今年中に行けたらいいなあ。
~エミヤ視点~
「収穫祭なんですが、二十日間ほど開催される予定で、前夜祭を入れれば二十五日間。約一か月にもなります。この規模のゲームはそう無いですし最後まで参加したいのですが、長期間コミュニティに主力が居ないのは良くありません。そこでレティシアさんと共に一人残って欲し
「「「「嫌だ」」」」
問題児四人が声を揃えて拒否する。
十六夜、久遠嬢、春日部嬢は分からなくもないが、お前はどうなんだ、光一。
「そうしたらエミヤさんお願いできますか?」
「まあ、別に構わないのだがね、聞いた話だと南側の祭りでは様々な料理がふるまわれるらしい。もうそろそろレシピを増やそうと思っていたのだがな」
「それはまずいな。それなら光一が残った方がいい気はするが、光一は襲撃されると弱いから残っても意味はない。しかもいろんなギフト見させた方がちょうどいいだろう」
「おお! いいこというな十六夜! というわけで俺はメンバー決定」
「ダメに決まっているでしょう。それを言うのなら私もディーンとレティシアしかいないのだから戦力不足よ」
「私も南側の幻獣たちと友達になれればいろんなこと出来るようになるよ」
「そんで俺はそんな面白そうなこと見逃すくらいならこのコミュニティ抜けて行っちまうぜ?」
ふむ。
十六夜を除いたら全員行く理由がある。
「むしろレティシアは行かなくていいのか?」
「私は何度か参加したことがあるからな。今回は遠慮しておこう」
なんとも大人な対応に、少しだけ肩身が狭くなる。
「では、せめて日数を絞らせてくれませんか?」
「というと?」
「五日間ごとに留守番を一人出し続けるというのはどうでしょう」
「悪くないが面白くもないな。俺なら7・6・6・6の日程で割って一人だけ全部出れるようにして、一人は留守番が長めにする」
「へぇ、面白そうじゃない。でも誰が何日残るの?」
「ヤハハ! ここは箱庭だぞ?」
「そうだね。前夜祭までの間にどれだけコミュニティに貢献できたかでゲームしよう」
春日部嬢が珍しく好戦的な面を表に出している。
普段ならば自分の意見をあまり出さずにいるのに、今日は自分から意見を言っている。
言いたいことを言える関係というのは素晴らしいな。
「じゃあ、ゲーム開始だ」
十六夜がそう言った瞬間に契約書類が降ってくる。
それを全員が読んだ後にそれぞれ動き始める。
さて、何をしようか。
「エミヤ手伝って欲しい」
私が部屋から出てすぐ、春日部嬢に声をかけられる。
そのままついていくと、光一と久遠嬢も一緒に呼ばれたようだ。
「春日部さんは何を手伝って欲しいの?」
「うん。私は飛鳥と十六夜みたいにゲームで活躍できてないから少しでも多くの幻獣と友達になりたい。だから功績を稼ぐのを手伝って欲しい」
「つまりあなたは私に生誕祭に行く日数を減らせと言っているのね」
「うん」
春日部嬢は久遠嬢から視線を逸らすことなく答える。
三秒間ほどにらみ合いが続いたのちに、久遠城はあきらめたように肩を落とす。
「いいわ。友達の頼みだもの。でも一つ」
「うん。何でも言って」
「私とゲームをしましょう。いえ、私達とといった方がいいかしら」
「俺たちもか? 俺は別に譲ってもいいんだが」
「ええ、せっかくの生誕祭に行く日数を減らすのだもの。それなりに楽しませて貰ってもいいでしょう?」
久遠嬢がいたずらっぽい笑みを浮かべながら言う。
「ゲームは簡単。かくれんぼよ」
「分かった。エミヤと光一もそれでいい?」
「俺は良いぜ」
「私も問題ない」
そういうと同時に契約書類が降ってくる。
『ギフトゲーム名 “ハイドアンドシーク”
・ルール説明
・本拠地内から出てはいけない。
・視認して名前を呼べば発見となる。
・エミヤ シロウ、佐藤 光一、久遠 飛鳥を発見し、名前を呼んだら春日部 耀の勝利とする。
・日没までエミヤ シロウ、佐藤 光一、久遠 飛鳥全員が逃げ切れば春日部 耀の敗北とする。
宣誓 上記を尊重し、“エミヤ シロウ”“佐藤 光一”“久遠 飛鳥”“春日部 耀”全員はギフトゲームを行います。』
それを読み終わると同時に私はハデスの兜を三つ投影し被せる。
各々が走り出しているようだ。
私は――ふむ。
あそこに隠れよう。
こうして春日部嬢とのギフトゲームは始まったのだ。
~エミヤ視点終了~
光一「お前大人げないな。初手でハデスの兜かよ」
エミヤ「五感に優れる春日部嬢が相手でなければ使わなかったさ」
光一「いや、ハデスの兜使ってたら視認できないから負けることがないんだが……」
エミヤ「忘れてた」