~アルテリア郊外・東側~
~福音施設『桜花の宿』~
『桜花の宿』……第二位庇護下の福音施設。
しかし、福音施設の風習であった『必ず教会関係の 職に就く』というのを嫌った俺が建てた教会の記録 に無い福音施設
……まぁ、俺が秘密裏に福音施設を建てたいって言 った時は総長に「お前本当に十代か?」って目を丸 くされたが
…………だって嫌だろ。生まれと育ちでその後の人生 全部決まるなんて。少なくとも俺は絶対に嫌だ
まぁ、そういう理由で、『桜花の宿』の存在は教会 には知らせていないし、知られてもいない。俺と総 長が全力で秘匿していたから
正直、この場所を知っているのはここにいるメンバ ーくらいだ
………………え?説明が長い?
当たり前だろ……現実逃避だし
「ケイジ兄ちゃん!!おみやげは?」
「無い」
『え~~~~~~!?』
「お前ら言っとくけど俺別に毎回旅行してる訳じゃ 無いからな!?」
どうも皆さん、ケイジです
今、絶賛『桜花の宿』の子供達に捕まってます
………皆、知ってるか?子供って物凄いパワフルかつ フリーダムなんだぞ?
……まぁなんだ。帰って来るのが久しぶりだったせ いか俺達の姿を見た瞬間、ティアもシャルも放って おいて俺の所に来やがった。何故だ
「ほら兄ちゃん!早く中に入ってよ!」
「わかったわかった、だから引っ張んなって…」
そして俺は子供達に家の中に引っ張られて行くのだ った
ーーーーーーーーーー
「なんちゅうか………」
「嵐のようだったな」
『桜花の宿』に着いた瞬間ケイジが拉致(?)られ たのだ。ケビンとレーヴェの言う事ももっともであ る
「アハハハハハ…」
「まぁ、あの子達は本当に自由に過ごしているから ……」
「………ティアとシャルはここの事知ってたの?」
「僕とティアは初めの方は泊まってたりしてたから ね~」
「そう…………………それより、何か食べさせてくれる と嬉しい。このままだと空腹で私のストレスが大変 なことになる」
「ホンマぶれへんなお前」
いつでもどこでもマイペース。それがリース・アル ジェント
「ゴホン…………それで、ここの責任者は結局ケイジ なのか?」
再びカオスな空気に行きかけたところでレーヴェが 修正する
「名目はそうね。けどケイジも常駐できる訳じゃ無 いし、私達もいつも来れる訳じゃ無いから私達やケ ビン、ワジ、総長とかも時々顔を出してたわね」
「大人がいなくて生活は成り立ってたんですか?」
「さっきも言ったけど、泊まってたりしてたからね ~。料理とかはその時にケイジとかティアが教えて たよ」
因みにケビンは教える側、シャルとワジは教わる側 であった
「それに当時はケビンすら成人してないわよ」
「せやな。ケイジが14の時やから…俺が19の時やな 」
*アルテリア法国の成人は20歳です
「本当にあの人ぶっ飛んでますね…」
リーシャの言う事もあながち間違いではない。14 歳でこんな事を考えるのはケイジくらいだろう
そして、ちょうどその時だった
「…………あの、どちら様ですか?ここに何か用でも …」
アルテリアの街の方向から水色の髪の少女がティア 達に話しかけてきた
…警戒心バリバリで
「あ、ティオ」
「……シャルさん?それにティアさんも…お二人が同 時に来るなんて珍しいですね」
「私達だけじゃないわ」
「ケイジもいるよ~」
「お兄ちゃんも?」
『お兄ちゃん!?』
ティオの爆弾発言に一瞬でパニックになる一同(テ ィアとシャル、ケビンを除く)
………総長とワジはさっさと家に入って行った。つい でにストッパーとしてアッバスも
「あ、すみません。自己紹介がまだでしたね。
ティオ・ルーンヴァルトです。いつも義兄が(多分 )迷惑をおかけしております」
『……………………………………………』
「ティオ、シャル。耳塞いでおきなさい」
「「もうやってます(るよ)」」
「……やっぱり慣れってすごいわね」
ケビンの時も同じような事があった為、この三人の 反応は早かった(ケビンは家に逃げて行った)
『えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ ぇぇぇぇ!!!??』
そして、レーヴェ達の叫びがアルテリアの空に消え て行った…