英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『vs 影奏』

「シャル、回収は?」

 

「できたよ~…あの仮面は消えちゃったけど…」

 

「…ついにシャルが元祖を越えたか…まさか人を蒸 発させるとは…」

 

「違うよ!?…そういう意味じゃなくて、多分受け きって逃げたって事」

 

「…やはり変態だったか」

 

「どうしてその結論が出たのか僕の目を見てきっち り話して欲しいな…!!」

 

――――――

 

~前回のあらすじ~

 

シャル、パねぇ

 

「「殺す気かあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

あの騎士団の魔王砲撃事件(「失礼な!!」byシャ ル)から約三十分

 

ようやくリクとオリビエの目が覚めたかと思えば、 即座に俺に詰め寄って来た

 

「目が覚めるまで待ってやってたのに…いきなり文 句とは」

 

「原因お前だお前!!」

 

「本当に死ぬかと思ったよ!それこそアルセイユが 墜落した時以上に!」

 

「……オリビエ、ちょっと今のについて僕とOHANA SHIしよっか?」

 

「…いや、遠慮しておくよ……ハハハ…」

 

全力でシャルと距離をとるオリビエ…まぁ、当然の 反応か

 

「二人とも目が覚めたみたいだし、早く進みましょ 」

 

「そうだな」

 

とりあえず、バカ二人は無視してさっさと進む事と なった

 

――――――

 

「…なるほど、これは面倒だな」 次の階へと進む階段。その階段が………『二つ』あっ た

 

「どういうことだ…?」

 

「どうしたリク?」

 

「…いや(原作だと階段は一つのはずだ。あの正面 のやつな)」

 

…なるほどな。なら、もう一方は…

 

「(一つ聞いときたいんだが…原作にリーブって奴 は出てくるか?)」

 

「(………いや、俺の記憶が正しければ出て来ない… というか聞いた事がない)」

 

それなら、話は早い

 

「……パーティーを分けるぞ。エステル、お前達は お前達で行け。俺達はこっちを行く」

 

「……わかったわ。確かにここで考えていてもキリ がないしね」

 

「……そっちも気を付けて!」

 

「ああ…お前らもな」 最後に、ヨシュアと拳を軽くぶつけてそれぞれが分 かれて行った

 

・A…エステル、ヨシュア、ジン、シェラ、オリビ エ

 

・B…ケイジ、クローゼ、リーシャ、シャルロット 、リク

 

――――――

 

「………!ストップだ!!」

 

順調に進んでいた俺達だったが、俺は何か違和感を 感じて止まった

 

「どうしたの?何かあった?」

 

「……シャル」

 

「了解」

 

シャルが誰にも当たらないように銃弾を一発放つ

 

すると…

 

「……やっぱり直ってやがるな」

 

「……罠か」

 

「……ですね」

 

多分仕組みと様式から東方の術だとは思うが…

 

「リーシャ、判るか?」 「……多分ですが、極東の呪術だと思います。符で 行使するタイプじゃ無いみたいなので、術者が近く にいると思うんですが…」

 

………こう気配が無いとどこにいるかすら分からない って訳か

 

…にしてもこのクソだるい罠のかけ方、そのくせ的 確な仕掛け……

 

「『影奏』か…」

 

『フフ、正解だよ《白烏》』

 

突然、どこからともなく声が聞こえる

 

やっぱりな…

 

「コソコソ隠れてないでたまには出て来たらどうだ ?」

 

『魅力的なお誘いだけど遠慮しておくよ。単純な戦 闘力で君に勝てるとは思わないしね』

 

…チッ、相変わらず厄介だな

 

これが簡単に挑発に乗るような奴ならいくらでも手 が打てるが、コイツのように冷静な隠密タイプは本 当にやりにくい

 

『フフフ…君達も災難だねぇ。こっちの道を選んで しまったばっかりに僕に狩られる事になるんだから …』

 

「…勝手に決めないで下さい。私達は負けるつもり はありません」

 

『なら、まずはこの結界から抜け出す事だね』

 

クローゼが影奏に言葉を返すが、どこ吹く風

 

そして、地面が黒く変色したかと思うと、そこから 奴の影………わかりやすく言うなら分身のようなもの が出てくる

 

『…執行者NO,ⅩⅠ、『影奏』ライ・フィリアス ……せいぜい頑張って僕を楽しませて欲しいな』

 

「…えらく舐められたモンだな」

 

「落ち着けリク。挑発に乗ったら死ぬぞ」

 

「………来ます!!」

 

影との闘いが始まった

 

――――――

 

――キィン…ザシュ

 

「…チッ」

 

キリがない。真っ先に脳裏に浮かんだのはその言葉 だった

 

斬っても斬っても所詮は影…大元の『影奏』を叩か ない限りコイツらは無限に現れる

 

それに…その肝心の『影奏』が見つからない。さっ きから写輪眼をもフルに使ってるのに尻尾すら掴ま せない

 

……コイツの特性は影を操る事だけだと思っていた が…訂正する

 

コイツ…穏形だけならヨシュアより上だ

 

…さて、見つからない、終わらない、突破口が無い の三拍子だ。どうすっかな…

 

――トン

 

そんな事を考えながら影を斬っていると、背中に小 さな衝撃が走った

 

「…リーシャか」

 

「……見つかりました?」

 

「いや…尻尾すら掴ませてくれねぇな

 

…そっちは?」

 

「ケイジさんと一緒です…」

 

申し訳なさそうに言うリーシャ

 

…リーシャがわからないなら、リクやクローゼに聞 くだけ無駄だな

 

なら…仕方ない

 

「…リーシャ、お前全力で『影奏』を探したとして …何分で見つけられる?」

 

「………五分、いや、三分あれば」

 

「……自信は?」

 

「あります」

 

…そこまで言うなら問題ない

 

「…なら、お前は探索に集中しろ

 

何、お前が探している間は俺がお前を護ってやる」

 

「!!………はい///」

 

リーシャと敵の攻撃を流しながら隅へ移動し、敵が 来る方向を絞る

 

…逆に言えば逃げ場がなくなるが、それは仕方ない 。どの道これでリーシャが奴を見つけられなければ ………詰みだ

 

「……『我に宿りし蒼き羽』…!!」

 

背中に、蒼く輝く羽を展開する

 

そして展開と同時に周囲の影を氷槍で一掃した

 

…これで、少しは楽になる

 

チラッと横目でリクとクローゼを見ると、ほぼ全て の影が俺の方に集中していたようで、割と余裕そう だ

 

現にちょくちょく外側から援護射撃をしてくれてる みたいだし

 

「……さて、五分と言わず十分だろうが一時間だろ うが…護りきってやるよ…!!」

 

俺は刀を握り直して、再び影の軍団と向かい合った

 

 


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