英雄の箱庭生活   作:英雄好きの馬鹿

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ネズミ捕り道化

~飛鳥視点~

 

 黒死病の魔王が襲撃してくる前日。

 

 十六夜君と黒ウサギがギフトゲームをしていたころ。

 

 私はレティシアと一緒に北側の出店を見て回っていた。

 

 そこでクレープと呼ばれる洋菓子を食べたり、いろいろなコミュニティの出品したギフトの展示を見ていた。

 

 どれも日本にいたころには見たことがなかったし、新鮮なものだらけっだったからとても楽しかったのだけれど、一つ大きな借りを作ってしまったの。

 

 ギフトを見て回っていたとき、ネズミの大群がギフトの展示場を襲撃して来たの。

 

 私はその場にいた観客たちをギフトで支配して安全なところまで逃がして、次にネズミたちを支配して倒してやろうとした。

 

 だけど実際にネズミを倒したのはレティシアだった。

 

 そう。

 

 私はネズミを支配できなかった。

 

 私は言葉で命令すれば、私より霊核が低い相手を支配できる。

 

 しかし会場を襲撃したネズミは支配できなかった。

 

 ネズミ自体はただのネズミだったし、ネズミに霊核が劣ることはない。

 

 だけど支配出来なかったという事は。

 

 私よりも上位のギフトで支配されている可能性が高かった。

 

 冗談じゃない。

 

 確かに簡単に支配できるモノしかない世界は退屈だ。

 

 だけどそれとこれとは別。

 

 支配出来すぎるのも面白みがないけれど、出来ないのは腹立たしい。

 

 自分でもどうかとは思うけれど、偶の我がまま位良いでしょう?

 

「まあ、そういうことだから戦いましょう。笛吹きの悪魔さん?」

 

「どういうことかは分からないけれど、私の観客は貴方のようね? 私の笛の音を存分に堪能させてあげるわ」

 

 ラッテンはにこやかに笑いながら笛に口を近づけ、とても透き通った綺麗な音色を奏でる。

 

 ここが戦場じゃなく、奏者が魔王の配下でなければ、音楽を楽しむことが出来たのでしょうね。

 

 だけれども私には貸しがある。

 

 あのときと同じようにどこからともなくネズミの大群が現れる。

 

 通り過ぎた後には草木の一つも残っていないのを見ると、酷い雑食みたいね。

 

 私もアレに飲まれれば食べられてしまうでしょうね。

 

 ただまあ。

 

 

 

「『森に帰りなさい』」

 

 

 

 今の私なら支配力で負けることはないのだから恐れることはないのだけれど。

 

「残念ながら貴方の笛の音色よりも、私の声のほうが良いらしいわね?」

 

「……ずいぶんと自信家のお嬢さんねぇ。いいわ。片付けなさいシュトロム」

 

 ネズミを奪われたラッテンがこれまでと違う旋律を奏でると倒されたはずの陶器の巨人シュトロムが現れる。

 

 それも二十体。

 

「ネズミの次の観客は(シュトロム)。貴方の声では風に呑まれるわよ?」

 

「あら、ステージに入りきらなそうな客は少し、優雅さにかけるわね」

 

 私はギフトカードを掲げて、最新のギフトを顕現させる。

 

「来なさいディーン」

 

 私の傍らに赤い巨人が現れる。

 

 シュトロムと同サイズの巨人で、ラッテンフェンガーというハーメルンの伝承の別の解釈の一つの功績をもつもの。

 

「さあ、チェスには駒が足りないけれど、ハンデを上げるわ。かかってきなさい」

 

「クイーン一体だけで勝てるほど甘くはないわ」

 

「キングもいるもの。楽勝だわ」

 

 私はそう言いながらガルド戦で手に入れた白銀の剣を取り出して二・三回ほど素振りをする。

 

 ラッテンはそれを見てなめられていると感じたのか、不敵な笑みを浮かべて笛を構えて言う。

 

「……いいわ。このネズミ捕り道化(ラッテンフェンガー)に喧嘩を売ったのだもの。楽しませてあげる」

 

「ええ。世界一有名なネズミ取り業者と戦えるのだものね」

 

「それでは私の演奏をせいぜい楽しでね♪」

 

 そう言ってラッテンは笛を吹いて二十の巨兵を動かす。

 

「やっぱり綺麗な旋律ね。惚れ惚れするわ。でも――」

 

 ディーンは私の指示を待つことなく巨大化し、一番近くにいたシュトロムを打ち砕く。

 

「ディーンを楽しませるには足りないみたいね」

 

「伸縮自在の巨人!?」

 

「ええ、ディーンは如意棒と同じ金属で出来てるらしいわよ?」

 

 西遊記で出てくる孫悟空の武器で知られる伸縮自在のこん棒・『如意棒』。

 

 その材料と呼ばれる神珍鉄は、丈夫で、重くて、何より伸縮自在の夢の金属。

 

 それで移動人形でも作れば最高でしょう? 

 

「神珍鉄の巨人なんて、なんでこんな下層のコミュニティが持ってるなんて!」

 

「最近できたお友達がくれたのよ。こんなに重いのに持って振るわなくてもいいのよ?」

 

 孫悟空みたいに馬鹿力じゃないからとても助かっているわ。

 

 そう会話しているうちにもシュトロムは数を減らしていく。

 

 戦力がそのそも違うもの。

 

 二十程度の数を減らすのにそう時間はかからず、そこには無傷のディーンと、兵隊を失ったラッテンしか残っていない。

 

「これでチェックね。いえ、チェスだったらチェックメイトかしら?」

 

「これはこれは、いい人材ね。食べちゃいたい」

 

「すごいでしょう? だけどあなたにチャンスをあげる」

 

 私はラッテンに提案をする。

 

「実は、私はあなたに一度負けているの。ほら、貴女ギフトの展示場をネズミで襲ったでしょう?」

 

「ええ。私以外のラッテンフェンガーがいたんだもの。それがどうかしたの?」

 

「ええ。あの時、私はネズミを支配しようとして失敗してるの。だからこれで一勝一敗」

 

 傍らに戻ってきたディーンをギフトカードの中にしまってからラッテンのほうを向いて告げる。

 

「部下にだけ任せてたら他力本願みたいでしょう? だから、一曲所望するわ。私を支配して御覧なさい」

 

「これは傑作ねぇ! 人心を惑わす悪魔にそんなこというなんて! いいわ……貴女のゲームに乗って、一曲奏でましょう!」

 

 そう言って道化の笑顔を浮かべながらウインクし。

 

「幻想曲・『ハーメルンの笛吹き』どうかご清聴のほどを!」

 

 私の意識は、これまで聞いたことのあるどんな旋律よりも綺麗で、美しかった。

 

 そして私は幻想世界に取り込まれた。

 

~飛鳥視点終了~




エミヤ「さて。対して文才もないのに女性口調に手を出して挫折しかけた戯けがいるみたいだな」

光一「ある程度は大目に見てやってくれ。それはともかく、お前の宝具微妙なんだが。もう少し何とかならないのか?」

エミヤ「……あれでも強化されているんだがな。しかし腕程度一撃で倒したいものだ」

光一「宝具レベル三だと微妙なんだよなー。あと二枚出でてほしいんだが全然来ないしなあ」

エミヤ「そこら辺はマスタースキルで補ってくれ。そもそもなぜ私の宝具はバスターなのだ。バスター以外ならまだよかったものを」

光一「クイックなら三十ヒットで千里眼で、アーツならNP回収しながら魔術で威力も上がるのに」

エミヤ「しかも完全に宝具なしにするほど弱くもない。英雄王の宝具よりはましだ」

光一「あれは宝具強化クエ待ちだからな。それでも一万代しか出ないんだもんなあ」

エミヤ「そもそもステラが可笑し過ぎて比べられているのもあるしな」

光一「弓は高レベルで強いのがアルジュナだけという感じだしなあ」

エミヤ「高レベルだとどうしても弱くなく強くないみたいな扱いなんだアーチャーは」

光一「なのに敵で出てくると三ターンで宝具で全体持ちが多いという難敵仕様だしな」

エミヤ「聖杯を使ったら強くなれるのかね?」

光一「ジキルとハイドみたいに宝具を使うとその後ずっとそのままみたいにしてモーションが変わるとかならいいのにな」

エミヤ「ああ。まったくだ。投影しているのが干将・莫耶と、申し訳程度の螺旋剣Ⅱだけだしな。私の持ち味の様々な宝具の投影がもはや設定だけではないか」

光一「しかも魔術のスキル上げの塵が四十の時点で全然たまらないしな」

エミヤ「ああ。元からそこまで強くないスキルなのに、あげるのも面倒くさいなんてな」

光一「聖杯が来るまでの辛抱だな」

エミヤ「ああ。ところでお前がもしあのゲームに来たらどうなるんだろうな?」

光一「星1セイヴァーかキャスターで、
スキルはイカロスブレイブ(相手のスキルランダム発動、ただしランクが落ちる)と
直感(偽)と
不屈の意思。
宝具がボーンヘッドブレイバーで木漏れ日現象をして、相手の宝具・スキル封印ダメージなし。ステータス低めアーツ三枚だな」

エミヤ「せめてお子様騎士のアロンダイトくらい妄想しないのか……」

光一「いや、貧弱ステータスだと敵が倒せないしな……」

エミヤ「確かにな。しかもキャスターのわりに道具作成も陣地作成もなさそうだな」

光一「さらに通常攻撃が特殊モーションで劣化異能連射でスター発生率はいいけどNP溜まらず、アーツだからそもそもあまり出ないとかな」

エミヤ「どこまでも残念だな」

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