英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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本当は上げる予定ではなかったのですが、消えたからって約束しておいて上げないのはモヤモヤしたので上げます



今回は初のコラボ回!!Nフォースさん……もとい望月さんが暁で連載中の『儚き運命の罪と罰』とクロスさせていただきました!


そして皆さんお待ちかねのテイルズキャラ出演回です!













Nフォースさんコラボ『星鏡の扉・愛知らぬ扉』

『これより先は、残酷に消える運命の庭

 

儚き愛に生きた少年と出会いし金閃。そのこの世の姿、我が前に引き連れよ。さすれば異界の扉を開かん……』

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「異界の扉?」

 

 

「この世の姿……?」

 

 

時の庭園の玄関の近くにあったこの扉を見つけた五人は戸惑っていた

 

 

「……わかんねぇならとりあえず開きゃいいんじゃね?ここに関係があって金閃って言えばフェイトしかいないしな……オイ扉!コイツで合ってんだろ?」

 

 

「ちょっ!?降ろしてよ~……」

 

そう言うと、フェイトを猫掴みして扉に見せるように突き出すケイジ。任務の度にリーシャを掴んでは投げているからか、その動きは物凄くスムーズだった

 

 

《然り……されど入るはその者のみに非ず。汝もまた我の求めし者なり……》

 

 

「は?俺?」

 

 

「よし、行こうケイジ」

 

 

「え?ちょ、待てって……何で俺!?」

 

 

そして、ケイジはいつの間にか降りていたフェイトに引き摺られ、扉の中に入っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

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崩れていく時の庭園。その中のとある部屋の中で、黒髪の少年が、剣を壁に刺して自身と自身が掴んでいるまだ幼い金髪の少女の命を辛うじて繋いでいた

 

 

しかし、長い髪を振り乱した女性が吐血するのにも構わずに少年の手を一心不乱に引っ掻いてその希望を断とうとする。女性の目は血走っており、とても正気とは思えない

 

 

……だが、突然女性は何かに気付いたように身を引くと、子供のように首を横に振る

 

 

そして、女性は今までの錯乱が嘘のように落ち着いた様子で少年に二言三言話すと、その手で壁に刺さっている抜き身の剣を掴み……その手を、放した

 

 

「私は人生の賭けに負けたのね……ごめんなさい、アリシア……フェイトも……」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「……何だ?今のは……」

 

 

「…………」

 

 

扉の中の神秘的な空間の中、ケイジとフェイトは絶句していた

 

 

「……違う」

 

 

「ん?」

 

 

「私の記憶と全然違う……おかしいよ。私虚数空間に落ちてなんかいない……それに、あんな人見たこともないよ……」

 

 

尋常でない冷や汗をかいて頭を抱えるフェイト。それを落ち着かせようとケイジが声を掛けようとした時だった

 

 

「ーーそれはそうだろう。入る前に忠告があった筈だ……『異界の扉を開かん』、とな」

 

 

「「!」」

 

 

部屋の中心に魔方陣が出現し、その中から先程記憶に出てきた少年が現れる

 

 

年は15、6といったところだろうか。まだ顔にあどけなさが残っているものの、鞘に納められていない剣のような鋭い雰囲気を纏っており、どこか近寄りがたい印象を受ける

 

 

「お前はさっきの……」

 

 

「あれは言うならばこことは限りなく近くて遠い世界の過去だ。俗に言うパラレルワールド……ひょっとすると起きたかもしれないIFの世界といったところか」

 

 

「貴方は……」

 

 

フェイトが少年の覇気とも言うべき威圧感に警戒しながら名前を尋ねる

 

 

それに少年はフン、と鼻を鳴らすと

 

 

「人に名前を尋ねる時はまず自分からという言葉を知らんのか?……まぁいい。僕はお前達の名前を知っているようなのでな。

リオン・マグナス……それが僕の名前だ。お前達の自己紹介はいらないぞ、ケイジ・ルーンヴァルトにフェイト・テスタロッサ……いや、こちらではフェイト・T ・ハラオウンか」

 

 

「!!」

 

 

教えていない自分達の名前を知っていた事に警戒を強くする二人。しかし少年は何処吹く風とでも言うように再び鼻を鳴らした

 

 

「何を驚いている?僕が限りなく本物に近い偽者である事くらいは既に判っているのだろう?ならば僕が知らない情報を頭に入れられた状態でいても何も不思議は無い筈だ」

 

 

「……貴方の目的は……?」

 

 

「……決まっている」

 

 

リオンは腰の剣……ソーディアン・シャルティエを抜き、更に懐から短剣を取り出す

 

 

ケイジと同じ変則二刀……違う点は得物が剣か刀かという事だろうか

 

 

そしてリオンはシャルティエをケイジに向け、ニヒルに笑う

 

 

「構えろ。ケイジ・ルーンヴァルト。この世界の僕の妹分を護れるかどうか……僕が試してやる」

 

 

リオンの体から闘気が溢れ出す

 

 

「……こりゃ最後の一枚とか言って渋ってる場合じゃねぇな」

 

 

ケイジは懐から一枚の札を取り出し、それに譜力を込める。すると、札は輝きだし、その光の中からウルが現れた

 

 

『………………zzz 』

 

 

……ただし、寝ている状態で

 

 

「起きろ駄狐」

 

 

『うみゅっ!?』

 

 

ケイジが白龍(鞘付き)でウルをシバくと、妙な声を出してウルが起きる

 

 

『痛いよ!?何すんのさ!?』

 

 

「んな事は今どうでもいい」

 

 

「良くないよ!下手すると(わたし)死んでたよ!?いや、死なないけど!ケイジの中に戻るだけだけど!!』

 

 

「うるせぇな………ウル、『氷位顕現』……いけるか?」

 

 

『……出る前に言ったと思うけど、一日単位で1時間が限界だよ?』

 

 

ケイジの声音に真剣味がある事に気付いたのか、ウルも真剣な声で応える

 

 

「それでいい」

 

 

『わかった!』

 

 

そう言うと、ウルの姿が消え、ケイジの髪が銀に染まり、白銀の毛の狐耳と九本の尻尾が生える

 

 

『氷位顕現』……ウルの力を最大限に活用し、“幻”の力を使いこなすために必要な技

 

 

リーブ……アガレス戦の時にケイジが見せた最後の切り札でもある

 

 

『尻尾の数が限界までのカウントダウンだよ!限界が来たら勝手に解けるから気を付けて!』

 

 

「わかった」

 

 

「……準備は終わったのか?」

 

 

「ああ……じゃあ、戦ろうか!」

 

 

次の瞬間、二人の剣は交差していた

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「凄い……」

 

 

フェイトは純粋に二人の剣劇に魅入っていた

 

 

リオンが攻めればケイジが防ぎ、その勢いのままにカウンターまで仕掛ける。ケイジが攻めればリオンが避け、動作直後の僅かな隙を狙っていく

 

 

勝負は全くの互角……いや、言い方が少し違うだろう

 

 

攻撃力と純粋なスピードは体格で勝り、縮地が使え、更に氷位顕現によって身体能力の枷を外しているケイジの方が上、技のキレや見切りといった技量や小回りのきいた機動力はリオンの方が上と、互いに自身のアドバンテージを十全に使い、一進一退の攻防を繰り広げているのだ

 

 

隙あらばケイジに加勢しようとしていたフェイトだったが、そんな考えが吹き飛んでしまう程、二人の剣劇は凄まじかった

 

 

「………」

 

 

知らず知らずの内に、フェイトは拳を握っていた

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「幻影刃!」

 

 

「閃華!」

 

 

交差は一瞬。だが、その一瞬に何度斬り合ったのか、聞こえてくる金属音は複数だ

 

 

「チッ……爪竜連牙斬!!」

 

 

「だからその技はカモだ!!」

 

 

一撃、二撃とリオンがケイジに攻撃を加える度に、ケイジの放つ剣閃が重くなる

 

 

レーヴェが『双剣術の一つの完成形』と称したケイジのカウンターはリオンにも確かに通じていた

 

 

「くっ…」

 

 

「瞬桜!」

 

 

「甘い!」

 

 

技後硬直を狙ってケイジが仕掛けるが、リオンは月閃光、そして斬り返しの月閃弧崩によって相殺される

 

 

すると、今度はケイジの技後硬直を狙ってリオンが猛攻を掛ける

 

 

「臥竜閃!崩竜残光剣!」

 

 

「チッ……」

 

 

自身が動く事で距離を保ちながら攻撃されてはカウンターもできない

 

 

どうにかその連撃を防いだケイジだったが……

 

 

「遅い!浄破、滅焼闇!!」

 

 

「がっ……!?」

 

 

背後からとてつもない衝撃と熱がケイジを襲い、吹き飛ばす

 

 

「闇の炎に抱かれて消えろ!!」

 

 

「そう簡単には消えてやらねぇよ……フリーズランサー!!」

 

 

吹き飛ばされたまま体勢を立て直し、詠唱。そして壁を蹴って宙返りした状態からケイジはフリーズランサーを放つ

 

 

「!?……ストーンウォール!」

 

 

一瞬驚いた仕草を見せたリオンであったが、すぐに高速詠唱でストーンウォールを発動させ、フリーズランサーを防いだ

 

 

「お前……どうして晶術を使える!?」

 

 

「晶術?違ぇよ……譜術だ!!」

 

 

二人の詠唱が同時に完了する

 

 

「デモンズランス!!」

 

 

「ホーリーランス!!」

 

 

光と闇の槍が衝突し、行き場を失った力が爆発する。煙が晴れるとその爆発が起きた場所でケイジとリオンは鍔迫り合いになっていた

 

 

「お前は……何を迷っている?」

 

 

「あぁ?」

 

 

「お前の剣は表面上は迷いがないように見える……だが、その奥では何かに迷っていると、そう感じる」

 

 

「…………」

 

 

「今のお前を見ているとイライラする……何故か昔の僕を見ているようだ。自分を犠牲にする事で何かを護ろうとした、独り善がりな僕と同じようでな」

 

 

リオンは一気に剣に力を込め、ケイジを弾いて距離を取る

 

 

「何を勘違いしているのかは知らないが……勝手に全てを決めつけていい気になるな!!」

 

 

「!?」

 

 

瞬時にケイジと距離を詰めたリオンがそのままケイジの防御を貫いて空中に斬り上げていく

 

 

「僕の前から……消えてしまえ!!」

 

 

そして、着地と同時に双剣を振り抜き、流れるようにシャルティエを駆け抜け様に一閃する

 

 

「魔神……煉獄殺!!」

 

 

「がっ………はっ………!!!」

 

 

そのまま床に叩きつけられ、空気を肺から吐き出してしまうケイジ一閃されて付けられた傷も決して浅くはない

 

 

部屋の隅で見ていたフェイトが何かを叫んで駆け寄ろうとするが、何の作用かフェイトの周りに結界のようなものが張られているためにそれは叶わない。叫んでいる声も聞こえないあたり、どうやら音も遮断されているようだ

 

 

「……所詮、迷いのある剣などこの程度だ。さらばだ…二度と会うことも無ーー」

 

 

「ーー天一式、『空断(からたち)』」

 

 

突然感じた嫌な予感に、リオンは振り向き様にシャルティエを振るう

 

 

何もない筈の空間に確かな手応えを感じ、そのまま振り切る。すると、途端に嫌な予感は無くなった

 

 

「……さっきから聞いてりゃ好き勝手言いやがってよぉ……」

 

 

「事実を述べたまでだ」

 

 

「ああそうだよ。まだ迷ってるよ。悪いかコノヤロー。今まで最善だと信じてやってきた事が全部あのアホ(クローゼ)に引っくり返されたんだ。そうそう簡単に受け入れて切り替えられるかよチクショー」

 

 

腹から血を流しながら、ケイジはリオンに言う

 

 

「……一つだけ忠告してやる。……仲間が道を正してくれたのならそれを受け入れた方がいい。自分でも今の道が間違いだと気付いているなら尚更だ。……それを受け入れなければ後悔するのはお前だ。僕のように、な」

 

 

「忠告どーも……でもなぁ、やっぱ年下にやられっぱなしってのは性に合わねぇんだわ」

 

 

そう言うと、ケイジは聖痕を開放する

 

 

もう尻尾も三本しか残っていない。だったら、残りの力を全て一撃に込めるしかない

 

 

それしか、今のケイジには勝機を見出だせないのだから

 

 

「ほぅ……面白い。なら僕もそれに付き合うとしよう」

 

 

リオンの周囲に黒い晶力の羽が舞う

 

 

「覚悟は出来たか?……いや、聞くまでもないな」

 

 

ケイジの足下から晶力の波動が巻き起こり、ケイジを巻き込んで空中へと昇っていく

 

 

「魔神剣・刹牙……」

 

 

そしてリオンも地を蹴り、ケイジの上まで跳んだ

 

 

「過去を……断ち斬る!!!」

 

 

トドメとばかりにリオンは腕をクロスした状態から、一気に双剣を振り払った

 

 

 

……が

 

 

ガキィィィン

 

 

「なっ!?」

 

 

「………捕まえた」

 

 

晶力の波に呑まれているはずのケイジが、小太刀…蒼燕をシャルティエと短剣の交差する根元の部分に割り込ませ、攻撃を防いだケイジ。薄く笑っているその姿にダメージを受けている様子は全く見られない

 

 

「お前……何をした!?」

 

 

「お前の攻撃から『ダメージを与える』って概念を消しただけだ」

 

 

無茶苦茶な論理にリオンの顔が驚きと動揺に染まる

 

 

「そんなふざけた事が……」

 

 

「出来るから俺はこうしてお前の攻撃を防いでるんだよ

……ま、アレだ。切り札は最後まで取っとくもんだ」

 

 

そしてそのまま鳳仙華の要領でリオンを逆に叩き落とし、地面に叩きつけられた勢いで少しバウンドした所を更に斬り払って吹き飛ばす

 

 

先程のケイジと同じように壁に叩きつけられる前に体勢を立て直したリオンだったが、地に足を付けた時にはもうケイジが目の前にまで迫っていた

 

 

「なっ……!?」

 

 

天二式(あめのにしき)……」

 

 

ケイジの手には白龍。しかし、白龍には銀色のオーラが纏われ、巨大な大剣の姿となっている

 

 

ケイジはそれを横だめに構え……縮地の勢いのまま、リオンを一閃した

 

 

「『白帝剣(はくていけん)』!!」

 

 

銀色のオーラがリオンを呑み込み、そこに込められている『天羽々斬』の力……多連同時斬撃がリオンを襲う

 

 

「ぐっ……あああああああ!!」

 

 

咆哮。そうとしか言えない声をリオンが上げる

 

 

それほどにケイジの一撃はとてつもないものだったのだ

 

 

そして、力の奔流が過ぎ去り、銀色のオーラが消えて後に煙だけが残った時、ケイジの目の前が真っ白になった

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

それは一人の少年の生涯の記憶だった

 

 

親すらも愛さなかった、愛されなかった少年が一人の女性を愛した。それが悲劇の始まり

 

 

その愛を実の親に利用され、更に少年は自身を追い込んでいく

 

 

その結果……少年は全てを失ってしまった

 

 

友すら持たなかった少年に初めて出来た友さえも、少年の実の姉さえも、少年は自分の意思を貫くために裏切った

 

 

全ては、愛した者の幸せのために

 

 

だが、それは何を生み出したのだろう。少年の友は、最後まで自分の名を叫んだ。少年の姉は、少年から目を逸らさなかった。他の仲間達も同じ。裏切ったというのに、最後まで自分の事を考えてくれた

 

 

ーー僕は、何をしていたのだろうか

 

 

海水に呑まれながら少年が考えたのはそんな事だった

 

 

自分がもっと強ければ、この運命も変わっていたのだろうか

 

 

もっと仲間達を頼っていれば、この運命も変えられたのだろうか

 

 

……他に、手段は無かったのだろうか。いつものようにスタンと口喧嘩をして、ルーティがそれを眺めて、フィリアとウッドロウが僕達の仲裁をして。マリーとジョニーはマイペース。チェルシーがウッドロウに構ってもらおうと必死で、コングマンは懲りずにフィリアに求愛する

 

 

そんな、未来は描けなかったのだろうか

 

 

「(……すまない、マリアン。僕は……)」

 

 

意識を失う直前、リオンの脳裏に浮かんだのは、皮肉にも愛した(マリアン)の泣き顔だった

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

 

膝をついたまま動けないリオン。最後まで倒れない所はやはりプライドの高さ故だろうか

 

 

それを見ていると、時間が来たのかケイジの氷位顕現が解け、ウルが頭から地面に落ちた

 

 

『うきゅ!?』

 

 

「こんな時くらいきっちり決められねぇのかお前は……」

 

 

「……フッ。僕の負け、か……」

 

 

膝をつきながらも尚ケイジを見据えるリオン

 

 

「お前……」

 

 

「何もいうな。見たんだな?僕の記憶を……」

 

 

ケイジは頷く

 

 

「……なら、話は早い。アレが自分の独り善がりで誰かを護ろうとした結果だ。僕の間違いはただ一つ……誰にも頼ろうとしなかった事だ。

人が一人で出来る事なんて限られている……だけど、僕はそれを認めなかった。認められなかった。僕だけがマリアンを護れるのだと思い上がっていたんだ……手を伸ばせばすぐそこに掴んでくれる仲間がいたのにも関わらずだ」

 

 

「………………」

 

 

リオンが真っ直ぐケイジを見据えながら話す。それは戒めるようにも、諭しているようにも見えた

 

 

「ケイジ!リオン!」

 

 

そこに、結界が解けたのかフェイトが慌てた様子で駆けてくる。そしてすぐに二人に回復アーツを掛け始めた

 

 

「……フェイト、僕に回復は要らない。どのみち後数分で消えるだろうからな」

 

 

「え?あ、うん………あの、そっちの私は……」

 

 

「ああ、元気は元気だ。絶賛指名手配中だがな」

 

 

「え!?」

 

 

酷く不吉な言葉に、思わず声が裏返ってしまうフェイト。それを他所にリオンは再びケイジに視線を戻す

 

 

「……さて、ルーンヴァルト。これだけはお前に言っておく……護るという事の意味を履き違えるな。自分の思うがままに生きてみろ。

僕はその二つが出来なくて後悔した。それこそ死んでも死にきれない程にな」

 

 

「……ハードな人世送ったんだな、お前」

 

 

「お前にだけは言われたくない気がするんだが……まぁいい。

お前は僕によく似ているんだ。だからこそ……僕のようにはなって欲しくない」

 

 

「……頭の隅には置いておく」

 

 

「フッ。それでいい」

 

 

リオンの体が光に包まれる

 

 

「ではな……二度と会うことも無いだろうが……精々頑張るといい」

 

 

そして、リオンは消えていった

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

ギィ………

 

 

「お、帰ってきたか」

 

 

「……お帰り」

 

 

「案外遅かったな」

 

 

扉の前では、ケビン、リース、リクの三人が待っていた

 

 

「何の記憶だったんだ?」

 

 

「ん~……よくわからん」

 

 

「は?」

 

 

ケイジの答えにすっとんきょうな声を出してしまうリク

 

 

「ただアレだ。ものっそい疲れ……てない?」

 

 

「……あ、ホントだ」

 

 

どういうわけか、ケイジとフェイトに疲れは残っていなかった

 

 

「……お、出てきたな……………何やコレ?」

 

 

扉から報酬が出てきたようだが、ケビンの手に握られていたのは見たこともない珠だった

 

 

「珠?」

 

 

「食べられる?」

 

 

「いや、無理やろ。硬いし。……どうする?フェイトちゃん」

 

 

ケビンが扉の鍵であったフェイトに聞く

 

 

フェイトは少し悩んだ後、ケビンの手にあった珠を受け取った

 

 

「折角ですし、持っておきますよ」

 

 

「そーか」

 

 

その珠こそが、後に《マスタークオーツ》と呼ばれることになる貴重品だとは、この時の五人には知るよしもなかった




~没ネタ~



「闇の炎に抱かれて消えろ!!」


「……………」


「……お前、何故僕に回復術を掛けているんだ?」


「……いや、思春期特有の病気かな~と」


「誰が厨二病だァァァァァァ!!」




~没ネタ②~


『………………』もきゅもきゅ


「……お前出てきながら何食ってんの?」


『クローゼに作ってもらったプリン』


「プリン……だと……!?」


『食べる?』


「し、仕方ないな。どうしてもと言うのなら食ってやらんことも……」


『じゃああげない』


「スイマセンっしたァァァァァ!!」





二つともリオンがヤバくなるので没りました(笑)

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