英雄伝説・空の軌跡~銀の守護騎士~   作:黒やん

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クリスマス中に上げるつもりだったのに……


誰だハーメルンにアクセス制限させた奴は!


『本当の意味の約束』

「………これが、お前の知らない百日戦没の裏側だ」

 

 

泉の水に体を預けて浮かびながら、ケイジはクローゼに言う

 

 

「あの時レミフェリアから来た医療チーム8組の内、6チームは全滅してる。それだけ見れば俺達のキャンプが襲われたのも悲劇ってもんじゃなかった。

それでも……俺はどうしても割りきれなかった。正直、今でもまだ引き摺ってるよ。あの事件と同じ、いや、それ以上の悲劇も何度も見たし、経験した筈なのに……まだ、振り切れねぇんだ。俺があの時銃弾なんか喰らわなかったら……俺があそこにいなけりゃ、俺が、俺さえいなければリーブとジェイドさんは死ななかったってな」

 

 

クローゼは泉の淵に腰掛けながらケイジの話を静かに聞いている。それを見たケイジは遠慮なしに話を続けた

 

 

「それだけじゃない。俺に関わって不幸になった奴はたくさんいる。

 

……例えばレーヴェ。あいつは罪を償うために死ぬより辛い道を歩いてる。頭下げに行って顔を腫らしたり頭に包帯巻いて帰って来た時だって何度もあった。……その選択肢を選ばせたのは俺だ

 

 

……例えばティア。あいつは俺がいなけりゃ今も兄貴と平和に暮らしてたかもしれない。あいつから兄貴を奪ったのは俺だ。多分あいつは俺を殺したいくらいに憎んでるだろうな

 

 

……例えばシャル。あいつを地獄から更なる地獄に叩き落としたのも俺だ。今のあいつの性格も俺が強要したようなもんだ。俺は結局あいつを助けられてないままなんだ

 

 

……例えばリーシャ。俺と出会わなかったら聖痕(あんなもん)を押し付けられる事もなかった。普通に足洗って普通に生きていけるはずだった。死にかける事もなかっただろうな

 

 

例えばフェイト。俺と関わらなければこんな得体の知れない場所に来る事もなかった。あいつはあいつの世界で平和に生きていけた。あいつを巻き込んだのは他でもない俺だ

 

そして……クローゼ。お前もだ。俺がいなけりゃお前はこんな危ない事件に巻き込まれる事もなかった。普通に姫として、次期皇太女として、普通に結婚して立派な女王として生きていけたはずだった」

 

 

ケイジの言葉を、クローゼは目を閉じて聞く。今までのクローゼなら怒っていてもおかしくないような言葉であったが、クローゼは動かなかった

 

 

「俺は自分が疫病神だと思った。だからこそ距離を取った。壁を作った。もう大事な奴が泣くのは見たくなかったから……だから、自分からは絶対に近寄ろうとしなかった」

 

 

そして、クローゼはゆっくりと目を開く

 

 

「今は、どう思ってるの?」

 

 

穏やかに、顔に微笑みさえ浮かべながらクローゼは言った

 

 

「変わらないって言ったら?」

 

 

「サンタクスノヴァ♪」

 

 

ケイジの背筋に寒気が走った

 

 

「下手な冗談は要らないよ。ただ、ケイジの正直な気持ちを教えて?今はどう思ってるの?」

 

 

クローゼの真っ直ぐな視線に、ケイジは少し考えた後に口を開いた

 

 

「そうだな……正直、わからない」

 

 

「わからない?」

 

 

「ああ……俺には全部振り切るなんざ出来そうにない。ただ、今までみたいに壁を作ろうなんざもう二度と思えそうにねぇんだ」

 

 

ケイジはそう言うと泉の底に足をつけ、そのままゆっくりとクローゼに近付いていく

 

 

そして……そのままクローゼを抱き締めた

 

 

「…………あ……」

 

 

「そう思えるようになったのは……多分お前のおかげだ。俺に仲間の大切さを教えてくれたのも、俺が強くなると決めたのも、俺が他人との関わりを完全に断とうと思えなかったのも……きっかけは全部お前だった

 

クローゼ。俺がお前を護る。あの時の約束を本当の意味で実行する。お前の身だけじゃなく、心も。だから……」

 

 

そしてケイジはクローゼから少し身を離し、目を見つめる

 

 

「こんな俺でも、貴女の側にいていいですか?」

 

 

その言葉にクローゼの目から涙が溢れ出す。ずっと望んでいた、ずっと待っていた言葉をようやく聞けた気がしたから。追いかけて、取りこぼして、追いかけて、取りこぼして。ようやく掴んだ幸せだから。ようやく、ケイジがそこにいてくれるのだから

 

 

クローゼの返事は決まっている

 

 

「っ!………はぃ……!!」

 

 

肯定。それ以外はあり得ない

 

 

クローゼはケイジの目を見つめた体勢のまま、何かを求めるように目を閉じる

 

 

ケイジもそれに答えるように徐々にその距離を短くしていき、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何を、しているのかなぁ?」

 

 

「抜け駆けしすぎじゃありませんかねぇ?」

 

 

 

……その距離はゼロにはならなかった

 

 

クローゼがその声を聞いて即座に目を開けると、目の前には魔力刃と氷の大剣が。……後数ミリズレていたらケイジかクローゼの命はなかっただろう

 

 

これには流石にクローゼも怒り、振り向いて邪魔者に文句を言おうとして……言えなかった

 

 

クローゼが振り向いた先には、男女問わず魅了するであろう女神ような笑顔を浮かべた、しかしながらドス黒いオーラを纏ったフェイトとリーシャがいたのだ

 

 

 

「確かにケイジを元気つけて来てとは言ったよ?でも私いい雰囲気になれとは言ってないはずなんだけどなぁ」

 

 

「私が気絶してる間に何をしてくれてるんですか?」

 

 

「え?いや、あの……」

 

 

あまりのドス黒いオーラに何も言えなくなるクローゼ。しかも恐ろしいことにそのオーラはピンポイントにクローゼだけに向けられているため、ケイジには伝わっていない。恐るべし乙女の底力

 

 

……魔力刃とか大剣とかの時点でその努力は結構無駄になっているのだが

 

 

「さてと……クローゼ。とりあえず向こうで魔王(なのは)式のO☆HA☆NA☆SHIしようか」

 

 

「すごく嫌な予感がするから断っていいかな……?」

 

 

「大丈夫です。痛いのは一瞬ですし、記憶にも残りませんから。ただ体にトラウマを植え付けるだけですから」

 

 

「色んな意味で不安になるよ!?」

 

 

「心配要らないよクローゼ。なのはも『HA☆NA☆SHI合えばわかり合えるの!』って言ってたから」

 

 

「なのはって誰なの!?めちゃくちゃ怖い人ってことしかわかってないよ!?」

 

 

 

「「さぁ、逝こうか」」

 

 

「字が違うぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 

 

そしてクローゼは連行されて逝った。アーメン

 

 

 

一人残されたケイジは、再び泉に浮かび、空を見上げる

 

 

「(……そうだな。今の俺がいるのはクローゼのおかげだけじゃない。フェイトは何だかんだ限界だった俺に安らぎをくれた。リーシャは護る事の本当の意味を教えてくれた。他の奴らと、誰よりあの三人がいたから俺はここにいる。

……ったく、一人でも大変だってのに……)」

 

 

ケイジは泉に浮かんだまま、目を閉じる

 

 

「……悪くないな。護るものが増えるってのも……ああ、悪くない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

「……ケビン」

 

 

「ああ、わかっとる。俺、お前、エステルちゃん、レーヴェの誰も思い当たらんと来たら……『あの娘』しかおらんやろ」

 

 

「いずれにせよアイツは解放しなければならなかったという訳か……」

 

 

「やな」

 

 

 

 

 

 

 

『《影の王》が告げるーー

 

 

これより先は虚ろに呑まれし時の庭

 

 

人形と蔑まれし惑いの金閃を伴い、文字盤に手を触れるがいい』









クリスマスだしちょっと甘めです(笑)



ついでにオリキャラ勢のクォーツ紹介!


ケイジ

中心……幻属性3ー5


・霊耀珠(幻)

オリジナル。AGL、SPD30%、DEF-40%。取り外し不可

ライン1
・風耀珠
・紅耀珠

ライン2
・黒耀珠
・水耀珠
・蒼耀珠
・必殺の理


備考…アーツは使わないので物理重視。蒼耀珠は譜術の威力Upのため。霊耀珠の取り外し不可が少しマイナスか



リク


中心…空属性2ー3ー4


・必殺の理

ライン1
・紅耀珠

ライン2
・水耀珠
・風耀珠

ライン3
・龍眼
・黒耀珠
・移動2

備考…ド物理。エアや無限の剣製はクラフトなのでアーツには振らなかった



シオン

中心…縛りなし2ー6

・金耀珠

ライン1
・紅耀珠

ライン2
・蒼耀珠
・風耀珠
・黒耀珠
・琥耀珠
・天眼


備考…結構補助型。紅耀珠と琥耀珠が相殺しているが、アーツの種類は豊富



フェイト

中心……風属性2ー6

・風耀珠


ライン1
・蒼耀珠

ライン2
・紅耀珠
・黒耀珠
・水耀珠
・封技の理
・範囲


備考…防御?なにソレ美味しいの?(範囲でランサーやブレイカーの範囲がup )



ティア

中心…空7

・金耀珠

ライン
・蒼耀珠
・黒耀珠
・琥耀珠
・範囲
・風耀珠
・銀耀珠


備考……アーツ(譜術)特化型。ティア一人で術攻撃から回復、サポートまで事足りる。EP とCPの使いすぎには注意(譜術はEP 50~200とCP 5~30で発動)


シャル


中心…時3ー3ー3

・黒耀珠


ライン1
・紅耀珠
・風耀珠

ライン2
・金耀珠
・銀耀珠

ライン3
・蒼耀珠
・範囲


備考……オールラウンド。しかしEP が銀耀珠で底上げしているものの若干低めなのが欠点

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