SDガンダムフルカラー幻想郷劇場(SDガンダムフルカラー劇場×東方Project) 作:たくらまかん
霊夢
「……」ブッスー
ガ&キャ
「「ほんっっとにごめんなさい(ボロッ」」ドゲザー
霊夢
「……まぁあ? ジッと見ちゃった“私 も” 悪 い し」ネチネチ
ガンタンク
「……」ガシャコッ
霊夢
「ああっ!? ウっソです私が悪いでーす!」イッケナーイキャハッ
ガ&キャ
((ああ……犠牲者増えちゃった))ホロリ
☆投擲は慎重に★
ガンダム達から明らかにされたことは霊夢にとって未知なる情報だった。曰く、モビルスーツとは生物であり、機械の身体を持っているが実態は自分たち人間と変わらない。先ほどのように吹き飛ばされれば痛みを感じ、蚊に刺される事も多々あるらしい。
「え、機械の肌を刺す蚊なんているの?」
ふと感じた疑問を口にすると、
「ヒント、オトナの事情」
「は、はい」笑顔にも関わらず、やけに凄みを効かせるガンダムを前に気押されてしまう。きっとその辺りのことは禁句なのだろうと霊夢は悟る。蚊ってそんなヤバい生き物だっけ?
「でさ、今日からここの隣に住むことになったんだ」
「は? 隣?」
ガンキャノンから今日訪れた用件を説明され、途端に霊夢の表情が困惑に染まる。彼の真意が分からない。ここの近辺に建物というのが理解不能である。そして、辺りを見回したところで霊夢はガンタンクが縁側で手招きをしていることに気がつく。
(……まさか、いやそんな)そう思ったと同時に嫌な汗が湧き上がる。是非とも杞憂であってほしいと願いながら、霊夢はぎこちなくそちらへ赴いた。そして、ガンタンクの隣に並び、彼が得意気に指し示す方向へ視線を向けーー、絶句した。
博麗神社とは、この幻想郷と外界の境界である。その重要なところに、あろうことか大きな建造物がそびえているのだ。木馬を模したデザインにトリコロールの配色と、まるで玩具のようだがこの視界を遮る物体は決して子どもだましではない。
「あれがぼくたちれんぽーのおうち」
「へ、へえー……ずいぶんオシャレね。紫ー! 紫ー!? 居るんでしょ出て説明しなさいよ!」
もはや我慢ならない。ガンダムの話を聞く限り、紫は承諾済みとのことだがここは本人が出て来て事情を教えるのが当然である。青筋を立てながら霊夢が辺りを見回してその名を叫ぶと、ガンタンクとの空間に切れ目が入り、そこからこの事態の元凶が良い笑顔で姿を現す。
「もう、そんなに怒らなくても出て来るわよ」
呑気にそんなことを言う彼女に対し、霊夢はすかさず封魔針を投げつけるが、紫は何事もなくスキマへ潜り込む。
「「あ」」
「チッ、一体全体どういう事なの! れんぽーって何? アレは何よ!?」
「何もないわ。あれはホワイトベースと言っ、て……ひぅ!?」
部屋の方へ向き直り、スキマを移して上半身を出していた紫を続けて問い詰めた霊夢だったが、小さく悲鳴を上げた紫に動揺する。こちらの怒りに対してであろうか、その顔はすっかり青ざめている。しかしこのスキマ妖怪がそんなことで取り乱すような玉ではないことは重々承知である。紫の表情を計り兼ねていると、
「霊夢、霊夢」小声で名を呼ぶ声がした。振り向くとそこには危険に怯えるガンダムの姿があった。その意味深な態度に霊夢は思わず不機嫌になる。
「 な、何よ。私は今こいつと……」
「となりとなり!」
今度はガンキャノンが隣を見るように促す。一体何だというのか。すると正面に居る紫でさえも自分の隣を指し、ガンキャノンの言葉に頷いている。
ーーその直後、ガチャコッ! と先ほど自分を襲ったアレの音が三たび霊夢の耳に入ってしまう。
「……!?」
背中に悪寒が走る。まさか、そのまさかである。先ほどの封魔針の件をようやく思い起こし、霊夢は油の切れた機械のように鈍い動きで隣に顔を向けた。そこには案の定“赤い針”がブッスリと頭に刺さったガンタンクが涙を滲ませながら恨めしそうに霊夢を睨んでいたのである。それも背中のキャノンを降ろして……。
「いたいよう」
「ごめんなsーー」
至極当然な言葉とともに、再び霊夢達を弾頭が襲った。
☆オレ達れんぽー★
他人の諫言とは負い目の時にこそ効力を発揮するものである。目の前で正座させられ、ガンタンクに説教をされている霊夢と紫を見ながらガンダムはしみじみと思った。
「何で私まで「もういっぱつぶっtーー」いいえ私も悪いです!」
「たんく、たんくもうその辺で」
不平を漏らす紫をおどーーもとい注意するガンタンクをガンダムはそこで説教を打ち止めにするように促す。とりあえずは先ほどの話を進めなければならない。その影響を受けて“二回”も吹き飛ばされた霊夢が哀れであった。
「マダフキトバシタイノニ「ええと、ふたりとも楽にして。足が辛いでしょ? 」
仲間が何か不穏な一言を口にするが、ガンダム一切聞こえないことにした。
「とりあえずさっきの霊夢の質問に答えると“れんぽー”ていうのがオレ達の所属する組織の名前なんだ」
「? 組織ってどういう組織なのよ」
「それは……」
「それは?」
「……オトナの事情だからわかんない」
考えうる全てをそう決算して出した答えに霊夢はかるくずっこけた。
「あ、あんたね〜」
「だって仕方ないじゃん!? やったんですよ必死に!」
「ガンダムそれ違うコの台詞よ」
紫からツッコミを入れられ、言葉に詰まる。良いじゃん! 言ってみたかったんだから! 恨めがましくこちらを見遣る霊夢にガンダムはこうべを垂れて謝った。たしかにああ言ったものの無理矢理な回答には違いない。肩すかしも良いところだが、やがて小さなため息の後、霊夢から言葉が発せられた。
「良いわ、“トクベツ”に隣に住むことを認めるわ。改めて三人ともよろしくね」
特別を強調して言った霊夢の眼は一瞬だけ紫を捉えていた。やはり、あの場所は住むのにはよろしくないらしい。だが今は霊夢に対しての感謝の気持ちを述べることが優先だった。
「ありがとー、いやホントにあそこで良いのって紫に聞いたんだけどうやむやにされて不安だったんだー!」
「それ初耳なんだけど。ていうかやっぱりあんたなのね」
ガンダムの裏情報に霊夢の鋭い視線が再び紫を捉えるも彼女はどこ吹く風である。扇子を片手に佇んでいる姿は何というか、出会って間もない関係だが手強い印象を抱く。まあ、れんぽーじおんをまとめて幻想郷に移住させること自体まともではない。
「霊夢ありがとな」
「同情するならお賽銭ちょうだいよ」
「ふふふふ、よろしくね」
「う!? あ、あんまり吹き飛ばすのはやめてよね」
ガンキャノンには項垂れて軽口を叩けているも、ガンタンクを前にしては動揺する霊夢が少し気掛かりである。ご近所付き合いを深めていけば慣れてくれるかもしれないが、とりあえずは改善してあげたい部分だ。後残る心配は同じくこの幻想郷にやってきた連中のことである。
「ね、紫ー」
「なあにガンダム」
「言っておきたいんだけど、オレ達とじおん交戦中なの知ってるの?」
思えば宇宙から地球に移り、グフとバトルした後に紫に出会ったのだ。彼女の中で自分とシャアが仲良しこよしならそれは認識を改めて貰わなければならない。
「ええ、それも込みで呼び寄せたの。あちらはあちらで環境を変えていけるでしょ?」
「え、あぁ。う、うん」
思い過ごしだったことにガンダムは安堵する。それにしても紫の言うとおり確かにあの赤いヤツなら少しばかりの困難に直面してもずる賢いやり方で乗り越えるだろう。
「ウウン。たぶんこっちよりかは揉めるよ。あんなたらこ色ザクボロゾーキンの如くボコボコにされるよされたら良いなむしろゆかりん殺っちゃえ」
「あ、あなた達ほんとうに外面だけで内面では嫌いなのね」
「あたりまえじゃん」
「うわすんごい笑顔」
それは互いに争った仲でもシャアがそこそこやるヤツなのは充分わかることだが、何気に紫に期待されてる感がライバルとして気に食わなかった。ひまわりが咲いたかのようなベストスマイルで即答するガンダムに対し、紫はほんの少しれんぽー&じおんの関係が気掛かりになった。
ガンダム
「ところで霊夢、記念にガシャポン置いてみない?」SDガンダムフルカラーヲズイッ
霊夢
「はあ? ってコレあなた達の人形じゃないの」ヨクデキテルワネ
ガンダム
「コレを神社におけば参拝客がとりあえず百円入れて回してくれるよー回収した百円をお賽銭にすれば霊夢もウハウハラインナップを紹介出来るオレ達もウハウハだー!」イェーイ
霊夢
「!? なるほどソレは良い考えね! とりあえず五百円で売るわよ、増税よ増税!」ウッヒャッヒャ
ガ&れ
「「増税イェーイ」」
キャ&タ
「「イェーイじゃねぇ」」キャノンダブルショット
ガ&れ
「「ギャー」」
紫
「あ、またグフ」ガシャガシャポンッ