SDガンダムフルカラー幻想郷劇場(SDガンダムフルカラー劇場×東方Project) 作:たくらまかん
「はい、という訳で突如幻想郷に住むことになったホワイトベースの皆様にインタビューを行います!」
ガンダム
「うわびっくりした!?」
文
「私は文々。新聞の烏天狗、射命丸文です。よろしくお願いします!」
ガンダム
「へー新聞かぁー」ピシャッ
文
「ちょっ、閉めないで!」
ガンダム
「ウチ、セールスおとこわりなの! あと朝ごはんまだだから帰って!」
文
「押し売りじゃありませんし言えてませんよっ!? ていうか本音はそっちですか!」ジドウドアヲシュドウデシメタ!?
☆でまはだめだよ?★
「いやー、朝食前とは知らず。すいませんねー。しかもお呼ばれになっちゃって」
結局、文も朝食に誘うことにしたのである。なんだかんだで彼女も幻想郷の先輩だ。ご近所付き合いは良く接して然るべきだろう。取材に関して拒む気持ちもない。
「ガンダムもこんなの相手しなくていいのよ?」
「いやー、あはは……」
傍に居た霊夢がうっとおしそうに言ってきた。何が起きたらこんな顔を出来るというのだ。
仲悪いのだろうか? すこし心配になりつつもオレは心の壁を張る彼女を宥めた。
「まー、食べるぶんは一緒だし」
「そうだけどさー「文句あるなら」良いんじゃない? 食べるぶんは一緒だし」
「ところで霊夢さんは何でここに?」
「? フフンっ。決まってんじゃない。ご飯食べに」
「っ! 胸張って言うことじゃないです」
けろっと即答するお隣さんに文が小さくずっこけた。霊夢は文が来る数分前に寝ぼけ眼でホワイトベースを訪ねてきたのだ。
オレ達が神社へ行くこともあるが、霊夢のほうから顔を出す機会も多かったりする。
「もう取材する?」
ブリッジにガンキャノン達が顔を出した。狡いことにオシャレしたのかみんなボディの照りが増している。
「あやや、積極的なお方ですね。良い取材対象です」
さてと、と付け加え彼女は佇まいをあらため、オレ達に向き直った。まさにれんぽーのモビルスーツが勢ぞろいしたところである。
「まずお名前を伺いましょう。ではあなたから!」
シュバっと擬音が聞こえるほどの動きを見せ、文はマジックをマイク代わりにオレに向けた。何かペースを全部持っていかれそうな勢いである。
「オレ達はれんぽーのモビルスーツなんだ。で、オレがガンダム」
「ガンキャノンだ。よろー」
「ぼく、がんたんく」
「つい最近、補充兵として着任したばかりの陸戦型ガンダムっス。よろしくお願いします!」
「私が博麗霊「あなたはいらないです」何よ感じ悪いわね」
もちろん、最後の彼のあだ名を付け加えることも忘れない。って、あーこらこら女の子同士で睨まない喧嘩しない。
仲裁するも、霊夢と意味深な視線を交え続けながら文はオレ達ひとりひとりの名前を手元のメモに残していく。
「最近幻想郷に来たとのことですが、理由はあるのですか?」
「うーん。それは「ぶっ飛ばしがいのあるやつを探しにきたのっ」ちょ、たんく何言ってんの!? ぜんぜん違うじゃん!」
「ほほう!?」
ガンタンクのコメントを耳にするや嬉々とした表情でペン走らせる文に嫌な予感しか湧かない。きっと今のを曲解してより複雑曲解電撃イラ○ラ棒な内容を記事にするはずである。
「違うから書かないでよンなこと!」
「大丈夫ですって色なんか足しませんからー」
「嘘八百九百!?」
ニヤニヤしながら言っても説得力は皆無だった。頭に手を当て、ため息をつく霊夢の姿を眺めたところで不思議と文の人となりーー、もとい烏天狗となりが分かってきた気がする。あらためてモビルスーツが如何なる生き物かを補足し、オレはあらためて本来の事情を明言する。
「ホントはね。外の世界でオレ達の存在が忘れられてきたからなんだ」
もちろん紫に連れられてというきっかけも添える事を忘れない。じおんのことも言っておこうかと考えたけど、そのうち彼女もあいつらにも会うだろうから言うのは野暮かもしれない。騒動を起こす可能性もあるがたいそうなことはしないだろう。
「では幻想郷のこともそれほど詳しくないんですね」
「うん。人里へ行っただけ」
「あー。あそこなー霊夢に連れられて行ったけど、すごい視線だったぞ」
「ご神体でも連れてた気分だったわ」
ガンキャノン、霊夢の感想にオレと文はそりゃそうだと頷く。といってもふたりの間で意味は少し違う気がする。
そんな意見も踏まえたところで、オレは今回の取材にある見込みをつけた。もしかしたら今の問題もこれでなんとかなるかもしれない。そのことをガンキャノン共々、彼女に話してみることにした。
「さっきのガンタンクの暴言はともかく、文に新聞を書いてくれた内容が良かったら人里のみんなと仲良くなれるきっかけになるかも」
「……はえー」
「どったの?」
何か変なこと言っちゃったかな。文は目を見開いてオレの言葉を受けた。ガンキャノンとリッキーに顔を向けてもふたりは小首を傾げるばかり。再び文に視線を戻すと、キョトンとした表情から一転して彼女は頬を和らげていた。
「ガンダムさんはお優しいですね」
「せっかくだし、この郷のヒト達とは友達になりたいなって思うんだ。ね?」
「だな」
「ともだちひゃくにんつくるー」
「ガンタンク先輩、百人以上できるっスよ! もち、オレも色々と修行するっス! うさぎ跳びしながら挨拶するっス!」
「リッキー、修行から離れなさいって」
言わずもがな。霊夢も修行狂なリッキーに引いているが、オレ達の意見は概ね一緒である。
「みんなはうさぎ跳びは身体に良くないからやんないでね?」
「ガンダムさん誰に話しているんですか?」
「んー、誰だろ?」
もち、大事な読者達にである。ちょっとしたツッコミを躱し、あたたかい眼差しで文に振り返ったところでふと彼女の履物が視界に入った。靴なのにそこから下駄の歯のようなものが一本伸びて床に立っている。
ずいぶん履きづらそうな靴だ。
「そういえば文の靴って不思議だね。下駄みたいな」
「あやや、この一品に気がつきましたかー。これはですね。なんと、巷で有名なガラスの靴なんです!」
「へーそっかー」
「はい、凄いでしょう?」
「うん……。舐めんな」
「ごめんなさい。ウソです調子に乗りました」
明らかガラスでもなさそうなモノをよりによって堂々とラブストーリーのアイテムだとか吐かした。ウソにしても下手くそである。
「こ、これがあの有名なガラスの靴っスか!? ってことは文さんは十二時にヘボい女の子になるんスね!」
「違う違う、つか口悪いなキミ!?」
あーあ。信じちゃってるよ。ガンキャノンにツッコミを入れられている純粋な後輩を視線に収め、苦笑いしながら頬を掻く元凶に、オレと霊夢は文句の孕んだ眼を向けた。
これはもうアレしても良いような。
「文ちゃんうそついちゃめっ」
「やっちゃいなさい!」
「霊夢憂さ晴らししない!」
考えるまでもなく。聞き慣れた砲の稼働音が際立って鳴り響く。そしてこちらの被害範囲も考えないまま、裁き(ツッコミ)の火はオレ達も巻き込んで着弾するのだった。
☆★☆★
数日後〜マヨイガ〜
視界に広がる活字に胸がぽかぽかと温まる。彼らを幻想郷に招致して、ずいぶんと日にちが経った。
立場が立場であるため、彼らが幻想郷に馴染むか気が気でなかったのだが、
「ふふ。あの娘も味わったのね。あの砲撃を」どうやらその心配も杞憂であったらしい。
モビルスーツとはいかなる種族か、れんぽーとはいかなる括りか、住居のホワイトベースが聖なる白馬だなどと書かれている。最後の誤報は途中から霊夢がごり押ししたのだろう。文の襟元を掴んで凄む姿が眼に浮かぶ。
そんなこととは関係なく、にっこり顔でポーズをとるガンダム達の写真が私には微笑ましくて仕方がなかった。
さらに文章を追っていくと、インタビュー記事の中でガンダムもガンキャノンもガンタンクもリッキーも、それぞれ質問に個性的なコメントを返している。そして最後には四人一丸となって「郷の住人と仲良くなりたい」とコメントしてくれている。
この部分が私の心を大きく揺さぶる。
郷の賢者としてこれ以上ないくらいの嬉しい言葉だった。それに加え、
『ただお話しているだけでぽかぽかとさせてくれる。春の太陽のような連中ね。恐らく彼らに人間も妖怪もないのよ。ある意味私より浮いているわ。』最後の霊夢が寄せた推薦文は、ガンダム達のひととなりを表す最高の評価である。
全部閲覧したが新聞の内容は思っていたより普通の構成となっている。この新聞は郷中に行き届く。そうなればガンダム達のことが広範囲で知られるだろう。
今はただ、少しでも彼らが幻想郷に馴染んでくれることを願うばかりである。
「紫様、本当によろしいのですか?」
新聞を読み終え、折りたたんでいるところに私の式神ーー藍が是非を尋ねてくる。彼女の言いたいことは、いろいろとあるだろう。
「じおんのみんなも大それたことは出来ないわ。いずれあなたも分かるわよ」
「はぁ」
納得しかねると言ったところかその表情は険しいものだった。あと、彼女の胸中で燻る心配事は新しくなった幻想郷のことだ。
何せ、ガンダム達の世界と融合した為に幻想郷にジャブローや海が含まれているのだ。
「紫様がそうお考えなら何も言いません」
「せっかくだし。行く?」
海など中々行こうとも考えなかったが、行き来できる距離というのであれば赴くのも一興である。
私の誘いに藍は今の発言もあるからか、返答に少し渋るも、傍らに寄り添っていた燈の一言で意を決した。
「海のお魚見てみたいですっ」
「……そうだな。私も見たことないし。紫様、行きましょう」
「そうこなくっちゃね」
意見が纏まったところでふたりを連れ添い、私はスキマを開いて海岸へと繋げる。太陽の下で宝石のように輝く砂浜と紺碧の海が広がっていた。
やはりこの絶景を前にしたらあの言葉が脳裏によぎる。
「じぇじぇじぇ!」
「紫様。もう旬は過ぎています」
「じぇじぇじぇ!」
「燈、マネしないの」
「では、八雲藍による。潮騒のマー○イド、お聞き下さい!」
「藍様そこそこじぇじぇじぇじぇじぇー」
「来〜て〜よ、って歌いません! 燈も意味が分からないぞ!?」
☆予想外★
文々。新聞は普段読んでいるかぎりそれほど面白くない。購読者はたくさん居るとの彼女談だが、信じてもいないどころか興味もなかった。
けれどそんな関心とは逆に、新聞が配達されるやたった二、三日でガンダム達は人里に名を知らしめてしまったのである。
「ガンダムさんこんにちは」
「こんにちはー、良い日差しだねー」
「こんにちは、今日はお買い物かい?」
「ううん。町雰囲気を味わいに来たんだ」
「お、白い坊や。お茶飲んでいきな!」
「ありがとう霧雨さん」
町ですれ違う人、ひとりひとり挨拶しては軽く話も交わしている姿は頭が下がるばかりである。たまたまお買い物に人里へとやって来たところで私の前を彼が歩いていたのだ。白に青、赤と黄色、その色は否が応でも彼だと分かる。
「やあ霊夢」
「ん? ああ」
背後から呼びかけられ、振り向くとそこにはこの人里で寺子屋を開いている女性、上白沢慧音が手をひらひらさせて立っている。
「こんにちは。何か用?」
「はぁ、相変わらずだな。別に用は無いが、博麗の巫女を見かけたのだ。声ぐらいはかけるだろ?」
「そうかしら? 私が慧音の立場だったら素通りするわ」
わざわざそんな事で興味を持つなんて奇特なヒトである。ため息をつきたいのはこちらだと雰囲気を放ちつつ私がそう言うと慧音は苦笑して肩を浮かせる。
「しかし、彼らは不思議だな」
「え?」
慧音がそう言いながら私の後ろを見た。彼ら、一瞬何を言っているのか解することが出来なかったものの、彼女の視線を這わせたところで納得する。
「ガンダムだー」
「うわーかっこいい」
「おっとっっちょ!? サーベルに触んないで危ないから」
少し離れたところで町の子ども達がガンダムに集っているのだ。
あーあ、良いようにやられちゃってるわね。
好奇心のあるがまま声を掛けたり、肩車させられたりともみくちゃにされているガンダムの姿に私は思わず笑ってしまう。
「私も新聞を読んでね、昨日ガンタンクとリッキーがこちらに来ていたから声を掛けたんだが、あの記事通りだよ。何というか、至極親しみやすい」
「そ」
「あのお前がああも絶賛したんだ。納得出来るよ」
「う、うるさいわね」
慧音の言葉にあの時の感情が浮上し、いっきに顔が熱くなる。推薦文など感じていたことを率直に書いただけである。絶賛などした覚えなんかない。
なのに、彼らときたら読み終わるやわざわざ神社までお礼を言いに来た。
「あんなに嬉しそうにされちゃたまらないわよ……」
「ん? 何か言ったか」
「何にもないわ」
思っていたつもりが口に出していたみたいだ。まだまだうら若い乙女だと言うのに……。これは後で晩ご飯ご馳走させてくれなきゃわりに合わないわよ、ガンダム?
淑女らしからぬ自分を恥じつつ、私は楽しそうに子ども達と接するモビルスーツの姿をしばらく眺めていた。
魔理沙
「おいーっす! ってあれ、ガンダム居ないじゃん」
ガンキャノン
「あー、今は人里だわ」
魔理沙
「なんだ人里か。霊夢も居ないし。あれ、ガンタンクとリッキーは?」
ガンキャノン
「リッキーの修行にガンタンクが付き合ってるわ」
魔理沙
「へー」
〜太陽の畑〜
ガンタンク
「しょうかいするね。かざみゆうかちゃん、ぼくの新しいおともだち」キャノンウチマクリ
幽香
「よろしく〜。嵐の〜中で輝いて〜その〜夢を〜諦めないで〜」ヨウリョクハウチマクリ
リッキー
「ギャー!」ニゲマクリ