英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『仲間』

「………あ!あれ出口じゃない?」

 

「そう慌てんなよシャル…」

 

「ケイジがボロボロなだけでしょ?」

 

否定はしない。何故ならクローゼに肩を貸してもら ってようやく階段登ってる状況だから…

 

「まぁ、諦めろ。自業自得だろ」

 

「リクゥ……」

 

お前そんなキャラじゃねぇだろうが…!

 

「………」

 

「…リーシャさん?」

 

「………」プイッ

 

そして何故かさっきからリーシャがこの状態です

 

……今までどんなにからかっても敵のド真ん中に投 げてもこんなんなかっただけに……なんかものっそ い怖い

 

「リク、ヘルプ」

 

「リア充爆発しろ」

 

「なんでさ」

 

何故にここにきてそれ?

 

――――――

 

「…何だここ?」

 

「闘技場?」

 

それからようやく出口に着くと、外見が完璧に闘技 場な場所に出た

 

「にしても…誰もいねぇな」

 

「気配もありませんね…」

 

リーシャでも気配を掴めないとなると…本当に誰も いないか

 

今は俺が探っても信憑性ないしな…

 

そんな事を考えながら闘技場の中心へと足を進めた

 

その瞬間…

 

ガシャン

 

『!?』

 

突然、入って来た側の扉が完全に閉まった

 

シャルがすぐに扉を見に行くが…

 

「…ダメ!完全に閉じ込められた!」

 

「…チッ、ヤバいな」

 

やはりと言うか、開かないらしい

 

それに…

 

「…ど~もお出迎えも来たみたいだな」

 

「そうですね…」

 

俺とリーシャがそう言うのとほぼ同時に、左右から 大量の機械人形(オートマタ)が出てくる

 

「…こんなお出迎え、誰も望んでねーっての…」

 

リクがそう軽口を叩くが…正直、かなりマズい

 

俺はポンコツ状態だし、リーシャは聖痕の影響で上 手く動けないだろうし、クローゼが出ると俺は多分 立ってられない

 

唯一自由に動けるのはリクとシャルだけなんだが… シャルはSLBのタメがまだ出来てない。それにリク はなんやかんやで経験不足だ

 

……こうなったらまたイザナギで…

 

そう思って前に出ようとしたが、リクとシャル、そ れにリーシャに遮られた

 

「ケイジ…また一人で何とかしようとしてたでしょ ?」

 

「………」

 

「図星なんだね」

 

ぐぅの音も出ない。何コイツの勘。未来予知できん じゃねぇか?

 

「全く…大体ケイジさんは何でも一人でしようとし 過ぎなんです!少しくらい私達も頼って下さい!」

 

「リーシャに同意よケイジ。ケイジは放っておくと どこまでも一人でやろうとするんだから…今回もそ の前もまたその前も…」

 

「うっ…」

 

「……ケイジ何でも出来ちゃうものね~…私達なんて 必要ないものね~…」

 

「すんませんでしたクローゼさん。だからその突き 刺さる視線を止めて下さい」

 

本当に心に突き刺さって来るんで

 

……よくよく見ると、リク以外の三人が同じように 俺を見ていた

 

…何コレ。新手のイジメ?

 

最後の望みを託してリクを見るが、「自業自得だっ て言っただろ?」とか言いやがった

 

「……でもな、確かにお前は一人で何でもやろうと し過ぎだ。さっきの件にしてもそうだ。全員で行っ てりゃお前がそんな怪我を負うことは無かったかも 知れない」

 

「………」

 

「……無言は肯定と受け取るからな。 それに…お前は俺達を舐めすぎだ。お前はこの中で 一番強いだろうさ。でもだからと言ってお前一人で 全部やる必要も無いし、お前一人で俺達全員を護ら なきゃいけない訳でもない。今のお前がやってる事 はただのエゴだ」

 

「………」

 

確かに…俺はコイツらは護る存在だと思っていた。 そして…いつからかそれが当たり前だと思っていた

 

護る事が俺の存在意義であり、俺の生きる理由だっ たから

 

「俺はもう、お前に何も出来ずに負けた俺じゃない 。それはシャルやクローゼ、リーシャ…は知らない がみんな同じだ。 何より…俺は借りを作ったままにしとく気は無いん でな。返せる時に返させて貰うぜ?だから………

 

そこでのんびり座って見ときやがれ」

 

そう、リクが言った直後、辺り一面が剣の丘に塗り 替えられていく

 

――無限の剣製(アンリミテッド・ブレード・ワークス)

 

いつの間に詠唱を終えたのか…全く分からなかった

 

そして、リク、シャル、リーシャの三人が前に出る

 

「今まで、私達はケイジさんに甘えてたんだと思い ます」

 

「確かに任務の時もどんなに難しい事でもケイジな ら出来るんだろうな~って思っちゃってたしね」

 

「俺達だって今まで遊んでた訳じゃねぇんだよ」

 

「ちょっと前までリクは邪魔しかしてなかったけど ね~」

 

「…余計なツッコミはいらん。それとその事につい ては本っ当にゴメンナサイ(90°頭下げ)」

 

「あなたプライドとか無いんですか?」

 

「人並みにはあるわ!!」

 

…なんか色々台無しだ

 

「あ~もう!とりあえず俺達が言いたいのはな!! 」

 

『黙ってそこで待ってろバカ!!』

 

………ここまで言われて、わざわざ意地を張る必要も 無いだろうな…

 

ったく、本当に…バカばっかりだろうが。ここにい る全員

 

「……そこまで啖呵きったんなら一体も通すなよ? 今の俺だと機械人形でもポックリ逝くぞ?」

 

『上等!!』

 

「というかそんなの私がさせると思う?」

 

「そういやそうだな」

 

「今私の事忘れてた?」

 

「ソンナコトナイヨ~」

 

「…全く」

 

何とか隠し通せたようだ

 

そしてしばらく三人の暴れる様子を見ていたが、急 にクローゼが

 

「…みんな成長してるでしょ?」

 

そう聞いてきた

 

「…そうだな。初めは全員普通より少し強いくらい だったのにな…」

 

「ここにいるのはみんなケイジに影響されて強くな ったんだよ?勿論私も、ね」

 

「…そうか」

 

「みんなただ護られるだけは嫌だって…その一念で 強くなったんだよ。 だから…少しは私達も頼ること。わかった?」

 

「…善処する」

 

「もう!はぐらかさないの!」

 

怒ったように言うものの、クローゼの顔は笑顔だっ た

 

…そしてそれから約三十分後、結局一体としてこち らに通す事なく、三人は全ての機械人形(オートマタ)を破壊した のだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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