ペルソナ4~アルカナの示す道~   作:カイナ

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第二十六話 偶像と虚構と

6月21日、夜。真は自室で、外で雨が降っているのを確認してからカーテンを締めテレビの前に立つ。そして少し待つと電源の点いていないテレビが映り始め、真は砂嵐の中に人影を見つけた。

 

(……女性か?……水着を着てる?……)

 

画像が荒いためよく見えないがとにかく特徴を観察していく。

 

(……心なしか、久慈川りせに似ているような……)

 

そう考えた時、突然画像が変わった。妙に胸や太ももばかりが強調されるように映っている。しかしそのせいで顔がよく見えなかった。そしてテレビは消えていく。そのすぐ後に陽介から電話がかかってきた。

 

[もしもし! オイ見たか、今の! 今のそう見ても“りせ”だろ! “久慈川りせ”!]

 

「断定はできないが、俺も同じように思った」

 

[だよな!]

 

陽介の言葉に真が賛成の意見を出すと陽介は意見があったのが嬉しかったのか少し弾んだ声を出す。

 

[あ……でも喜んでる場合じゃないよな、失踪するかもしれないわけだし……とにかく明日行ってみようぜ! ホラなんだっけ、“マル久豆腐店”!」

 

陽介はそう言うと「やっば、ドキドキしてきた……」と少し緊張した様子で漏らす。そして「じゃ、明日な」と言って電話は切れ、真も携帯を閉じると今日はもう眠りについた。

 

 

 

 

 

そして翌日6月22日の放課後。自称特別捜査隊メンバーはいつものように教室へと集合していた。

 

「ね、聞いた? 久慈川りせ、ホントに来てるらしいよ! ほら、豆腐屋の“マル久”ってあるじゃん? あれ“久慈川”の“久”なんだって」

 

「マジで!? え、俺、家超近いんだけど!」

 

クラスメイトの女子と男子が話しながら教室を出ていく。

 

「マル久さん、すごい人だかりだって」

 

「ぽいね。けど昨日のマヨナカテレビ、本当に彼女だった?……なんか雰囲気違くなかった?」

 

「間違いねえって!」

 

雪子の言葉に千枝が返し、次に首を傾げながら尋ね返すと陽介が力強く叫ぶ。

 

「あの胸……あの腰つき……そしてあのムダのない脚線美!……」

 

熱っぽく言いながら、陽介はふと千枝の身体を見る。

 

「……なんであたし見んのよ」

 

「と、とにかく間違いねんだって!……な!」

 

千枝が心なしか目を鋭くさせながら陽介に問いかけると彼は慌てたようにそう言って完二に話を振る。

 

「あー、行くんスか? 俺ぁ芸能人とか興味ねえけど、ヒマだし……ま、付き合いますよ」

 

「あたしと雪子は先約あるから。何かあったら携帯に連絡して」

 

完二が同行すると言うと千枝はそう言い、雪子と共に教室を出ていく。

 

「んーじゃ、俺らも行くか。言っとっけど、そこらの野次馬と違うぞ。俺らのは捜査だ、捜査」

 

「じゃ、とっとと行ってとっとと済ませよう」

 

陽介がテンション高くそう言うのに対し真はあくまでもいつも通りというように鞄を持って立ち上がった。

 

それから男子三人は商店街のマル久豆腐店へとやってくる。

 

「あれ、刑事さん。なんかあったんですか?」

 

目的地へとやってきた陽介が声をかける。豆腐店の前で足立が交通整理の時に使う赤い棒を手に振っていた。

 

「ああ、君らか」

 

三人に気づいた足立が参った様子で口を開く。

 

「いやぁ……ヤジ馬が次々車で押しかけて商店街の真ん中で止まろうとするからさぁ」

 

「なんかワケありスか?」

 

「いやホラ、久慈川りせだよ。知らない?」

 

足立の言葉に完二が問いかけると足立はそう言い、「もしかしてもう見た?」と食いつく。

 

「あ?……交通課じゃねえ私服のデカがなんで出張ってんのかって訊いてんだよ」

 

「え……あ、いや、えっと……ほら、稲羽署小さいし、人手足りなくてさ……」

 

完二の睨みながらの言葉に足立は慌てたようにそう言って「仕事があるから」と言ってその場をそそくさと歩き去っていく。

 

「お前……高一で現職の刑事ビビらすとかねーだろ……」

 

「別に。思った事言っただけッスよ」

 

その様子を見た陽介が呆れたように完二を見て呟き、それに完二はそう返す。まあ、その口調の威圧感というものがあるのだろう。

 

「にしても、ただ事じゃねーな、これ。警察出てくるって……」

 

陽介はそう呟き、はっとした様子を見せて「まさか」と呟く。

 

「警察も、りせが狙われてるって踏んでんのか?」

 

 

 

「はい、失礼、ちょっと道空けて……おーい、足立!」

 

と、豆腐屋の中から遼太郎が出てきた。

 

「おじさん!」

 

「お前達、こんなところで……ん?」

 

遼太郎は真達を見て呆れた様子を見せた後、完二に気づく。

 

「巽完二!……お前ら、仲いいのか?」

 

「るせぇな、いいだろ……」

 

「……まあいい。それより何してる、こんなとこで」

 

遼太郎の言葉に完二はそう呟き、遼太郎もまあいいと呟いて真に尋ねる。

 

「買い物に。晩御飯は豆腐料理にしましょうか?」

 

「ああ……任せる」

 

遼太郎の質問に真はあっさりと返し、逆に遼太郎に問いかけると彼は頭をかいて「任せる」とだけ呟く。

 

「ほ、ほら、こんな普通の豆腐屋がアイドルの実家って聞いたら確かめたいじゃないすか! 俺その……ファンだし!」

 

「……」

 

そこに陽介が理由付けを重ねると遼太郎は少し黙り込み、再び頭をかいて「ハァ」とため息をつく。

 

「まあいい。いくら芸能人だろうが、ここは自宅だ。迷惑にならない様にしろよ」

 

「もちろんです」

 

遼太郎はそう言うと仕事に戻るのか歩き去っていき、そこに完二が腕を組んだ。

 

「先輩の叔父貴がデカたぁね……てか、今の空気なんすか?……先輩ら、疑われてんすか?」

 

「ま、俺達一回引っ張られてるからな……」

 

「は、花村先輩はともかく椎宮先輩がっすか!?」

 

「どういう意味だよ!? まあ、確かに椎宮が引っ張られたのは俺が巻き込んじまったせいだけどよ……」

 

完二の言葉に陽介が居心地悪そうに返すと完二が驚いたように叫び、それに陽介は怒鳴り返した後申し訳なさそうに真を見る。

 

「だが、全てを話すわけにはいかない。叔父さんを信用してないわけじゃないんだが、“あの世界”の事を言ったところで信じてもらえるはずもない。むしろ混乱させようとしていると疑われてしまったら身動きが取りづらくなる」

 

「ちげえねえ……」

 

「なにより、俺が問題起こしたら叔父さんに公私に渡って面倒かけてしまうからな」

 

真の冷静な言葉に完二が頷くと、豆腐屋から一人の学生が歩き去っていった。

 

「んだよ、婆さんだけで“りせちー”いねえじゃん……」

 

「もうこの町来てるって聞いたけど、ガセネタ踏まされたって事かな。ま、楽しかったけど」

 

学生に続いて中年男性がそう言って歩き去っていき、他の客も次々去っていく。

 

「ガセネタ!? え、いねーの!? 結局ぅ!?」

 

と、陽介が素っ頓狂な声を上げた。

 

「ぷっ、なんだ今のダセー声」

 

「う、うるさいよ!」

 

「まあいい。買い物だけでも済ませるとしよう」

 

完二と陽介が言い合いをしている間に真は店へと上がる。店の奥で割烹着を着て三角巾を着けている女の人が何かの作業をしている。いつものお婆ちゃんのようだ。

 

「すいませーん!」

 

豆腐を買おうと真が声をかける。

 

「はいはい、お客さんかい? おや、たしか命ちゃんのお友達の……」

 

と、別の方から豆腐屋のお婆さん――久慈川さん――が声を返してきた。

 

「えっ、あれ!? じゃ、あっちのは……」

 

奥にいるのはお婆さんだとばかり思っていた陽介が驚いたように叫ぶとその女の人は作業を止めて振り返った。

 

「……なに?」

 

可愛らしい顔立ちをしている少女。それに陽介が硬直すると完二が彼女の前まで歩いていく。

 

「……?」

 

「あと……りせって、お前?」

 

「なんで呼び捨て?」

 

完二の言葉に少女は嫌そうな表情で呟く、と陽介が驚いたように駆け寄った。

 

「うそ……ホントに、りせちー?」

 

「……何の用?」

 

「すまない。豆腐を買いに来たんだ」

 

陽介の言葉に少女――りせが用件を尋ねると真が財布を出しながら用件を言う。

 

「……お豆腐? どれにするの?」

 

「そういえば何を作るか決めてなかったな……」

 

「え? どれも同じじゃねえの?」

 

「いや、料理ごとに使用する種類が違うんだ」

 

りせの言葉に真が思い出したように呟くと陽介が問いかけ、それに真が返すとりせが頷いた。

 

「そう。冷奴か湯豆腐なら絹。煮炊きするなら木綿……目的しだい」

 

「そうだな……湯豆腐にするか。絹を三人分頼む」

 

「絹ね。ちょっと待ってて」

 

りせの詳細説明の後真は絹を注文し、りせは待っててと言い残して商品の方に歩いていく。しかし雰囲気が変に暗い。

 

「なんか……テレビで見んのと全っ然キャラ違うな……たまたま疲れてんのかな?……いやー、でも本物の“りせちー”だよ……来てよかった。本日のミッション達せ――じゃなかった! 本題がまだじゃん!」

 

陽介は嬉しそうにそう言った後本題を思い出す。

 

「あのっ!……さ、最近、変な事なかった?」

 

「変な事?……ストーカーとかって話?……キミたち、私のファンってこと?」

 

陽介の質問にりせはやはり暗い雰囲気でそう呟くように聞き返し、尋ね返すと真は陽介を見る。

 

「少なくとも花村は。俺は正直君の名前はこの前のワイドショーで覚えた。久川りえだったか?」

 

「く、じ、か、わ、り、せ!!!」

 

真の説明の後ボケ――と言っても本人は至極真面目な表情で言っているが――にりせは思わず全力で一言一句に力を込めたツッコミを叩き込む。

 

「なんで迎えに来てくれた男の人と同じ覚え間違いされてるの……」

 

「迎えにって……」

 

りせがため息をつくと陽介が呟き、りせはその相手を思い出すように目を閉じる。

 

「……青い髪の、背が高い大学生くらいの男性……バイクで迎えに来てくれたんだけど……」

 

「命先輩だ」

「命さんだな」

「大先輩っすね」

 

その特徴のみで三人はあっさり言い当てた。それにりせは驚いたように目を丸くする。

 

「知り合いなの?」

 

「こいつの前の学校の先輩だよ。大学休学して旅行に来てんの……あ、んでさ。ほら、ここんとここの町ブッソーだから、それで俺達、いろいろ調べてるっつーか……」

 

「ふうん?……」

 

りせの言葉に陽介が説明の後、何故自分達がいきなりりせに変な質問をしたのかという理由を説明、しかしりせはまだ特に興味を持ってないようだった。

 

「ごめん、えっとさ……“真夜中に映るテレビ”の事って知ってる? つっても深夜番組とかじゃなくて……んー、なんて説明したらいいか……」

 

「……昨日の夜のやつ? “マヨナカテレビ”だっけ」

 

「あ、知ってんだ」

 

陽介が説明に困るとりせがそう言い、陽介はそれそれというように頷く。が、その時少し男子三人が固まった。

 

「……って、ええっ!? 昨日、見たって事!?」

 

直後陽介が叫ぶ。マヨナカテレビの映像を、その本人が見ていたということだ。それにりせは素直に頷いた。

 

「噂、知り合いから聞くことあったし。でも、昨日映ったの、私じゃないから。あの髪型で水着撮った事ない」

 

その後、りせは少しうつむく。

 

「それに、胸が……」

 

「は?」

 

「胸、あんなないし」

 

「あー、言われてみれば……」

 

りせの呟きに陽介が心なしかりせの胸元に目をやるが、それを真が横目で睨んだ。

 

「花村」

 

「って、あー、何言ってんの俺!? あ、その、ごめん!」

 

「謝り過ぎ。変なの」

 

何度も謝る陽介にりせは「変なの」と言ってくすっと笑う。

 

「あ、笑った」

 

「……あれって、何が映ってるの?」

 

「ハッキリしたことは何も分からない。だが、今ここで事件が起きていることは知っているだろうが、あのテレビに映った人は失踪……いや、誘拐されるかもしれないんだ」

 

今度はりせが質問し、それに真が説明するとりせは驚いたような顔を見せる。

 

「やぶからぼうじゃ、信じらんねえよな……けど、嘘じゃねえ」

 

「だから、知らせなきゃと思って」

 

完二と陽介が真剣な顔でりせに忠告する。それに彼女は「ふぅん」と呟いた。

 

「あれ、やっぱり夢じゃないんだ。昨日は、疲れてたけど眠れなくて。ちょうど雨降ってたから、たまたま聞いてた噂、試しただけなんだけど……」

 

そう呟き、また「ふうん」と声を漏らす。

 

「……分かった。ありがとう。気をつける」

 

りせはそう言って真の方に歩いていき、絹ごし豆腐を三人分入れた袋を渡し、真も財布からお金を取り出して清算する。

 

「んじゃ、俺達はこれで」

 

「ありがとうございました」

 

陽介がそう言い、手を上げて出ていくと真と完二もその後に続いて出ていこうとする。

 

「あの……」

 

「ん?」

 

と、りせが真に声をかけ、彼は足を止めると振り返る。

 

「あなた達って、八十神高校の生徒ですか?」

 

「ああ……そういえば以前に先輩が、ここのお孫さん、つまり君が八十神高校に転入するって話を聞いてたっけ」

 

「はい……あの、命さんから、あなた達は信頼のおける後輩だ。何かあったら相談したらいいって……」

 

「……少し過剰評価だ。まあ、もし何かあったら相談には乗るし、君の身に危害が及ばないよう守るつもりではある……あのテレビに映っていたのが君じゃなかったとしても、狙われる可能性が高いのは確かなんだからな」

 

真はりせの言葉に真剣にそう返し、豆腐屋を出ていく。それをりせはぽかんとした顔で眺めていた。

 

 

 

 

 

それからしばらく時間が経ち、豆腐屋内に遼太郎と足立が入ってきていた。

 

「……ちょうど頂きます。ありがとうございました」

 

「ひとまず騒ぎは収まったみたいなんで、自分ら、とりあえずこれで。今後も騒がしいようなら署まで連絡ください」

 

「はい」

 

豆腐を買いながら足立がそう言い、その助言にりせはとりあえず頷く。

 

「あー、失礼、いくつか訊きたいことが」

 

今度は遼太郎がりせに話しかけた。

 

「最近、この辺りで物騒な事件が連続してるの、知ってるね? 身の回りで、怪しいヤツは見ませんでしたか?」

 

「別に……今まで通りです」

 

遼太郎の言葉にりせはすげなく返し、刑事二人が困ったような顔を見せる。

 

「あー、今まで通りな……仕事がアイドルじゃ、ストーカーだの、ハナから怪しいのだらけか……どうして休業されたんです?」

 

遼太郎は困ったような顔でそう漏らした後、次の質問に移る。

 

「何か関係あるんですか?」

 

しかしそれにはりせは少しむっとしたように眉を寄せて聞き返し、次に目を伏せる。

 

「……疲れただけです」

 

「学校はどちらへ?」

 

「八十神高校の予定です。近いし」

 

いくつか質疑応答した後、遼太郎は足立を顔を見合わせた後再びりせに顔を向けた。

 

「脅かすつもりはないんだが……あなたには、これまでの被害者と幾つか共通点がある。だから、その……」

 

「誘拐されるかもしれないんでしょ? さっきも同じ事言われました。気をつけます」

 

遼太郎が言葉に詰まるとりせはあっさりとそう返し、それに二人が驚いたように目を剥く。

 

「えっ……さっきも言われた?」

 

「三人連れで……八十神高校の制服を着てて、本人もそこの生徒だって言ってましたけど……」

 

「もしかして、三人の内一人はこう……なんて言うんだ、若干“ヤンキー風”の?」

 

足立が驚いたように尋ね返すとりせはそう説明、それに遼太郎が少し言葉に詰まりながら説明するとりせは素直に頷く。

 

「それって……堂島さんちの彼と、あと友達の?」

 

足立の言葉に遼太郎は頭をかき、りせと一言二言話すと足立と共に豆腐屋を出た。

 

「……どうもおかしいな」

 

豆腐屋から出て少し歩き、遼太郎が呟く。

 

「このところの失踪事件……二件の殺しと合わせて、俺達でも掴めてない謎ばかりだ。ここへ来て彼女に警告したのも、言っちまえば俺の刑事としての勘からだ。それを、事情も知らない高校生が先回りってのはどういう事だ?……ただ有名人の顔見に来るための口実か?……それとも……」

 

「堂島さん?」

 

遼太郎が考え込む様子を見せ、足立が声をかけると彼は少し首を横に振った。

 

「八十神高校、な……二件目のガイシャの小西早紀に、一時行方をくらました学生二名か……」

 

「学校関係者の捜査の方も、何も出てないんですよねえ……このままだと、ウチらマズくないですか? 県警もそろそろ……」

 

「要らん心配してるな! 捜査続けろ!」

 

そう言い、二人は車に乗って出発した。

 

 

 

 

 

それから時間が過ぎて夜。真は遼太郎、菜々子と共に夕飯の食卓を囲んでいた。

 

「おとうふが、いっぱいだね……」

 

「叔父さん、たしかに夜は豆腐料理にすると言いましたけど、何も叔父さんも買ってこなくても……とりあえず明日は豆腐の味噌汁が決定か? なら和食で合わせて……魚あったかな?」

 

「ああ……」

 

菜々子が呟き、真が呟くと遼太郎は曖昧に頷いた後、真を見る。

 

「久慈川りせと、何を話した?」

 

「……少し世間話ですが?」

 

遼太郎のいきなりの質問に真は豆腐を食べていた手を止め、口の中のものを呑み込んでから顔色一つ変えずにそう返す。

 

「そうか……」

 

呟き、彼は少し考えた後首を横に振る。

 

「いや……すまん」

 

「お父さんたち、りせちゃんに会ったの!?」

 

と、菜々子が話に食いついた。

 

「まぁな……」

 

菜々子の言葉にそう呟き、少し食卓に重い空気が流れる。

 

「また……けんか?」

 

「違う……ほら、早く食べなさい」

 

やや重い空気のまま、夜の時間は過ぎていった。

 

そして午前0時頃、昨日と同じように真は自室で、外で雨が降っているのを確認してからカーテンを締めテレビの前に立つ。そして少し待つと電源の点いていないテレビが映り始め、真は砂嵐の中に人影を見つけた。

 

(昨日と同じ水着の女性……やっぱり胸や腰が強調されているように見えるが……ん?)

 

真は目を凝らしてテレビを見る。

 

(久慈川りせだ! かなりはっきり映っている!)

 

砂嵐状態ながらはっきりと少女――久慈川りせの顔が映っている。それから少しするとテレビは消え、真は陽介に電話をかける。

 

「もしもし」

 

[おう! やっぱ“久慈川りせ”で当たったな! 本物より迫力あった気ィするけど、今日は顔も見えたから、間違いないよな! 明日すぐ、皆で集まろうぜ!]

 

「ああ」

 

真と陽介は明日集まる事を決めると電話を切り、携帯を閉じる。そして真は明日に備えてベッドに入り、眠りについた。




今回はりせ登場、次回面白いことになるので今回は少々短く纏めたつもりです。正確に言うならりせのマヨナカテレビを描写するのに少々覚悟がいるのでここで切ったといってもいいんですが……。
まあ今回は特別コメントをしておくような事はないですね。今回はこの辺で。ご意見ご感想は歓迎いたしますのでお気軽にどうぞ。それでは。

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