英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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10月21日、話数を削除しました













『堕ちた末に』

ある少年の話をしよう。

 

少年は全てを失った。友を、仲間を、繋がりの全てを失った。

少年は現世(うつしよ)を嘆いた。こんな寂しい世界に意味などあるのか、と。自分に生きる意味はあったのか、と。

少年は神などという曖昧な存在は全く信じていなかった。が、死後の世界は全てを失った日以来信じるようになった。

死んだら、皆にまた会える。殺した人達にも、謝ることができる。

そんな夢物語を信じなければ、少年は自分を保っていられなかった。

 

だが、そんな少年にも、一筋の繋がりが残されていた。

その時の少年にとって、その繋がりは何よりも大切な繋がりであった。

だが、世界はその繋がりを許さない。少年はその繋がりから離れざるを得ない状況に陥ったのだ。

少年は、自分を犠牲にすることを選んだ。

 

そして少年は新天地で新たな絆を、繋がりを紡ぐ。

相棒ができ、ライバルができ、仲間ができ……そして、妹ができた。

その一方で、少年は他人の命を何度も奪っていた。元凶の大人だけではない。時には、被害者のはずの子供達の命を奪うはめになることもあった。

少年は、少しずつ壊れ始めた。

 

そして、ある時、とある騒動が起きた。

少年と親しい友人が、少年の所属する組織に対して反乱を起こしたのだ。

少年は、友情を利用され、裏切りという返しを受け、友殺しという結果を得た。

少年は、人を信じないようになった。

 

やがて少年は青年となり、また、青年の大切な繋がりもかつてとは比べ物にならないほどに多くなった。

自分を友と呼ぶ者がいる。師と仰ぐ者がいる。兄と慕う者がいる。そして……自分に好意を向ける者がいる。

現世に不満など微塵もない。それどころか、日々を楽しいと思うことができている。

だが……だが、それでも。青年は、心のどこかで『自分の死』を願っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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右、左、左、右、右。そうして、ケイジはリーブの放つ『見えないナニカ』を直感と写輪眼を行使して紙一重でかわしていく。

それでもやはり完全には避けきれていないのか、服や顔の所々には小さな切り傷が出来てしまっていたが。

 

「人との関わりを断って生きていけるとか本気で思ってんのか!?」

 

「出来る出来ないじゃねぇ……やるんだよ!」

 

口の方では気丈に返すケイジだが、闘いの方では全くと言っていいほどリーブに接近できずにジリ貧な状況を強いられている。譜術の詠唱すら不可能なリーブの弾幕を破る術は今の所……ない。

リーブの放つ弾幕は、一見固有な能力や術に見えるが、その実は純粋な技術である。某有名漫画の言葉を借りるとするならば、『居合い飛刃』とでも名付けたところか。

そう、リーブは突き詰めて言うならば単に氷のナイフを乱射しているだけなのだ。それでケイジを完全に押し込める圧力を作り出しているのだから、流石という他ないだろう。

 

だが、ケイジもいつまでも押し込められているほど弱くはない。聖痕で生み出した斬撃のオーラを纏うように展開し、ナイフの弾幕に突っ込んで行く。

ナイフは、斬撃のオーラに呑み込まれて消滅し、ケイジは弾幕を辛うじて抜けるが、その先に待っていたのはナイフをホルスターに入れたまま構えているリーブだった。

 

「しまっ……!」

 

「遅ぇよ……豪殺、居合い刃!!」

 

リーブの渾身の一撃がケイジの腹部を捉え、吹き飛ばす。ケイジは吹き飛ばされた先で咳き込みながら立ち上がるが、リーブがその頭を押さえて立ち上がらせない。

 

「関わらないように、《する》……?」

 

「……ああ、そうだよ!!」

 

ケイジは体をひねってリーブの手からかかる圧力を別の方向に逃がし、ひねった勢いでリーブの顔面にむけてアクロバティックに蹴りを繰り出す。リーブはあらかじめ予測していたのか、見事な捌き方でケイジから距離を取った。

 

「どうせ消えていく繋がりなら、始めからない方がいい。人は……利用し、裏切り、去っていく生き物だからな」

 

「お前……」

 

人でありながらも人という種を見下したようなケイジの言葉に、リーブは目を鋭くする。

 

「……聖痕、か」

 

「……ウルは関係ねぇよ。俺の個人的な考えだ」

 

そう言うと、ケイジは翼を展開する。

その翼は、今までのようなどこか機械的な形状ではなく、完全に天使のそれとなっており、手に握る白龍は斬撃のオーラを帯びて淡く光っている。更に、どこから取り出したのか、ケイジの体や頭には純白の鎧兜が装着されていた。

 

「……っ!」

 

「…………オオおォォォぉぉォォぉァァああア!!!」

 

そして、ケイジだったものが白龍を振るう。すると……

空間そのものが、裂けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…………」

 

「ちっ……遅いな……」

 

そしてその頃、残されたメンバーは中央広場で静かに待っていた。

シオンは座りながら目を閉じて落ち着いているものの、リクは時折懐中時計を見ては舌打ちし、リーシャはあわわはわわと目を泳がせている。クローゼは一見冷静に見えるものの、その実はウルを抱き締めながら単に放心しているだけ。フェイトに至っては先ほどからあっちへ行ったりこっちへ行ったり忙しなく動いている。少し落ち着け女性陣。

しかし、そんな時間も長くは続かない。

 

突然空間に切れ目が生じ、そこから何かが飛び出して来る。瞬時に戦闘態勢に入る五人だったが、そこから出てきたものを見ると言葉を失った。

 

『『……!?』』

 

「いっつ……何か呼び起こしちゃいけねぇもん起こしちまったっぽいな……」

 

そこから出てきたのは、どういう訳か片腕を失っているリーブと、天使だったのだ。

 

「あんたは……!」

 

「ん? ああ、あん時の……」

 

リクはリーブに殺気を向けるが、リーブの方は全く相手にしていない。今リーブにとって注意を払うべきなのは、目の前の天使と化したケイジだけなのだ。

 

『あれは……まさか……!?』

 

『流石に気付くか、幻の至宝は」

 

「ウルちゃん?」

 

腕の中で体を強張らせるウルに気付いたクローゼがウルに声を掛けるが、ウルは天使を見たまま固まってしまっている。何が起きたかわかっていない五人に声を掛けたのは、意外にもリーブであった。

 

「お前ら、幻の至宝の消失の逸話は知ってるか?」

 

『え?』

 

「……幻の至宝が、人々の願いの無限さと欲望の汚さに絶望して、自ら消滅を選んだってやつですか?」

 

他の四人は知らなかったようだが、クロスベルという幻の至宝と縁の深い土地出身のシオンはすらすらと答える。

 

「ま、正解だ。だが、実はその逸話には教会関係者しか知らない続きがあってな……。『絶望に身を堕とした幻の至宝は、特に汚い欲望を抱えた者を殺して回った』らしい」

 

『『!!?』』

 

リーブの言葉から推測するならば、目の前の天使はその『絶望に身を堕とした幻の至宝』となる。そして、今クローゼの腕の中にウルがいる以上、幻の至宝というワードで思い当たるのはただ一人……ケイジだけしかいない。

 

「まぁ、言いたいことは山ほどあるだろうが……今は頼む。あのアホを止めんの手伝ってくれや」

 

その言葉が合図になったかのように、今まで周りを見渡していた天使は刀を構えてリーブ達に突撃した。








リーブ・セレスティアル
ATK…9868
DEF…9971
ATS…0
ADF…8219
SPD…52
DEX…80
RNG…6

・イベント限定プレイヤーキャラ。ATS が0のため、攻撃系アーツに一切の意味が無いのがネック。
だが、他のパラメーターが軒並高水準なので、中距離では無類の強さを誇る。
因みに、上記はクォーツ補整なし(笑)

ライン…2ー2ー3ー3

中心……(水固定)水耀珠

第一ライン…修羅
第二ライン…風耀珠
第三ライン…移動3、琥耀珠
第四ライン…必殺の理、黒耀珠


虚ろなるケイジ
HP…200000

術技
初期……鳳仙華、スプラッシュ、タービュランス
HP75%以下……プラスで閃華、サンダーブレード
HP50%以下……瞬桜、上位譜術
HP25%以下……インディグネイション(ナイトメアのみ)

幻の聖痕の暴走に呑み込まれたケイジ。ウルが制御していないせいか、攻撃のダメージが一定しない。(0~8000)
HP が50%を切った瞬間、割り込みで白帝剣を発動させて全員のHP を1にするので、ダッシュで回復しよう

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