英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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ケイジの過去のさわりです


これやらないとこの先イマイチ分かりにくくなると思ったので…


月の扉『白烏の唄~序編~』

~リベール王国・ハーケン門付近~

 

~王国義援隊・医療部、キャンプ~

 

「…ここか」

 

帝国が攻めて来ると言う噂が流れてから早一週間。 俺は生前で言うNGOに参加するためにハーケン門ま で来ていた

 

…当然アリシアさんやユリ姉には反対された。それ どころかカシウスさんまで俺を止めようとしていた

 

…でも、俺には知識がある。せめてそれを治療に役 立てるくらいはしたかった

 

「すみませーん!誰かいますかー!」

 

当たり前だがキャンプの入り口は閉まっているので 大声で誰かを呼ぶ

 

…だけども返事が一切ない

 

「すみませーん!!」

 

さっきよりも大きな声で呼ぶが…やっぱり誰も出て 来ない

 

いや、気配っぽいのは感じているんだが、『何だ子 供か』みたいな感じですぐに奥に引っ込んで行って いるようだ

 

………子供だと思って舐めてんだったらいてまうどワ レぇ…

 

そう思ってもう色々面倒だし全部ぶっ壊して入ろう かと考えていると…

 

「…ん?ガキがこんな所に来るなんて珍しいな」

 

「わひゃい!?」

 

「何言ってんのお前?」

 

突然後ろから声を掛けられ、つい飛び上がってしま った

 

というか今からこの門ぶっ壊そうとしてたから本気 でビビった

 

「というかガキがこんな所に何の用だ?面白いモン なんて何もねぇぞ?」

 

「いや、俺はここに参加しに来たんだ」

 

一瞬ポカーンとした表情になるオッサン…いや、オ ッサンって言うにはちょっと若いが…まぁオッサン でいいや

 

「だっはっはっはっは!!コイツは傑作だ!!お前 まだガキだろうが!?」

 

しかし大爆笑するオッサン。一瞬カチンときたが我 慢する

 

「…ガキでも薬なら作れるぜ?」

 

「…!」

 

ピクリと反応するオッサン

 

…うん、掴みは良い感じだ

 

「例えば?」

 

「麻酔系、強心剤、抗生物質、etc、etc…」

 

次々と薬の名前を挙げていくごとにオッサンの口が 歪んでいく

 

…ここが最近レミフェリアで提案された外科医療の 医療部だと聞いておいて正解だったな 必要な薬や処置は知っているものの、生産手段の目 処が立っていないらしい

 

その点俺には『前世』と言うアドバンテージがある 。元々は俺は医学部志望だったためにその手の知識 は充分にある

 

…MITに入ってからアメリカの医大に入るつもりだ ったが、叔父が日本に帰るのとかぶってしまって結 局日本の医大に約四歳年上で入っていたが

 

「なるほど、俺らの知らない知識は渡す。その変わ りにお前を参加させるってか」

 

「悪くない話だろ?」

 

「全く…ちんまいガキの癖に頭が回るな…」

 

そしてオッサンは面白いものを見つけたと言わんば かりの笑顔で

 

「お前名前は?」

 

「ケイジ。ケイジ・ルーンヴァルト」

 

「良い名前だ」

 

そう言うとオッサンは門を開いてからこちらに向き 直り…

 

「ようこそ地獄の入り口へ!」

 

めちゃくちゃイイ笑顔で物騒な事を言い切った

 

――――――

 

「ただいま~」

 

「ん?…おやおや、貴方どこからそんな子供を攫っ て来たんですか?」

 

「攫ってねぇよ!!変な事言うなジェイド!!」

 

「冗談です…貴方の息子ですか?この目のふてぶて しいところとかそっくりじゃないですか」

 

「悪かったなふてぶてしくて」

 

「なっ!?喋った!?」

 

「何で喋ったことに驚いてんの!?俺人形じゃない からな!?」

 

「いや~いいツッコミですね~…ますますそっくり じゃ無いですか」

 

「「誰がこんなオッサン(ガキ)と!」」

 

「まず自分達で墓穴掘ってることに気付きましょう ね」

 

くっ…!やっぱりジェイドって名前の奴にいい奴は いねぇ…!案の定コイツもドS鬼畜眼鏡だ!

 

*全世界のジェイドさん、本当にすみません!

 

「…さて、冗談はここまでにしましょう」

 

「相変わらずいい性格してやがんな…」

 

「…サンクチュアル、貴方どうしてここにこんな子 供を?」

 

そうジェイドさん(呼び捨ては何となく身の危険を 感じるため)がオッサンに言うと、オッサンはニヤ リと笑い

 

「喜べジェイド。薬の生産ラインゲットだ!」

 

「!本当ですか!?」

 

「…言っておくが今の状況で量産は不可能だからな ?」

 

「「なっ!?」」

 

「ちょっと待て!ジェイドさんはともかく何でオッ サンがびっくりしてんだ!?ここに来るまでに説明 しただろ!?」

 

「いや~…聞き流してたから…」

 

「死ね変人」

 

「酷くね!?」

 

「ちなみに私はノリで…」

 

「「知ってる」」

 

「本当に貴方達色々似てますね…容姿といい性格と いい言動といい…」

 

「「だから誰がこんなオッサン(ガキ)と!」」

 

「何で同じ間違いを何度も繰り返すんですか…」

 

「いや…」 「お約束だし」

 

「………」スタスタ

 

「「ツッコミ放棄!?」」

 

これが俺とオッサン…リーヴ・サンクチュアル(つ いでにジェイド・ハルファス)との出会いだった

 

 


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