれを聞くと他の八十神高校生徒が来て混み合う前にとわかつに走っていき、全員が店に入っていく。
「「……」」
それと入れ違いに、二人の女性が商店街に入ってくる。
「さっき、八十神高校っていう学校の生徒が学園から出て行ってた。オーケー?」
「うん」
「そしてターゲットはその高校の人と仲が良かったらしい」
「うん」
「つまり、夕食時。きっとターゲットはその高校の人と一緒に食事を取っているはず」
「うん」
二人の女性は喋り合い――主に茶髪の女性が喋り、赤髪の女性が無言で頷いている形。なお双方ゴゴゴというオーラを背負い、目が凄まじく据わっている――商店街を睨む。
「徹底的に探すわよ!」
「イエス、マム!」
どん、と強く地面を踏みしめて、二人の女性が巌戸台商店街に踏み込んだ。
「ふーん。DHA盛りだくさん定食だって。完二これにすれば? DHA摂取したら頭よくなるよ?」
「うっせえ! んなもん迷信に決まってんだろうが!!」
「いや、そうとも限らなかったりするかもしれないよ?」
りせが完二をからかい、完二が怒ると命が返す。
「ん~。私やっぱり肉多いのがいいなぁ」
「私はどれにしよう……」
千枝と雪子も注文に迷う。
「すいません。俺、いつものお願いします」
「おぉ! なんか常連客っぽい!!」
真のドヤ顔での注文に陽介も騒ぐ。が、いつもので分からなかったのでちゃんと料理名を注文し直すというオチがつきつつ、全員が注文。やってきた食事を食べ始める。
「おぉ、うっめー!」
「学生時代、放課後は食事しながらコミュニティを深めるのが日課だったからね」
陽介が料理に歓声をあげ、その向かいに座る命は満足そうに頷きながらDHA盛りだくさん定食を食べていく。
「うんうん、そうだねぇ。私も学生時代、放課後はいっつもここやはがくれに来てたっけなぁ」
命の言葉に返す女性の声、その柔らかく魅力的な声に命はぴたっとその動きを完全停止。向かいに座っている陽介は首を傾げて彼の背後を見上げる。
そこには二人の女性が立っていた。一人――ついさっき命の言葉に返した方だ――は赤い髪をポニーテール風にし赤い瞳が特徴的で、どことなく命に似た雰囲気をした笑顔が魅力的な女性、もう一人は栗色の髪を肩くらいまで伸ばした、吊り目――と言っても今回は怒って目を吊り上げているようにも陽介の目には映る――のこちらもまた魅力的なスレンダーの女性。
「やっと捕まえたわよ。まさかポートアイランドに丁度良く来てたなんてね……こっちから出向く手間が省けたものね」
「ゆかりっち。まずは挨拶しなきゃいけないんじゃないかなぁ?」
「それもそうね……さてと、じゃあ改めて」
栗色の髪の女性は怒り心頭の様子でそう言っており、赤髪ポニーテールの女性はにこにこと微笑み、しかし全く笑っていない目で命を見ている。それにゆかりっちと呼ばれた栗色の髪の女性も頷くと二人は息を合わせて同時に口を開き同時に言葉を紡ぐ。
「久しぶり、命君」
「久しぶり、お兄ちゃん」
その言葉を背中越しに聞いている命は顔が真っ青になって汗をだらだらと流しており、それを見た真は苦笑いを零しながら顔を上げると代わりにというように二人の顔を見て挨拶した。
「お、お久しぶりです。岳羽先輩、結生先輩」
「うん、久しぶりだね。真君」
「ところで真君、命君借りていっていい? ちょっと三人でお話したいことがあるの」
真の言葉に赤髪ポニーテールの女性――結生がにこっと微笑みながら挨拶を返し、次に栗色の髪の女性――岳羽ゆかりが問う。その言葉に対し命は助けてといわんばかりの目を真に向け、真はほんの一瞬考えた後頷いた。
「どうぞ」
「真くーん!!!」
「ありがと、真君」
「さあ、お兄ちゃん。ちょっとこっちに来て……オハナシしようね?」
真の命を売るも同然の言葉に命がお店に迷惑がかかりそうな叫び声を上げ、それにゆかりがお礼を言うと結生はがっしと命の肩を掴んで店の外にずりずりと引きずっていく。
「いーやー!!! 真君花村君巽君天城さん里中さん久慈川さん誰かヘルプミープリィーズッ!!!」
命は悲鳴を上げて仲間達に救援を求める、が二人のただならぬオーラを見て巻き込まれたくないのか全員例外なく目を逸らしており、ついに命が店から引きずり出されると店内に静寂が戻る。それから真は目を閉じて祈りを捧げるように手を組み口を開いた。
「……許してください、先輩。俺も、命は惜しいんです……」
「……な、なあ、真……あの二人って一体誰なんだ?」
真の言葉に陽介が問いかける、と真はああと頷いた。
「一人は利武結生先輩、命先輩の双子の妹さん。んでもう一人は岳羽ゆかり先輩、命先輩の恋人だ」
「み、命さんって妹と恋人いたの!?」
「ああ。あの命先輩最大の弱点ツートップだよ」
「うん、確かに。普段飄々としてる命さんがあんな焦ってるの、初めて見た……」
真の言葉に千枝が驚いたように声をあげ、真がそう続けると雪子も納得したように頷いた。
巌戸台商店街の路地裏。命はゆかりと結生にここに連れ込まれていた。
「え、えーと、その……お久しぶり、デス」
全力で笑顔を作る命だが、目が据わっている二人には通じそうにない。
「……その……なんで分かったの?」
「私、先代生徒会長。千尋ちゃん、オーケー?」
「……しまった。口止めしておくんだった……」
千尋はあのスピーチ原稿は先々代の生徒会長および先代生徒会長と合作で作り上げたと言っていた。先々代の生徒会長というのは桐条美鶴。先代の生徒会長というのは目の前にいる利武結生。恐らく彼女らはスピーチ原稿を作った後、上手に出来ているのか気になったか何かで様子を見に来たのだろう。命は千尋から結生達に話が飛ぶ可能性を考慮しておらず、口止めをしなかった自分を呪う。
「え、えっと、その……」
「ん」
言い訳を続けようとする命にゆかりがそう言って無造作に携帯電話を差し出す。ピンク色のそれはプルルルルと音を立てており、何かに発信しているようだ。
[もしもし、ゆかりか?]
「き、桐条先輩!?」
まさかの電話相手に命が叫ぶ。
[命!?……そうか。もう捕まってしまったのか]
「捕まった?」
美鶴はゆかりの携帯電話から命の声が聞こえてきた事に驚いた後、察したように呟く。その言葉に命が聞き返した。
「桐条先輩、どういうことですか?」
[いや、実はな。二人とも数か月ほど前から私のところに乗り込んできていたんだ]
美鶴は話す。ゆかりと結生は四月から命がいなくなった事について独力で調べ上げ、その結果桐条グループになんらかの関係があるという事を掴むと、“命がどこに行っているのか教えろ”と美鶴の元に乗り込んだらしい。無論命との約束もあって美鶴は最初こそ知らぬ存ぜぬで押し通していたのだが、少し前に薙刀と弓矢を持ってきて“これ以上誤魔化すなら社内で暴れまわってやる”と脅されたらしい。
[しかもアイギスも二人側に回ったんだ。流石に社内で暴れまわられるわけにもいかんし可愛い後輩兼親友、そして秘書を前科者にするわけにもいくまい……]
美鶴はそう疲れた様子で話す。
[だから、全て説明した。君が八十稲羽で発生した連続殺人事件の捜査を秘密裏に行っていること、それにはシャドウも関わっていることもな]
命の怒りを押し殺ししかし怒りを殺しきれていない声に美鶴はそう言い、その言葉に命の目が研ぎ澄まされた。
「桐条先輩! 言ったはずだ! 皆に言ったら、俺は一生あんたを――」
[軽蔑するなら好きにしろ! だが、お前が
「――っ!」
激昂した命の叫び声に対し美鶴が一喝、それを聞いた命が声を失うと美鶴はふぅと息を吐いた。
[まあ、その失踪の原因を作ったのは私だ。強く言える立場ではないがな……]
「……いえ。申し訳ありません……分かりました。後は全て僕から説明します」
美鶴の言葉を受けた命がそう言い、美鶴は「ああ」とだけ言うと電話を切る。ゆかりの携帯からツー、ツーという電子音が静かに響いた。
「……それで、どういうことなのよ? なんで命君が連続殺人事件の捜査なんて危険な事をやってるの!? なんでそれにシャドウが関係してるの!? なんで……」
ゆかりは泣きそうな声を上げながら命に掴みかかる。
「なんで……私達に何も教えてくれなかったの?……」
泣きそうな声、いや、ゆかりは泣きながら命にすがりついていた。
「……ごめん、ゆかり……」
ゆかりが泣いていることに気づいた命は、彼女に謝罪しながら彼女を抱きしめる。
「お兄ちゃん……今、私はブチキレてる。親友であるゆかりっちを泣かせた相手をぶん殴りたい気持ちで一杯だよ」
ゆかりの後ろに立ち、命と相対している結生もうつむきながら呟く。その握りしめられている拳はぶるぶると震えていた。
「でも……」
顔を上げる結生。彼女の目にも涙が溜まっていた。
「無事でよかったよぉ……お兄ちゃん……」
「……ごめん、結生……たった一人の家族を残して……僕は……」
へたり込み泣き始める結生の姿を見た命は、己のふがいなさを恥じていた。そして彼は「ゆかり、結生」と呼ぶ。
「……マヨナカテレビって知ってるかい?」
この話を続けると間違いなく彼女らを巻き込んでしまう。しかし、命の目には覚悟が秘められていた。
「テレビの中の世界?」
「普通の人間が放り込まれるとシャドウに殺されて逆さ吊りにされる?」
「……信じてもらえませんかね?」
ゆかりと結生は「はぁ?」とでも言いたげな表情で命の説明に返し、それに命は引きつった笑みで聞き返す。
「バカじゃないの? ってか、バカじゃないの?」
ジト目で言うゆかり。が、続けて彼女は笑った。
「信じないなんて言ってないでしょ?」
「影時間を体験しておいて、あり得ない現象を話だけ聞いて否定する真似が許されると思う?」
ゆかりと結生は命のこの突拍子のない話を信じており、命は「ありがとう」と頷く。
「じゃあ、早速だけど来てほしい」
「「え?」」
命は二人に向け、言う。
「さっき僕と一緒にいた真君を含めた子達……彼らが、テレビの中の世界を知り、僕と共に調査をしてきたペルソナ使いなんだ」
「命先輩! 無事でしたか!?」
「ああ、なんとか無傷で済んだよ」
戻ってきた命に真が声をかけると命もこくんと頷いて返す。
「初めまして、命の妹の利武結生です。結生でいいよ」
結生はにこっと無邪気な笑顔を浮かべて自己紹介をする。
「か、可憐だ……お、俺花村陽介です! 初めまして!」
その笑顔での挨拶を見た陽介が見惚れ、いち早く自己紹介を行う。
「うん、よろしくね。花村君」
「絶世の美女だ……」
結生が笑顔で挨拶を続けると陽介は見惚れたままそう呟いて返した。
「それで、私は岳羽ゆかり。その……命君の恋人」
ゆかりは照れたように頬をかきながら自己紹介。
「たけば、ゆかり?……それにとしたけゆいってどこかで聞いたことあるような……」
と、りせがその名前を聞いてむむむと考え始める。
「あー!!!」
そして思い出したように叫んだ。
「思い出した! 大学生モデルの岳羽ゆかりと利武結生だ!! 私休業する直前だったからぼんやりとしか覚えてないけど……」
「「大学生モデル?……」」
りせの言葉を聞いた真と命がぽかんとした様子で呟き、二人を見る。
「あーうん……その、スカウトが来てね……その、お小遣い稼ぎにいいかな~って……」
そしたらなんか有名になっちゃって。と笑う結生。今度は雑誌の表紙も飾るみたいな事言われたな~とか言っている。
「ゆかりがいて……」
命は月光館学園時代、こういう事にノリノリになってしまう結生の防波堤であったゆかりがいてなおこんな事になっている事に頭を抱えるが、ゆかりもぷいっと顔を逸らしていた。
「だ、だって……有名になったら命君から連絡取ってくれるんじゃないかなって……思ったんだもん……」
頬を赤らめながらぼそぼそと弁解するゆかりに、命は彼女を抱きしめた。
「ごめんね……」
「ううん、私も……ごめん」
命とゆかりは抱き合いながら互いに謝り合う。
「……すんませーん。ここってコーヒーねえっすか? もしくはにっがいお茶でもいいんですけどー」
甘い桃色オーラに包まれている命とゆかりを見た陽介が右手を上げてとにかく甘さを中和するような飲み物を注文する。完二も顔を手で覆い、千枝と雪子、りせは「おお……」と声を漏らし、真は苦笑を漏らしていた。
「お、お兄ちゃんとゆかりっちがごめんね? もう付き合い始めてからいっつもこうで……」
結生が謝り陽介が慌てたように「いえいえ」という。その口元はにやけており、千枝が「全く男子は」とぼやいた。
「ところで、陽介君ってお兄ちゃんと仲がよかったりするのかな?」
「え? そ、そりゃもっちろん! 命さんにはいつもお世話になってますよ」
「そっかー」
陽介の言葉を聞いた結生はふんふんと頷き、目を細める。
「…(…な、なんだ?)」
陽介は結生の放つオーラが変わったような気がすることに気づく。
「ねえ陽介君。お願いがあるんだけどね……お兄ちゃんがあっちでどういう事してたのか、出来れば教えて欲しいな~って」
結生はにこにこと笑顔を見せている。が、その笑顔を見た陽介の感情に出てくるのはさっきまでの嬉しいとかそういうものではなく、むしろ恐怖であった。
(な、なんだ? なんか目が、まるで獲物を見つけた蛇みてえだ……)
陽介は己のペルソナ――ジライヤが怯えているような錯覚を感じる。このまま彼女の要求を呑まなければ自分はをじわじわと締め殺され、最後に丸呑みにされそうな雰囲気を彼は感じていた。
「わ、分かりました……俺の知ってる限りでよければ……」
「うん、お願いね?」
陽介の引きつった笑顔での言葉に結生は満足そうに笑う。
「ちょっと花村ったら美人に弱いんだから~」
千枝が呆れたように言うが、陽介は苦笑でしか返せなかった。
(まあ、ここは色香に負けたことにしておくよ……殺されると思ったなんて言ったら笑われる)
その心の中で、彼はそう思っていた。
「……」
「天城先輩、さっきからどうしたんスか? 結生大先輩をじっと見て?」
そんな中、雪子は何かを考えるように結生を見ており、それに気づいた完二が尋ねる。何気にさらっと結生の事を命と同じく大先輩のポジションに置いていた。
「……あっ」
と、雪子はそんな声を漏らす。
「あの、もしかして二年前に八十稲羽に来たテニス部の方では……」
かたんと音を立てて腰を上げ、前に乗り出して結生に尋ねる雪子。それに結生は「ん?」と言って雪子を見る。
「あ! 天城屋の子!」
「やっぱり!」
結生は雪子を見るとそう言い、雪子も嬉しそうに笑う。
「え? 雪子、知り合い?」
「うん。二年前に八十神高校が交流戦? とかでうちの旅館に泊まった事があるの。あ、もしかしたらその繋がりで今回も月光館学園とこういう交流会とかになったのかも」
千枝が驚いたように尋ねると雪子はそう言って、結生に「お久しぶりです」と挨拶する。
「うわー久しぶりー♪ えーっと、ユキちゃんだっけ!」
快活な笑顔を浮かべながら雪子の手を取ってぶんぶんと上下するように振る結生。雪子も「はい」と微笑んでいた。
「……じゃあ、マヨナカテレビについての話に入ろうか」
顔合わせが終わった辺りで(二人の世界から)戻ってきた命が真剣な表情で話し始める。
「けど命さん。事件はもう解決したんだし、後は俺達に任せて命さんは大学に戻った方がいいんじゃあ?」
結生とゆかりは心配のあまり、今回は偶然ここで出会ったが恐らく八十稲羽に乗り込むつもりだったのだろう。ならばその心配の種を取り除くためにも命はここで手を引くべきなのではないかと命を説得する。
「……いや、僕はまだ帰るわけにはいかないよ……理屈とかじゃない。まだ、ここで帰ったらダメだって言ってるんだ」
命は己の心臓をドンと叩きながらそう言う。己の心が、直感が、まだ事件は解決していないと言っている。少なくともここで帰るわけにはいかないと訴えかけているのだと彼は言う。
「でも、大雑把な話はお兄ちゃんから聞いたけど。実際気になるよね」
と、結生が口を挟んだ。
「まずその事件の話だけど。何故諸岡氏だけがテレビに入れられずに殺されたのか」
「あぁ、その件なら真先輩が、俺達が助けてるから確実に殺してぇ程恨みを持ってたモロキンだけぁしくじらねぇようにっていう事じゃねえかって推理してましたけど」
結生の言葉に完二が説明。結生は「確かにそうなら説明はつかない事もないけど」と呟き、口元に手をやって黙り込む。
「そもそも久保氏がどうしてテレビに入れる能力を持ったのか……真君は月光館学園にいた頃はまず間違いなくそんなビックリ人間能力は持ってなかったのに」
「俺だって最初は驚きましたって」
結生の思考に真がツッコミを入れる。
「そういや俺らの中で最初にテレビに入れるようになったのって真だったよな。で、俺達も続いて」
「……?」
陽介の言葉に結生は一瞬違和感を考える。と、その時彼女のお腹がぐぅ~と鳴った。
「……お腹減った」
「そういえば私達昼食まだだっけ」
空腹で思考を遮られ、ゆかりも苦笑する。
「あ、やべ。おい、そろそろ行かねえと集合に遅れちまうぞ」
陽介が携帯で時間を確認し、立ち上がる。
「先輩、俺達先に行きます。一応、俺達が泊まる予定のホテル、後でメールしときますんで」
「ああ、うん」
真がそう言って、高校生メンバーは大急ぎで部屋を出て行った。
「はい、ここでぇす。シーサイド・シティホテル“はまぐり”。今日はここにお泊りよぉ」
柏木の引率によって連れてこられたのはあからさまに怪しげな外観のホテル。それに生徒達に動揺が広がり、一人は「これ普通のホテル?」と呟いた。柏木が見つけたホテルらしく、最近オープンしたばかりで都会っぽく値段もお手頃なのが決め手で、なかなかのチョイスだと思っている。と柏木は自賛した。
「ここに泊まんのか?」
生徒の一人が疑いの目で呟き、別の生徒は看板を確認して「確かにシティホテルって書いてるけど」と言い、呆れた様子の男子生徒が「どう見ても潰れたラブ――」という辺りで、修学旅行でそんな疑いのかかる場所に泊まるなんて口に出したくないのか言い留まる。そんな呆れ返る生徒達に柏木は、早く中へと入るように急かし、生徒達は重い足取りでホテルに入っていく。
「ここ……怪しくないか?」
困惑する陽介の言葉に千枝は地元にこういった建物がないので分からないと返す。
「ここはね、“白河通り”って言って、その――」
「久慈川!! それ以上言うな!!!」
顔を赤らめて説明しようとするりせを真が顔を真っ青にして遮る。
「ノッフッフッフッ……思ったより早い到着ですね……それに、なっかなかのホテルです……ボクと会ったら、例えばヨースケとかはどんな顔をするでしょうね?」
「ッ!?……殺気!!」
突然聞こえてきた謎の声、それに陽介が身構えた。
「上かっ!?」
そして殺気の出所を感知、全員が上を向く。
「あれって……まさか!?」
「とうっ!!」
雪子が驚きに声を上げた直後、何者かが飛び降りる。そして近くのゴミ捨て場に着地。ガシャーンという音が響く。
「ふふんふん……しゅびどぅび」
謎の存在――クマが彼らの前に姿を現した。
「クマ!? テメ、なんでここに!?」
「クマの中の寂しんボーイが暴れたのさ!」
完二の言葉にクマはそう言い放つ。
「一体、どうやって来たの!? なんか“能力”ってこと!?」
「いえ、普通に電車です」
千枝がわくわくした様子で尋ねるが、クマはそう言う。ジュネスのアルバイト代を“ホームランバー”を我慢して貯金したらしく、行き先も陽介の旅のしおりに書いてあったのをチェックしていたらしい。
「んで、センパイが連れてきてくれたの。電車とかタクシーの乗り方教えてもらったクマ」
「先輩……」
クマの言葉に真が頭を抱える。りせが「じゃあなんで命さんと一緒にいなかったの?」と尋ねるとクマは「皆をびっくりさせるために旅のしおりに書いてあったホテル名を探して、待ち伏せしてたの」と答えた。
「で、明日から自由行動っしょ? ん? 知ってるぞ?」
「まあ、そうだな」
真はクマの言葉に苦笑する。と、その時彼の携帯が鳴り始めた。
「ん? 先輩……もしもし?」
[あ、真君? 悪いけど明日の自由行動。良ければ僕達に付き合ってもらえないかな? せっかくだし、僕の仲間に会わせておきたいんだ]
「仲間って……ペルソナ使いの?」
命のお願いを聞いた真が驚いたように言うと、真の言葉を聞いた後ろの陽介達も驚きのリアクションを取る。
[そう。かつて影時間を戦った
あくまでも修学旅行にやってきていた知り合いを紹介する。という体で動くらしい命に真は了解、と返す。
[うん。じゃあまた明日。僕は結生とゆかりが取ってたホテルに泊まるから心配しないで。明日、月光館学園の校門前で待ってるよ]
「はい、分かりました」
命との電話を終え、真は携帯電話をしまうと、仲間達に説明を行う。
「……命さんの仲間で、俺達以外のペルソナ使いと会う!?」
「大先輩の仲間ッスか……」
陽介と完二がまたも驚くと、千枝も「ふおぉー」と興奮する。
「勝手に話を決めてしまったが、いいか?」
「うん、構わないよ」
「命さんの仲間かぁ……どんな人達なんだろ、楽しみ♪」
全員からの賛成を受け、明日は命のかつての仲間に会いに行く事に決定する。
「さてと……楽しみなのはいいとして……」
それから陽介がクマを見て「問題はコイツだな」と言う。部外者&着ぐるみのコンボだ。明らかに不審者である。
「お前、その辺で夜明かせんじゃねえか? それ着てりゃ冷えねえだろ」
「しどい! どんだけ頑張ったと思ってるクマ!?」
完二の言葉にクマがショックを受けたように叫ぶ。どうやら命も宿泊までは付き合ってくれなかったようだ。
「ちょっとぉ、あなた達? 部屋割りでモメてるのぉ?」
と、真達が入ってこないのを咎めに柏木がホテルから出てきて、クマを見ると「なぁにその大きなクマちゃん」と尋ねる。
「きょ、今日の授業で作りました!」
口から出まかせで誤魔化す真に柏木は「まぁ、器用な指だこと」と怪しく笑い、早く持って入りなさい。と言う。
「そうそう、お部屋すごいわよぉ。全室ウォーターベッド。でも枕元の電気点ける時、間違えないでね? 回るから」
そう言って柏木はホテルに入っていき、陽介達も「明日楽しみだね」「もう色々と疲れたけどな」と言いながらホテルに入っていく。最後に真と呼び戻された完二が、微動だにせずぬいぐるみを決めこんだクマを二人がかりで抱えてホテルに入っていった。
その翌日、修学旅行二日目。真達は教師から自由行動の許可を取り、月光館学園の正門前にやって来ていた。
「遅かったね、真君。皆」
既に命、結生、ゆかりは待っており、真達がやってくると命は彼らの前に立ち、彼らを見据えて口を開いた。
「さあ、行こうか……かつて、存在しなかった時間の中で、共に死の運命に抗った仲間達の元へ」
今回は修学旅行編。そして命の恋人岳羽ゆかりと、P3Pの女主人公を元にしたキャラであり命の妹こと利武結生の登場です。ちなみに結生は三年時には生徒会長になっており、命は二年時と同じく庶務に徹していたという設定があったり、命は千尋の事を反応が楽しいから(もちろん千尋が男性恐怖症なのは知ってるからそこのとこは気をつけつつ)からかっているという設定があります。
そして次回はオリジナル展開を加えていきたいと思います。とりあえず今回は夏休み編と同じ前編後編タイプですけど後編完成を待たずして先に投稿しておきます。
では後編をお待ちください。もちろん前編まででのご意見ご指摘ご感想もお気軽にどうぞ。それでは。