英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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『名前』

おっす!オラ司!

 

…前回と入りが一緒とか言うな。俺だってなぁ…

 

「おぎゃ~~~!(転生して目覚めたら赤ん坊で したとか予想してなかったんじゃぁぁ!!)」

 

何この羞恥プレイ。プライドも尊厳もあったもんじ ゃねぇよ…

 

首ブランブランだし、動けねぇし、おぎゃ~しか喋 れねぇし。

 

つーかマジで腹減ったんだが。ガチで餓死すんぞ? 赤ん坊って燃費最悪なんだぞ?

 

…いやその前に今目の前にあるのが城なのに一人と して通りかからないってどういうことだよ

 

「う~~~(頼むから誰か通れ!)」

 

…十分くらいじっと誰かが来るのを待っていたが、 いい加減どうしょうもないし暇なので、空腹を紛ら わすためにもとりあえず状況整理をする事にした

 

…まず、俺は神様のミスで死んだ。これは間違いな い。本人が言ったのだから。

 

それで何か知らんが転生する事になって、神様に5 つ願いを聞いてもらって『英雄伝説空の軌跡』なる 世界に転生した訳だけれども…

 

「(転生初日から死にかけるって何?)」

 

正直これはねぇだろ、と半ば諦めていたが…

 

「…え?子供?」

 

突然声が聞こえて抱き上げられる感覚があった

 

ふと見上げると、そこには11、2才くらいの男の子 ?がいた

 

…だって声は女の子だったんだもん

 

「城の前に捨て子とは…そこまで厳しい時代にな っ たのか…?」

 

はい、女の子でしたね。声が違うわ。

 

まあ、そんなこたぁどうでもいい!(←失礼)

 

今の俺の最優先目標は…腹を満たす事っ!

 

見つけてくれてありがとう!さぁ、俺を君のお母さ んの所に連れて行ってくれ!

 

「あ~、あ~」

 

秘技っ!

 

テンプテーション 誘惑 っ!

 

「///(か、可愛い!)」

 

こうかはばつぐんだ!

 

「どうしようか…このままここに置いて行く訳に は 行かないし…かと言っていきなり七耀教会の孤児 院 に連れて行く訳にも…」

 

何かかなり悩んでいる様子の女の子だが、俺はでき る事をした。後は運に任せるだけだ。

 

「…うん、とりあえず連れて戻って女王様や皇太 子 様にどうしようか相談しよう。 …君、一緒にお城に 行こう?」

 

女の子が笑顔で俺に言って来たので俺も笑顔で答え る

 

…やっと飯にありつけるぜ‥

 

…イヤ、ちょっと待て、今この子女王様って言った !?

 

sideアリシア

 

「よーしよしよし…ばぁ~」

 

「きゃっきゃっ!」

 

私は今つい先日生まれた孫のクローディアをあやし ている

 

これがまた可愛いのなんのって…目に入れても痛く ないとはこの事かしらね?

 

「女王様~!」

 

にしても、あの二人も私がクローディアにべったり だからって街に出掛けなくても…

 

「女王様~」

 

仲がいいのはよろしいのだけれど、いつまでも新婚 気分は考えものね…

 

「女王様!!」

 

「!?…ユリア?急にどうしたのですか?」

 

「急に、ではありません。何度もお呼びしました よ…」

 

「え?…」

 

ま、全く気づかなかった…

 

「…さてはまたクローディア様に夢中で…」

 

う…ユリアの視線が冷たい…

 

「そ、そんな事より!何かあったのですか?あな たが慌てて私を探すなんて珍しい…」

 

とっさに話を逸らそうと、話題を変える。実際この 子が慌てる姿なんてめったに見れないものね

 

「それが…」

 

ユリアが抱えている何かを私に差し出す

 

「?…って、子供!?何故!?…ユリア貴女まさ か …」

 

「違います。思考を変な方向に飛ばさないで下さ い」

 

「冗談の通じない子ねぇ…この子は?」

 

見たところ1、2才くらいのようだけど…

 

「城の正門の前に置かれていました。多分ですが … 」

 

「捨て子…ですか」

 

「恐らくは…」

 

こんなに可愛い男の子なのにねぇ…そうだわ!

 

「この子、この城で保護しましょう!」

 

「…………は?」

 

「だから保護しましょう。あ、教育係は貴女にま かせるわ。クローディア共々よろしくね」

 

「は、はっ!…しかし、この少年を保護するのは … 」

 

「あら、貴女も一応保護されている身なのだけれ ど?」

 

「私は軍を通じての保護です!王家が直接保護す るなど…」

 

固いわねー。全く、誰に似たのかしら?

 

「いいのよ。ちょうどクローディアより一つ上く らいだろうし。話し相手…いえ、友達になってあげ て欲しいの。」

 

「………」

 

「あの子はこの城の中では年の近く子もいないし … 貴女が姉のようになってくれて、この子が友達に なってくれれば退屈もしないでしょう?」

 

「…………」

 

ユリアはまだ納得していないような様子だったけど 、、はぁと溜め息をついて

 

「……わかりました。姉代わり、務めさせていた だ きます」

 

「よろしくお願いします」

 

また楽しくなりそうね

 

side out

 

…起きたら何かよくわからんが、この人…リ ベール 王国?の女王様、アリシアさんに保護される 事に なったみたいだ

 

「よーしよしよし…ばぁ~」

 

「きゃっきゃっ!」

 

「………」

 

「あら?笑わないわね…クローディアはこんなに 喜 ぶのに…」

 

ただ一つ思ったのは…

 

この人本当に女王ですか?

 

なんかごく普通の孫思いのおばあちゃん(多分50 くらい)にしか見えん

 

いや、そりゃあ女王様も人間なんだから当たり前な んだけどさ…俺のイメージってもんがあった訳です よ。

 

けど実際は実の両親が子供と触れ合おうとするのを 諦めるくらい孫にべったりなおばあちゃんだった訳 ですよ

 

何だかな~

 

「あ!そう言えばまだ名前を決めてなかったわね … どんなのがいいかしら?」

 

…ついにきやがったァァァ!

 

ヤバい。これはまたこれでヤヴァイ。どんくらいヤ バいかと言うとマジヤバい

 

今まで慣れ親しんできた名前が変わるって結構キツ い。反応出来ないかもしれない…

 

だから!できれば司で!いや、こっちだとツカサか 。ツカサにしてくれェェェ!

 

「…うん、決めたわ。貴方の名前は…」

 

ツカサだ!ツカサと言えェェェ!

 

「…ケイジ。」

 

ぐはっ(吐血)

 

グッバイ…司…!

 

「後はファミリーネームねぇ…どうしようかしら … 」

 

そこはせめてキタガワで!…望み殆ど無いけどな! (ヤケ)

 

「そうね…ルーンヴァルト。ケイジ・ルーンヴァ ル ト。貴方の名前よ?これからよろしくね、ケイジ 。」

 

俺の名前ェェェェ!!

 

せめて面影くらいは残して欲しかったァァァ!!

 

と、内心かなり落ち込んでいたのだが、アリシアさ んは全く気づいていないのか、嬉しそうに俺を抱き 上げていた

 

…すみません。俺精神年齢19です。これから下がる らしいけど、今は19なんです…

 

この扱いに慣れるまで、俺の精神がすり減っていっ たのは言うまでもない

 

…そういやクソ爺(神様)に頼んだ俺の武器ってど うなったんだ?


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